一夏とセシリアと昴。この3人でクラス代表決定戦を行うことになった次の日。昴は筋肉痛に悩まされながらも、アリーナの使用許可を取りに行くのであった。そんな中見知った顔が現れた。
「あれ?ヘル、グリどうしたんだ」
「ヤッホー!丁度良かった。昴は今ヒマ?」
「アリーナの使用許可を取りに職員室に向かう途中だよ」
「そかそか!じゃあそれが終わったらヒマ?」
「まぁ、予定は入っていないかな…」
「ならさぁ、食堂に来てくれない?紹介したい人がいるの」
「紹介したい人?」
「…別に来たくなければ来なくてもいい」
「ちょっとヘル!意地悪言わないの!」
「アハハ…わかったよ。それじゃあまたな」
そう言って、ヘルとグリ達と別れた。アリーナの使用許可はすんなりと承諾され、昴は約束通り食堂に向かうのであった。そこには、ヘルとグリの他に2人の女子生徒達がいた。
1人は、金髪のホーステールが特徴であり背丈は高く制服はスカートが短く下着が露出する程までにスリットが深く入っており、黒のガーターベルトを着用している。また胸元は大きく開いていた。
もう1人は、小柄で髪を三つ編みにしている。グリは昴を見つけると、「こっちこっち!」と呼んで居たので向かうのであった。
「すみません。遅くなりました」
「大丈夫、大丈夫!」
「おい、グリ。こいつが例の2人目の男性操縦者か?」
「そうだよ~」
「ふ~ん」
金髪の子が昴の事を値踏みするような仕草で見てきた。その時に制服からこぼれそうなくらい立派な胸に視線が行きそうになったが、鋼の意志で耐えた。
「こんなガキ見たいのが2人目だとはね。世界はわからんね」
「けど、昴はあの織斑先生と互角の勝負をしたんだって」
「マジすか!それは今度戦ってみたいッスね」
「…けど、彼にはまだ専用機がないのが現状よ。だから、戦うなら後にしなさいフォルテ」
「へ~い」
「もしかて、その子とヘルって知り合いとか?」
「あ、そう言えば自己紹介してなかったね。ダリルお願い」
「へいへい。アタシはダリル・ケイシーだ。アメリカの代表候補生だ」
「私はフォルテ・サファイアッス!ヘルと同じギリシャ代表候補生ッス!」
「…正直
「ちょっと!それってどういうことッスか!」
「まぁまぁ、それよりも早くご飯食べよう。お腹ペコペコなんだからさ」
その瞬間グリのお腹から「クゥ~」と可愛らしい音が聞こえて来た。慌てて誤魔化そうとしたが、時すでに遅し。バッチリ3人に聞かれたグリは顔を真っ赤にしていたそうな…昼食も食べ終わってゆっくりとしていたら、ダリルとフォルテがこんな提案をして来た。
「そう言えばお前の名前聞いていなかったな」
「皆川昴って言います」
「昴はね私達と同じ18歳なんだよ」
「なら、俺の事はダリルでいいぜ。こっちも昴って呼ぶからな」
「あ!ズルいッスよ!自分の事はフォルテって呼んでくださいね」
「わかったよ。ダリル、フォルテ」
「それじゃあ、昴。この後はヒマか?」
「まぁ、来週のクラス代表決定戦でISバトルをしなくちゃいけないからその特訓をするだけだよ」
「そっか…なら、その特訓に俺達も混ぜろよ」
「俺達って?」
「俺とフォルテで相手してやるってことだよ」
「けど、さっきも言ったけど俺は専用機はないぞ」
「大丈夫だ。そこはハンデをくれてやる。どんなのがいい?」
その話しが出てきて昴は少しだけ考えた。ハンデをもらうのかなしにするか。正直言って貰っておくと手を抜かれた感があり昴としては腑に落ちない。かといって、乗りたてのペーペーが勝てるかと言うとそうではない。果たして昴が出した答えは…
「それじゃあ…ハンデはいらないよ」
『お?』
「その代わり、全力できてほしい」
「…いいのかい。再起不能になる可能性があるよ」
「構わない。それに、再起不能になったら、それまでの男だったそれだけだからな」
「…ふ~ん。いいぜ!その話し乗った!」
「ちょっと!ダリル大丈夫ッスか!ここで潰したら、国際問題になりかねないッスよ!」
「大丈夫だ。そんな軟な身体じゃあねぇだろ。それじゃあ放課後、第1アリーナで待ってるぜ」
そう言って、ダリルとフォルテは帰っていく。その背中をヘルとグリはただ見るしかなかった。その瞬間から昴の戦略会議が始まった。
放課後。昴は、約束通り第1アリーナに来ていた。付き添いとしてグリと何故かヘルもいた。どうして付いて来たと聞いたところ「…たまたまだ」とのことだった。そして、ISスーツを着てシャープなISを纏って発進カタパルトへと向かうのであった。
『カタパルト油圧ユニット確認。ハッチ開放!システムオールグリーン。発進シーケンスをスバル・ミナガワへ譲渡します。昴~頑張って来てね♪』
「カタパルト固定を確認。スバル・ミナガワ出る!」
勢い良く飛び出した昴は空中で一回転しステージの中心に降り立った。そして、向かいのカタパルトから2体のISが降り立った。1体はダリルの専用機「ヘル・ハウンドver2.5」とフォルテの専用機「コールド・ブラッド」だ。
ダリルのヘル・ハウンドver2.5は胸の所に狼が口を開いている格好だった。それに、両手には犬を模ったグローブが握られている。一方のフォルテのコールド・ブラッドはISの周りに氷のオブジェクトが浮遊している。また、両手はクローみたいになっており、2人は近接のパワータイプと昴は読んでいた。
『さて、早速やるか?』
「ええ、お願いしますね」
『そっちから吹っかけてきた喧嘩なんで、手加減無しッスよ』
「わかってますよ。それとも、怖気づいてしまいましたか」
『…いいぜ。そこまでコケにした想い、たっぷりと躾けてやるからよ!』
『ちょっと!ダリル!』
フォルテの静止も聞かずにダリルは昴めがけて突進しボクサーの要領で右腕をおおきく振りかぶった。対する昴は冷静に判断し避けようとしたが、反対側からフォルテの左フックが飛んできた。
「しま!」
「もう遅いッス!」
「ぐあぁ!」
重い一撃を貰った昴は態勢を崩してしまった。今度はダリルの左ストレートが昴を襲う。
「ほら!もう一発!」
「ぐは!」
これを真面に受けてしまった昴のISは大きく吹き飛びアリーナの壁に激突してしまった。SEは残り50%を切っていた。
それぞれのISには
それを防ぐのが“絶対防御”だ。あらゆる攻撃を受け止めるシールド。シールドエネルギーを極端に消耗することから、操縦者の命に関わる緊急時、救命措置を必要とする場合以外発動しない。そして、その判断はIS側が行う、操縦者側ではカットできない。
今回の攻撃では、絶対防御を発動するまでには至らなかったが、それに近いダメージはあった。それもたった2発の攻撃だけである。
「たった2発を受けてこのダメージか…流石に専用機持ちは強いな。だが!俺も負けん!」
『ナイスフォルテ!』
『もう~考えなしに突っ込んでいかないでよね!合わせるこっちの身にもなってよ』
『悪りい、悪りい。フォルテなら合わせてくれると信じていたからな』
「お二人とも強いですね」
『当たり前だ!ここで負けたら代表候補生の恥だぜ』
『そうッス!負ける訳にはいかないッス!』
「なら、今度はこっちから行きますね!」
そう言って、昴はISのバーニアを蒸かすのと同時に
『なッ!』
『眩しいッス!』
ダリルとフォルテはその眩しさに目をつむってしまった。そして、光が晴れた時には昴の姿はなかった。
『どこ行きやがった!』
『ダリル上っす!』
『なに!』
すると太陽を背にしてブレット・スレイサーを振りかぶった昴が落ちてきた。
「でりゃぁぁぁぁぁ!」
『させるか!』
すかさずダリルもヘル・ハウンドver2.5の胸の所から熱光線を吐き出す準備をしていた。そんな事をさせる訳にもいかず、昴は更にスピードを上げた。
「やらせはしない!いけーー!」
そんな時、ISの後部スラスター翼から爆発的なエネルギーが放出されスピードが格段に上がった。そして、横一閃に切り込み、ヘル・ハウンドの胸部を破壊した。それによりケイシーのSEは30%近くダウンした。
『なに!』
「もう一回だ!」
更にお返しとばかりにデザート・フォックスを2丁コールし、ダリルに集中砲火を狙い続けた。
「うぉぉぉぉ!」
『くそーー!』
真面に受け続けたダリルは、思うように動くことが出来ずSEが切れてしまった。
『ダリル・ケイシー。ヘル・ハウンドVer2.5 SEエンプティ』
『噓ッス…』
「まだ終わってないぜ!」
『ひッ!』
すかさずフォルテに向けて飛び込んで行った。フォルテもビームで反撃するが、狙いが定まっていないので昴には当たらなかった。
そんな中昴は上下左右或いは回転しながらどんどんと差を詰めて行く。まるで大鎌を持ってきた死神みたいだと後のフォルテは語っていた。
「そりゃあもういっちょ!」
『こ、降参~~!』
「へ?」
『フォルテ・サファイアッスの戦意喪失により勝者皆川昴!』
「ハァハァ…何とか勝てた…」
満身創痍のIS状態で戻って来ると、ヘルとグリが迎えに来ていた。2人は昴の姿を見て安心した。
「お疲れ~昴♪かっこよかったよ!まさかあの代表候補生に勝っちゃうなんてね。お姉さんびっくりだよ」
「ありがとう。ヘルも見ててくれたかい?」
「…ああ。よかったぞ」
「ヘル~昴がやられそうになった時、『頑張れ』って言ってたくせに~」
「な!///グリ~!」
「アハハ!照れない、照れない!」
「待てこら~!」
格納庫をはしゃぎ回る姿を見て昴は安心しきったのか、よろけてしまった。この時はただ疲れていた、だけかと思っていた。しかし、思ったよりもひどく、昴は片膝をついてしまった。それを見ていたヘルとグリは様子がおかしいと思い、急いで駆けつけてきた。
『昴!』
「アハハ…大丈夫だよ」
「そんな顔しても言えないよ!顔真っ青だよ。早く保健室に行ったら…」
「…そうよ。早く行きなさい」
「大丈夫。今日は早めに寝るから大丈夫だよ」
「本当に?無茶しちゃだめよ」
「分かってる。それじゃあまたね」
そう言って、昴はよろよろになりながらも、部屋に戻って行った。そして、部屋に入った瞬間鼻から鼻血が噴き出してきた。どうやら先ほどの戦闘で脳を酷使し過ぎたらしい。血を浴びたワイシャツをそのままにしシャワー室に入り、頭から冷水を浴びてスッキリとさせていた。その時、部屋の外からノックする音が聞こえた。
『皆川。織斑だ』
「織斑先生?どうされたんですか?」
『お前が訓練後に体調を崩したとグリフィン・レッドラムとベルベット・ヘルから聞いてきた。入るぞ』
「ちょっと!」
慌てて下半身を隠すも上までは無理だった。そんな事お構いなしで織斑先生は入ってくるのであった。そして、最大の勘違いをするのであった。
「皆川…な、なんたる格好してるんだ!///」
「さっきまで演習をしていてシャワーを浴びていたのですよ」
「そうか…ん?これは何だ?」
「あ!」
「なんで、ワイシャツが血まみれになっているんだ!まさかお前…」
「…失礼ですが、織斑先生が思っていることではありませんからね」
その後はこれまでの事を話し始めた。流石に力を使い過ぎた事は隠したが、それでも鼻血を出してしまったことについては笑わずに真剣に聞いてくれた。そして、全てを話し終わると織斑先生は心配そうな顔をして相談して来た。
「そうか…分かったこれからは私が直々に特訓するとしよう」
「話しを聞いてましたか?それに、クラス代表決定戦には弟さんが出るはずですよね。それは贔屓になるのでは?」
「なに、どうせアイツは剣道しか興味がない。それに私はお前に期待しているからな」
「期待されても困るんですけど…」
そんな事を露知らず、織斑先生はどんどん話しを進めて行くのであった。朝と夕は織斑先生が付き添いで訓練する。ダメな場合は山田先生が付き添いを行うとの事だった。また、多様な経験を得るため各国の代表候補生と訓練する場合もある。そんな練習メニューを組んでくると言っていた。
次回からクラス代表決定戦が始まります。
スバルの正体を明かす人
-
箒
-
セシリア
-
ラウラ
-
グリフィン・レッドラム
-
ベルベット・ヘル
-
織斑千冬
-
山田真耶