ラウラからの嫁宣言を受けて翌日の朝。昴の部屋の前には、グリ達が待機していた。理由はもちろん昴の寝こみに襲い掛かるためである。
ただでさえ最近構ってもらっておらず、終いには「俺の嫁!」宣言をして来たラウラの存在が危惧していた。
「…ねぇ本当に昴の所に行くの?」
「当たり前だよ!ただでさえ箒ちゃんやセシリアちゃんと言う強力な
「そんなものかしらね…」
「それじゃあベルはぽっと出の子に昴が取られてもいいの?」
「………やだ」
「でしょ!だから、お姉さんが確かめないと!」
そう言って、グリは昴の部屋にあるドアを開けた。そこには…
「昴~!おは…よう?」
部屋に入ったグリは昴が居るかと思っていたが、そこはもぬけの殻だった。しかし、ベッドが盛り上がっているの見たグリとベルは忍び足でベットに近づき、一気に剝がすと…
「も~昴ってお寝坊さんなのね…ほら、起きなさいー!」
「zzz…」
『え?』
そこに居たのは何故か全裸になって寝ているラウラだった。たまらずグリはラウラを叩き起こし、事情を聞くのであった。
「え、ちょちょっと!どうしてこの子がここ居るのよ!?てか、なんで裸なの!こら、起きなさい!」
「う、う~ん…ここは…どうして嫁がいないのだ…」
「それは、こっちのセリフよ!その前に服を着なさいよ」
「夫婦とは包み隠さず過ごしていると部下から聞いたのでな。だから、こうしたのだ!」
「…絶対に間違っているなその知識」
「と言うか、貴女達は誰なの?もしかして、嫁の友達か?」
「もう、自分の嫁宣言している…まぁいいわ。アタシはグリフィン・レッドラム、ブラジル代表候補生よ!」
「…ベルベット・ヘル。ギリシャ代表候補生」
「ラウラ・ボーデヴィッヒ。ドイツ代表候補生だ」
お互いの自己紹介が済んで、ラウラがTシャツ(昴の)を着て現状報告をするのであった。
「それじゃあ、ラウラちゃんが部屋に入った時には既に昴は居なかったのね」
「ああ…全く、夫を置いて何処に行ったんだ」
「…そもそも、勝手に嫁宣言しないでくれる」
そんな風に思っていると、机に1通の手紙が残っていた。それを見て3人は驚愕するのであった。
「…これは手紙?」
「えっと何々…『織斑先生へ、この度私こと皆川昴は暫くの間
グリ、ベル、ラウラは暫くの間固まるしかなかった。
ところ変わってニューヤークの上空1000m。そこには、ガウ、ミデア編隊が押し寄せてきた。その中にはジオン共和国の士官服に身を包んだスバル・ミナガワの姿があった。彼の後ろには今回の作戦に参加する、数百人の部下たちの姿があった。
「諸君。今回の作戦に参加する事に感謝する。私はスバル・ミナガワだ。かつて『漆黒の死神スバル』でかの『一年戦争』に参加していた。今はこのような姿になったが、心は皆と同じジオン共和国兵だ。
しかし、今になって『ジオンの亡霊』と言うテロ組織が各地でテロ活動を行っている。それは、悪逆非道の限りを尽くしている。彼らはジオンの名を語っている殺人鬼にほかならない!我々は知っているはずだ。戦争という事が如何に愚かな行為であったのだろうかが…
だからこそ、我々は彼らを止めなければならない。そして、この平和な世の中にするため共に戦おうではないか!!」
『ウォォォォォォ!』
「それでは……行くぞ!」
『サー・イエッサー!』
それを見ていたランバ・ラルは「あれ程のカリスマ性。我が部隊に欲し」と言っていたらしい。
同時刻。ミデアに待機していた、シロー・アマダ率いる地球連邦軍部隊も準備を進めていた。そして、
「シロー・アマダ少尉聞こえますか。スバル・ミナガワです」
『こちらシローだ。感度良好。いつでも行けるぞ』
「了解です。では、作戦通りお願いします」
『了解だ。第08MS小隊行くぞ!』
『了解!!』
そう言って、ミデアから【ガンダムEz8】1機と【陸戦型ガンダム】2機、【ホバークラフト】がパラシュート降下して行った。その直後に地上から対空砲火が集中的に行われた。だが、彼らに当たることはなかった。
「へっ!何て生温い対空砲火だい。こんなもんに当たるなアタシらじゃねぇぜ」
「そこまでにしておけカレン軍曹。サンダース軍曹そっちはどうだ?」
「こちらサンダース。無事降下完了しました」
「よし。我々8小隊は敵基地スバル少佐の部隊降下援護に向かうぞ」
『了解』
「ミケル、エレドア索敵頼んだぞ」
『了解です!』
一方でスバル達も降下の準備を行っていた。そこにあったのは愛機【ササビー】ではなく、別のMSが鎮座していた。
「…またコイツに乗って戦う事になってしまうとはな」
「スバル・ミナガワ少佐。少しだけ時間よろしいかな?」
「貴方は…ノリス・パッカード大佐!」
そこに居たのは、サハリン家に絶対の忠誠を誓い、ジオン公国軍きってのエースパイロット、ノリス・パッカードがいた。かつて味方である8小隊に対して、獅子奮迅の戦いを見せた人物である。
「先程の演説見事であった。そこで再度貴殿に問いたい。貴殿はどうしたいのだ?戦争をしたいのか、止めたいのか」
「……」
ノリスの問いに一瞬だけ戸惑ってしまったスバル。しかし、彼はノリスの目を見つつこう話した。
「俺はこの戦争を止めに来ました。それは、この世界で暮らす大事な人、大切な場所を守る為でもあります」
「では、例えその者たちが貴殿に対して牙をむく行為をしてまでも貴殿は戦争を止めると言うのか?」
「…はい。それでも俺は、戦争を止めます」
「…良い答えだ。では、これよりこのノリス・パッカードは貴殿の指揮下に入ろう」
「えっ!それはどうしてですか?」
「なに、貴殿の下で戦いたいと思っただけだ。『漆黒の死神スバル』の戦い方とくと、拝見させてもらおうか」
「あはは…よろしくお願いします」
そう言って、スバルは一年戦争で使用していた自身のパーソナルカラーの漆黒に塗りつぶした【グフ】に乗り込むのであった。
ノリスも愛機【グフカスタム】に、ランバラル隊も青い【グフ】とゲリラ屋の本領とする為キュイ揚兵戦車に人員を配置した。
『各員、準備が整い次第降下の準備にかかれ』
「了解した。暫くの間指揮を任せます。ハモンさん」
『了解しました。戦果を期待していますよ』
そして、ハッチ解放の信号が青色に変わり、スバルが先頭と、となり降下を開始して行くのであった。
「わかりました。…ハッチ解放を確認。システムオールグリーン。スバル・ミナガワ出る!!」
「ノリス・パッカード出るぞ!」
「ハモン。いってくる」
『行ってらっしゃいませ。あなた』
スバルに続いて、ノリス、ラルも降下を開始した。敵からの対空砲火が厳しくなる中スバルはそれを縫うように、降下ポイントを探していく。そして、弾幕が薄いところを発見すると、すぐさま味方に伝えるのであった。
「Aグリットは弾幕が厚い。Cグリットは比較的に薄そうだ…ノリスさん!」
『了解した。私はキュイ揚兵戦車を護衛しつつCグリットに向かう。ラル大尉は対空砲火の無力化を頼む』
『了解した。アコース、コズン!我々は弾幕が厚いAグリットに向かうぞ。付いて来い』
『了解です』
「行くぞ!」
こうして、ニューヤーク攻略戦が始まった。
一方IS学園では上下への大騒ぎになっていた。昴が暫くの間休学するのは寝耳に水の事であり、その影響は計り知れなかった。
先ず、教師陣。山田先生に関しては、慌てふためき教材をぶちまけてしまう失態を起してしまう。更に教科書を逆さに持つという、動揺しまくりであった。
千冬も、昴休学の連絡を聞いた途端持っていた下着を落とし、膝から崩れ落ちた。その後すぐさま連絡を入れるが、電波が通じない状態になる。ハイライトがオフになった状態でコーヒーを飲もうとすると、大量の塩を入れてしまっていた。
次に箒とセシリアである。彼女達は一度経験しているので耐性が付いていると思っていたが、そうではなかった。
箒は集中力が続かず練習でミスするばかり。挙句の果てに段差がないところでつまずくレベルまでに落ちていた。
セシリアもテニスの練習では上手くいかず、部長に怒られる始末。射撃訓練でも百発百中のハズが40%にまで精度が落ちていた。
お互いにこれではいけないと思いつつも考えてしまうのは、昴休学の事である。どうしてこんな事になってしまったのか理由が分からず仕舞いである。そんな中でも来週から始まるのは『臨海学校』である。
臨海学校では、各国の代表候補生達は自国の追加装備のインストールや運用テスト等で忙しい。2年生になると、整備科と操縦科に別れるため、操縦科になる生徒達はISに触れる滅多にない機会である。整備科になる生徒達は操縦科の使用したISを整備できる絶好の機会である。
そんな臨海学校でも自由時間はある。1日目は自由時間で思い思いに過ごし2日目から、それぞれの分野に別れて行う。
そこで勝負をしていた箒とセシリアであったが、思わぬ伏兵がいた。千冬とラウラである。
千冬は出会った時から昴の実力を認め、共に朝練習をする仲である。加えてあの美貌の持ち主である
。敵わないと思っていないが、一矢報いたと思っていた。
しかし、ラウラは箒とセシリアが出来なった事を平気でやってのけた。そう、クラスメイト達の前でキスと嫁宣言だ。
ただでさえ恥じらいがある行為を平然とやったのである。この行動に危機感を抱いた箒とセシリアは夏の海で勝負を決めようとしていたのだ。
だが、それも昴が休学する事になり叶わぬ夢となりつつも、1日目に行う自由時間に向けて、水着を選ぶことになったのだ。
大型商業施設「レゾナンス」に着いた面々は、それぞれの水着を手に取っていた。
箒は白いビキニタイプの水着。自慢の
(どうせなら、昴さんに見てもらいたかったなぁ…)
セシリアは青い色でパレオタイプの水着にした。お嬢様風にするよりも、あえて年相応に見せる作戦出であった。
(なぜでしょう。水着選びがこんなにも楽しくないなんて…)
互いに昴の事を思いながら水着を選び会計を済ませる。シャルロットとラウラが終わっていないので店の外で待つことにした。
『はぁ~』
ため息まで重なった2人。ここまでくればもはや病気レベルである。それ程までに2人の中で、昴の存在が大きくなっているのだ。シャルロットとラウラ、鈴が会計を終えて来ると丁度12時になろうとしていた。
そんな中シャルロットが5人でご飯を食べないかと提案してきた。
「ちょうど12時になりそうだから、お昼ご飯でも食べない?」
「…そうだな。それじゃあ何処に行く?」
「そうですわね…フードコートがあるそうなので、そこに行きましょうか」
フードコートに入り5人で座れる席を確保していた時である。偶々映っていたテレビ番組にニュース速報が流れて来たのであった。
そして、番組が中断されニュースが流れ始めた。
『え~ここで番組の途中ですが、ニュースをお送りいたします。今朝アメリカ合衆国ニューヤークにて、大規模な戦闘がありました。この戦闘による死傷者は不明ですが、ISによるものではなく、ロボットによるものであると考えられるます。それでは、現場にいるキャシーに伝えて貰います。キャシー、今の状況を伝えてください』
そこに写し出されたのは、IS以上に大きなロボットが、ビルに身体を預ける形で倒れていた。その後もがれきや空の薬莢などが散乱していた。
「はい。こちら現場のキャシーです。今は軍の規制線が張られており、これ以上奥には行けないんですが、ここからでも戦闘の大きさをものがたっています。一体、誰が何の目的でこのような事をしたのか今だに不明です。…あ!」
そう言って、アナウンサーの視線の先には一機の大型空母が現れた。そして、その空母から何十発ものミサイルが発射され、規制線の奥で横たわっていたロボットに着弾した。
そして、跡形もなく失くった。大型空母は空の彼方へと飛び去っていたのだ。これを見ていた5人組は啞然とするしかなかった。
『……』
「なんか…凄かったね」
「ええ、映画の撮影かと思ったけど、本物だったのね…」
「IS以外でも、あれ程の戦闘力の持ち主か…一体どこの国なんだ」
「そうだな……いずれにしても恐怖しかなかった」
「ええ、そうですわね。ですが、これが私たちの脅威にならない事を切に願っていますわ」
同時刻。ガウ空母では次回の作戦について会議が行なわれていた。
「第一段階は概ね終了した。ニューヤークに居た『ジオンの亡霊』の前線基地を破壊する事に成功した。しかし、証拠隠滅のために敵モビルスーツを爆破したが、マスコミに嗅ぎ付けられてしまったな」
「なに、心配はいらんだろう。世間では映画の撮影か何かだろうと思っている」
「そうよ。
「……そうだといいのだけれど」
そう考える昴。そして、次の目標である『オデッサ』に向けてガウ空母は進むのであった。
スバルの正体を明かす人
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箒
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セシリア
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ラウラ
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グリフィン・レッドラム
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ベルベット・ヘル
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織斑千冬
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山田真耶