いつもよりは長めです。
僅かなトラブルこそあったものの、無事、クロガネジムを突破したフィランたちは次なる目的地を目指していた。
クロガネシティからコトブキシティに戻り、北の204番道路を進む。
もちろん、道中で野生のポケモンや他のトレーナーとの戦闘をこなしながら。
ポッチャマはクロガネジムでの出来事から立ち直りはじめ、より一層鍛錬に励んでいる様だ。
そんなポッチャマのやる気を買ってのことか、フィランもバトルでは積極的にポッチャマを選んでいた。
そうして夢中で歩いているうちに次の町にたどり着いたようだ。
「えーと、ソノオタウン、花の町だって。」
マップを見ながら、現在地を確認する。
マップから目を離し、町の入り口から奥に目をやると、
「あ、あれかな…近くに行ってみよっか!」
沢山の花が咲いているのが見えた。
「わぁ…キレイだね…」
一面に咲く花を眺めて思わず呟く。
言葉を失うとはまさにこのことで、ありきたりな感想を口にする。
ポケモンたちもボールから出して、みんなでこの景色を共有している。
まだまだ、旅は始まったばかりだが、さっそく美しい思い出ができたことに喜びながら、
つかの間の休息を終え、再び歩き出した。
ソノオタウンを後にし205番道路をさらに北へ。
その先には何やら薄暗い森が目の前に広がっている。
ハクタイの森。名前の通りハクタイシティの近く、205番道路内に広がっている森で、ここを抜ければ次の目的地であるハクタイシティにたどり着く。
ここにも野生のポケモンや、それを捕まえようとする人達、はたまたほかのトレーナーと勝負をするために待ち構えている人が集まっている。
「そこの君!僕と勝負だ!」
「受けて立ちますよ。ポッチャマ!」
そんな環境はむしろ願ったりかなったりであると言わんばかりに、フィラン達はいくつものバトルをこなしていく。
「ポッチャマ!つつく!」
ポッチャマのくちばしが相手のポケモンにダメージを与える。
クロガネシティからここまで、ポッチャマのモチベーションはかなり高い水準できていた。
先ほどのつつくも威力は決して高くは無いシンプルな技ではあるが、しっかりと決まっていたようだ。
「くっ…僕の負けだ…!」
その証拠に、相手のポケモンは倒れまたしても勝利を収めた。
クロガネジムでの敗北からここまで、長くはないが確かな足取りで歩んできたポッチャマは自信を完全に取り戻した様子だった。
いや、取り戻したというよりもさらなる実力と自身を身に着けたというべきか。
そうしてバトルが終わり、フィランの下にポッチャマが戻ろうとすると、
ポッチャマの体に変化が起こり始める。
「これは…進化…!」
進化。多くのポケモンが持つ、姿形を変化させ更にその能力も上昇する、大きな成長のポイントとなる現象。
ポッチャマは新たなステップに到達しようとしていた。
「ビュウウゥ!」
体は一回り大きくなり顔つきも少し凛々しく。
ポッチャマはポッタイシへと進化した。
「…おめでとう!進化したんだね。」
フィランは図鑑を開き改めて確認する。
「これからもよろしくね。ポッタイシ!」
ポッチャマの進化という一大イベントも終え、一行は破竹の勢いで森を抜け、ハクタイシティまで突き進んだ。
「ついたね。ハクタイシティ。」
いつものようにマップを確認し、ポケモンセンターを目指す。
・・・
・・
・
「それでは、お預かりいたします!」
お決まりのセリフを聞きながら、ポケモンを預け回復してもらう。
その間フィランはある考え事をしていた。
(ハクタイジム…くさタイプのジムか…)
当然、次のジムのことだ。
(くさタイプ。ここに来るまでに森でも何度か戦ったけど、ポッタイシにもフカマルにもくさタイプに対して有効な攻撃技がないんだよね…)
そう、次のジムではくさタイプのポケモンとの戦闘がメインとなる。
いくら進化したとは言え水タイプのポッタイシでは分が悪く、フカマルもドラゴンタイプがじめんタイプの弱点をカバーするが別に有利というわけでもない。
そしてその二匹にはくさタイプのポケモンへの有効打が無い。
と、なるとだ、
(フェローチェに頑張ってもらうか…)
奥の手ではなかったのか…ただでさえ最初のジムでも戦闘に出してるしな…などと考えながらも、
(まぁ、しょうがないか!フェローチェもたまには出してあげないと退屈だろうし!)
と、ハクタイジムでは全面的にフェローチェの登板が決定していた。
ハクタイジムは緑の植えられた雰囲気のいい建物だった。さっきまでは。
(ちょ、何よあれ!)
ジムリーダーのナタネさえ、その様子には驚きを隠せずにいた。
自分だって一端のジムリーダーだ。
強いトレーナーとポケモンだっていくつも見てきたし、それらと闘って来た。
だが、
しかもそれを一つ目のジムを突破したばかりのトレーナーが従えているなんて!
それに早すぎて詳細はよく確認できていないが、見た目やむしタイプの技の威力から察するにあのポケモンはむしタイプを持っている。
よりによって自分のくさポケモンたちが苦手とするむしタイプ。
幸い、むしタイプの攻撃の相性不利を打ち消すことができるロズレイドを連れてはいるが、それでもあのポケモンの前にはどうか……
色々考えているうちに挑戦者がすべてのトレーナーを倒してしまった様だ。
これ以上考えても仕方あるまい。
「…ま、待ってたよ!
あたしがハクタイのジムリーダー!くさタイプの使い手ナタネ!
さっき見たとき、あなたは絶対にここまで来る!そう思ったんだけど、ズバリだったよ!
なんていうかそんな雰囲気をしている。
うーん!とにかくポケモン勝負しよーよ!」
「はい!よろしくお願いします。」
当然、挑戦に来たトレーナーに弱い姿は見せられない。
ナタネは自身を鼓舞するように言葉を吐きだし、目の前の恐るべき挑戦者と対峙した。
「もう最後の一匹ね。ロズレイド!」
ここまでの闘いはまさに圧倒的なものだった。
目にも止まらぬ速さでとびかかるフェローチェにナタネのチェリンボとナエトルは反応すらできずに倒れた。
(最後の1匹はロズレイド、どくタイプを持っているからかくとうタイプもいまいちだし、むしタイプも効果抜群とは言えない…
あの技を使おうか…)
フェローチェもフィランが何か考えているのを察し様子をうかがう。
「フェローチェ!飛び跳ねる!」
「!!」
フェローチェが建物の天井すれすれまで飛び跳ねる。
「ロズレイド!マジカルリーフ!」
ロズレイドが手の花びらから勢いよく葉を放つ。
しかし、高く飛び上がったフェローチェには当たらない。
飛び上がったフェローチェは、すぐに重力にしたがって地上に迫る。
そうして地に立つロズレイドに激突する。
衝撃の後、そこに立っていたのはフェローチェだった。
足元にはロズレイドが倒れている。
(たまに外すから心配だったけど、さすがに大丈夫だったね。)
フィランの懸念は杞憂だった様で、フェローチェは涼しい顔をして勝利を掴み取った。
「あなたとそのポケモン、本当に強いね…はい!これ!」
少し悔し気なナタネから2つ目バッジ、フォレストバッジを受け取る。
「ありがとうございます。自慢のパートナーなんです。ね!」
フェローチェの方を向く。
当の本人は澄ました顔をしているが、少し嬉しそうにしているのがフィランにはわかった。
「それにしてもここまでコテンパンだとね…
またいつかリベンジさせてよ!次は全力のパーティで行くから!」
「それまでに私たちも、もっと強くなります!」
「そうだ!その、強いあなたたちに一つお願いがあるんだけど。」
「??」
・・・
・・
・
お願い、というのを聞くため、フィランはナタネに連れられ、来た道を少し戻り、
ハクタイの森の出口近くまで来ていた。
「ここ、ここ。」
どうやら目的地にたどり付いたようでナタネが指をさす。
それは古びた洋館だった。
「見ての通り古い洋館なんだけどね、今はだれも住んでないみたい。
それで、色んな噂が流れててね。
森の洋館のお化けポケモン、怪しい人影を見るって話もちらほら耳にするし。
あたしが調べればいいんだけど、中に入るのは…
ほら!あたし、ジムリーダーで色々あるからね!
ねっ、色々あるから。お化けが怖いとかじゃなくてね!
そういうことだから、調査をお願いしたいんだけど…」
「いいですよ。」
「やっぱり…?ん?え?いいの?」
「はい。いいですよ。」
「ほんとに!?じゃ、じゃあ調査お願いね!!」
そういうとナタネはそそくさとその場を立ち去ってしまった。
「…よし、行ってみようか。」
ナタネの話などほとんど聞いていなかったのように、なんのためらいもなく足を踏み出す。
すると。
「…どうしたの?ポッタイシ。」
ポッタイシがボールの中から何か伝えたそうにしていたのでボールから出し、話を聞こうとする。
グイグイ。
ポッタイシはフィランの手をとり引き返そうとしている。
「…ああ。ナタネさんの話を真に受けてるの?
大丈夫だよ。お化けなんていないよ。いたとしてもゴーストポケモンくらいでしょ。」
そうしてポッタイシを宥めるが、依然、引き返そうとすることをやめない。
「…困ったな。一度引き受けちゃったしな。」
そんな呟きに反応するかの如く、もう一つのボールが勝手に開いた。
「フェローチェも、どうしたの?」
「……」
フェローチェは無言でポッタイシを担ぎ、フィランに先に進むように促している。
なるほど、ポッタイシの世話を焼いているのを見かねて手助けに来てくれた様だ。
…まあ、ポッタイシは激しく嫌がってはいるが。
「ちょっと無理やり感あるけど、いつまでも、ない物にビビっててもしょうがないしね。行こうか!」
相変わらずの抵抗をやめないポッタイシをよそに、フィランとフェローチェは洋館へと入って行った。
「…うーん。ちょっと埃っぽいかなぁ。」
洋館内は誰も住んでないというだけあって少し散らかっていた。
おまけに電気も通っていないので薄暗い。
何かに足をとられて躓いたりしたら危険だ。
「フェローチェもポッタイシも気を付けてね。」
ポッタイシはもう観念したのか、フェローチェから下ろされて自分で歩いていた。
心の底からお化けなんて物を信じていないのだろう。
どんどんと先に進んでいくフィランとそれに追従するフェローチェ。
その後ろをおっかなびっくり進んでいくポッタイシ。
「今のところは少し散らかってるってだけで変わった物は無いけどなあ。」
ガチャリ、とドアを開き次の部屋を探索する。
フィランは部屋の本棚を眺めていた。
すると、ポッタイシが背後に何かを気配を感じる。
得体のしれない何かを目にしたくないが、それでも見て確かめずにはいられない。
そんな葛藤がポッタイシを襲ったが、体が勝手に後ろを見てしまう。
スーーッ
ガチャ…
目の前で起きたことにポッタイシは言葉を失った。
この建物には誰も住んでおらず、今は自分たちしかいないはずである。
明らかに今、小さな女の子が
足音も立てずに!!ドアを閉めて行った!!
ポッタイシは大慌てでフィランの下に駆け寄り、腕を引っ張り、ドアを指さす。
「ん?どしたの?…ドア開けっぱだったね。ありがとうね。」
フィランはポッタイシがドアを閉めたと勘違いしている様だ。
「ここもなんもなさそうだね。次行こっか。」
フィランはポッタイシの慌てた様子を確認するが、
まあここに来た時からあんな調子だし。くらいにしか捉えていない。
そうして隣の部屋に入った時、それは起こった。
ザッ…ザザー!
「ん?なんでテレビが…」
当然ここには電気は通っていない。
「ッ……!」
驚きすぎたポッタイシが声にならない悲鳴を上げる。
ズドン!!
次の瞬間にはフェローチェがテレビに蹴りを叩き込んでいた。
「フューイ!」
すると、テレビの中からみたことのないポケモンが姿を現した。
「ポケモン…!なるほど!このポケモンが電気を供給してたのかな?」
そういいながら図鑑を確かめる。
ロトム。プラズマでできた体を持ち、電化製品などに潜り込んで悪さをしたりするポケモンだ。
フェローチが続けて蹴りを入れようとするがすり抜けてしまう。
(なるほど!ゴーストタイプか!)
ロトムはゴースト/電気タイプのポケモンだ。
フェローチェのかくとう技も通じず虫技も今一つ、ポッタイシも相性は不利。そもそもビビり散らしていて役に立たなそうだが。
更にふゆうという特性を持ちフカマルのじめん技も効かない。
が、
「そうだ!フカマル!」
何か思いついたフィランはフカマルを繰り出す。
「かみつく!!」
フカマルはボールから飛び出ると同時に浮いてるロトムにかみついた!
かみつくはあくタイプの技でゴーストタイプには効果抜群だ。
「フューウ!」
慌てたロトムがテレビに戻ろうとする。
「フカマル!離さないでね!」
しっかりとかみついたフカマルが、ロトムがテレビに戻るのを阻止する。
(今のうちに…!)
フィランは空のモンスターボールを手に取り、ロトムに投げた。
ギリギリでフカマルはロトムを離し、ボールはロトムに命中する。
ロトムを内包したボールが地面に落ち、幾ばくか揺れる。
…。。。
揺れが自然とおさまった。フィランはロトムを捕獲したのだった。
「よし、この子が噂の原因だったのかな。」
ロトムを捕まえた後、一度洋館から出たフィラン達。
洋館の入り口で先ほどロトムを捕まえたボールを開いた。
「勢いで捕まえちゃったけど、ちゃんと君の意思も確認しときたくてね。」
ロトムに話しかける。
「ここでイタズラしてるよりも面白いもの、見せてあげられると思うからさ、私たちとおいでよ。」
「フュウ!」
「よし!決まりだね!」
フィラン達の旅路に新たな仲間が加わった。
盛りだくさんの7話でした。
ソノオタウンはほんとに通過しただけです。
前にも言いましたがこの話はDPtのシナリオの数年前から始まっています。
なのでソノオタウン周辺で起こるギンガ団周りのイベントはまだ発生しません。
ポッチャマはそうそうに進化してもらいました。
これから一層バトルの描写に幅が出せたら嬉しいですね。
ハクタイジムですが進化したばかりのポッタイシを差し置いてフェローチェ無双。
たまにはいいよね??無双でも。
なるべく無双にならないようにはしたいですけどね。
ジムリーダーは挑戦者のレベルに合わせてポケモンを使い分けている。という説を採用します。
今回のナタネさんはジムバッジ1個のトレーナー相手だからーとパーティーを持ってきたら、なぜか相手がレベル80近い準伝を手持ちに入れてた、という事故です。
そして森の洋館でロトムゲット。今後フォルムチェンジもさせていきます。
フィランは全く幽霊とか気にしないタイプです。多分実際目にしても平然とするかなと。