次の日。入学式を早々に終えた昴は自身のクラスである「1年1組」に向かって行った。2度目の高校生をまさか1年生からやり直すと思うと苦笑いする。しかし、ISを動かしてしまった手前、逃げ出すわけにはいかず意を決して教室に入って行くのであった。
電子黒板に貼られていた座席表を見てみると、席は窓側の一番後ろとなかなかの好位置になっていた。その席に向かう途中、ひそひそ話が聞こえて来た。
『ねぇねぇあれが2人目の男性操縦者?』
『ちょっとイケメンじゃない?』
『え~?そうかな。私は1人目の方がタイプかな』
『何だか大人っぽいよね~』
早速品定めと来たか。これだから女の子は沢山いれば姦しいと言うものだ。因みに俺は特に色好みする人ではない。強いて言えば他人の事や相手のことを考えられる人が好きだ。シャーリーもそんな感じの女性だった。
席に着いた昴はカバンからIS教本を取出しSHRが始まるまで読書していた。そんな中ある女子生徒が昴に話しかけて来た。
「じーー」
「…」
「じーー」
「…何か用かな?」
「あのね、お菓子持ってない?」
「あ~すまない。そういう類は持ち歩かない趣味でね。ごめんよ」
「そっか…」
明らかに落ち込んでいる女子生徒を見て、少しだけ心が痛んでしまった。そんな中昴はある事を思い出した。それは、昨日売店で買ってきた、飴玉があったはずだ。それを思い出し、再びカバンの中を探ってみると、メロン味とミカン味の飴玉が出てきた。
「お詫びと言ってはなんだが、これでいいならあげるよ」
「あ!飴玉だ!」
「メロン味とミカン味があるが、どちらにする?」
「メロン!」
「わかった。ハイどうぞ」
「ありがとう!」
「ちょっと本音何してるのよ!」
「飴玉もらったの~!」
「はやくこっちに来なさい!」
「じゃあね~!」
どうやら友達に本音と呼ばれた子は席に戻って行くのであった。再びIS教本に目を通すとまたしても教室が騒がしくなってきた。顔を上げて見ると、1人目の男性操縦者が現れたようだ。キョロキョロと落ち着かない様子で自分の席を探している。
そして、席が教室のど真ん中だと知ると絶望した顔になって席に着くのであった。むしろ絶望するのはこっちの方だと思ったがあえて声は出さなかった。
SHRが始まると、担任の紹介が始まった。昴は昨日の実技試験でオペレーターをしていた人だとすぐにわかった。
「初めまして、私がこの1年1組の副担任の山田真耶って言います。よろしくお願いしますね」
「…」
流石に無視はまずいと思い、昴は軽く会釈をした。すると、山田先生の顔がパァァと明るくなった。ちょろいな~この人と思いつつも、山田先生は生徒の自己紹介を始めた。
「はい。それでは自己紹介をお願いしますね。先ずは相川清香さんから…」
自己紹介はよどみなく進み、噂の男子生徒の番になった。
「お、織斑一夏です!」
「…」
え?続きは?他にないの?とクラスメイト達が見ていた。そして…
「以上です!」
瞬間、クラスメイト達がドタドタ!と倒れて行った。かくゆう俺も気を抜いていたら倒れていたかもしれない。それ程間抜けな自己紹介だった。
当の本人は何が起こったかしらずキョロキョロしているが次の瞬間、教室中に「スパーン」と軽快な音が響き渡った。
「痛って~」
「お前は真面に自己紹介が出来ないのか」
「げ!関羽!」
「誰が、三国志の英雄だ!」
「痛い!」
「すまなかったな山田先生。会議が伸びてしまってな」
そう言って、彼女は教壇に立った。その瞬間俺は耳を塞がなかった事を後悔した。なぜなら…
「諸君!私が織斑千冬だ!!君たちを一人前のIS操縦者にするのが私の任務だ。いいか!分からなくてもハイと言え!いいな!わかったか!」
こえ~どんな軍隊だよ。ジオン兵時代でもこんな鬼教官…1人いたな。俺の上官でNフィールド担当「カスペン戦闘大隊」を率いていた、ヘルベルト・フォン・カスペン大佐。如何にも軍人気質で情に厚く部下に優しい人だった。ア・バオア・クー要塞陥落後には、撤退する友軍部隊を守るため戦ってたっけ。
彼の最後は『ジークーー!(ジオン!)』と叫んだと撤退後の人間から聞いた事がある。それにあの人のパーソナルマークだった、髑髏のマークもイカしていたな。そうこうしているうちにクラスメイト達が大変な事になってるぞ。
『キャーーー!』
「千冬様よ!千冬様!」
「本物の千冬様よ!」
「私、お姉様に憧れてIS学園に入ってきました!北海道から!」
スゲー。これが世に言う千冬教「何か思ったか?」おっと目の前から強いプレッシャーを感じるぞ。これ以上考えるのはよそう。
「はぁ~どうしてウチのクラスにはこんなにも騒がしい奴しかいないんだ…」
「キャーーーもっと罵って!」
「そして、つけあがらない程度にしつけして~!」
うわ~ここまで行くと恐怖を感じるな。崇拝のレベルを超えているよ。そんな先生と目が合ってしまった。あ、やっべ!笑ってるよ。
「諸君。時間も惜しい。それじゃあ最後に皆も気になっている奴の自己紹介を最後にするとしよう。皆川。立て」
ここで言うのかよ!仕方ない皆も見ている事だし。ここは言わないといけない雰囲気が漂っているからな。
「はい。初めまして、皆川昴と言います。皆さんよりは2年上だけど気軽に話しかけてもらうと嬉しいです。趣味は音楽やスポーツ全般。父と母が航空関係の仕事をしているので、多少語学にも精通しています。IS操縦は素人同然ですがこれからもよろしくお願いします」
パチパチパチパチ!とまずまずの反応だった。しかし、千冬はとんでもない爆弾を落としこんだ。
「ククク、IS操縦が素人同然なわけあるか…」
「織斑先生。それは、どういうことですか?」
「ここにいる皆川の実技試験は私が担当だったんだがな、私の全力を耐えて、尚且つ引き分けにした男だぞ」
『え~~!』
「それに、この私にブレット・スレイサー以外の武器を使わせた奴だ。ヴェントを握ったのはモンドグロッソの決勝戦以来だった…っと話しが逸れた。それだけの実力の持ち主なのだから迂闊に近づくと大変な事になるからな」
はい。ボッチが決まった瞬間でした。まぁ自分から進んで友達とか作りに行くタイプの人間じゃないからな。それに、戦場ではそのやり取りが命取りになる場合がある。昨日まで好いていた子が戦場に出て命を落とす。そんな事が日常茶飯事だった俺には辛く、経験したくない体験だ。最も、ISには操縦者の命を守る“絶対防御”なるものが存在する。
これにより絶対に死ぬことはないが、命のやり取り。つまり本気の試合が出来なくなる。そこがいいのか、悪いのかわからん。兎に角俺としては、穏便に過ごしたいだけなのだ。
SHR終了後。織斑一夏の周りには質問攻めの女の子がわんさか群がっていた。そんな事を尻目に俺はIS教本の読書をしている。既に本の内容はわかりきっているのだが、こうして本を読んでいるのが好きなのだ。そんな中で俺に話しかけて来た物好きな人がいた。
「お久しぶりです。皆川先輩」
「久しぶりだね。元気そうで何よりだよ。篠ノ之さん」
「ここでは、箒と呼んで下さい」
「…まだ、苗字に抵抗があるのかい?」
「ええ、少しだけ…けど、前よりは姉の事を信じてみようと思います」
「そっか…いつか和解できる日を願っているよ」
そんな話しをしていると、人混みをかき分けてこちらに近づいて来る人がいた。
「は、初めまして!お、織斑一夏って言います!」
「初めまして、皆川昴です」
「あの~千冬姉を倒したって本当ですか?」
「別に倒したなんて言ってないよ。ただ、相打ちになったくらいだからね。しかも全力って言ってたけど、多分まだまだ力があったはずだよ」
「へ~なんだが、昴さんって皆のお兄さんって感じがしますね」
そりゃあ、君たちよりも80年以上生きているんだからお兄さんと言うよりはおじいちゃんの部類があってると思うけれど、あえて言わなかった。そんな2人は幼馴染だったらしく、少しだけ話しをしたいと言っていた。積もる話もあるだろうから「僕の事は気にしなくていいよ」と言いい2人は出て行った。う~ん青春だね~。俺が16、17の頃なんてジャブロー降下作戦が始まる時期だった。
当初、宇宙攻撃軍所属だった俺は、ある失敗を犯して地上部隊への配置転換を言い渡された。俗に言う左遷と言う奴だった。任務は友軍を地球に降下させ、連邦軍本部「ジャブロー」を攻撃する事だった。ガウからの降下時に見たものは、地獄だった。
地上に着く前に撃ち落とされる仲間。無事に降下できても、戦車や敵モビルスーツに撃破されてしまう仲間達を見てきた。更にはジャングル特有の湿地帯による地形に惑わされた事による経験不足と連邦軍と地元住民によるゲリラ作戦により多くの仲間を失った。
しかし、シャア大佐やアカハナ先輩達により、ジャブローの入り口と思わしき場所を特定する事に成功した。足つきの木馬や白い悪魔ガンダムを発見するも、撃破までには至らなかった。
その後は、ジャブローでの活躍やシャア大佐が取り計らいもあり、宇宙攻撃軍への復帰と少佐の地位を得たのだ。
そんな事を思っていると、またしても俺に話しかけて来る人がいた。彼女は金髪碧眼の美少女で誰もがうらやむプロポーションの持ち主だが、いかんせん高飛車な部分がある。そんな彼女の名前は…
「ちょっとよろしくて?」
「どうしたのかな?セシリア・オルコット嬢?」
「あら、わたくしの名前は知っているのですね」
「勿論。イギリス代表候補生でBT兵器を搭載した専用機『ブルー・ティアーズ』のパイロットですよね。最近ではモデル業界にも進出しているとか」
「まぁ、わたくしの経歴や最近の出来事まで把握済みとは…もしかしてファンなのですか?」
「まぁ、流行を知るのは情報戦略の一つだからね。それで、代表候補生さんは僕に何の用があるのかな?」
「そうですわね…見たところISに触れて間もないご様子。良ければわたくしがご助言してもいいですわよ!何せ我がオルコット家は貴族出身ですからね!ええ、貴族出身ですからね!」
「そうですか…お断りします」
「ええそうでしょう。お断りって…え?」
「何事も先ずは自分でやってみる。これが僕のモットーなので、それでもダメな場合は聞きに行きますので」
「は、はぁ~」
そう言って、再びIS教本に目を通している。2時間目はIS座学だ。ここでは、基本的な操作方法や武装の展開、専門用語などを勉強する。
入学時に『必読』と書かれた教科書を読んで勉強していれば大抵、いや全てわかるのであるが…
「では、ここまでで分からないところとかありますか?」
「…」
1人だけ目が泳いでいる奴がいた。織斑一夏である。そんな彼に山田先生は分からない部分がないか聞いてくるのであった。
「織斑君。分からない所とかないですか?遠慮なく聞いてくださいね。何せ私は“先生“何ですから」ポヨン
な!何だあの胸は!少しだけ動いたのにあんなに揺れるのか!年齢は当に100を超えているが身体は思春期真っ最中。しかも相手は綺麗よりも可愛い部類にはいる人だ。気にならないわけではない。だが、今は授業中なので、グッとこらえる。その間にも織斑への追求が迫っている。
「さぁさぁ!どこがわからないんですか?」
「えっと…全部わかりません!」
「えっと…全部ですか…。他にわからない人はいますか?皆川君も大丈夫ですか?」
「はい。事前に読んできたので大丈夫です」
織斑が恨めしそうな顔をして来たが知らん顔した。ここで注目されるのはごめんだからな。その後は『必読』と書かれていた本を電話帳と間違えて捨てた事を白状した織斑が織斑先生に出席簿で叩かれ、「一週間以内に暗記しろ」と言われて絶望した顔がまた傑作だった。
その後は滞りなく授業が進み昼休みになった。IS学園の食堂は和・洋・中・伊・独それぞれの料理が並んでいた。中でも感動したのは、昴の地元の千葉で取れた魚を使った料理が多数あった所だ。
早速刺身盛り合わせを食券機で注文すると、鮪やサーモン、鯛や白身フライ。それらをほかほかご飯と一緒に食べる。日本人に生まれ変わって本当に良かったと思う昴であった。早速食べようと席を探しているが、思うように見つからない。しばらくしていると、後ろから来た女子生徒に声をかけられた。
「もしかして席探しているの?」
「え?はい。そうですけど」
「なら、こっちに来なよ!空いてるさ」
「でも…「いいから♪」わかりました」
水色髪で少しだけ小麦色で活発な女子生徒に連れられて行くと、真っ赤な髪が腰まで伸びており、鋭い目付きでこちらを睨んでくる女子生徒が座っていた。
「…グリ…誰その人」
「えっと…誰だっけ?まぁ細かいことは気にしない!気にしない!さぁ座って」
「えっと…お邪魔します」
「…」
そう言って、何だか気まずい雰囲気の中食事をするのであった。そんな時、昴を誘った女子生徒がおもむろに自己紹介を始めた。
「えっと…アタシの名前はグリフィン・レッドラム、ブラジル代表候補生だよ!お姉ちゃんって呼んでね♪」
「…ベルベット・ヘル。ギリシャ代表候補生。…他にはないわ」
「皆川昴18歳です。今日転校して来ました」
「あ~じゃあ貴方が2人目の男性操縦者?」
「多分その認識で合ってますよ」
「そうなんだ!てか、同級生だから敬語じゃなくてもいいよ。アタシの事もグリって呼んで!貴方の事も昴って呼ぶから」
「そっか?なら、そうしてくれ。その方が助かるよ。えっと…」
「はぁ…好きに呼べばいい。私も…3年生だから同級生だ」
「わかったよヘル。グリ」
「ちょっと同級生の男の子に名前を呼ばれるとドキッとするね///」
「…確かに///」
その後は何気ない会話に花を咲かせその日のお昼ご飯はお開きとなった。グリから「明日も一緒に食べようね」と言われて翌日も一緒に食べることになった。
5時間目。授業も終盤となった時に織斑先生から放たれた言葉によって1組の教室が修羅場と化した。
「そう言えば、このクラスの代表者を決めないといけないな。文字通りクラス代表だから、1年間は変えることが出来ないぞ」
クラス代表か…そんな役回りになることは変わりないので、パスさせてもろうと思ったが、女子生徒達が騒ぎ始めてた。
「はい!織斑君がいいと思います!」
「はい!私も!」
「私も!」
「お、俺!?」
「そうか、なら1組の代表は織斑で決まりか」
「ちょっと待ってくれよ千冬姉…痛い!」
「織斑先生だ。それに、推薦してくれた者達の事も考えろ」
「な、なら俺は皆川さんを推薦するぜ!」
あの馬鹿野郎!なんでこっちにまで話しを飛ばしてくるんだよ!俺は平穏に過ごしたいだけなのに…そんな事も知らずに織斑と先生の間でどんどん話しが進んでいく。
「それでは、織斑と皆川になるが「納得がいきませんわ!」うん?」
それに待ったをかけた人がいた。先ほど話していたセシリア・オルコットだった。彼女はものすごい剣幕で織斑と先生の間に入って来た。
「何故、わたくしの名前が出てこないんですか!わたくしはイギリス代表候補生なのですよ!エリートなのですよ!このようなきょく「はいストップ」え?貴方…」
おおこわ~。自分の発言が途中で止められたことに苛立っているな。けど、それ以上はいけないと俺の第六感が働いた。もし言ってしまえば、クラスの溝が深まってしまう。これで、最悪の事態は防げたかに思えたが…
「イギリスだって、メシマズ選手権で何年覇者なんだよ」
「あ、ああ貴方!わたくしの祖国を侮辱しましたわね!」
「そっちが先に言い出したんだろう。「オイ織斑君!口を慎みたまえ!」み、皆川さん!?」
ここまで、静観していたが我慢出来なかった。そう思った次の瞬間俺は声を出していた。
「確かにオルコット嬢は日本を、君の祖国を侮辱するような発言を言いかけたが、それは不問になったはずだ。それなのに、君はオルコット嬢の祖国を侮辱する発言を言ってしまったな」
「で、でも…「でもじゃない!」うう…」
「君ももう高校生なんだ。いつまでも子供じゃあないんだぞ」
「…はい」
「それと、オルコット嬢。君にも非がある」
「わ、わたくしにもですか!?」
「そうだ。君はなんだ?」
「わたくしは…イギリス代表候補生ですわ…」
「そうだ。イギリス代表候補生。代表候補生とは、その国の国家代表の候補生だろ。そんな君がIS生みの親である篠ノ之束博士の出身国である日本を侮辱しそうになっていたぞ。もしあのまま言っていたら、どうなると思う?」
「えっと…それは…」
「国際問題になりかねん。更に最悪の場合は…ここから先は言わなくても分かるだろ」
「…はい」
「君も織斑君同様子供じゃあないんだ。更に言えばイギリス国家を背負って立つ身だ。迂闊な発言は身を滅ぼすぞ」
「…」
「織斑先生。このクラス代表決定戦僕も参加します」
「わかった「但し!」む?」
「勝敗に関係なく、僕はクラス代表にはなりませんからね」
「そうか…わかった」
こうして、ひょんなことからクラス代表決定戦に参加することになった昴。はてさてどんなことになるのやら…
授業が終わって放課後。昴と一夏は、教室に残っていた。先ほどのやり取りがあったはずなのに互いにわだかまり等はなかった。
「皆川さんすみませんでした」
「気にするな。といは言わないが、ここでの発言は注意した方がいい。君にも『ブリュンヒルデの弟』と言う肩書があるんだ。それによっては、君のお姉さんにも泥を塗るような事が起きかねない」
「…ええ」
「なに、迷ったら一度深呼吸をして気を落ち着かせる事をお勧めするよ」
「はい!皆川さん!」
「うん。それと僕の事は昴でいいよ。これからもよろしく」
「はい!俺の事は一夏でいいです!」
そんな男の子同士の友情出演をしていると、大慌てで来た山田先生が教室にやって来た。ああやめてください!そんなに暴れるとたわわに実った果実が揺れて…
「オイ皆川。貴様不埒な事を考えていないか…」
「…滅相もありませんよ。織斑先生」
「…そんなに山田君の胸がいいのか…私も結構あるほうだぞ…」
織斑先生が何やら言いたそうな雰囲気を出しているが、ここは黙っておいた方がいいな。そんな事を考えていると、山田先生が2つの鍵を渡してきた。
「はい。これが織斑君と皆川君の部屋のカギになりますね。IS学園は全寮制なので寮生活になります」
「え?それじゃあ着替えとかは「私が用意している」千冬姉…」
「織斑は1週間分の着替えと携帯の充電器があれば十分だろ。皆川はご両親が用意してくれた」
そう言って織斑先生は1つのスポーツバッグとトラベルバックを渡してきた。流石母さんたちだ。あとでお礼の電話でもしておくか。
「それと、お二人は今お風呂は入れませんので部屋のシャワーで勘弁してくださいね」
「え!?なんでですか?」
うん?この子は、状況が理解できていないのかな?いかに全寮制と言っても住んでいるのは俺たち2人を除けば女子生徒である。そんな事も理解できていないなんて、ちょっと危ういぞこの子。そんな事を知らずに織斑先生の
「貴様は覗きをしたいのか馬鹿者が!」ゴン
「痛った!何すんだよ千冬姉!」
「私は身内から犯罪者を出したい訳じゃないぞ。それに織斑先生だ」ゴン
「痛った!!」
「そうですよ、織斑君。今は我慢してくださいね」
「はい…わかりました」
どんだけお風呂大好きマンだよ。因みに俺はどちらでも良い。しかし、日本人に生まれ変わって温泉は良いものだと知った。幻想的な風景や趣きがある旅館など、日本人が風呂好きなのはわかる気がする。
話しを戻そう。寮の部屋だが、俺と一夏は別々の部屋になった。俺はイレギュラーな存在なので寮には入らず、学園近くのプレハブ小屋になった。元々俺は軍人気質なところがあるから、無骨な物が好きだ。打ちっ放しのコンクリート壁や最低限の設備(電気・ガス・シャワー・トイレ・エアコンはついていた)があれば問題ない。ただ、床がコンクリートだけなので何か考えなければならない。そんな事を考えていると、ドンドンとドアが鳴った。するとそこにはジャージ姿の織斑先生がいた。
「織斑先生?何の用でしょうか?」
「いやなに、少し身体が鈍っていてな。これから
そう言う織斑先生の手には2本の竹刀が握られていた。時刻は19時。確かに寝るにはまだ早い。ここは少しだけ動かそうと思い昴は二つ返事でOKするのであった。
「いいですよ」
「そう来なくてはな」
そうして、IS学園にある道場に向かうのであった。そして、昴は先ほどの回答を後悔した。少しだけと言いつつ21時を回っても続いていた。昴は思った。さっきの山田先生への八つ当たりだと…次の日。昴は久しぶりの筋肉痛に悩まされるのであった。
スバルの正体を明かす人
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箒
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セシリア
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ラウラ
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グリフィン・レッドラム
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ベルベット・ヘル
-
織斑千冬
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山田真耶