忘却少女と異界の獣   作:k25

8 / 23
8話です。
あの戦法が登場します。
お世話になった人も、恨みがある人もたくさんいるんじゃないでしょうか。


8,電球付き扇風機

 森の洋館でロトムを仲間に加えたフィラン達は、一先ずナタネへの報告もかねてハクタイシティへ戻って来た。

 

「そう、じゃあそのロトムを捕まえて一件落着ってことかな!」

「はい。もう大丈夫だと思います。」

 

フィランの報告を聞き、ナタネは胸をなで下ろす。

 

…本当の原因が解明されたのか、定かではない。

だがフィランはもう解決されたものだと疑わないし、当のロトムもイタズラをしていた自覚はあるようで証言は合致してしまう。

 

真実を知るのはポッタイシのみか。そのポッタイシも、もうあの場所には行きたくないので多くは語らないことだろう。

 

「じゃあ、私たちはこれで。」

「うん!ありがとうね!!」

 

 

・・・

・・

 

ハクタイシティで一晩過ごし、翌朝から次の町に向かって移動していた。

 

 

206番道路、207番道路を抜けてたどり着いたのはテンガン山。

シロナに拾われた、ある意味始まりの場所。

 

「うーん。」

 

とはいえ、相変わらず見覚えのある場所ではない。

 

「ここで倒れてたとはいえ目を覚ましたのはここじゃないし…

まあ何も見覚え無くても…うーん。」

 

誰に言うでも無く呟く。

 

「そのうち何か思い出したらそれはそれで…思い出さなくても何とかなるでしょ!」

 

そんな独白をしながらテンガン山の洞窟の出口にたどり着く。

次の目的地、ヨスガシティへの道順的にはテンガン山はちょこっと通るだけなのであっという間に通過してしまう。

 

そのまま208番道路も通過してヨスガシティへ入る。

 

「付いたね。ちょっと休憩しようか。」

 

・・・

・・

 

「困ったな。ジムリーダーいないなんてことあるんだね…」

 

ヨスガジムの前でフィランは一人、言葉を漏らした。

 

ヨスガシティにたどり着き、休憩もそこそこにジムに挑戦しに来たフィラン達。

だが、ジムのスタッフよりジムリーダーが不在で現在挑戦できないことを知らされる。

 

「今日は戻らないらしいし、待ってても時間もったいないしなあ…」

 

今目の前にある選択肢は二つだ。

一つはジムリーダーのメリッサがこの町に戻ってくるまでこの町に滞在する。

もう一つは先に進んでしまい、後からヨスガジムに挑戦する。

 

「まあ後から戻ってくるほうがいいかな…」

 

とりあえず今は先に進むことにした。

 

「ん、あれ…なんだろ?」

 

そうしてヨスガシティを後にしようとしたとき、フィランの目にあるものが移った。

 

 

 

 

 

「ポフィン料理ハウス。そんなのあるんですね。」

「はい!こちらではきのみを料理してポフィンを作ることができるんです!」

 

ポフィンとは今ここのスタッフが言った通り木の実から作られるポケモン向けのお菓子だ。

それをここでは調理することができるそうで。

 

(みんなに作ってあげるのもいいかも…)

そう考えたフィランはせっかくなのでポフィン作りを体験していくことにしたのだった。

 

 

「できた…!」

 

木の実が入った生地がこげないように、鍋をかき混ぜること数分。

段々鍋の中身が固まっていき、ポフィンが完成した。

 

「よーし…」

 

フェローチェ達を全員ボールから出し、ポフィンを手渡す。

 

フカマルなんかは喜んで勢いよく食べている。

ポッタイシもロトムも嬉しそうだ。

 

「おいしい?」

 

自分の横に入りフェローチェに問いかける。

フェローチェは小さく首を縦に振った。

 

その表情は、傍から見れば普段と変わらないように見えるが、フィランにはちゃんと喜んでいるように見えた。

 

「よかった。また機会あったら作るね。」

 

みんなが喜んでくれるなら作り甲斐がありそうだ。

 

 

 

 

楽しい時間を過ごしたフィラン達はポフィン料理ハウスを後にし、次の町へと向かうことにしたのだった。

 

 

・・・

・・

 

「さすがに疲れた…」

 

209番道路からズイタウン、210番道路、215番道路を突破しトバリシティへ入る。

 

通過しただけのヨスガシティも含めるとかなりの距離を移動した。それに加えて通過してきた道路は沢山のトレーナーが集まっており、かなりの数の戦闘をこなしながらの移動となった。

 

日も暮れてきているし、フィランもポケモン達も疲労が溜まっている。

 

「ジムは明日にしよっか…今日は休もう…」

 

そんなわけで今日は早めに休むことにした。

 

 

 

 

 

 

「へぇ…色んなものがあるんだね…」

 

少し休憩した後、まだ時間があったフィラン達はトバリデパートに来ていた。

特に何を買うわけでも無いがせっかくなので覗いてみようと思ったわけだ。

 

すると、

「フューウ!」

「ん?どうしたの?ロトム。」

 

ロトムが勝手にボールから出てきてしまった。

 

「あっ!ダメだよロトム!」

 

なんとロトムは家電売り場の扇風機に勝手に入り込んでしまったのだ。

 

 

 

「ご迷惑をおかけしました…」

 

何とかロトムを家電から引き離し、デパートのスタッフにお詫びをする。

因みにロトムが入り込んだ扇風機は責任を持って買い取った。

 

「ロトム。お店の物にはイタズラしちゃだめだよ。」

「フュウ!」

 

宿に着いたフィランはロトムに言い聞かせていた。

だが、当のロトムは聞いているのかいないのか。

またしても扇風機に入り込んでしまった。

 

「もう…」

 

扇風機ごとロトムをボールに戻したフィランは、ある人物に電話をしていた。

 

「なるほど。フォルムチェンジでタイプも変わると。」

『そういうことだ。確認されてる限りではほのお、くさ、みず、こおり、ひこうのそれぞれのタイプとでんきタイプを持った姿に変わることが確認されている。』

「勉強になりました!夜分遅くにすいませんでした!」

『いや、構わないさ。これからも頑張ってくれたまえ。』

「はい!ありがとうございます。」

 

電話の相手はナナカマドだ。

ロトムの姿が変わったことについて、ポケモンの進化についての権威であるナナカマド博士なら何か知っているのではないかと思い、電話したのだった。

 

答えはフォルムチェンジという、一部のポケモンのみが持つ姿が変わる能力だった。

進化とは別の現象だったがさすがはナナカマド博士、ロトムのフォルムチェンジについて事細かに教えてくれた。

 

(つまり今のロトムはひこうタイプを持ってるってことか…)

これは明日のトバリジムで大きな戦力となるだろう。

 

「ロトム!次はよろしくね!」

「フュウ?」

 

ロトムはいまいちわかってないようだが…次のジムではこのロトムが戦闘のメインとなるだろう。

 

 

 

翌日、フィラン達は当然トバリジムに来ていた。

トバリジムは道場のような作りの建物にレールにで動く壁のような物が配置されている。

 

 

「ガバイト!ダブルチョップ!」

 

「くっ!ゴーリキー…!」

 

 

武道家のようないでたちのトレーナーのゴーリキーを撃破する。

 

このガバイトはトバリシティに来る前の道路でのトレーナーたちと連戦していたなかでフカマルから進化した。

丸っこい愛らしいフォルムから、キリっとした顔つきの、よりドラゴンらしいフォルムに進化し、ダブルチョップという新しい技も習得した。

 

生まれたばかりの頃から考えるとずいぶんと頼もしくなったな。なんて考えながらジムのギミックを攻略していく。

 

 

「俺たち空手四兄弟!愛の拳をお見舞いしてやるぜ!」

 

ジムリーダーの手前、最後のトレーナーとのバトルが始まる。

 

「行け!ゴーリキー!」

「ロトム。行くよ…!」

 

ジムリーダーとの闘いの前にロトムの調子を確認しておこう。

 

「ロトム、エアスラッシュ!」

「ゴーリキー!かわしてローキックだ!」

 

ロトムが放った風の刃はぎりぎりのところでゴーリキーに回避されてしまった。

その隙に接近してきたゴーリキーのローキックがロトムに命中する。

 

幸い、ひこうタイプとなっているロトムにかくとう技は大したダメージでは無い。

 

「なら、ロトム。でんじは!」

 

ローキックの衝撃で少し技の出が遅れはしたが、今度はしっかりと命中した。

ロトムの電流によりゴーリキーは麻痺してしまった。

 

「なに!?ゴーリキー再びローキックだ!」

 

相手はゴーリキーに指示を出すがしびれていて動けない様子だ。

 

「今だ!もう一回エアスラッシュ!」

 

今度こそ風の刃がゴーリキーに直撃する。

 

効果抜群のひこう技を受けたゴーリキーにもう闘う力は残っておらず、そのまま地に伏した。

 

「よし。お疲れ様。」

 

相手は続いてゴーリキー2度を繰り出したが今度はエアスラッシュが初めから命中し、難なく勝利を収めた。

 

 

「ちょっと回復しておこうね。」

ロトムにキズぐすりを使い、ロトムを万全の状態にする。

 

そして、ジムリーダー、スモモと対峙した。

 

 

「初めまして。よろしくお願いします。

あたし、ジムリーダーのスモモって言います。どうしてジムリーダーになれたのか、強いってどういうことか、自分でよくわかってないんですけど、ジムリーダーとしてあたしなりに真剣に頑張るのでどこかからでもかかってきてください!」

 

「フィランです。よろしくお願いします。」

 

「アサナン!」

「ロトム!行って!」

 

フィランのロトムに対してスモモはアサナンを繰り出した。

 

「ロトム、エアスラッシュ」

「アサナン。みきりです!」

 

ロトムの放つ風の刃を見切ってかわすアサナン。

 

「なるほど、でも攻めなきゃ勝てませんよ!

ロトム、続けてエアスラッシュを撃って!」

 

二度目の攻撃はかわせなかったのか、アサナンはエアスラッシュをもろに食らい倒れる。

 

「あなたの言う通りです。では次はこちら攻めに回らせていただきます!」

 

そう言いながらスモモは2匹目のポケモン、ルカリオを繰り出した。

 

(ルカリオ!なるほど、かくとうタイプの弱点をはがねタイプでカバーしている。

ガバイトに交代してもいいけど、隙ができてしまう。)

 

「ルカリオ!はどうだん!」

「ロトム!でんじは!!」

ロトムのでんじはとルカリオのはどうだんが交差する。

お互いの攻撃をお互いに受け、ロトムは僅かなダメージを負い、ルカリオは麻痺する。

 

(よし、とりあえず麻痺させえることはできた。ならば…)

 

「ロトム、エアスラッシュ!」

 

「ルカリオ!」

 

しかしルカリオは麻痺のせいで機敏に反応することが叶わず、エアスラッシュを食らってしまう。

 

「ルカリオ!はどうだんです!…ルカリオ!?」

スモモの指示に対し、ルカリオは動かない。

 

「まさか!?」

エアスラッシュは技を受けたポケモンを一定の確率でひるませることがある。

その一定の確率を引き当てたのだ。

 

「ロトム。続けてエアスラッシュ。」

 

二度目のエアスラッシュの前にルカリオは倒れた。

 

(まさかここでひるみを引くとは…いたずら好きな性格が幸いしたのかな。)

そんなことでひるまされた側は堪った物では無いが…

 

 

その後、スモモの3匹目であるゴーリキーもロトムが難なく突破しフィランの勝利で今回のバトルは幕を下ろした。

 

「…はい。あたしの負けです。

久しぶりに負けちゃいました。でも、色々と教わりました。

ですので、このジムバッジ、どうぞ受け取ってください!」

 

フィランはスモモから3つ目のバッジ、コボルバッジを受け取った。

 

「ありがとうございます。」

 

「それと、また私とバトルしてもらえませんか?

今度は()()()()()()が見てみたいです!」

 

「…!ぜひ!また闘いましょう!」

 

全力というのはフェローチェのことだろう。

スモモのかくとう使いとしての嗅覚だろうか、見せていない強力なかくとうポケモンの存在を察知したのか。

 

再戦を約束しフィランは次の目的地へと向かう。

 

 




というわけで8話でした。

プラチナではヨスガジムは3番目ですがDPでは5番目なんですよね。
今回はそちらを採用いたしました。
コンテストは特に書くことないのでスルーします。

ロトムはスピンロトムにフォルムチェンジ。
ポケモン世界のデパート、SMくらいまでは殺風景ですけど…
デパートなんだから扇風機くらいあるやろ(適当

そしていつの間にか進化していたフカマル改めガバイト。
ゴーリキーにチョップで対抗してもらいました。
早く逆鱗使えるようになるといいですね。

あの戦法とは「まひるみ」ですね。
本来は天の恵みをもつポケモンでやるものですが今回はたまたま3割引いたってことで。
因みにジムトレーナー戦のかわせ!はエアスラッシュの命中不安を描写しています。


それでは、また次回お会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。