GIRL AND COMBAT ZERO ~THE TEENAGER WAR~   作:アルファデッド

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思ったより長引いてしまった準決勝戦の話・・・

本当は1か2話くらいで終わらせるつもりが狂ってしまった。


準決勝戦・・・ 後編

兵頭大尉SIDE

 

 

ヴィクトリア隊と常陸隊の奮闘が無駄にならないよう敵機を引き付けている間に作戦目標であるXB-0の破壊を完遂する。

 

<<対地組全機、やることは分かっているな>>

 

それだけ言って操縦桿を引いて急上昇を始めた。

 

敵駆逐艦<<クソ!来やがった!!総員、対空戦闘用意>>

 

[WARNING] MISSLE

 

警報が鳴り響き、自機のジェット音すら掻き消してしまう勢いだった。

 

多数のミサイル煙がこちらに向かって絶対に殺すマンと化し、メロカ(120口径20mm機関砲を12門束ねる変態CIWS)の曳光弾が進路を阻む壁となっている。

 

さらに接近しないとこのままではミサイルが無駄になるから大破覚悟で突入するしかない。

 

スロットルを少し倒すと機体がミシミシ鳴り、掠ってくる閃光、間近で炸裂する汚い花火や空の曇と変わりないミサイル煙の量が例え大会用の安全弾だと分かっていても怖いと思いながら気持ちが昂ってしまう。

 

悲しいことに傭兵の性であると共にまるで麻薬のようで何物にも代えられないこの雰囲気、快感と高揚感にずっと浸っていたい。

 

バレルロールで飛んでくる飛来物を避けて攻撃目標へ接近するために操縦桿とラダーペダルを絶え間なく動かし続ける。

 

目視で狙えるほどの巨体、いや、巨鳥が見えてきた。

 

今のところレーダー上では誰も脱落せずについてきているところだが、予定よりは少しだけ多く残ってしまった敵の防空能力は些細なことだ。

 

攻撃目標の防空能力が未知数であり、我々の情報部ですら掴めなかったことの方が問題で最大の懸念事項であり、最悪はヴィクトリア隊で片付けるとは言ったものの、それでは我が隊の面子が丸つぶれで常陸隊に揶揄されてしまうことだけは避けたい。

 

4AGMが攻撃目標のエンジン部分を捉えてロックオンし、もう少し引き付けてから放つ。

 

XB-0要員1<<対空戦闘用意! 防空システム迎撃始め!>>

 

しかし、どうやら我々は運がなかったようだ。

 

ヤタガラス<<・・・半分が迎撃された 想定よりもダメージを与えられていない>>

 

窮地にいる中で絶望へと叩き落とされていた。

 

XB-0艦長<<総員、緊急離陸に備えろ! 我々は敵の母艦を叩く 護衛機は直ちにスクランブル発進>>

 

XB-0要員2<<エンジン点火用意 地上整備員を大至急退かせろ>>

 

XB-0要員3<<攻撃の被害を掌握し、即座にダメコンを向かわせろ>>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長門SIDE

 

1機、2機、3機、4機と撃ち墜とし、思うが儘に敵機に喰らいついているうちに相手が恐怖を味わっていることが分かる。

 

動きが少しずつ鈍くなっており、物足らなさを増長させてしまっている。

 

<<まだ喰い足りない・・・>>

 

思わず不満を口に出してしまっているが、ワンサイドゲームで味気ない空戦だから仕方がないだろう。

 

長嶺<<普通ならもうこの辺で満足するんですが、それは・・・>>

 

後ろで何か言っている気がするこど、気のせいで私はただ全力で愉しみにいっているだけだがな。

 

サングリア1<<畜生!墜とせない・・・>>

 

サングリア19<<・・・だ、誰か!誰か!!!助けてくれ!!>>

 

サングリア12<<待ってろ、助けに・・・>>通信途絶

 

やはり、一方的な蹂躙は面白くない。

 

パタパタと墜ちてゆく敵機を一瞬見て次の敵機の食いつこうとしたらレーダー上ではオールグリーンになっていた。

 

常陸1<<申し訳ない、助かった>>

 

<<気にするな>>

 

ヤタガラス<<全機聞け!A作戦は失敗した 繰り返す A作戦は失敗した 直ちにB作戦へ移行せよ>>

 

ある意味最悪の想定が来てしまったか。

 

<<ヴィクトリア隊、了解 XB-0を葬る>>

 

常陸1<<常陸隊、恩の貸付を実施する 全機、鮟鱇隊の救援するぞ>>

 

最大巡行速度でスロットルを倒して増量槽を切り離してXB-0へと機首を向ける。

 

ヤタガラス<<現在の状況を伝える XB-0は緊急離陸のシーケンスを開始 対空兵器は約半分ほどが健在 護衛する艦艇もまだわずかに残っている 鮟鱇隊は敵機に囲われて離脱が困難だ>>

 

雄二<<()()()黙られせれば追加報酬出るか?>>

 

ヤタガラス<<安心しろ、存分に殺りたまえ 一機撃墜につき2万だ>>

 

<<ナイト、分かってるな>>

 

長嶺<<もろちんです>>

 

雄二<<ルーキー、出来るな?>>

 

新兵《ルーキー》<<ま、任せてください>> 掛かり気味のやけくそ

 

綺麗な編隊を組みながらヤタガラスからの追加情報を聞きつつ、まだ終わらない戦いに心が躍っている。

 

誰も指示を出したわけではないのに、なぜか私が|7機編隊《自機を含めたヴィクトリア隊3機と常陸隊4機》の編隊機長にされていたが、些細なことは気にせずに大急ぎで鮟鱇隊の元へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兵頭大尉SIDE

 

[WARNING] MISSLE

 

警告が鳴り止む気配もなく、決して多くはないフレアを節約しつつ細心かつ最大限のマニューバを駆使して機銃、ミサイルと敵機の猛攻を逃れつつ列機、いや、部下たちを優先的に離脱できるように私に引き付けていた。

 

<<クソ、見逃してくれないよな>>

 

少し油断すれば翼やコクピットに弾が直撃する1ミリ単位の操作ミスが許されない世界でスリルと恐怖心が同時に存在して俺を奮い立たせている。

 

(ヴィクトリア隊ならもっと楽々とこの状況を乗り切るだろうな・・・いや、俺はここを切り抜けて生き残って俺もできることを見せてやる)

 

<<俺だってヴィクトリア隊を超えられるように戦ってきたんだ!>>

 

自分を鼓舞するように叫んだものの状況は好天せず、悪化の方向へと転がっていく。

 

ヤタガラス<<注意、XB-0から敵機が発艦した 敵の増援だ>>

 

レーダーにはさらに7機の赤点が増え、脱出が難しくなってしまった。

 

追い打ちをかけるように少数配置されているSu-33が遠目から見ても分かるほどの重武装だった。

 

バルセロナ1<<フレスベルクの怒りを示してやれ>>

 

大量のミサイルを表す点が湧いて出てきたかのように表示され、俺と部下に容赦なく襲いかかっているという現実を脳に叩きつけられる。

 

常陸1<<2000ft以下の高度制限を即時実施せよ!!>>

 

《全機、聞こえたな!!高度を急いで下げろ!!!》

 

躊躇いも容赦もない声だが、今は嫌でも縋りたい一心で列機に指示を出しながらミサイルを躱している数十秒後に2000ft上空が歪んだ。

 

激しい爆発音と衝撃が機体に伝わるだけで終わらず、操縦の主導権すら奪おうとして危うくFOX4(墜落)しかけるが、なんとか醜態を晒すことなく上を見ると撃墜判定を受けた敵機が黒煙を噴いていた。

 

空を歪ませた対ミサイル弾は気化爆弾を小型化した上で威力を調整してミサイルに転用した代物のため、直径50~100mの爆発範囲で2発以上の同時運用を前提とする広範囲兵器である。

 

当然、フレンドリーファイアの可能性が極めて高いが我が隊の練度を信じているとは思いたいが、奴は自分の腕を信じているからできるのだろうな。

 

レーダー上に表示されていた赤点が消えて入れ替わるかのように青点(味方)が現れていた。

 

クイーン《生きてるな? さっさと作戦空域から離脱しろ 兵装に余裕がある機体は我々の露払いを 巨鳥の翼をへし折る》

 

女性でありながら頼もしさを感じると同時に自隊で作戦目標を達成できなかった悔しさが込み上がるが、恩はそのままにしてはおけないと兵装の余裕がない部下を帰して作戦空域に留まることにして少しでも()()に奔走するとしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小原中尉SIDE

 

常陸隊の対ミサイル弾による一掃で一時的な制空権を確保して鮟鱇隊の撤退支援と同時に巨鳥へと食らいついて対空砲火とエンジンの一部を破壊し、もう一度攻撃しようとした時にXB-0から2機が発艦してこちらにまっすぐ向かって来た。

 

見覚えがある赤地に大きな黄色のクロスペイント、J35J(サーブ35 ドラケン)とラファールMの2機・・・

 

エスパーダ1《エスパーダ1よりエスパーダ2へ これ以上やらせるな》

 

エスパーダ2《エスパーダ2、了解 1に続く》

 

エスパーダ隊・・・ちゃんと付き合いが続いててなによりだ。

 

そして、《リア充爆発しろ!》

 

長門《・・・本音が漏れているぞ》

 

おっと、これ失礼してしまったようだ。

 

エスパーダ1《小原隊長!お久振りです。そして、お陰様で4年目です》

 

いらん自慢は今しなくていいから・・・えらいことになるぞ

 

長門《・・・スレイブ1、()()()()()() こいつらにイラッとした》

 

ほら、言わんこっちゃない・・・

 

《お熱いようで結構だが、墜ちてもらうぞエスパーダ、悪いな》

 

エスパーダ2《えぇ・・・》(困惑)

 

オープン回線で会話していることは置いておくとして、腹立つことに変わりはないので美優にXB-0の討伐を任せることにして命令通り向かっていったが、一筋縄ではいかないだろうな。

 

回避能力が支援航空隊内で回避機動の教官を務られるほどであり、自分が知っている中で唯一のカップルでもある。

 

一時期は破局の危機になったりしたが、パフォーマンスを落とされては困ると少しだけ入れ知恵をしたらコーヒーが隊内で大きなブームになるほどのバカップルになってしまった。

 

そんなことはさておいて、ドッグファイトに持ち込もうと考えて間合いを詰めて短距離ミサイルでロックオンして撃たずに心理的な圧迫をかけて墜とす隙を狙う。

 

だが、向こうも自分の目論見は看破しているが、機銃とマニューバで相手のペースに持ち込ませないようにしているが、もう一機が後方に張りついてサッチウィーブに持ち込もうとしていることが分かる。

 

さて、エアブレーキで速度を徐々に落としてオーバーシュートをさせることを狙って追っている敵機には機銃で進路変更かダメージを入れることが出来れば御の字だ。

 

本命は後ろにしつこく追ってくる奴を墜とす。

 

<<ルーキー!ロックオン切り替えはいつでも出来るようにしろ 激しく動くぞ>>

 

新兵<<いつでも出来ます!!>>

 

頼もしい新兵だと思いながらスロットルに手を置きつつ、あと二回の旋回を終えた瞬間に機銃で前方にいるJ35J(サーブ35 ドラケン)のエンジン部分に数発命中させ、一気にスロットルを引いてエアブレーキで減速する。

 

オーバーシュートされた敵機が前に引っ張り出された瞬間にミサイルを放ち、失速寸前まで速度を落として急降下姿勢で150度の左旋回をし終え、エンジンに火を再び灯した。

 

<<今日()墜ちなかったことに感謝だな>>

 

新兵<<・・・命がいくつあっても足りませんよ>>

 

正論だが、俺みたいに空に魅了されて己の王国という居場所とし、己のアイデンティティがそこにしかないと定めてしまった者たちの性だ。

 

<<俺と彼女くらいだよ・・・こんな無茶な飛び方をするのは>>

 

聞こえるかどうか分からない声で残った方のJ35J(サーブ35 ドラケン)に襲い掛かり、逃げ待っていたが手負いの機体では限界があり、あっという間に撃墜して何機かも次いでにやってからXB-0の破壊へと戻ったが、とても美優が一人で与えたとも思えないくらい煙を吹き上げていた。

 

しかし、凶鳥はまだ飛び立とうと必死に藻掻いて残り少ない対空砲で弾幕を張ってエンジンを離陸準備に専念している。

 

長門<<敵機を引き付けておく、止めを刺してやれ 実質対地に飽きた・・・>>

 

<<了解>>

 

美優は対地はあまり好きではないが、仕事だからと仕方なくやっていることは知っているから特に文句なくXB-0のコクピットがある先端に対して向かい合わせになるように大きく旋回し、スロットルを倒して対空砲火をくぐり抜ける。

 

すれ違いざまに放たれたミサイルがコクピットに直撃した同時に残っていた僅かな敵機がすべて墜とされたと同時に試合終了の電文が伝達され、損害をそれなりに出したものの決勝戦に進むことが確定した。

 

あと決勝戦かと思うと同時に一抹の寂しさと嫌な別れが着々と近づいていることを感じつつ、帰りの燃料を補給するのに近くで待機している空中給油機へと向かう。

 

<<よう()()、まだ生きてるか?>>

 

長門<<ああ>>

 

それ以降はなぜか一言も交わさなかった。

 

ここからある意味心の中で俺のやるべきことと別れたくないという気持ちが交差し、鬩ぎあっていた。

 

そして、たぶんそのすべてがバレているのだろうと思っている。

 

(俺も脆くなったもんだなぁ・・・()()()

 

 

操縦桿を持っている手が微かに震えていた。

 

 

 

 

 

 

長門SIDE

 

なぜだ、準決勝に勝ったというのになぜか喪失感のようなものがあるんだろう。

 

ここ最近は嫌な夢を見ているせいだと思うけど、やけに現実感があってそう遠くない未来のように感じさせられている。

 

(雄二、お前はなにを考えている・・・ 頼むから離れないでくれ 君が去りそうな雰囲気をなんで醸し出している)

 

病気的な意味ではない胸の痛みというのかは分かりが、雄二が隣にいない日常が日に日に考えられなくなっているのがヒシヒシと分からされる。

 

これが恋、いや、違う、そんな軽いものではなく、愛と言った方がしっくりくると同時に彼の彼女だった()に嫉妬してしまった。

 

少し今日の飛びが覚束ないような感覚になってしまっている。

 

(頼むから()()()()()()()()()()()()、神よ)

 

自分らしくない考えを浮かんだことに驚きつつ、給油をして帰った。

 

続く




昨年の交通事故やメンタルダウンで筆が乗りませんでした。

本当にすみませんでした。

なるべくすぐに再開できるようにします。

よろしくお願いいたします。
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