GIRL AND COMBAT ZERO ~THE TEENAGER WAR~ 作:アルファデッド
聖グロリアーナ女学院 飛行場 滑走路
天候 曇り
長門SIDE
とんでもF-4が出てきて少し驚いてしまったが、すぐに小原からアークバードの詳細な説明を受けることにした。
曰く、確かに最強のBMD候補であるが今回のような万一の事態に備えて無力化できるように人員も設計も始めから弱点があるように作られており、無力化が不可能ということはあり得ない。
そして、乗っている機上整備員もプログラムもいかなる手段を用いて弱体化は必ず出来ている筈だど、
どう聞いても不安要素しかないように思えるがな。
無人機を射出することができるが、彼の言う例のプログラムが作動するとかなり弱体化するようだ。
ただ、問題はレーザーユニットだけはどうにもならないというらしい。
というのも増幅装置の取り付けによって管理者権限が地上管制から独立してアークバードの搭乗員のみで操作可能になるらしく、プログラムもある程度の妨害は見込めるが、あまり期待できない。
想定はされていても実際に試すわけにもいかなかったことと、国家の強制権により予算が打ち止めになってしまったというのが原因のようだ。
まあ、国家は常に要らないことをしてくるのが常とはいえれど、そんなことに強制権を使うなと言いたい。
だが、それよりほぼ全方向へ喧嘩を売るこいつの頭がすごいと思った。
誰がどう考えても反発されることが予想されるのに、強引に実証機という名の言い訳で納得させたことがワケワカンナイヨ。
とまあ、それはどうでもいいことだ。
私の機体には要望した通りの6AAMが取り付けられるほかに短距離離陸補助ブースターのようなものも取り付けられていた。
小原の機体の胴体部に4AAM、両翼には燃料タンクと補助ブースターが取り付けられている。
整備員1<<機体の準備が整いました>>
小原<<ありがとう。すぐに発進準備に取り掛かってくれ>>
私と後方士官も小原に続いて愛機に乗り込んでエンジンの始動を緊急発進の要領で急いでいると、無線に誰かが話し始めた。
情報分析官<<情報分析官の久我中尉だ。手短なブリーフィングを行う。アークバードの詳細についてはある程度知っている前提とする。現在、機上整備員の奮闘により我が学園の南方10マイル付近、高度5万フィートまで降下しており、絶好の攻撃チャンスです。こちらの防空システムでアークバードの気を逸らしている間にアークバードの現在位置に到達し、無力化ををしてください。その後、特殊部隊を載せたマスドライバーが接近して、内部を制圧して奪還する。時間はあまりないから急ぎで頼みます。>>
なかなかに無茶を言ってくれるな。
小原<<無人機の射出は確認されているか>>
久我中尉<<今のところは確認されていませんが、システム妨害がどこまで通用しているかについては不明としか言いようがない>>
飛んでいる間に来ないだけマシだが、贅沢を言えば確証は欲しかった。
<<こちらクイーン、了解した。陽動はしっかり頼んだぞ>>
それだけ言うとすぐに管制塔から指示と必要な情報が入り、滑走路へと向かった。
滅多にというか普通は戦闘機には使わない補助ブースターを取り付けているが、空母のカタパルトと似ていることだけは頭の片隅に残っていた。
ただ、息苦しくなるから私は苦手だ。
いや、嫌い。
だけど、そんなことを言っている場合ではない。
アフターバーナーを焚いて大空へと飛んだ。
聖グロリアーナ学園艦付近の海域から遠いどこか
連合軍艦隊 ODO
グースフィッシュ艦隊 情報収集艦 オリオン 1号艦 無線調査員 馬場一郎軍曹
チャーチル艦隊との決戦がこちらの優勢に落ち着こうとしている中で通信傍受アンテナがアークバードへ送信されている妙なものを拾っていた。
[DUGPYLRURSKRVBQJ,MAQKRKBSBYDEHKNOKNIY NTRGMMYENTAIBKSWQ]
現在使われている軍用でも民間用の暗号分ではない。
だが、どこかでみたことのあるもので・・・まさか、これは|パープル暗号《外務省用の暗号機B型 通称 : 九七式欧文印字機》*1?
すぐに班長に報告を上げて解読を開始した。
6字と20字に分けて換字して・・・(解読は作者の頭では理解できる領域ではない)
原文:[DUGPYLRURSKRVBQJ,MAQKRKBSBYDEHKNOKNIY NTRGMMYENTAIBKSWQ]
↓
解読1:[SUBETEWOHAKAISHI,ARATANASEKAIWOTUKURU KOREHATENNMEINARI]
↓
解読2:[すべてをこわし、あらたなせかいをつくる これはてんめいなり]
↓
『すべてを壊して、新たな世界をつくる。これは天命なり』
使われていないから解読できないとでも思っていたのかね。
残念ながら過去の暗号文の解読もできるようにコンピュータシステムが記憶しているんだ。
だが、それより発信地点が特定できないのがかなり気になる。
この艦に搭載されているアンテナ類はかなり高性能なものであり、だいたいの通信等を傍受して発信地点まで特定することはできる。
これはローテクならでは・・・というわけではない。
わりと絶妙な電波妨害を発しているせいで発信元がかなりぼやけているけど、これはそれだけ敵にとって重要で隠したいということだ。
特定には時間を要するが、このまま逃がすわけにはいかないから班長の許可を得て集中することにした。
同時に軍事用暗号化無線回線を傍受したが、発信元は不明なようだ。
・・・血の気が引くような思いするとはこの時は知る由もなかった。
小原SIDE
滑走路に入り、エルロンと計器の最終簡易チェックを終えて補助ブースターの点火スイッチに指を置いていつでも離陸できるようにしていると隊長が先にアフターバーナーを焚き始めてF-15E離陸必要距離の中間地点に差し掛かるところで補助ブースターを点火して勢いよくハイレート・クライムで雲の中に入った。
久しぶりに愛機を触って感覚を失っていると思ったが、ピーキーな仕様を使い熟せているから問題はなさそうだ。
F-15とはまた違った操縦性だが、やはり俺はこっちの方が馴染んでいると改めて思った。
スロットルを目いっぱい倒して隊長と同じように大空へと飛び立って補助ブースターの燃料がなくなると切り離して加速を続けていると隊長機を視認にして編隊を組んだところで長門がアークバードについての追加説明を受け終わるところだった。
長門<<なあ、これがただの始まりのようにしか思えない>>
<<やはり、長門もそう思うか。これがなにかを逸らしていると考えられるな>>
奴の悪足搔きは人一倍の厄介さを持ち合わせているが、今はそんなことを考える時間はない。
頭の中でアークバードの大まかな設計を思い出しながらある程度の高度帯になったと同時にスロットルを巡航速度に落とした。
レーダーには無数の点が現れており、真っすぐアークバードがいると思われる位置に向かっていき、すぐに消えていってはまた新たに点が増えていた。
考えてみればアークバードは私の唯一の
時の流れは残酷であり、俺がとことん恵まれていないことを突き付けてきた。
やはり、俺は呪われているんだろう。
天は二物を与えずとはいうけど、俺は一物も与えられなかった。
最高巡行速度でアークバードの推定地点へ到達目前で巨体が見え、増量槽の燃料もなくなったから切り離して機体が身軽になったところでいきなり無人機の射出口が開いた。
<<クイーン、射出口を急ぎで破壊を頼む。無人機は俺が相手する>>
長門<<了解>>
射出された無人機にミサイルと機銃を当てている間にクイーンが射出口を破壊すると同時にレーザーが飛んできて咄嗟に回避してレーザー砲にありったけのミサイルを放って、急降下してアークバードの下に入ってからほぼ垂直状態で上昇して機銃でレーザー砲を黙らせた。
長門<<ブースターを破壊していいな?>>
<<頼んだ。自己防衛装置を黙らせておく>>
今度は上面にあるミサイル発射口と小型パルスレーザー砲塔を素早く破壊してすぐにメインエンジンとエルロンの無力化を手伝う。
ヤタガラス<<こちらヤタガラス、制圧用のマスドライバーが離陸してそちらに向かっている。無力化は終わっているか>>
長門<<自己防衛装置は無力化完了している、動力系統はまだです>>
ヤタガラス<<了解した。あと6分以内に終わらせてくれ>>
<<それまでには終わらせる>>
弱点はあるとは言っても決してそれが弱いわけではないし、攻撃に晒されてもしぶとく生き残れるように作った俺であったけどこの時は少し自分を恨みたくなってきた。
機銃弾は帰りの自己防衛用を残した分を除いて撃ちきり、あとはミサイルが頼りだ。
破壊とは言ってしまっているけど、安全弾による無力化しているだけど判定上は破壊ということになるからそういう言葉で済んでいるけど、自分の作品を壊していることに変わりはないし、色々と思うところはある。
だが、奴に使われるくらいなら壊してしまった方がいいと割り切って最後の補助エンジンを壊した。
<<アークバードはもう飛ばない、安らかに眠れ>>
普通の航空機とは違って地上に着陸できないため、機上整備員を載せたマスドライバーを派遣しない限り破壊判定の関係でこのまま大気圏を飛び続けることになる。
長門<<小原、大丈夫か?>>
<<大丈夫だ>>
奴を止めなければならない。
思ったより奴の行動は早く、これは早急に動かなければすべてが手遅れになってしまうな。
レーダー画面にはマスドライバーと思われる点が現れ、すぐに視界内に入ってアークバードの後部扉へと格納されていった。
ヤタガラス<<作戦完了、ヴィクトリア隊RTBせよ>>
燃料が少なく、聖グロリアーナ女学院の飛行場で給油と機体の交換して帰ることにする。
彼女に会うことは叶うはずもなかったが、少しは姿を見せれたと思えばいい。
聖グロリアーナ女学院 学園内某所
???
SACのワッペンをした隊員に守られながら安全な場所へと歩いていると聞きなれたジェット音が聞こえ、空を見上げると2機が見えていた。
もう2度と見ることはないと思っていたものがいた。
アッサム「あれは」
「
オレンジペコ「ブラックナイト・・・」
漆黒の亡霊がゆっくりと降りてきたところで視界が霞んできた。
ここでこの顔をアッサムとペコには見せまいと少しだけ歩みを速めているとSACのワッペンをした女子が私にハンカチを差し出した。
桐生院少尉<<なにかが目に入ったようだからこれを使ってください>>
「ええ、ありがとうございます」
ハンカチを手に取って目を拭った。
彼に会いたいけど、今は状況が許してくれない。
彼のことだからちゃんと別れてないと思っているが、私は別れたなどとは言わせない。
私はあなたに恋をしているんじゃない、愛しているのだから・・・
特殊部隊を載せたマスドライバーは無事にアークバードに到達してテロリストを一人残らずに拘束または射殺をし、アークバードは制御下に戻ってSG6社の主要幹部および残党の掃討が終わったことで聖グロリアーナ女学院の騒動は閉幕した。
学園内には占拠からの解放されたという歓喜に満ち、全国学園艦連合の平和維持軍の結成が可決されて各学園から部隊が派遣されることになり、これに伴ってSG6社は解体されることが決まった。
そして全学連の監視の下で新たに『グリム社』が設立されてこれまでOGからの強い影響が断ち切り、より健全な組織として生まれ変わることになった。
グリム社は元支援航空隊の生き残りで構成され、信頼を取り戻すべく奮闘することになる。
大会はようやく半分が終わり、戦いが激しくなる。
聖グロリアーナ女学院は解放された。
歴史の流れが大きく変わろうとしていた。
続く
かなり薄い内容になってしまった・・・