GIRL AND COMBAT ZERO ~THE TEENAGER WAR~   作:アルファデッド

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本編が殺伐としているので、番外編では少し日常的なエビソードにする予定です。

※本編と連動しています

今回は短いです。


番外編1「風邪」 前編

長門と一緒に勤務してすぐのことで、()()でもそうだが自己管理が完璧だったはずなのだが、その彼女が風邪を引いてしまったらしい。

 

団司令は「天変地異」というほどであるものの彼女の人間なのだからと言いたいけど、俺も人のことは言えない。

 

ということでアラート勤務に上番する予定するつもりで準備していたら団司令から彼女の面倒を見れる人がいないから俺が看病しろと言ってきた。

 

アラート勤務は団司令に入っていただくのは良いけど、女子寮に立ち入ることが出来ない・・・当たり前だがな

 

その旨を伝えると『そのについては大丈夫だ。寮長には一言言ってあるから逝ってこい』と、いや待て漢字を間違えてないか。

 

急に不安になってきたが、命令である以上は拒否するわけにもいかず頭を抱えながら最寄りのドラッグストアで必要なものを買って女子寮へと歩いた。

 

基地を出るときは後席兵装システム士官(副機長)に親の仇のように睨まれて血涙を流しており、俺は帰ったあとがとても不安である。

 

平日の朝だからか人手が少なくて航空機のエンジンが鳴りびいており、娑婆にいる感じがしない。

 

スーパーに入ると流行の音楽とイラっとなる販売促進のアナウンスの中でゼリー、スポーツ飲料、風邪薬、冷却シートと軽い食べ物の材料などを買い物かごに入れて、途中で自分用のマスクを忘れずにレジに立った。

 

有料になってしまったレジ袋を一つと現金払いを言うと商品とレジ袋が入っている精算済みのかごを渡され、セルフレジ6番を指し示される。

 

人はいるものの独身のシフトワーカーと思われる方ばかりで一応学生である俺は場違い感を感じつつレジ袋にものをつめた。

 

本当にどうしてこうなった・・・と心の中で嘆きながら基地についで厳しく警備されて学生寮とは思えない殺伐として一角に入り、男子寮のより奥にある目的地に着いた。

 

中に入ると淑やかな中年の女性が出迎えてくれてスリッパと入寮許可書を渡され、長門の部屋まで案内された。

 

女子寮は思ったよりも可愛らしさがあるもののこの中も軍事施設であることに変わりないことを強調するかのように鎮座する空軍部門の旗や武器保管庫が見え、物の配置が殺風景である。

 

2階の中央辺りにくると215号室と長門の名前が書かれた札のドアの前に止まった。

 

寮長「ここが長門大尉の部屋、用件が終わり次第内線で呼んでください。私はまだ仕事が残っていますので失礼します」

 

迷彩服にエプロンは本当に合わないなと思いながら呼び鈴を押すとドサッという落下音が聞こえて少し心配になったところでガチャリとロックが外れる音と共にドアが開かれ、死にかけている長門の顔が見えた。

 

長門<<雄二か・・・なんでこんなところにいる>>

 

<<団司令に看病しろとな、ってとりあえずベッドに戻ってくれ。立つのは辛いだろう>>

 

マスクを買ったのにつけ忘れたが会ってしまったら今更だからこのままで行くとして、歩かせるのは可哀想だから一言言って抱き抱えてベッドに寝かせる。

 

何かを呟いていた気がするがとりあえず、レジ袋からゼリーとスポーツ飲料を取り出して、ベッドの近くにあったテーブルに置いた。

 

長門<<わざわざ買わなくてもなかったのに>>

 

<<看病するんですからこれくらいは持ってきますよ。そして風邪薬は飲んだか?>>

 

反応がなく、ベッドの方を見るとよほど疲れているか、風邪引き慣れていなかったのか、死んだように寝ているが顔はかなり穏やかだった。

 

弟子時代に彼女の無敵の伝説を聞くほど、彼女はどんなことしても

引かなかったのに、今回は初めて引いている。

 

いや、もっと前に引いているだろうけど、少なくとも俺が聞いた噂では一度も風邪で休んでいない。

 

彼女の額に手を置いて熱を確認すると少し熱かったから冷却シートを貼って、眠っているとはいえれど一言言ってキッチンに立った。

 

料理したのは何ヶ月ぶりだろうか。

 

いや、あれを料理と言って良いのだろうかと疑問に思った。

 

配られるというか破棄されるレトルト、カップ麺や冷凍食品に少し手を加えただけの代物だから料理とは言い難いな。

 

やばい、ここに来てどうやって料理をするのか分からん!

 

ええぃ、ここあれを使うしかない。

 

見せてもらおうか、クックパッ◯の性能とやらを、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして体調不良(風邪)の原因であろう異様な程に黒く塗りつぶされた家族写真が目に入ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長門SIDE

 

昨夜の記憶があまりないのはなんでだ。

 

そして私はなんで()()()()実家の庭に10歳頃の時に戻っている・・・

 

??「美優!!!」バシンッ!!!!

 

聞きたくもなかった母の声(不快音)と共に忘れもできない()()()()が私の小さな身体を襲い、少し吹き飛ばされて受け身もままならぬ状態で少し柔らかな地面に伏した。

 

この頃は操り人形(人の形をした道具)に矯正され、自由もなくただただ理不尽に叩かれて罵られて都合のいいサンドバッグとして()()()()()()()

 

実母が早死して実父が狂い、私を叩いてきた養母(阿婆擦れ)が唆してすべてを掌握してしまった簒奪者だ。

 

養母(阿婆擦れ)は子供もいなければ()()気もない。

 

だって、子供に金をやるくらいなら使いつぶしてしまった方が簒奪した甲斐があるらしい。

 

これはひっそりと聞いてしまった養母(阿婆擦れ)(本性)だった。

 

こう回想しているうちに(10歳)は髪を掴まれて無理やり立たされたと思えば躾という名の八つ当たりが激化する。

 

庭にあった噴水に引きずられて顔を水につけて息もできずにジタバタと抵抗するも離してもらえるはずのなく、苦しくなって意識が遠のいて動かなくなってあと少しで死ねる時に水から引っ張られて求めていた空気を吸えると思えばまた苦しい時間が来る。

 

ただ、ひたすら繰り返されて養母(阿婆擦れ)が飽きるまで手は緩められなかった。

 

なんでも死のうと()()したけど、死なせて貰えずに生きながら苦しんで目の前の希望を与えられては潰される。

 

誰も止めはしない。

 

だから

 

ピンポーン!

 

 

(10歳)から目が覚めてると夢であったことに安堵しつつ、辛いはずなのに出なければという謎めいた使命感に駆られて僅かに残っている気力を振り絞って玄関まで床に這ってどうにか立ち上がり、ドアアイを覗くと雄二が立っていた。

 

なんでという疑問を考える前に本能的にロックを解錠してドアを開けてから意識がまだあるうちに聞かないとな。

 

それからは朦朧として雄二がなんて答えたかは分からずに目の前が暗くなり始め、立っているのがやってというのに崩れ始める身体が地面に伏すかと思った時になにかを囁かれて浮遊感を感じた。

 

だが、私はそれどころではなかったからそのまま眠りについて、悪夢へと飛び立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中学の夏休み、私は初めて手を血に染めた。

 

いや、()()()()()()()というべきだろうか。

 

あれは私が行動する前に養母(阿婆擦れ)事故死(不審死)、本来喜ぶべきことだったのに喜べなかった。

 

むしろ、恐怖の始まりである。

 

介抱されたはずなのにまるで死んでいないかのように呪われ、やっと今掴んでいる幸せが壊される。

 

だめ、やめて、いやだ、奪わないで、壊さないで、、、、

 

ああ、aaaa・・・

 

やめろ、やめr、やmer、ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□!!!!助けて!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小原SIDE

 

鶏のもも肉で出汁をとり、炊飯器ではなく鍋でご飯を炊いてながらネギとちょっとした野菜を切って出汁に投入した。

 

ご飯がそろそろ炊ける頃合いになろうとした時、ふと長門の方を見ると出汁が入っている鍋の火を止めて大急ぎで彼女の元に駆けた。

 

今にも自分を殺すかのように身体のあちこちを毟ろうと暴れ、もがき苦しむような声で()()()()()

 

このままだと彼女が壊れる(消える)

 

クソッ!!俺を訴えないでくれよ!!

 

そう思いながら彼女の手を拘束するのように抱きつきながら自分の背中に回し、怪我しないように指が比較的フラットな状態になりそうなときに背中からベッドに倒れて着地した瞬間に彼女の手を抑えていた腕を前に回した。

 

背中が激痛に襲われ、血が流れるような感覚が伝わるも俺は左手を頭に置いて撫でた。

 

完全に絵面が犯罪臭しかないかも知れんが、これは正当なる救助活動だ。

 

下心は一片もない。

 

さて、これで疲れて泣き止んでくれとありがたいが同業者なもんで風邪を引いて体力を消耗しているとはいえれど伊達に戦闘機パイロットをやっていない。

 

本格的に一生残りそうな傷ができそうだが、彼女の苦しみはそれ以上だ。

 

指が身体にめり込み始めているぞ、痛い痛い痛い痛い!!!!

 

クソ、下手な貫通創より痛む。

 

あーーーーーーー、肩も嚙みやがったッ!!

 

だが、耐えろ!俺

 

あと、ちょっとで彼女が力尽きる。

 

時間にして数分の奮闘だが、体感は数日にも及んだ激闘だった。

 

結局、数ミリほど肉が抉られて肩の噛み跡から血がそこそ流れてしまっている。

 

怪我としては大したはずないのに結構な痛みに襲われたなぁ。

 

()()が足らんということか。

 

まあ、彼女が力尽きのは良かったけど俺お粥というかおじやを作れねぇぞ。

 

離れようとしたら強い力で抱きついているからほどけないし、痛みで踏ん張ることが難しい。

 

ピー―――ッ!

 

あっ、ご飯が炊けてしもうたやないか。

 

あかんと思ったが、ご飯は冷めても問題ないことを思い出してそのまま俺は少し仮眠をとることにした。

 

流石に痛み耐えることになるとは思わんだろうよ。

 

だが、彼女の安らかな寝顔を見れたから良しとしますか。

 

Zzzzzzzzzzzzzzzz・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方に差し掛かる頃

 

「えっ?雄二?!って、血?・・・どうしてこうなった?!?!」

 

 

 

 

続く




日常回のはずだったんだけどなぁ(すっとぼけ)

まっ、いっか

次回は頑張って日常回になれるように努力します。

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