IS学園に入学したジオン兵は2度目の空を飛ぶ   作:とあるP

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オペレーション012 タッグマッチトーナメント(後編)

ラウラと昴がバトルをして数日。相変わらずラウラは昴を見るたびに、睨み付けて来るがこちらから手を出さなければ襲ってこないので、基本的に野放しにしている。

 

そして、タッグマッチトーナメントを来週末に控えた時に、第二の事件が起きた。

 

深夜、昴はIS特訓を終えて自室で、消耗品の見直しや戦術パターンの見直しを行っている時自室のドアがけたたましく鳴りだした。

 

ドンドン、ドンドン

 

「誰だいこんな時間に…ちょっと待ってくれ」

 

昴はPCを閉じドアを開けると、ジャージ姿のシャルルと一夏が入って来た。どうやら相当焦っている様子であった。

 

「昴さん!助けてください!」

 

「…その前に、説明してもらおうか」

 

「はい…実はシャルルは…女の子だったんです」

 

「そうか」

 

「そうかって…驚かないんですか?」

 

「ある程度は予想していたからね。会っていた頃からおかしいと思ったんだ。世界に2人しかいない男性操縦者が出た途端に、ヨーロッパ地方の動きが活発になっていたからね」

 

「更に、欧州で始まった「欧州防衛計画(イグニッションプラン)」にフランスが躍起になっていてね。その関係で君もここに来たんだろ?」

 

「…」

 

「だんまりか…それで、僕に何か用かな?」

 

「そうだった!あの昴さん、シャルルのこと助けてください!」

 

「一夏、僕はシャルルに聞いているんだよ」

 

「うっ…すみません」

 

「では、改めて聞くけど、シャルル。君はどうしたい?」

 

「ボクは…ここで生活したい。皆と一緒に勉強や学校生活をしたい!」

 

「それは、例え祖国を裏切ってでもかい?」

 

「…う、うん」

 

僅かだがシャルルは返事をした。理由はどうあれシャルルは生きたいと言い出したのだ。それを聞いた昴は最大限の力を使って、彼女を助けようと思ったのであった。

 

「…わかったよ。僕も君を助ける」

 

「本当ですか昴さん!」

 

「もちろん。ただ今すぐには動けない。時期をみて君を女の子として、IS学園に通えるよう手配する。それまでは、普通に男性操縦者として生活するんだよ。いいね?」

 

「はい!ありがとうございます」

 

そう言って、シャルルと一夏は昴の部屋を出て行くのであった。そして、早速昴は彼女の会社である『デュノア社』について調べていくのであった。

 

翌日。彼女の会社について調べこんでいた昴は疲労がたまっていた。一夜漬けをするくらいの膨大な量のデータを捌いていたのであった。

 

(まさか、あそこまでブラックだったとわな…)

 

フラフラになりながらも、近くのベンチに座ってコーヒーを飲み一息ついた途端一気に眠気が襲って来た。

 

(ダメだ…少しだけ…仮眠を…)

 

仮眠を取ろうとした瞬間崩れ落ちていく様に眠ってしまった。その瞬間昴の頭は柔らかい物に包まれるのであった。

 

~箒side~

 

私はこの前の事を昴さんに聞きたくて学園内を探していた。すると、近くのベンチに座ってコーヒーを飲んでいる昴さんを見つけた。

 

だけど、様子がおかしい。今にもフラフラして倒れそうだった。そして、倒れる寸前で何とか助けることが出来た。

 

「!マズイ!」

 

何とか助けることは出来たが、膝に昴さんの頭が乗ってしまった。いわゆる膝枕の状態である。

 

「す、昴さん!?」

 

大声が出そうになったが、起こしてはマズイと思いギリギリの所で思いどどまった。

 

「ふぅ…良かった。それにしてもこの状態は酷い。ゆっくり休んでくださいね」

 

そう安心したのも束の間。私はある言葉で昴さんを問いただす事にした。

 

「…いつもありがとうな…シャーリー(・・・・・)…愛してる」

 

「!?」

 

シャーリー?誰だ?いつも一緒にいるのは、グリフィン先輩やベルベット先輩。それに最近はダリル先輩やフォルテ先輩といる事が多いけど…シャーリーと言う人は知らない。

 

これは、問いただす必要がありそうだ…

 

~箒side out~

 

自分が、膝枕をされている事に気付いて目を開けると、そこには頬を赤く染めている箒の顔があった。

 

「…う、ううん。あれ?ここは?」

 

「昴さん」

 

「ああ、箒か…どうしたんだい?」

 

「いえ、昴さんがフラフラで頭を打ちそうだったので、その…ひ、膝枕を///」

 

「そうだったのかい。ありがとう」

 

「いえ…ところで聞きたい事があるんですけど」

 

「なんだい」

 

「…シャーリーって誰ですか?」

 

「えっと…」

 

「もう一度言います。“シャーリー”って誰ですか?」

 

その言葉を言った瞬間目は笑ってはいるが、こめかみに青筋を浮かべている。俺は寝ている間に何か言った感じみたいだ。

 

だが、ここでの言葉選びがこの局面を乗り切る事になる。ここは、慎重にいこうと思う。

 

「ああ、シャーリーね。えっと……思い出した!姉の子供が飼っている猫の名前がシャーリーだったんだ」

 

「へぇ」

 

ゾクッ!

 

その瞬間俺の周りに身も毛も凍るくらいの(プレッシャー)が襲い掛かった。更に俺はとんでもないことを言っていたらしい。

 

「そうだったんですか…猫の名前ですか…」

 

「ああ、そうだよ」

 

「それじゃあその猫に“愛してる”何って言っているんですね。昴さんは…」

 

ドキ――ン!

 

何言ってたんだよ俺は~!猫なんかに愛してるって言ったら変態だろう!いや、妻なんだから別にいいじゃん。

 

けど、俺は転生者で前世のことなんて箒達には話していないんだよな…どうする…

 

そんな風に考えていると、向こう側からシャルル(救世主)が現れた。どうやら今後の事で相談して来てくれた。

 

「昴~!」

 

「お!シャルル!」

 

「あれ箒さん?もしかして取り込み中だった?」

 

「ああちょっと「大丈夫だ!終わったところだよ」昴さん!?」

 

「そう、なら良かった。ちょっと教えて欲しい事があってね。少しだけ昴を借りるけどいいかな?」

 

「ああ、いいとも。さぁ行こうかシャルル」

 

そう言って、俺は箒の恨めしい視線を受けならがシャルルと今後の事で打ち合わせを行うのであった。

 

 

 

深夜。昴はある所にTV電話をかけていた。出て来た男は独自の軍服に赤いスカーフを着けたものを常用していることからも、その気質がジオン軍に数多い武人よりは文人的であることがうかがわれる。また彼の周りには美しい陶器が置いていた。

 

「お久しぶりです。マ・クベ大佐」

 

『久しいなスバル少佐』

 

マ・クベ大佐。かつてジオン軍の地球侵攻作戦では資源採掘地帯オデッサの基地司令となり、資源採掘・輸送、基地防衛などを統轄していた。

 

「ウラガン中尉もお久しぶりです」

 

『こちらこそ「漆黒の死神」の異名を持つスバル少佐にお会いできるのを楽しみにしておりました』

 

「よしてください。あの大戦は当の昔に終わっているんです。今は一介の高校生にしかすぎませんよ」

 

『それでもなお語り継がれている伝説なのです』

 

「アハハ…照れてしまうな」

 

『う、ううん!お楽しみの所悪いがそろそろ本題に入ってもらえないかな』

 

「あ、失礼いたしました。電話をした件は例の事です」

 

『ああ、フランスのデュノア社からあの娘を助け出す事だろ』

 

「はい。現在ランバ・ラル大尉が部隊を集結させ、デュノア社へ向かっているそうです。大佐にはそのサポートを行って貰いたく、ご助力をお願いいたします」

 

『なんだ、そんな事か……わかった。直ちに補給部隊の手配を行う』

 

「ありがとうございます!」

 

『なに、キシリア閣下の弟君であるドズル閣下の部隊だ。助けないわけない。大戦中であったら約束は出来んからな。しかし、今は何からと物騒な世の中だからな』

 

「と言いますと?」

 

『『ジオンの亡霊』が、世界各地でテロ行為を行っている。それに便乗して虐殺や略奪、果ては世界大戦につながりかねない出来事が各地で起こっている』

 

「…」

 

『そんな事をしてみろ。この地球はまた腐ってしまう。私はそんな事が嫌いでね。ランバ・ラルには、一刻も早く事態の鎮静化を図ってもらうんだよ』

 

「それと、今回の作戦にどのような関係が?」

 

『今回の件が済み次第、次の仕事を行ってもらう。だから、私は賛成したのだよ』

 

「…」

 

『誤解してもらうようで悪いがこれは、彼らが言い出したことだ』

 

「えっ?」

 

『彼らは生粋の戦争屋だ。戦が無ければ飯が食えない。それと同じだ』

 

「…」

 

『だがなスバル少佐。君はどうする?』

 

「私、ですか…」

 

『そうだ。いずれ君にも参加してもらう時が来る』

 

「…」

 

『…今すぐに参加しろとは言わない。時が来た時に覚悟だけはしとくのだな』

 

「大佐…」

 

『では、補給物資の件は予定通りに進める。君も君自身が出来る事を進めるのだぞ。ではな』

 

そう言って、マ・クベはTV電話を切ったのであった。昴はマ・クベが言った“いずれ君にも参加してもらう時が来る”の言葉が頭から離れなかった。

 

次の日。昴は一夏とシャルルを連れて、屋上に来ていた。幸いにも、3人ここにはしかおらず他の人の姿は見えなかった。

 

そして、昴はマ・クベ大佐とのやり取りを2人にも話しておいた。

 

「それで、例の件だが。手筈通り動いているよ」

 

「本当ですか!」

 

「ああ、知り合いに頼んでいるからいい返事を待っていてね」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「それで昴さん。シャルルの会社を具体的にどうするんですか?」

 

「ああ、先ずはデュノア社の株を50%以上買い取って経営権を掌握する。そして、現体制を一掃させて

新体制を構築する。その中には、汚職に関わった者やシャルルを亡き者にしようとした奴らは当然排除する」

 

「…」

 

「なに、殺そうというわけではない。社会的に抹殺するだけさ」

 

「昴さんが言うと、本物っぽい感じがするんですよね…」

 

「アハハ。それより、君たちは来週のタッグマッチトーナメントの練習はしなくていいのかい?」

 

「ちょうどこの話しが終わったら一夏と一緒に行こうと思っていたんです」

 

「そうかい。なら、話しは終わりだ。練習に行くといい」

 

「ありがとうございます。それじゃあ、行こうか一夏」

 

「オウ!昴さんありがとうございました」

 

そう言って、一夏とシャルルは屋上を後にした。昴もタッグマッチトーナメントのペアを探す為に学園内に行くのであった。

 

先日の事件でセシリアと鈴は出場が出来ない。ラウラは昴相性が悪くペアになれない。箒も同室の静寐と一緒に出ると言い出した。

 

何でも「優勝したら昴さんに話しがある」と言い出してきた。これには昴も苦笑いするしかなかった。

 

そんな風に思っていると以外な人物からオファーがあった。その人は以前ISの歩行訓練で一緒になった子だった。

 

「…あの~皆川さん。ちょっといいかな?」

 

「あれ?君は確か如月キサラさんだよね」

 

そう、その人はセシリアの同室の如月キサラだった。青色の髪の毛を腰まで長くしており、前髪は目を覆い隠している。

 

身長は昴よりも低く、クラスの中では一番低い方だろう。それに可愛い声も相まってクラスでは妹扱いされている。本人はまんざらでもない様子だった。

 

そんな彼女であるが、出るところは出ておりロリ巨乳というところが似合っている。

 

昴はそんな引っ込み事案の彼女が勇気を出して、話しかけてきたんだ。これは相談に乗っておいた方がいいだろうと思うのであった。

 

「それで、相談って何かな?」

 

「えっと…」

 

よくよく見ると柱の影からクラスメイト達が「頑張れ!」や「いけー」などを言っている。そして、キサラは勇気を出して昴に頼み込んでくるのであった。

 

「あ、あの…その…」

 

「大丈夫ですよ。ちゃんと聞いていますから」

 

「はい。その…み、皆川君でよければ…その…わ、私と一緒に…た、タッグマッチトーナメント出てくれませんか!」

 

「え?」

 

「その…私、今の自分を変えたいの…引っ込みがちな所を変えたいの…だから、その…」

 

「そうですか…わかりました」

 

「え?いいの?」

 

「はい。実は僕もパートナーを探していたところなんです」

 

「それじゃあ!」

 

「はい。よろしくお願いしますね如月さん」

 

「…キサラ」

 

「え?」

 

「…私の事はキサラって呼んでください」

 

「それじゃあ、僕の事も昴で大丈夫ですよ」

 

「…うん///」

 

その瞬間柱の影に隠れていたクラスメイト達は(よっしゃー!)と喜んでいたそうな…

 

そこから1週間みっちり訓練を行った。キサラには酷だと思ったが、グリ達にも参加してもらって着実にレベルアップを図った。

 

そして、タッグマッチトーナメント当日。昴とキサラはトーナメント表を見て苦笑いをしていた。

 

「これは…また厳しいね」

 

「…あわわわ」

 

Aグループ

皆川昴&如月キサラ VS ラウラボーデヴィッヒ&布仏本音

 

これを見たラウラはニヤリと笑っており、隣にいた本音は別の意味に捉えていた

 

「ようやく。ようやく、皆川昴と戦えるぞ!」

 

「何だか嬉しそうだね」

 

「ああ、これでこの前のかりを返せる」

 

そう言って、ラウラと本音はアリーナ内の昴達と反対側のピットに向かうのであった。

 

「気負う必要はないよキサラ。これまで、一緒に頑張って来たじゃないか」

 

「…でもこれで負けたら」

 

「わかった。それなら約束しよう」

 

「…約束?」

 

「ああ、君は僕が絶対に守って見せる。だから、一緒に頑張ろう」

 

「…昴さん///わ、わかりました」

 

「うん。それじゃあ、行こうか」

 

「…はい!」

 

そうやってキサラを鼓舞してアリーナ内のピットへ向かうのであった。

 

試合開始10分前。両者が所定の位置に付いた。昴は【サザビー】。ラウラは【シュバルツァー・レーゲン】。本音とキサラは【ラファール・リバイブ】。

 

「フン、臆することなく来たようだな」

 

「まぁね。そっちも逃げずに来れたもんだね」

 

「黙れ!!私は何が何でも勝たねばならんのだ!」

 

「…随分と訳ありのようだが、何があったんだ」

 

「うるさい!うるさい!お前には関係ない!…私が叩き潰す!行くぞ!」

 

「わかった…如何やら話しで解決は出来そうにないな…来い!」

 

試合開始のブザーが鳴る前にラウラが突っ込んできた。それに、昴は素早く反応し、1回戦の火蓋が切って落とされた。

 

 

先ずはラウラと昴を一対一に持ち込むべく、キサラは本音と戦っていた。

 

「…どうして本音さんがここに?」

 

「えっとね。ラウリーから組んで欲しいって言われたから、組んだんだ!」

 

「…そうですか。なら、全力で止めます!」

 

「うん!頑張るよ~!」

 

一方ラウラと昴も激しい戦闘を行っていた。特に大型のレールカノンを受けないように、攻撃をするのは至難の業であった。

 

そこにラウラに焦りの表情が見え始めた。ここまで大したダメージを与えることが出来ず、昴にいいようにされている。このままでは、ジリ貧になってしまう。

 

その瞬間を昴は見逃していなかった。ビームサーベルを薙ぎ払いレールカノンを破壊した。そして、これでもかって言うくらいボディブローを喰らわせるのであった。

 

「せい!」

 

「なに!」

 

「こなくそ!!」

 

「グハ!」

 

ラウラは薄れゆく意識の中ある声が聞こえてきた…

 

(私は、遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)として生み出された。強さこそが全ての中でISが現れたことにより私を取り巻く環境は一気に変わった)

 

(欠陥品と呼ばれ、それまでの地位や名声はガタ落ちした。ドイツ軍にいた時は特殊部隊「黒ウサギ隊」の隊長を務めた。副官のクラリッサを始め多くの仲間に恵まれていた。そして、日本に赴きかつての教官である織斑千冬に出会った)

 

(しかし、あの方はIS学園の教師と言う、充実している毎日を過ごしていた。我々はいつ解散させられ処分されるかもわからない日々を送っていたのに…)

 

(だから、もう一度ドイツで教鞭を振るって貰う日々を、そして共に過ごせる日々を望んでいた…)

 

(しかし、今ここで負けてしまったら、嫌だ…嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!だから、私は…力が欲しい!全てを凌駕する力が…!)

 

“力が欲しいか”

 

(なに…)

 

“願うか?汝、より強い力を欲するか”

 

(寄こせ力を!比類なき最強ヲヲヲヲヲヲ!)

 

昴がこのまま決めると思った瞬間、ラウラの周りから黒い稲妻が走り【シュバルツァー・レーゲン】がドロドロに溶け始めた。

 

「うぁぁぁぁぁぁ!」

 

「どうした!?」

 

「た、たすけ…て」

 

「ボーデヴィッヒさん!」

 

「ラウリー!?」

 

「ラウラ!」

 

そして、徐々にある形に形成されていく。それを見た昴はあの日のトラウマが蘇って来た…

 

「そんな…噓だろ…なんで…なんで奴がここに!?」

 

「連邦の白い悪魔!ガンダム!」

 

「…す、昴さん?」

 

「どうしたのすばるん?」

 

そこには、【シュバルツェア・レーゲン】のパーソナルカラーである黒ではなく、赤、青、白のトリコロールで形成された、「ガンダム」がそこに居た。

 

ラウラの偽ガンダムは、昴めがけて一直線に突っ込んできた。直ぐさまシールドでガードしたが、地面がえぐられる程のパワーを持っていた。

 

昴は本音とキサラに、ここから出て行くように言い出した。

 

「っぐ!強い!」

 

「…」

 

「布仏さん!キサラ!直ぐに逃げろ!君達が敵うような相手じゃない!」

 

「…で、でも「良いから早く!」…わ、わかった」

 

「すばるん…無理しないで!」

 

挿入歌

【機動戦士ガンダム 哀戦士】

 

そう言って、本音とキサラはアリーナの外に逃げだした。それを見た昴は偽ガンダムから距離を取った。すると、偽ガンダムはビームライフル射撃で応戦して来たのだった。

 

「さて、これで思いっ切り出来る。けど、あの中にはラウラが居るんだ…どうすればいい…」

 

「…」

 

「オイ!聞こえてるんだろラウラ!返事をしろ!」

 

「…」

 

「…だんまりか。それじゃあ、実力で取り返す!」

 

バシューン

 

「うぉ!撃ってきやがったな。なら、これでどうだ!」

 

昴は偽ガンダムのビームライフルの軌道を先読みし、相殺させて無力化を図るのであった。すると、ガンダムの動きが一瞬止まった。

 

そこから、ラウラの悲痛な叫びが聞こえて来たのであった。

 

「そこだ!」バシュン!

 

「もういっちょ!」バシュン!

 

「っち!これじゃ先にこっちがSE切れを起こすぞ…どうすればいい…うん?」

 

「み、皆川昴…頼みがる…」

 

「ラウラ!」

 

「…してくれ」

 

「なんだって?」

 

「た、頼む…私を…殺して…くれ…」

 

「バカ野郎!!出来るかそんなこと!」

 

「頼む…出来損ない…私には…生きていく…意味なんか…」

 

「意味なんかねぇ何て言うな!俺はなぁそんな風に思っているのが一番嫌いなんだ!」

 

「…皆川…」

 

「待ってろ!絶対に助けてやるからな!」

 

「皆川…ああああ!」

 

それだけ言うと、ラウラは再びガンダムに取り込まれて行った。昴は考えた。どうすれば無傷でラウラを助け出せるか。

 

サザビーはSE切れまじか。ビーム・ショット・ライフルも数発しか撃てない。万事休すかとそんな風に思っていると、スバルにある人の声が聞こえてきた。

 

(お困りのようだねスバル少佐)

 

シャア大佐!どうしたんですかこんな時に?

 

(なに、後輩の力になろうと思っていてね)

 

そうですか大佐。しかし、俺はどうすればいいのか…

 

(最初っから諦めていてはダメだぞスバル少佐。今目の前にいる人をどうしたいのだ?)

 

…助けたい。例え以前敵同士であったけど、今は大事なクラスメイトです

 

(それなら、その思いをこの【サザビー】にぶつけてみたまえ。さすれば自ずと力になるであろう)

 

大佐…わかりました。

 

(それと、大事な事を言い忘れていた。もう少しで【サザビー】のエネルギーが切れる。チャンスは一度だけだ)

 

はい!大佐!

 

 

そう言って、シャア大佐の声は聞こえなくなった。昴は目の前にいるガンダムを見て、ラウラを助けるために攻撃した。

 

「お前には戦前の恨みがあるが、今は置いておく。だから…ラウラを返せーー!」

 

すると、【サザビー】のディスプレイに「ファンネル使用可能」のアイコンが出て来たので、昴は迷わずタップした。

 

「ファンネル…俺に力をくれ!」

 

すると、6個のファンネルがバラバラに動き出して、ガンダムを押していた。そして、昴は【サザビー】のブーストを蒸かし、ビーム・トマホークで胸の部分をXに切った。

 

「ウォォォォォォ!」

 

「…」

 

「これ終わりだー!」ザン!

 

すると、コクピット部分が開かれ偽ガンダム内に横たわっているラウラを発見したのであった。

 

「ラウラー!」

 

「皆川…」

 

「捕まれ!」

 

「…嫌だ」

 

「どうしてだ!?」

 

「…どうせ私は嫌われ者だ。お前にまで危害を加えた」

 

「確かにな…まぁあの時は、お互い事情があったからな」

 

「だから…私は…いない方がいいんだ…」

 

「はぁ~いいか!誰が居なくていいって言った?」

 

「え?」

 

「少なくとも、俺はそう思っていないぞ」

 

「…」

 

「俺だけじゃない。箒やセシリア、鈴やシャルル。それに本音とキサラも…誰も、ラウラを要らないとは思っていないぞ」

 

「…それは、皆川昴。お前もか?」

 

「ああ、そうだな。俺も居なくていいとは思っていないぞ」

 

「…そうか」

 

「だから、来い!ラウラ!お前の知らない世界を教えてやる」

 

「…ああ、いいだろう」

 

偽ガンダムの切り口からラウラを引き出し、見事にキャッチするとガンダムはドロドロに溶けだし、姿を消した。

 

「じゃあなガンダム…」

 

こうして、大波乱のタッグマッチトーナメント1回戦は昴&キサラペアの勝利で幕を閉じたのであった。

 

第二回戦以降はラウラの暴走により中止となった。これにより箒の夢は儚くも散ってしまったのであった。

 

IS学園は直ぐさまドイツ政府に対して査問委員会を開き、VTシステムの調査を着手した。しかし、肝心の研究施設及び関係者の居所までは、掴むことが出来なかった。

 

放課後。IS学園の保健室には全身筋肉痛のラウラが横たわっていた。目が覚めるとそこには、パイプ椅子に座っていた織斑先生がいた。

 

「うっ!ここは?」

 

「目が覚めたか…ここは、保健室だ」

 

「教官!痛っ!」

 

「無理をするな」

 

「…はい。それで教官、私は一体」

 

「本来であれば、他言無用になるのであるがな、仕方ない」

 

そう言って、千冬は姿勢を正し事の出来事を話し始めた。

 

「“VTシステム”を知っているな」

 

「…ええ、搭乗者の身体能力を極限状態まで高める機能です。現在あらゆる企業・国家での開発が禁止されています…まさか!」

 

「そうだ、お前のIS【シュバルツェア・レーゲン】にそのVTシステムが組み込まれていた。恐らく搭乗者の欲求、この場合勝利という欲がトリガーとなり発動したのであろう」

 

「…そうですか」

 

「理由はどうあれ、近々ドイツ政府にIS委員会からの視察が入るだろう。最も、捕らえられたところで何も出ないと思うがな」

 

「それでは、シュヴァルツェ・ハーゼはどうなりますか!」

 

「安心しろ、シュヴァルツェ・ハーゼは今回の件に関しては無関係であるから、解散されることはないだろう」

 

「よかった」

 

「話しは以上だ」

 

「教官!」

 

「何だ?」

 

「…ありがとうございます。私は貴女の様な人になりたかった。でも…」

 

その問いに千冬はアドバイスをするのであった。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」

 

「は、はい!」

 

「お前は誰だ」

 

「はい?」

 

「お前は、誰でもない。お前はお前自身だ。それと、皆川は強いぞ。私の何倍もな」

 

そう言って、千冬は病室を出て行った。そして、ラウラはひとしきり笑ったという。

 

昴は自室で今日の結果を反省していた。恐れていた事が現実味を帯びて来たことに対して危機感を募らせていた。

 

「まさか、あそこでガンダムが出てくるとは…これはいよいよマ・クベ大佐の部隊に参加しなくちゃいけない感じかな」

 

そう思ていると、自室のPCにあるメールが飛んできた。それに添付されている動画を見ると、そこには、『ジオンの亡霊』が流れてきた。

 

「うん?何だこのメッセージは」

 

『久しぶりだな。スバル・ミナガワ少佐』

 

「貴様は…『ジオンの亡霊』か」

 

『如何にも私は『ジオンの亡霊』の創設者だ』

 

「どうして、俺の名前を知っている」

 

『フフフ、君の名前だけじゃない。戦前から現在に至るまで、君の事については全て知っているよ』

 

「…貴様!」

 

『それで、どうったかね?私からのプレゼントは』

 

「プレゼント…って!まさか!」

 

『そうだ。ドイツ代表候補生ラウラボーデヴィッヒのIS【シュバルツェア・レーゲン】にVTシステムを仕組んだのは…この私だ』

 

「っへ!悪趣味だぜ。まさか、ガンダムを創ってしまうなんてよ」

 

『君がジオン時代からガンダムを憎んでいたのは知っていたからね…さて、ここからが本題だ』

 

「本題だと?」

 

『ああ、我々が行っているテロ活動に是非とも参加してほしい』

 

「…」

 

『君も知っての通り今の世界は混沌としておる。ISの台頭により、女尊男卑の世界が当たり前となっている。そんな世の中を我々の手で正して行きたいと思わないか!』

 

「…確かにそうだな。しかし、俺は別の方法で変えていく。そんなテロ組織に与するような輩と組みたいと思わない」

 

『…』

 

「それにな…この世界で大事な人達にも出会えたからな」

 

『フフフ…アーハハハハハ!それが君の答えと言う訳だな!スバル・ミナガワ!』

 

「ああ、そうだ」

 

『いいだろう。貴様の戯言で何処まで行くのか見ようではないか』

 

「…」

 

『ではな…忘れるではないぞ。それと一つだけ情報をやろう』

 

「…なに?」

 

『近々我々はある作戦を行う予定だ』

 

「なんだと!」

 

『スバル・ミナガワ少佐。貴様にこれを止めることが出来るかな…では、さらばだ。ジークジオン!』

 

そう言って、『ジオンの亡霊』の映像は映らなくなった。昴は真っ暗なPC画面を見るしかなかった…

 

タッグマッチトーナメントが終わって数日後。マ・クベ大佐からデュノア社件が片付いたと連絡が入ったので、今日からシャルルは女の子として、通うことが出来る。

 

そんな風に思っていると、教室のドアが開かれた。そこに現れたのは、ゲッソリとしている山田先生だった。

 

その原因について俺は知っているので、あえて言わないようにしていた。

 

「えっと…今日は皆さんに、大切なお知らせがあります」

 

「え~どうしたのやまやま?」

 

「はい…皆さんに新しい人?を紹介します…どうぞ」

 

「はい。シャルル・デュノア改めて、シャルロット・デュノアです!皆さんよろしくお願いしますね」

 

そこには、男性操縦者の制服でいたシャルルではなく、ミニスカートにショートカットの女の子としてのシャルロットがいた。

 

実は、こうなる前(女の子になる前)にシャルルから本当の名前である「シャルロットって呼んで欲しい」と懇願されたので、俺と一夏は知っていたのだ。

 

そんな事をしている時ある女子からのタレコミで事態は一転したのだった。

 

「え!シャルル君ってシャルロットちゃんだったの!?」

 

「うそー全然気付かなかったよ…ってか、あれ?」

 

「どうしたの?」

 

「そう言えば昨日って、男湯の解禁日だったような…」

 

「あ!そう言えばそうだった!…てことは…まさか!」

 

女子達からの疑いの目が俺と一夏。そして、シャルロットに刺さった。

 

「あ~そうだったね。だけど、僕はその日は部屋にあるシャワーを使っていたから、大浴場に入っていないよ」

 

「そう言えば、昴は来てなかったな」

 

「じゃあ!もしかして織斑君とシャルロットちゃんって…」

 

「ち、違うよね一夏///!」

 

「そ、そうだぞ!俺は一緒に入った(・・・・・・)なんてことないぞ!」

 

一夏がそういった瞬間、教室中が凍り付いた。今コイツはとんでもない事を言ってしまったようだ。そして、その影響は1組ならず2組までの波及してしまった。

 

「一夏ーー!」

 

「げっ!鈴!」

 

そこには、【甲龍】を展開して激情している鈴がドアを破壊してなだれ込んできた。流石に刃傷沙汰になる前に止めようとした俺だったが、それは希有に終わった。

 

何とラウラが【シュバルツェア・レーゲン】を展開して、一夏を守って来たのだ。

 

そして、先日の事について謝罪をしてきたのだった。

 

「死ねーー!」

 

ガッキン!

 

「え!ぼ、ボーデヴィッヒさん?」

 

「織斑一夏…無事で何よりだ。きょ…織斑先生。少しだけ時間を貰えますか?」

 

「あ、ああ、構わんぞ」

 

「ありがとうございます。皆…この前はすまなかった」

 

そう言って、ラウラが頭を下げた。人一倍プライドが高い彼女が頭を下げる姿を見て俺は、拍手をするのであった。

 

パチパチパチ

 

「ボーデヴィッヒさんはこの通り謝っている。それでいいじゃないか」

 

「…まぁ皆川君が言うならいいかな」

 

そして、ラウラは鈴とセシリアにも同様に謝罪をするのであった。

 

「凰 鈴音。セシリア・オルコット。すまなかった」

 

「まぁ、アンタが謝ってきたから許してやらないわけじゃないわ…今度は正々堂々と勝負しなさいよね」

 

「私も既に怒っていませんわ。けれど、今度は負けませんわよ」

 

「ああ、望むところだ」

 

2人と話し終わったラウラは俺のことへやって来た。そして、とんでもない事をして来た。

 

「上手くいったみたいだな」

 

「ああ、感謝する、皆川昴」

 

「これからもよろしくな。ラウラ・ボーデヴィッヒさん」

 

「私の事はラウラでいい。それと…」

 

「うん?…ん!」

 

「んっちゅ…お前を私の嫁にする!異論は認めん!」

 

なんと、握手をするかと思っていたラウラだったが、キスをしてきたのだった。そして、クラスメイト達が見守る中で嫁宣言をしてくる始末であった。

 

流石に黙っている事が出来なかった、箒とセシリアが食って掛かって来た。

 

『んな!そんな事認めん(ませんわ)!』

 

「なんだと?日本では、気に入った相手を『オレの嫁』とする風習があると、部下から聞いたのが間違っていたのか?」

 

『そんな風習あるわけないだろう!』

 

俺、箒、セシリアの声が重なり合い、クラス中に響き渡るのであった。

 

なお、千冬さんは頭を抱えてた…

 




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スバルの正体を明かす人

  • セシリア
  • ラウラ
  • グリフィン・レッドラム
  • ベルベット・ヘル
  • 織斑千冬
  • 山田真耶
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