蒼き鋼のアルペジオ 光速の駆逐艦が征く   作:ニャモししゃもじ

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今回は殆ど艦長視点です。


再会

「指定された座標までもうちょっとだな」

 

俺は甲板の上で潮風に吹かれながらそう呟いた。にしても、やはり冷たい風に吹かれるのはいいものだ。

ただ一つ不安なことがあるんだが……

 

「さっきから陸に向かってる気しかしないんだけど……これ本当に大丈夫なのか?」

 

もう既に千早群像達が動き出してたら普通に死ぬし、禁じられている陸への攻撃とみなされたら霧にやられるし……

でもそれ以外にやることないしな〜

 

「まぁ、一応わかりにくそうな位置だし、大丈夫か。うん?新しい指令?」

 

え〜っと?200海里以内に入る前に潜航せよ……は?潜航しても同じなのでは?やるけど。

てかこれって、200海里に入る前ってことは今からでもいいんじゃね?

 

よし、やろう。どうせこれも念じるか言えばなんとかなるだろうし。

 

「急速潜航」

 

俺がそう言えば、指示に従うようにどんどん沈んで行く駆逐艦シマカゼ。ほらね、思った通りだ―――ん?そういえばここ甲板じゃね?

 

「まずいまずいまずいマズい!」

 

俺は大慌ててで艦内に駆け込んだ。劇場版でアシガラが海中に突っ込んでもゴボボとか言いまくってるだけで問題は無さそうだったし、ナチに言われてフィールド張ってからはそれも無くなったとはいえ、人として生身で海中に入るとか普通に御免被る。

 

「ふぅ、なんとか間に合ったな……」

 

とりあえず艦橋に上がろう。話はそれからだ。

そう思うと同時に意識が一度拡散し、再び元に戻った。

え、何?そして何時の間に艦橋に?今のは一体……?

 

俺が突然の出来事に思考停止して呆けていると、思考回路に情報が流れ込んで来た。

何々?『仮指定目標地点到達まで残り300秒』、か。どうやら思ってるよりも早いみたいだな。

 

「………海の中って、こんなに静かなんだな」

 

改めて実感して呟くと、どこか寂しく感じる。いつも俺の周りにはアイツがいたからだろうか………アイツ、元気にやってるかな……

 

そんなことを思っていると、頭の中にこうなる前の記憶が表示される。アルバムみたいな感じに。

しんみりとした空気のまま一つ一つ見ていると、先程感じていた物寂しさが倍になり、見なければ良かったと後悔した。

 

――――――――――――――――――――――――――

★☆★☆★

 

いきなり発生した地震に襲われて、倒れてきた電柱に潰されたと思ったら幼児になっていた。何を言ってるかわからねぇと思うが、俺もわからねぇ……マジでどうなってんのコレ?

 

あれか?転生?転生なのか?神様を名乗るジジイとか会ってないけど転生で合ってるのか?

そして気が付けばずっと持ってるこの紙はなんなんだ?

 

「………ふつうにかんがえてあやしすぎるんだが……きになるし……みるか」

 

え〜っと?『すまん!お主を手違いで殺してしまった!』おいいきなり物騒な始まりだな……まぁいいや。

 

『本当はお主はまだまだ生き、94歳で老衰によって死ぬ筈じゃったのじゃが、儂の部下がお主の書類を間違えて燃やしてしまったのじゃ!

部下のミスは上司のミスということで、お主を転生の間に呼んだのはいいが、何時まで経っても目覚めぬのでやむを得ずお主が深層心理で考えた“蒼き鋼のアルペジオ”という世界に送らせてもらった。

 

転生特典なども聞けておらぬ故、この手紙の最後に特典を書く欄を用意した。書けば特典はお主のものになるが、変更は出来ぬので慎重に考えた方がよいぞ!

あと、特典を何時何処で受け取るかの指定も可能じゃ!

 

⚠一度決定してしまえば変更は不可能です!⚠

 

―――――――――――――――――――――――――

神より』

 

…………思いっきり“転生”って単語出てたな。ってことは俺マジで転生したのか……でもなんか実感湧かない、転生なんて所詮は妄想でしかないと思ってたからか?

 

にしても、この転生特典を書く欄らしき線の上にある文字のインパクトが凄い……絶対見ろよ!的な意思を感じる……

特典を書けって言われてもな、この世界がアルペジオの世界ならそんな簡単な問題じゃねえんだよな。欲しいのは決まってるけど………えぇい!もうどうとでもなれ!

 

⚠一度決定してしまえば変更は不可能です!⚠

駆逐艦シマカゼを士官学校入学後に

―――――――――――――――――――――――――

 

俺が別に“海洋技術総合学院入学後”と書かなくても士官学校だけでわかるだろうから絶対入れるだろうとか狡賢い考えを膨らましていると、手紙が光輝いた。眩しいなオイ。

ってあれ?書いてあった文字が全部消えた……?

 

……とりあえず、当面の目標は海洋技術総合学院に入って千早群像達と交友関係を持つことになりそうだな。

 

 

 

 

 

なんて考えて勉強を始めたのがちょうど14年前になる今日だったな。いや〜、ここまで長った。なんて言う俺は今18歳である。

 

ちなみに、あながち嘘でもないが人類のために戦いたいと言ったら即勉強漬けの日々になったのにはキレたりしてたりする。

その時はお前らそれでも親かよぉ!?ってマジで思ったな。まぁ幼児の頭ってスポンジレベルで情報吸い込むからなんとかなったんだけども。

 

「だが、まぁ、ようやくここまで来た」

 

俺は書かれた文字が変化した紙とスマホを取り出し、書かれている座標と現在地の座標を確認した。間違ってはないな。

これに書かれてる時間が正しいならば、後3、2、1……ザバァァァン!!>お、おぉ……!

 

「こりゃすげぇな……」

 

激しい水飛沫を上げながら俺の目の前に姿を表した青紫色の船体にバイオレットカラーの光を灯すこの駆逐艦は、第二次世界大戦で活躍した駆逐艦“島風”の姿を模している。つまり、こいつが俺の相棒となる駆逐艦シマカゼということか。理解したら急に興奮してきた……!

 

え、これ乗ってもいいんだよな?俺の艦だし……

そう思って一歩近づくと、目前の駆逐艦から実に見覚えのある顔をした黒いセーラー服に身を包む一人の金髪美少女が降りてきた――ってうん?駆逐艦って演算領域の問題でメンタルモデル持てなかった筈じゃね?………見間違いじゃ、ないね…。

 

「えっと、お前がシマカゼか?」

 

なんとか声震えなかったけど……興奮しまくってんのバレてるかな?

 

「………そう、私がシマカゼだ。人間よ。その上で問おう、お前が私のマスター(艦長)か?」

 

………聞き間違いじゃなければ今俺は霧の駆逐艦に有名な某運命のネタを投げかけられている。調べたらこの世界にもあったけど、霧がネタを口にするって………

などと考えるだけで返答をしなかった俺に痺れを切らしたのか、シマカゼは若干苛立った口調で言った。

 

「お前が艦長じゃないなら帰るぞ」

 

「待って、本当に待って!?俺だよ、俺がお前の艦長だよ!」

 

流石に声を上げる俺。当たり前だよなぁ!?せっかくの相棒をみすみす逃がすとか有りえないから!!

 

「……そうか。チッ、嫌な予感が的中したか…!だがまぁ、これはこれで好都合だな

 

ん〜?シマカゼちゃん今なんか舌打ちしてなかった?後半は何言ってたのか聞き取れなかったけど………

俺が多分微妙な顔をしていると、シマカゼは俺を艦に乗せようとして来た。

 

「って何やってんの!?」

 

「………?艦長なんだろ?」

 

お前こそ何踏ん張ってるんだ?的な目で見られてるけど、万一にも俺が間違えている可能性はない……筈。だって俺まだ学生だし。

 

「確かに艦長は俺だが、俺まだ学生!まだ学ぶ立場なんだよ!心配しなくてももうちょっとで起きる筈の火災起きたら乗るか、ら……」

 

俺はしまったと思った。何故なら前に立つシマカゼの目が怪しく光ったから。

けど何故かこういう時感じるであろう冷たい空気は感じない。というか、なんか……

 

「やっぱ、()が知ってる当真で合ってんだな。安心したわ」

 

急に機械的な表情から人間的な優しい表情に変わった……

あれ?この雰囲気ってまさか………いや、待て待て。ありえない……あり得る筈がない……

 

「お前も転生したんだな」

 

聞こえない聞こえな〜い。微笑んでる金髪美少女の声なんか聞こえませ〜ん。

 

「話聞かんかいワレェ!」

 

「ひでぶ!?」

 

コイツ、殴りやがった!親父にも殴られたこと………あったわ。前世でも今世でも何回も殴られたわ。

それにしてもいきなり殴るのは酷いんじゃないんですかね!?

 

「お前が話を聞かないのが悪い」

 

「心読むなよ……なんで読めるのか知らないけどさ」

 

だがまぁ、これでハッキリしたな。

 

「そんじゃまぁ、今世でもよろしくな。相棒?」

 

俺がそう言いながら手を差し出すと、シマカゼはニヤリと笑って俺の手を取った。

 

「こちらこそ、よろしくな」

 

俺とシマカゼはお互いの手を強く握り、笑いあった。

 

 

 

「でもお前だとわかった以上、俺はお前を艦長とは認めないからな」

 

………。シマカゼ、空気読め……




駆逐艦シマカゼのスペックなどはまた後程ご紹介します。
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