忘却少女と異界の獣   作:k25

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遅くなりましたが6話です。
ここからはサクサク進もうかと思います。

※6/8:204番道路→203番道路に修正いたしました。



6,岩の関門

フィランと仲間たちは202番道路とコトブキシティを通過し、クロガネシティに向かうため203番道路を進んでいた。

 

 

 

「ポッチャマ、はたく!」

ポッチャマの翼(?)が相手のポケモンを文字通りはたく。

 

「ああっ…僕のムックルが…!」

 

「よし。…お疲れ、ポッチャマ。」

 

マサゴタウンを出発したフィランたちは、道中で野生のポケモンや勝負を仕掛けてくるトレーナーたちと戦いながら順調に歩を進めていた。

むしろ積極的にトレーナーを探しに行っている様子すらうかがえる。

 

(聞いた話によるとクロガネジムのジムリーダーは岩タイプの使い手。

フェローチェならかくとう技で有利をとることもできるけどフェローチェだけに無理はさせられないし、何よりフカマルとポッチャマにも経験を積んでもらいたい。)

 

シロナの下にいたころ、チャンピオンの手持ちポケモンと戦闘の訓練をし経験を積んだフェローチェと、

旅に出てから戦うことを覚え始めたフカマル、ポッチャマとでは、その力量に大きな差がある。

故に、ある程度2匹が成長するまではフェローチェは奥の手にしておき、メインはフカマルとポッチャマに任せようと考えていた。

 

その後もいくつか戦闘をこなしながら203番道路からクロガネゲートという短い洞窟を抜ける。

そんなこんなで到着したクロガネシティ。

 

「ここがクロガネシティかあ…」

 

始めてくる町に思わず声が上がってしまう。

 

今まではどこかに出かけるにもシロナかナナカマドがいた。

先ほど通過したコトブキシティも、シロナと何度か訪れていたことがあった。

 

だが、こうして自分の足で見ず知らずの町に来たことが、旅に出たことをようやく実感させる。

 

そんな少し青いような心情もほどほどに、フィランはここに来た目的を再確認する。

 

「まずはポケモンセンターかな。」

 

ジムに挑戦する前に一休みも必要だ。

 

 

 

「お預かりしたポケモンたちはみんな元気になりましたよ!」

 

お決まりのセリフとともに仲間たちが手元に戻ってくる。

 

「ありがとうございます。」

お礼をお告げ改めて目的地に向かうこととする。

 

クロガネジム。

このシンオウ地方でポケモンリーグに挑戦するトレーナーが最初に挑むジムである。

その初めの一歩を、今、踏み出さんとした。

 

 

 

ジムの建物に入ると中は岩壁に囲まれたシンプルなつくりをしていた。

中央の階段を進みジムリーダーの元へ。

途中、ジムのトレーナーが勝負を仕掛けてきたが、それもいい経験になる、くらいのものだった。

 

とはいえフカマルもポッチャマも少し消耗している様子なのでキズぐすりで回復も忘れない。

 

 

そうしてたどりついた最奥。

ジムリーダーヒョウタと対峙する。

 

「ようこそ。クロガネシティポケモンジムへ。ボクがジムリーダーのヒョウタ。

いわタイプのポケモンとあゆみことを決めたトレーナーさ。

さてと、君のトレーナーとしての実力、そして一緒に闘うポケモンの強さ、見せてもらうよ!」

 

「フィランです。よろしくお願いします…!」

 

フィランにとって最初の試練が今、幕を開けた。

 

 

 

 

「行け!イシツブテ!」

 

「フカマル。行けるね?」

 

 

お互い最初のポケモンをボールから放つ。

 

ヒョウタのポケモンはイシツブテ。対するこちらはフカマル。

2匹のポケモンが互いを見据える。

 

「なるほど…そのフカマル。

君がチャンピオンの下から旅立ったというトレーナーか。ますます君の力が知りたくなったよ!」

 

「…じゃあ、遠慮なく行かせてもらいます!

フカマル!たいあたり!」

 

フィランの指示のもと、フカマルはイシツブテに一直線に駆け出す。

 

「イシツブテ!まるくなる、だ!」

フカマルの攻撃をみすみすそのまま受け止めるわけもない。

イシツブテは体を丸め防御の姿勢をとる。

 

ドン!

 

フカマルがイシツブテに激突する。

だが、先ほどのまるくなるで威力を軽減させたのだろう。

イシツブテはまだまだやれるといった様子でいる。

 

 

 

だが、フィランからしてもこの一撃で勝負が決まることもないことは分かり切っている。

(まあ、こんなものか。じゃあここで本命と行こう…!)

 

 

「フカマル…じならし!」

 

たいあたりで近づいたフカマルが間髪入れずに地面を踏み鳴らす。

 

「不味い!イシツブテ!」

 

 

その時にはもう遅い。

まだまだ成長途中のフカマルのじならしはガブリアスのじしんなどには程遠い。

だがいわタイプのイシツブテを倒すには十分な威力だった。

 

 

 

 

「お疲れ様。イシツブテ。」

 

ヒョウタはイシツブテをボールに戻す。

(チャンピオンの下で学んできただけはある。タイプの相性は織り込み済みか。)

 

そうしてヒョウタの2匹目のポケモンが現れる。

「イワーク。出番だ。」

 

「フカマルも一旦戻ろっか。」

 

フカマルをボールに戻し交代するポケモンをボールから出す。

 

「ポッチャマ。行こう。」

 

次に切るカードはポッチャマだ。

 

 

元気いっぱいといった様子で躍り出るポッチャマ。

元気がいいのはいいことだが落ち着きがないようにも見えなくはない。

 

(ポッチャマ、少し緊張気味かな~…?)

 

フカマルよりも少し幼い印象を見せるポッチャマ、生まれて初めての旅に、初めてのジムでのバトル。

人間でいうところのあがっている、といったところか。

 

(ま、やれるだけやってみよっか!)

 

「ポッチャマ、あわで攻撃しよう。」

「イワーク!いわおとしだ!」

 

ポッチャマが口から泡を放つ。

決して早くもないが、遅くもない、そんな攻撃ではあったが、相手はイワークだ。

言ってしまえば、もっと遅いポケモンだ。

 

多少いわおとしを食らいはしたが、次々とあわがヒットしていきイワークは戦闘不能になった。

 

 

「なるほど。なかなかやるね!

でも、ボクの最後の1匹はそんなに甘くないよ!」

 

そうして投げられた最後のボール。

現れたのはズガイドス。硬い頭と突進が持ち味のポケモンだ。

 

対するポッチャマはというと、もともと緊張気味だったのに加え、先ほどの勝利が悪い方向に自信をつけさせてしまったのか。

 

「ポッチャマ。少し落ち着こうか。戻っておいで。」

 

フィランの指示に背き、駆けだした!

 

(テンパって私の声が聞こえていない!?)

 

「おや。どうしたのかな?

だが、こちらには好都合だ!ズガイドス、ずつき!」

 

ズガイドスの自慢の突進がポッチャマを襲う!

 

「ポッチャマ!一回態勢を整えて!そしたら戻っておいで!」

 

だがしかし、フィランの声はポッチャマに届いていない。

 

「よし!ズガイドス!続けてもう一度だ!」

 

再び迫りくる一撃に対しポッチャマは攻撃はおろか、避ける素振りすら見せない。

 

(ズガイドスのずつきでひるんじゃったか…!?)

 

 

二度目の衝撃に、なすすべなくポッチャマは倒れた。

 

 

 

「お疲れ様。」

 

(フカマルはすでに一戦戦ってるし、途中のトレーナーとの戦闘もあった。これ以上は無茶になるかな。)

 

ポッチャマをボールに戻し次なるボールを手に取る。

青をベースに黄色い爪のような飾りのついたボール。

早速だが、最初のジムにして切り札を切ることにした。

 

「お願い。フェローチェ…!」

 

 

 

 

(あれが…噂に聞いた…全く未知なるポケモン…!)

 

ヒョウタも初めて見る白いポケモンが姿を現した。

と、その瞬間。

風を切る音と白い影が閃く。

 

 

 

 

気が付いた時にはズガイドスは地に倒れ伏し、その白いポケモンは既に己の主の下に帰還していた。

 

 

「ありがとね。」

 

 

(なんて素早さだ…!ボクもジムリーダーとしてそれなりに闘ってきたつもりではいたが、気が付く前に戦闘が終わっていたなんてはじめてだ!

それに、あのポケモン、指示を出される前に動いていた。トレーナーの考えをわかっているのか…?)

 

「…ズガイドス。お疲れ様。」

 

ヒョウタはズガイドスをボールに戻しながらフィランのほうを向いた。

 

「…まいったな。まさか何も見えないうちにバトルが終わってしまうなんて。

それも仕方ない。君が強くて、僕が弱かっただけだ。

うん。ポケモンリーグの決まりでは、ジムリーダーに勝ったトレーナーにバッジを渡すことになってるんだ。

さ、ポケモンリーグ公認の、コールバッジ、君に渡すよ!」

 

ヒョウタの手には灰色の丸みを帯びたフォルムのバッジ、コールバッジが握られている。

 

「ありがとうございます。でも、正直言うと、納得のいく勝ち方ではなかったです。

ポッチャマの力量や、コンディションを把握しきれていなかった…」

 

「でも、君のフェローチェに僕のズガイドスが敗れたのは事実だ。

さあ、バッジを受け取ってくれ!」

 

そう言いバッジを手渡す。

 

「みんな初めはそうさ。ポケモンとの信頼関係だって一朝一夕じゃない。

でもそれに自分から気づけるトレーナーは案外少ないものだよ。」

 

「…ありがとうございます!」

 

「それに気づける君はこの先もっと強くなれる。頑張ってね!!」

 

そんな激励をもらいジムを後にする。

 

 

 

 

ジムの建物を出たとたん、今まで気づいていなかった疲労感が体を襲う。

 

(…あ、疲れてるんだなぁ。今日はここで1泊しよう。)

 

そうしてクロガネシティにて宿をとることにしたのであった。

 

 

 

・・・

・・

 

 

 

ポケモンセンターでの治療や諸々を済ませ、宿で一息つく。

 

(ポッチャマの様子、見ておこう。少し心配だし。)

 

そう思いポッチャマをボールから出す。

 

「ぴう…」

 

悔しさと、焦りと、申し訳なさのような表情を浮かべるポッチャマ。

 

ここまでの道のりは無敗で順調に進んできた。

それだけに自分の暴走を原因とする敗北は精神的にダメージが大きいのだろう。

 

「ごめんね。もうちょっとあなたのコンディションに気を配れてたら……」

すると慌てた様子で首を横にふるポッチャマ。

「ありがとね。でもポケモンの負けはトレーナーの責任でもあるから。」

 

そういいながらベッドに腰を下ろしポッチャマを膝の上に乗せる。

 

「だから一緒に強くなろうね。」

ポッチャマの頭をなでながらそう声をかける。

 

一緒に強くなろう。その言葉にポッチャマは安堵を覚えた。

この痛みは自分だけのものでもなくトレーナーだけのものでもない。

仲間と一緒に乗り超えるのだ。

 

 

フィランは安心にしたような、リラックスした様子のポッチャマと少しの間、そのまま過ごしていた。

 

 

 

 

すると。

 

もう一つのボールが勝手に開き、飛び出したポケモンが一匹。

 

「…………」

 

 

 

 

当然、フェローチェだ。

無言のままこちらを見つめている。

 

恐らく彼女の言い分はこうだ。

 

「相手を倒したのは私。だから私を褒めるべき。そこは私の場所。」

 

無言でポッチャマを押しのけフィランの膝に頭をのせる。

 

仕方ないのでポッチャマを右ひざにずらし、フェローチェには左ひざ枕で対応する。

 

 

 

「…妬いてるの?」

 

そう言うとまたしても無言で、今度はフィランが小突かれた。

照れ隠しだろうか。

 

そんな相棒を可愛いな、なんて思いながら。

 

そうして夜は更けていく。

 

 

 

 

 

 

 

(ちょっと足痛くなってきたから降りて欲しいんだけど。

なぜか先に降りたら負けみたいになってるけど、私の膝は我慢大会会場じゃないよね?)




6話でした。

自分の励まされフェイズすらフェロ主のいちゃつきに利用されてしまうポッチャマ君を救いたい。

ポッチャマとフカマルは男の子のつもりです。
フェローチェは当然性別不明ですが、ひとまず3人称は彼女としました。
一人称も私としました。
文章の中で彼女私が使いやすいだけなので深く突っ込まないでいただければと思います。


ヒョウタの最初のセリフはDP本編から引用です。
手持ちもゲームに沿っています。

戦闘もなるべくゲームを参考に書いてますが、避けろ!とか出てきちゃうのはご愛嬌で。

現時点での手持ちは
フェローチェ:lv78くらい
フカマル:lv19くらい
ポッチャマ:lv10くらい
のイメージです。

ゲームだと御三家って最初のジムの前に進化させちゃうことも多いと思いますがせっかくなのでポッチャマでの戦闘も書いておこうかと思ったら、覚える技が少なくて頭抱えました。


それでは、次回お会いしましょう。
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