それでは本編どうぞ!
次の日。今朝の特訓相手は山田先生だ。山田先生の場合は千冬さんとは違い、理論的な教え方がメインになっている。今は、アリーナに浮遊しているアドバルーンに向かって射撃訓練を行っている。俺の乗っているIS【サザビー】のビーム・ショット・ライフルの特訓だ。
このビーム・ショット・ライフルは、上部バレルに集束ビームに、下部バレルに拡散ビーム(ビーム散弾)のふたつの砲口をもち、バレル下部のフォアエンドによるポンプアクションによって射撃モードを変更する。ビーム・ライフルの万能性と、近距離制圧力を重視したビーム・ショットガンの機能を兼備するが、いかんせんまだ使いこなしていない。
そこで、山田先生が集束ビームと拡散ビームを使いこなす為に、ランダムにアドバルーンを出現させて、それを集束ビームと拡散ビームに切り替えながら撃破していく。それを3セット、休み休み行う。
そして、今朝のノルマ数をこなしてサザビーを解除して山田先生がいる管制室に向かうのであった。
「お疲れ様です、山田先生」
「お疲れ様です、皆川君。集計結果出ましたよ。命中率ですが、やはり初めてですからね3割と言った感じですかね…」
ここで言う命中率とは、中心に当たった事を言う。バルーン事態は全て撃破したが、いかんせん、まだまだ足りないようだ。今度セシリア当たりに、聞いてみようかな?
「やっぱりそうですか…」
「でも!これから訓練していけば大丈夫ですよ!一緒に頑張りましょう!」
そう言って、大きすぎる胸の前で両手を握って「頑張ります!」のポーズを取ってくれた。朝一から刺激が強い事をするのだと思っていた。けど、彼女は教師。そんな邪な感情を持ってはいけない…いけないのだが…
「あの皆川君?大丈夫ですか?」
俺が考え事をしていると、心配そうにこちらを覗いてくる山田先生。その時に屈んで来るので、山田先生のおっぱいが目の前に来てしまう。…あのおっぱいに触れたいが、見ず知らずの女性にそんなことをしてはいけないと理性が働いた。
「大丈夫ですよ、山田先生…」
「本当ですか?」
「ええ、少しだけ情けない自分と戦っていました。それじゃあ、僕はシャワーを浴びてきますので…」
「あ、待ってください!」
部屋から出ようとしたら、急に背後から抱きつかれた。山田先生の豊満なおっぱいが俺の背中で潰れているーー!え?どうして?訳が分からないよ。そんなことお構いなしに山田先生は続けた。
「あの、私知っています」
「…何のことでしょうか?」
「実は…」
「実は?」
「…実は…皆川君と織斑先生は名前で呼び合う仲だってことですよ!」
「へ?」
背中から離れてくれたので向き合う形になった。
「ズルいですよ!私だって、皆川君と仲良くなりたいのに…篠ノ之さんやオルコットさんは名前なのに私だけ苗字なんて…」
「あ~その事でしたか。じゃあ、呼んでみますか?」
「い、いいんですか?」
「山田先生がそれでいいのであれば…」
「は、はい!お願いします」
「じゃあ、…真耶さん?」
「は、はい!昴君///」
「…」
「…」
終始無言になる2人。だが、昴が管制室にある時計を見て、もう少しで朝食の時間になるので部屋から出で行くのであった。
「あ!もう少しで朝食ですね…それじゃあ僕はこれで失礼しますね」
「あ、はい…」
「…2人っきりの時は名前で呼んでいいですよ。真耶さん」
「は、はい!///」
そう言って、今度こそ部屋を後にした。昴は(あれで良かったのだろうか)と自問自答するしかなかった。そして、いつもの面子(グリ、ヘル、ダリル、フォルテ)と朝食を済ませた。
因みに、箒とセシリアは一夏と鈴と一緒に食べていたので、時々こっちを覗いていた。そして、食事が終わり、今日は何気ない日常で終わるはずだった…
「でりゃぁぁぁぁぁ!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
放課後。アリーナでは俺のIS【サザビー】のビームサーベルを教師用に改良した第二世代IS【打鉄】で受け止めるのは織斑先生こと千冬さん。
昼休み終了後に
「避けるな!」
「んな無茶な!てか、明らかに怒っているだろ…」
「無駄口が多いぞ!行くぞ昴!」
「ちょっと待って!」
こんな感じで、かれこれ20分も経っている。こちらが距離を取ろうとすると、
どっちもアウトな予感しかしないけど…行くしかない!
「それじゃあ!行くぜ!」
「来い!」
なけなしの勇気を振り絞って、俺も【サザビー】のバーニアを蒸かして
「!」
「これならどうだ!」
「いいだろう!もっと私を楽しませろ!昴!!」
「うぉぉぉぉぉぉ!」
更に個々のスラスターを次々に点火させることによって加速をおこなう、
「貰った!」
「しま!」
「でりゃぁぁぁぁぁ!」
千冬さんは俺の攻撃をギリギリで回避しようとしたが、俺は一瞬の隙を見逃さなかった。見事に【打鉄】の一部にビームサーベルが当たり、SEを削る事に成功した。
「よっしゃー!」
「ふ、まだまだだぞ!昴!」
「え!ちょっと待てよ!『私に一太刀でも浴びせたら今日の特訓は終了する』って言ったのはアンタだろう!」
「気が変わった!こんなにも素晴らしい
「あ~もう!これだから
「どうした!来ないならこっちから行くぞ!」
「分かったよ!じゃあ、俺も行くぜ!」
そう言って、昴は千冬めがけて飛び込むのであった。それから30分経って何とかSEを40%まで削る事が出来たが、先に昴のSEが切れたので昴の負けで終わるのであった。
「ふぅ~いい運動になったな」
「んな訳あるか!何だよ急に変えやがって…」
「すまんな。ただ、着実に成長していて私は嬉しいぞ」
「そりゃあ、専用機持ちの自覚があるからな。それに、後輩達に負ける訳にはいかないし…」
「…そうか」
「それにしても、随分と自棄になっていたが、何かあったのか?」
「い、いや…」
「ふ~ん。まぁ余計な詮索はしない主義だからな。それでは自分は戻りますね。
「あ、ああ…」
そう言って、昴は自室に戻って行くのであった。それを見た私は、あの背中に真耶は抱きついたと羨ましいと思っていた。
そもそも、この特訓は元々真耶の担当だった。しかし、自身の仕事を押し付けて無理矢理昴との特訓をつけていった。
だいたい
それは、昴との特訓2時間前に遡る…
『先輩!聞いてくださいよ~』
『どうしたんだ?』
『実は…私皆川君と名前で呼び合う中になったんですよ』
『……なんだと?』
『それに、我慢できなくて彼の背中に抱きついちゃって///彼の背中って逞しいんですね~』
『…ほぉ抱きついたと』
『ええ///』
『山田先生…いや真耶。それは教師としていかがなものか…』
『けど、我慢できなくなって…』
おかしい。真耶はこんなにも積極的な子じゃなかったはずだ。昴…何をしたんだ…とりあえず、真相を確かめなければならない。
『…山田先生。今日の皆川との特訓は私が行います』
『え?どうしてですか!だいたい織斑先生はまだ仕事が『ですから』え?』
『ですから、私の分をお願いしますね。…理事長にバレたくなければですけどね』
『は、はい…』
こうして、真耶と交渉(脅して)昴との特訓相手を物にした。しかし、それももうそろそろ終わってしまう。私は意を決して、昴の背中に抱きついた。
「え!織斑先生!?」
「……今は誰もいないぞ」
「けど…」
「…頼む。少しの間だけでいいんだ」
「…わかったよ」
そう言って、昴と千冬はISのハンガー内で千冬が昴に抱きつく形でいた。それから数分後。千冬は抱きついて来たことについて話し始めた。
「…今日の朝真耶に抱きつかれたそうだな」
「あ~確かにそうだったな。けど、あの時はいきなりで対処の仕方が分からなかったんだよ」
「別に昴を責めたりしているわけではない。ただ…」
「ただ?」
「…笑うなよ」
「うん」
「ただ、その…真耶が羨ましいと思ってしまって…」
「…アハハハハハ!」
「笑うなと言っただろう!///」
「いや~ごめん、ごめん。千冬さんにもそんな気持ちがあるなんて思わなかったよ」
「…別にいいだろう///」
「そっかぁ。だから、今日の特訓あんなにも厳しかったんだな」
「…フン///」
千冬さんがこんな
「すまんな。こんな事をして…」
「いや、大丈夫だよ。誰にだって自分の弱い部分を見せたいと思う時があるからな」
「フッ…そうだな。すまんな昴。こんな私でもついて来てくれるか?」
「ああ、勿論だ」
「頼もしいな。それではまたな…」
「はい」
そう言って、千冬さんは自室に帰って行った。俺も早く帰ってシャワーを浴びないと。そう思っていると、休憩室のベンチに座っている鈴を見つけた。
その様子を見ると、明らかに落ち込んでいる様子だった。俺は思いっきって声をかけてみる事にした。
「どうしたんですか?」
「アンタは…昴…さん?」
「ふむ。如何やら訳ありの様ですね。ちょっと待ってください」
そう言って、昴は近くにあった自販機でペットボトルのお茶と水を買って鈴の隣に座るのであった。
「はい。お茶どうぞ」
「あ、ありがとう…ねぇ、ちょっと話し聞いてくれる?」
「僕でいいのであれば」
鈴は今日あったことを話し始めた。鈴と一夏は2人で特訓をしていた。勿論お互いの手の内を明かさないのが条件としてだ。そこで、休憩していた時に事件が起きた。
幼馴染である2人はある話題を話していた。それは、小学生の頃に、鈴が中国に引越しをする時にある約束をしていた。
『大きくなったら、アタシの酢豚を毎日ご馳走する!』
いわゆる、『毎日お味噌汁作る』と言った告白である。しかし、当の
『大きくなったら、アタシの酢豚を毎日
なんということでしょう。彼はご飯を毎日ご馳走すると思っていた事を奢ってやると悪い方向へ解釈してしまったのだ。これを聞いた鈴が大激怒。右頬に立派なもみじを一夏に作って、ここに居るとの事だった。
因みに、近くにいた箒は「馬に蹴られて死んでしまえ」と言っていた。
これを聞いた昴は(…話しかけるんじゃあなかった)と激しく後悔した。そもそも、彼には幼馴染がいなかった。戦時中や転生時も親しい友人や異性もいなかった。居るとすれば、軍関係者やそのご子息やご息女だ。そんな昴からアドバイスを鈴が聞く訳ない。
「えっと…一夏君に確認したんだよね?」
「ええ。したけど帰ってきた答えはさっきと同じよ。全く呆れるわよね。こっちは引越してから一夏と出会うまで、ずっと覚えていたのね…」
「鈴さん…羨ましいなぁ」
「え?」
「僕にはそんな子いなかったからね」
「ホントに?結構モテたんじゃないの?顔は、そこそこイケメンだし性格も良さそうだしね。案外箒辺りが狙っているのかもよ」
「茶化さないでくださいよ。それよりも、鈴さんはこれでいいんですか?」
「…言い訳ないでしょ!一夏に一泡拭かせてやるんだから!」
「なら、そうせざるをえない機会を作ってしまうのは?」
「どういうこと?」
「次のクラス対抗戦で、もし一夏君を倒したら“どんな事でもする約束”をしてしまえばいいんですよ」
「なるほどね~けど、それで一夏が納得するかしら?」
「しなかったら、鈴さんが猛アピールすればいいだけの話しだです。大丈夫ですよ。彼なら乗ってくれるはずです。後は鈴さんの腕次第ですけどね」
「へぇ~そんな事を言うんだ。代表候補生のアタシに」
「ええ、鈴さんが強いと思っていますからね」」
「そ、そんな事を言っても別に嬉しくないんだからね///」
若干鈴がテレ顔をしたが、昴は知らなかった。とりあえず鈴は悩みの種だった、一夏へのアタックを解決出来たので昴はほっと一安心した。
「ねぇそう言えばさぁ?」
「うん?」
「昴は…好きな人とかいなかったの?」
「…昔はいたけどね。もう…会えないんだ」
「それはどう「さてと」あっ!」
「僕は自室に戻るよ。鈴さんも部屋に戻ったら。それじゃあまたね」
「あっ!ちょっと!待ちなさいよ」
そう言って、きた鈴の言葉を無視して昴は自室に戻った。思い出すのは大戦後のシャーリーと過ごした日々である。ア・バオア・クー陥落後に出会ったとは言え、彼女とは苦楽を共にした仲である。時に愛し合い、時に喧嘩もした。
あの頃の事を吹っ切れたと思っていたのに、未だに引きずっているとは、何と女々しいのかと思ってしまう。
誰かに見られる事無く、自室に着いた。そんな昴の目からは涙が溢れていた。
スバルの正体を明かす人
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箒
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セシリア
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ラウラ
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グリフィン・レッドラム
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ベルベット・ヘル
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織斑千冬
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山田真耶