クラス対抗戦当日。結局鈴は一夏の事を許していなかった。一夏が謝ろうとしても、鈴が避ける。強引に話しかけようとすると、2組に行ってしまうし、昴が近くに居ればその背中に隠れてしまう。
結局のところ鈴が恥ずかしくて、話せないだけである。そして、クラス対抗戦当日になってしまった。一夏をはじめ1組及び鈴と2組のメンバーはアリーナの総合受付にある大型テレビジョンに注目していた。そこには…
第一試合
1年1組 1年2組
織斑一夏 VS 凰 鈴音
それを見た鈴は無言で去っていった。
「昴さん、俺もしかして鈴に嫌われる事したんでしょうか…」
「さぁね。それは、彼女自身に聞いてみる事だね」
「あっ!ちょっと待ってくださいよ!」
そう言って、一夏の言葉を無視して昴とセシリアはアリーナのスタンドに向かうのであった。ピットには箒が随行する手筈になっている。
「セシリア。この勝負君にはどう見える?」
「一夏さんはわたくし達との特訓を活かしてくれれば、勝機はあると思いますが、鈴さんがどういった形で勝負をしてくるのか…」
「わからないと?」
「…はい。申し訳ございませんわ」
「いいや、セシリアが気にする事じゃないよ。ありがとう」
「は、はい♪」
そう言って、昴はアリーナに目を向けた。そして、脳内のシャア大佐と試合の行く末を話し始めた。
この試合どう見ますか。大佐
(そうだな。一夏君は付け焼き刃程度だが、今日までの努力が報われる事を祈ろう。問題は…)
鈴さんの実力…ですね
(うむ。調べてみたところ彼女は元々日本に居たが、故郷である中国へ引越した後に、直ぐに中国代表候補生の座を実力で勝ち取ったという)
相当な努力をしたというところですかね
(ああ、もしかしたら実力はこの学園で上位の位置になるだろう)
そうですか…
(だが、君よりは劣っていると私は見たよ)
過大評価し過ぎです。僕は【サザビー】と言う力があるだけで、実力はそんなにないですよ
(そんな事はないだろう。あの
そんな事ないですよ
(謙遜するな。最近はササビーの扱いが上手くなって私も嬉しい限りだ。これなら、私の夢も…)
大佐?
「…さん。…ばるさん!昴さん!」
「っ!どうしたんだいセシリア?」
「どうした?ではありませんわ!何度も呼び掛けたのに、全然反応しなかったので、心配致しましたわ」
「ああ、すまないよ」
シャア大佐との会話は、セシリアから呼び出されて切れてしまった。昴は、アリーナに視線を戻したところ、丁度両名がピットから出て来るところだった。
そして、両名が所定の位置に着いた時試合開始のブザーが鳴り響く。
『これより、クラス対抗戦第一試合を始めます。試合開始!』
「でりゃぁぁぁぁぁ!」
先ずは一夏が雪片弐型を構えて、鈴に突っ込んで行った。相変わらず、突撃癖は直ってないらしい。
それを見た鈴は、一旦下がると両端に刃を備えた翼形の青龍刀
「フン。こんなもんなのね」
「なに!」
「アンタの実力はこんなもんなのかって、言っているのよ!!」
「っく!」
「他の人達や昴と特訓したみたいだけどね。アタシは
「…」
「…一夏。1つ賭けをしない?」
「賭けだって?」
「ええ、この試合でどちらかが勝った方の言う事を聞くってことよ」
「いいだろう!」
「そう。じゃあ、こっちは本気出すわね!」
そう言って、鈴は肩の
「っく!何だ!」
「まだまだ!行くわよ!」
「あれは…」
「あれは『衝撃砲』ですわね」
「衝撃砲?」
「ええ、鈴さんのIS【甲龍】は第三世代型になりますわ。その兵器の一つに「圧縮した空間そのものを射出する」と言うコンセプトがありますわ。それが『衝撃砲』ですわ」
「『圧縮した空間そのものを射出する』つまり、空気砲みたいな物か?」
「だいたい合っていますわ。けど、鈴さんは空間自体に圧力をかけて砲身を作りだし、かつ、その砲身や砲弾も不可視化していますわ。ですから、見えないところから、空気の弾丸が飛んでくると同じですわね」
「だが、それだと飛距離は限られて来るんじゃあないか?」
「ええ、ですからわたくしの【ブルー・ティアーズ】の様に遠距離攻撃はできません。けど、鈴さんは見たところパワータイプ+格闘と射撃の複合型と言ったところでしょうか。ですから昴さんのようなものですわ」
そうこう言っている間に一夏のSEはどんどん減っている。だが、一夏も馬鹿ではない。その証拠に当たる回数が、先程よりも少なくなってきた。
逆に鈴は思うように、攻撃が当たらなくなって苛立っている。
「あー!もう!なんで当たらないのよ!」
「分かるぜ、鈴。お前は打つ瞬間、その先を目で追いかけるからな。だったらそれと逆の方向に逃げればいいんだよ」
「キ~~!」
「よっしゃ!これで行くぜ!」
そう言って、一夏が鈴めがけて突っ込んだその時!
「!2人共避けろーー!」
ドゴーーーーーン!
突如として、アリーナのシールドを破るほどの黒光りする光が2人の頭上から落ちてきたて、砂ぼこりが舞った。2人は寸分のところで回避した。
そして、徐々に落ち着きそこに姿を現したのは、両腕が人の何倍も大きく、左右にはビーム砲が付いていた。更に全身をフルスキャンで覆い、顔の部分には目が1つしかなかった。
一夏と鈴は一旦距離を取り、様子を伺うことにした。
「何なのよアイツ…」
「分からん。とりあえず聞いてみよう」
「オイ!お前、何処から来た!」
「……」
「答えろ!」
「……」
一夏の問いかけにも答えない、謎の機体。すると突然両腕を一夏と鈴に向けた。その直後両腕のビーム砲から、極大のビームを撃ってきた。慌てて回避するも、一夏も鈴も足を掠めてしまい。SEが徐々に減っていった。
「ウソ。掠めただけでこんなに減るの…」
「マズイな。鈴!お前は先にピットに戻ってこい」
「はぁ?一夏、バカじゃないの!その内にやられたどうするのよ。ここは、先に一夏が戻りなさいよ!」
「でも!「でもじゃないわよ!」」
そんなやり取りを謎の機体が許すはずもなかった。今度は2人の間めがけてビーム砲を撃って来たのだ。一度散開してやり過ごす2人。だが、再び集まって痴話げんかをするのであった。
「だから!早く一夏は逃げなさいよ!」
「でも、そうしたら鈴が…」
「アタシは代表候補生よ。ここで、へこたれる人間じゃないわよ」
「鈴…」
「兎に角、全校生徒の避難が完了するまで、
「ああ、分かった」
『話しは聞かせてもらったよ』
『昴(さん)!?』
そこには、IS【サザビー】を纏って現れた。
「昴さん!避難はどうなりました?」
「今はセシリアが主導で動いている。聞くところによると、IS学園全体のシステムがハッキングされていて、自動ドアがロックされていた。それを僕が破壊して、避難経路を確保している。あとは、セシリアと有志の学生達で避難を行っているよ」
「今の話し本当なのか千冬姉!」
『織斑先生と…まぁいい。皆川が言っていることは本当だ。兎に角織斑と凰の両名は一旦ピットに下がれ』
「でも!『でもじゃない。お前たちのSEが残り僅かだ。急いでチャージをする必要がある』っく!」
「…わかりました。織斑先生、織斑、凰両名一旦戻ります」
「鈴!」
「良いから一夏、行くわよ。それと、昴さんありがとうございました」
「なに、礼には及ばないよ。それよりも早く行くといい。敵は待ってくれないよ」
「はい。でも、絶対にやられないでくださいね!」
そう言って、鈴は戻って行くのであった。一夏はこちらをちらりと見ると、歯痒い顔でピットに戻って行くのであった。
推奨BGM:機動戦士ガンダム 逆襲のシャア「序曲」
一夏と鈴がピットに戻って行くこと確認した昴は
「セシリア。今どんな状況だい?」
『はい。半分の避難が完了いたしましたわ。ですが、避難誘導の際に怪我人が発生しております。今はその方の手当てを行っておりますわ』
「わかった。引継ぎ頼むよ。それと終わったら、また連絡をくれ」
『了解いたしましたわ。昴さんもご無事で…』
「ありがとう」
そう言って、昴はセシリアとの通信をおえた。そして、改めて謎の機体と対峙した。しかし、妙な気配も感じていた。
「生気が全く感じない?」
そう、目の前の謎の機体からは、生気が感じ取れないのだ。試しに、呼び掛けてみることにした。
「私はIS学園1年1組 皆川昴と言いう。貴殿の名前を伺いたい!」
「……」
返答はなし。次に昴は再度忠告をした。
「ここはIS学園である!貴殿の返答に寄り次第は実力行使を行う」
「……」
これでも返答はなし。仕方なく昴はビート・ショット・ライフルを構えた。
「これが最後通告である!なぜIS学園を襲撃した!答えよ!」
「……」
すると今度は、両腕のビーム砲を昴めがけて構えて、ビームを撃って来た。寸前のところで躱した昴は敵対行為とみなして、実力行使に出る事にした。
「チィ!ならば、こちらも遠慮なく行くぞ!」
昴はビート・ショット・ライフルを巧みに使い、攻撃していった。相手の攻撃をシールドで防いだり時にはビームで相殺したりと、反撃のチャンスを伺っていた。
そんな時、セシリアから通信が入った。
『昴さん!生徒の避難完了いたしましたわ。わたくしも直ぐに合流いたしますわ』
「すまない。助かる」
『いえいえ♪それでは「昴さんーー!」昴さんあそこですわ!』
「あれは…箒!」
「昴さんーー!負けるなーーーーー!」
そこには、放送室の窓を開けアリーナに向かって叫ぶ箒の姿があった。そして、謎の機体は放送室の箒に向かって両腕を向けた。そして、そこから極大のビームを撃とうとしていた。
ヤバイ!そう確信した昴の行動は早かった。すぐさま、
すると、両腕から黒光りするビームが発射された。すぐさまシールドで防ぐが、全てまではいかず昴自身にもダメージが及んだ。
『昴さんー!』
「ぐっ!あ、熱い!」
数十秒のビームが止みシールドは半分程融解していった。しかし、昴はまだ戦える状況であった。そして、拡散ビームを撃って、謎の機体の動きを牽制した。それと同時にセシリアに
「セシリア!すぐさま箒を連れて行ってくれ!」
『わかりましたわ』
「くそ!硬いなアイツ」
集束ビームに変えたが決定的なダメージを与えられていない。ならば、拡散メガ粒子砲を使うか迷ったが、ここで使用すれば被害が拡大するだけだと思った。
そこで、昴は謎の機体に向かって威嚇射撃を行い、奴が入って来たシールドから外に出るのであった。幸いにも、謎の機体も付いてきた。
「よしいいぞ!付いて来い!」
そして、海上まで来たササビーと謎の機体はビームの打ち合いから第二ラウンドを始めた。ここなら、誰にも迷惑をかける事無く、思いっきり出来る。
「よし!行くぞ!」
「チィ!やはり、拡散メガ粒子砲を使わないとダメか…」
昴は一旦距離を取り拡散メガ粒子砲を撃とうしたが、謎の機体もビームの発射体制に入った。
「マズイ!ええい!イチかバチかだ!拡散メガ粒子砲発射―!」
ドゴーーーン!
腹部にある拡散メガ粒子砲口から発射されたビームは謎の機体に当たり、爆散した。昴は安堵していたが、突然もの凄いプレッシャーを感じた。
そして、強力なプレッシャーを放つ方を見てみると、昴がよく知っている
「な!なぜここに…アイツが…【アプサラス】がいるんだ!」
それは、ジオン公国軍の試作機で技術少将のギニアス・サハリンが開発責任者を務めるモビルアーマー【アプサラス】であった。この機体は巨大でありながら、重力下での浮遊能力を持ち、機体中央の大口径ビーム砲『メガ粒子砲』を持っている。その範囲はジャブローをも火の海にするくらいだ。
兎に角昴はここで発射されたらまずと思った昴は【アプサラス】に向けてオープンチャンネルで通信を行うのであった。
『私はIS学園の皆川昴と言う。貴殿の名前を伺いたい!』
しかし、返答はなし。そこで、昴は【アプサラス】に向かって、モノアイの光でスモール信号を送った。
『ワタシハ、ジオンコウコクグンショゾク、スバルミナガワショウサダ。キデンノナマエハ?』
すると、【アプサラス】にある【ザク】のモノアイ光でスモール信号による返答があった。
『ワタシハ、ジオンコウコクグンショゾク。ギジュツショウイ、アイナサハリントイイマス』
「アイナ様?なら、この周波数で…良し繋がった!アイナ様!」
『あ、繋がった!良かったです。スバル少佐お久しぶりです』
そこには、宇宙戦争当時のアイナ・サハリンが映っていた。ジオン公国のノーマルスーツに薄緑色のショートカット。まさしく当時のアイナ・サハリンであった。
「ええ、こちらこそ。時にアイナ様どうしてこちらの世界に?」
『それについては、話したい事があります。一先ず私の後に付いて来てください』
そう言って、【アプサラス】は飛び去っていく。昴も疑問に思いながらも一緒に付いて行くことにした。
一方で昴が去った後に学園はとんでもないことになっていた。昴との通信が一切出来ない代わりに、レーダーも【サザビー】がロストしている状態である。おまけに、千冬が『私が探してくる!』と言って教員用のIS【打鉄】を持ちだしそうになった。
流石に真耶の説得も合って事なきを得たが、いつ爆発するかもしれない。皆の共通認識は『早く帰って来てくれ昴(さん)!』だった。
箒は自室にこもっていた。あの時、昴の助けが無かったらどうなっていたか…自身の軽率な行動が彼を危険な目に合わせた事により、自室謹慎1週間と反省文20枚が言い渡された。
だが、そんな事はどうでもいい。一番の事は昴が生きてくれていることだけを願っていた。
「昴さん…」
意気消沈している箒の所に、現れたのはセシリアであった。
コンコン
『箒さん、今いいでしょうか?』
「セシリアか…いいぞ…」
「失礼致します。…ハァ見事に落ち込んでいらっしゃいますね」
「……」
「こんな姿を昴さんが見たら何というのでしょうか…」
「…うるさい」
「…正直言って拍子抜け致しましたわ」
「どういうことだ?」
「だって、わたくしの
「ライバルだと?」
「ええ、…好きなのでしょ昴さんの事が?」
「うぇぇぇ!///ちょ!セシリア!今なんてい、い、言った!?///」
「この際ハッキリと言っておきます。わたくし、セシリア・オルコットは昴さんの事が異性として好きですわ」
「セシリア…」
「それで?」
「え?」
「それで、箒さんはどうなのですか?」
「私は…私も…私も、昴さんが好きだ。出会った時から、優しくしてくれた時から、私を励ました時から、ずっと、ずっと好きだった」
「ええ…そうでしたの」
「ああ。だから、この気持ちは誰にも負けたくない!勿論セシリアや他の人達にも」
「…それを聞いて安心致しましたわ。ですから、昴さんの無事を祈りましょう」
「ああ、分かった」
そう言って、セシリアと箒は昴の無事を祈るのであった。
スバルの正体を明かす人
-
箒
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セシリア
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ラウラ
-
グリフィン・レッドラム
-
ベルベット・ヘル
-
織斑千冬
-
山田真耶