オペレーション002 IS学園入学
千葉県南房総市。スバルが
インフィニット・ストラトス。通称IS。科学者"篠ノ之束(しのののたばね)"により開発された宇宙空間での活動を想定して作られたマルチフォーム・スーツである。但し、宇宙進出は一向に進まず、「兵器」へと転用されたが、現在は各国の思惑からアラスカ条約が締結され、スポーツへと落ち着いている。
メリットとしては、このパワードスーツは現行兵器が一切通じない。銃弾はポップコーンの様になり、戦車は石ころ同然の扱いとなった。IS一機があれば軍事バランスが崩れるくらいのパワーを持っている。
デメリットとしては、"女性以外に使用できない"という弱点を抱えていた。それにより女性主義の世の中『女尊男卑』と言う風潮が浸透しつつある。痴漢やナンパ。果ては会社の人事も女性優位の時代となってしまっている。
そんなスバルも18になりそろそろ就職や進学を考える時期になって来た。両親は『お前のやりたいことをやるべきだ』と後押ししている。
父はパイロット。母は元CA。2人とも職場結婚で幼い頃は、海外線で各国を飛び回っている父をよく母は愚痴っていた。そんな父もスバルが高校生になると、職場がパイロットから、現場を統括する立場になりデスクワークが多くなった。父曰く『空を飛んでいた頃が懐かしい』とのことだった。おかげで会える機会も増えっていった。
そんなある日。高校からの帰宅途中ボロボロのバス停で佇んでいる1人の少女を見つけた。“篠宮箒”長い黒髪をポニーテールにし、他の子達よりも大人びている雰囲気を持っている。そして、いつも帰りは黒塗りの高級車で帰るのだが今日は違っていた。そんな彼女は俯いてどうやら気分が晴れていない。
そんな彼女を無視するわけにはいかず、ついつい声を掛けてしまった。
「隣いいかい?」
「皆川先輩…」
「篠宮箒さんだよね?何か悩んでいるみたいだけど…」
「いえ…」
「お姉さん篠ノ之束の事かな?」
「!?」
「…どうして知っているって顔しているね。先ず篠宮箒はどうせ偽名だろう。それに、いつも黒塗りの高級車で送迎されているって事はそれなりの重要人物って事だろうね。あとは今話題の人物と言えば篠ノ之博士だ。その近親者となると警護も重大になってくる。だから、君がその姉若しくは妹と考えれば妥当なところかな」
「…私を脅してどうするつもりですか?」
「別に脅すつもりはないよ。ただ、君がなんで悩んでいるのか知りたかっただけだよ。別に話したくないなら話さなくてもいい」
「…実は」
そこからは自身の姉が開発したISで世界が滅茶苦茶になっている事を話し始めた。途中興奮した所もあったが、何とか話し終わって落ち着きし始めた。
「ハァハァ…すみませんでした。取り乱して…」
「いや、大丈夫だよ。確かに君のお姉さんが作った物で世界中が滅茶苦茶になったのは事実だ。だが、同時に機会もあった」
「え?」
「それは、技術の革新だ。彼女のおかげでと言うよりは、彼女がIS技術を発表した事によって各国の技術革新は一気に進んだと言えるだろう。これにより人類は更に宇宙へ…空へと進める事が出来るだろう」
「皆川先輩?」
ちょっと喋り過ぎたと、そう思ったスバルだったが、箒はそんな風には思っていなかった。むしろ自分の姉を初めて褒めてもらったことに好印象を受けていた。
「そんな風に思っていた人は皆川先輩が初めてですね。ありがとうございます。」
「別に事実を言っただけだよ。兎に角、君の事やお姉さんを悪くいう人もいるが、感謝している人もいる。その事を忘れないでほしい」
「はい。それじゃあ行きますね」
そう言って、箒は向こうに見えていたいつも送迎にやって来る黒塗りの高級車に向かって行くのであった。それを見たスバルは(もう大丈夫だろう)と思うのであった。
箒が去ってから数十分。スバルはある人物を呼ぶために、大声で叫ぶのであった。
「そろそろ出てきてもいいんじゃあないですか。篠ノ之博士。いや、篠ノ之束さん」
「あれ~いつから気付いていたのかな?凡人の癖に束さんの気配に気付くなんて」
そこには、不思議の国のアリス衣装で現れた現在世界中で指名手配犯扱いされている篠ノ之束が現れた。同時にスバルは警戒感を上げるのであった。向こうはIS生みの親。それなりの実力はあるのだろうと。
だから、ポーカーフェイスを崩さない様にあくまでも自然に話すように心掛けた。
「最初はあの子がここに来た時に、自分と箒さん以外に気付いたんですよ。そして、僕がISの利便性を話し始めた時に格段と強くなりましてね。声を掛けてみただけですよ」
「ほぉ~凡人の癖になかなかやるね。それで、細胞レベルで最強の束さんをどうするつもりかな?」
「どうもしませんよ。ただ、箒さんの事を気に掛けて欲しいですね」
「それだけ?『俺に最強のISを寄こせ!』とか『箒を寄こせ!』とか言わないの?」
「そんな風に思っていませんよ。最も、ISは女性しか動かせない。それは開発者である貴女が一番分かっているはずだ」
「そうなんだけどね~…ねぇ凡人。名前は?」
「皆川昴」
「みながわすばる…じゃあすーちゃんだね。それじゃあまたね!」ドガーン!
「くっ!閃光弾!」
そう言って、束は閃光弾を投げて姿を眩ませた。一瞬の出来事で追跡する事は叶わなかった。しかし(それじゃあまたね!)と言っていたので、これからいやおうなしに関わって来るのだと思ってしまうのであった。そんな事もあり、すっかり疲れ気味の状態で自宅に帰って来るとあるニュースが飛び込んで来た。
『次のニュースです。本日IS学園試験会場にて、実験待機中のIS【打鉄】に誤って接触した男子生徒が、ISの起動に成功した模様です。男子生徒の名前は織斑一夏。あの、ブリュンヒルデ織斑千冬の弟さんとのことです。この結果を受けて日本政府は直ちに、男性の全国一斉適性テストを行う方針で決定する見込みです。続きまして…』
それ以降は聞かないようにした。どうせ織斑千冬の弟だからとかで騒がれるのだろう。会ったこともないがその子には災難だったとしか言いようがない。
IS学園は全寮制で99%が女子生徒だと聞く。そんな中に1人の男が放り込まれると思うと、苦痛以外の何物でもない。自分がそうなったゾッとする。適性がないことを祈るばかりだった。
しかし、その祈りもあっけなく砕ける羽目になるとは、この時は思っていなかった。
「はぁ~まさかここに来る羽目になるとは…」
今昴がいる場所は、あれほど嫌味を思っていたIS学園の最寄り駅。
話しは昨日まで遡る。昴が通っている高校でISの適性テストが行われ、全ての男子生徒が適性外かと思われたが、昴が触れた瞬間見事IS【打鉄】を纏っていた。
それどころか空中浮遊、更には武装展開までもおこなっており、これは文句無しで強制的に隔離された。更に両親にもその話しが行っており、『これで皆川家は安泰だ』とまで言われていた。この時ほど両親を恨んだ日はなかった。
しかし、2度目の生みの親を恨む訳にもいかず、昴は入学する事にしたのだった。当然のことだが、昨日IS適正が判明したばかりなので、知識は0に近い。だが、そこは元モビルスーツ乗り。持ち前の知識と感覚で何とかなるだろうと思っていた。
それに、ジオン公国時代は少佐になるまでの学力はある。ISの知識などは参考文献を10時間ほど読破すればわかってしまう。そんな事を考えながら歩いていると、校門前に黒いタイトスーツを着て目は鷹の様に凛々しく、それでいてスタイルが抜群にいい人がいた。そう言えば試験会場に居た人に似てるなと昴は思いながら向かうのであった。
「君が皆川昴だな?」
「ええ、そうですが。貴女は?」
「私は織斑千冬。ここで教師をしている詳しい話しは歩きながら説明する。先ずは付いて来てくれ」
そう言って、先に行く織斑千冬を尻目に昴は(あれが噂のブリュンヒルデか)と思いながら着いて行くのであった。千冬と一緒に来たのは、だだっ広い施設だった。どうやらここでISの操作等を学んでいるとのことだった。そんな話しを聞いていると、水着みたいな服を渡された。
「皆川。これを着て格納庫にあるISを纏ってここに来い。実技試験を行う」
「はぁ…わかりました」
何となく見下されている感も否めないが、ここはIS学園。ならばISで一泡吹かせてやろうと思った。早速ISスーツを着て格納庫に向かうと、ゴツゴツしたISとシャープなISがあった。昴はシャープなISを選んだ。
何となくだが、ジオン時代で使用していた愛機ゲルググに似ていると思っていた。そんな事を思いつつ昴はISを纏ってカタパルト射出場へ移った。この感覚はジオン時代を思い出す。あの空に出ていく時と同じ感覚だった。
『システムオールグリーン。いつでも行けます』
「スバル・ミナガワ!行きます!」
そう言って昴は飛び立った。そして思った。ああ、これがこの時代で空を飛ぶと言う感覚なのだと。アリーナ内を3周したところで、反対の出口から1機のISが飛び込んで来た。どうやら向こうも同じシャープなIS出てきたようだ。
『どうだ?空を飛ぶと言う感覚は?』
「…悪くないですね」
『そうか、ならこれから実技試験を行う。遠慮なくかかって来い』
そう言って千冬は一本のブレッド・スライサーを展開した。これを見た昴の胸が燃える様に熱くなった。そこまで言うのであれば全力で行かせてもらおうと。昴もブレッド・スライサー1本を展開する。
『…ふざけているのか?』
「いえ、大真面目ですよ。そちらと同等にしないと試験になりませんからね」
『ほぉ…言うじゃないか。
「さっさと終わらせましょうか」
そう言って、互いにブーストをかける。そしてブレッド・スライサー同士の鍔迫り合いが始まった。昴が2手3手打ち込んで行く間に千冬はその倍を打ち込んで来た。そんな中昴は一旦距離を取ろうとすると、千冬はお返しと言わんばかりに詰めてくる。如何やらさっきの口上戦でだいぶお冠のようだ。こうなったら頭の中でコンソールするしかない。
手始めに
だが、数発受けただけであとは回避されてしまった。
『ほぉ…あの状態でレイン・オブ・サタディをコールするとはな。ますます楽しくなってきたぞ!皆川!!!』
「チィ!あの人はバケモノか!」
『教師をバケモノ呼ばわりとは、入学早々に
今度は千冬の手にヴェントが握られていた。彼女はそれを乱射すると一気に昴との距離を縮めてまたしても、ブレット・スレイサーで斬りかかって来た。これで終わりかと思った昴に不思議な感覚に陥った。まるで彼女の動作がスローモーションの様に、動いているのだ。そして、次に来る手が読める。
そんな中一か八かの賭けに出た。彼女が上段から切り込むタイミングを見計らって思いっ切りバーニアを蒸かした。
『もらった!』
「させるかーー!」
次の瞬間、昴は千冬の視界から消えて向こう側に居た。何があったか分からないと思う千冬とオペレーターの人は思っていた。しかし、お互いのSEは残りわずか。次の一手を最後にする為互いブレット・スレイサーを握りしめていた。
『「行くぞー!」』
結局、昴の一撃と千冬の一撃にブレット・スレイサーが耐え切れず、四散してしまったので、引き分けとなった。
「もう!先輩はやりすぎですよ!おかげで私まで始末書を書く羽目になったじゃないですか!」
「いゃ~すまんな山田先生。しかし、皆川なかなかの太刀捌きだったぞ。どこかの道場でも通っていたのか?」
「…独学で学んでいました」
「そうか。今度は道場で手合わせ願いたいな」
「ええ、僕で良ければ何時でも大丈夫ですよ」
「ふん。なら、ISの特訓は私が直々につけてやろう」
「あー!ずるいですよ先輩!皆川君はこんなガサツな人よりも、私のような人がいいですよね!」
2人で言い争っている間に昴は考えていた。それは、先ほどのスローモーションの様な現象と先読みである。しかし、考えれば考える程分からなくなって来た。自分はニュータイプの様な素質はなかったはず。あったのはシャア大佐や恋人関係であったララァ・スン少尉。あとは、噂によると、連邦軍の白い悪魔ガンダムのパイロットくらいだった。
だが、さっきの現象はそれに近しい現象だった。やはり、転生した時に何らかの力が加わったと思われる。
いずれにせよ、これからの学生生活が楽しみになっていくと思う昴だった。
スバルの正体を明かす人
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箒
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セシリア
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ラウラ
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グリフィン・レッドラム
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ベルベット・ヘル
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織斑千冬
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山田真耶