蒼き鋼のアルペジオ 光速の駆逐艦が征く 作:ニャモししゃもじ
俺はヒエイがやっていたみたいに艦橋の上に乗りながら戦術ネットワークにアクセスしていた。理由は一つ、暇だったから。
「今の所は戦術ネットワークのデータの更新も行われているな。まぁ、もうじきに使えなくなるだろうし、この先重要になるであろうデータを抜き出せるだけ抜き出して保存しとこ」
アイツの言う通り千早群像らは今日、というかこの後に第4施設での研修に入り、原因不明という名の新たなる指揮官の適正を持つ天羽琴乃を求めた霧のポカが元凶の火災に巻き込まれて天羽琴乃は死ぬ。
そして数週間後にイ401のメンタルモデルであるイオナが現れ、千早群像は彼女と共に海に出る。
それら全ての始まりを見たいのは山々だが、艦長から合図があるまでは待機しておけと言われたから待機しておくつもりだ。時間的に今は見学中かな?と思いながら一言呟く。
「それにしても、まさか群像達と友人と言われる関係にまでなるとは……」
これは単純にアイツ頑張ったんだなっと思う。なんでも成績は基本4位を陣取ってるらしいし。前に基本?と聞いたらシマカゼのこと思い出すと勉強に集中出来なくなって、たまに8位まで転落して群像達にも呆れられるって自信満々に答えられてこっちも呆れたが。少しは緊張感持てよって何度思ったことか。
そう言えば、あの後言われて始めて気付いたが、シマカゼのメンタルモデルの容姿は俺が好きなゲームの島風のそれだった。まぁ、だからなんだという話でもあるのだが……だって中身俺だし……
「見つけた」
そんなことを考えていると、思考の片隅で探していた今一番求めている情報が入っているであろうファイルを発見したので、俺は早速見つけ出した情報を閲覧することにした。
「総旗艦ヤマト……アクセス権限が必要?そんなのあったっけ?」
割と時間をかけて見つけたけど、一介の駆逐艦にそんな権限持たせる訳ないしな………あーあ、また振り出しだ。
大海戦時にムサシによって既にヤマトが沈められているのならばこの世界はアニメ版だとわかるんだけどな……見れないなら諦めるしか無さそうだ。レーザーと実弾で見分ける術はプラズマの方も出来たから諦める他無くなったし……αコアのメンタルモデル“コトノ”がいるかいないかでもわかるんだが、それも同じようにただの駆逐艦には知る由もないだろうしな……
「はぁ、結局この世界が漫画基準かアニメ基準のどちらかを知るという目的も、暇を潰すという目的も潰れたな。これからどうしたものか……」
泳いでる魚見るのも飽きたし、侵食魚雷とか侵食弾頭の仕組みは見るだけでげんなりとするし、マジで何すればいいんだろうか……
「……そうだ。ナノマテリアルで工作しよう」
結局俺が辿り着いたのは、後で絶対に怒られるナノマテリアルと演算領域の無駄使いだった。
いやでも今は戦闘中でも無いし、暇で暇で仕方ない俺とは対照的にアイツは群像達と楽しい学校生活を送っているんだからこれくらい許されるだろう。というか、許さないなら殴る。
おっと、そんなことを考えていたら俺がアイツを殴る像が完成してしまった。ふむ、これはいい。アイツがたまに見せる間抜けな表情も、俺の腕がアイツの頬にしっかりと食い込んでいるのも考えた通りだ。
一つだけ不満なのは俺の姿がシマカゼなところだけだな……まぁいい、とりあえずこれは傑作だからファイルに保存しよう。
……よし、保存が終わったからこの像は消して、今度は駆逐艦シマカゼを作ろう。
俺がそう思うと同時に目前に駆逐艦シマカゼの画像と各種スペックが表示されたモニターが出現した。
……この体になってから割とあるんだよな。合ってるけど、なんか違うっていうコレ。
像の作成は考えるだけで出来るから、見よう見ようと思いつつも見てなかった本艦のスペックでも見てみるか。
全長:129.50m
全幅:11.20m
喫水:7.02m
排水量:3506t
速力:80kt
メンタルモデル:G-1シングルコア1基
機関:重力子エンジンS型改70基
:重力子エンジンT型3基
最高速力:111kt(リミッター有り)
:444kt*発動後エンジン効率大幅にダウン
テスト深度:820m
センサー:ソナー(音響/重力子アクティブ/パッシブ)
:フェードアレイシステム
:複合センサー
:外部カメラ
装甲:強制波動装甲
武装:127mm/140mm複合アクティブターレット×3
:523mm魚雷管×15(水面下×30)
:127mm荷電粒子砲×6
:25mm3連装砲パルサーガン×4
:13mmレーザーガン×2
:垂直発射装置×32
:対艦ミサイル×10
:誘導魚雷管×2
:パッシブデコイシステム(使用不可)
うーん、やっぱりユニオンコアはシングルだったか。もしかしたら総旗艦の資格を持つ大戦艦級以上に搭載されるデルタか、一部のみが持つデュアルだったからメンタルモデルを構成できたのかもしれないと思ったんだがな……
こうなると中身が人間だからだとしか考えられなくなってきた……でもそれ以外の可能性が考えつかないし、恐らくそういうことなんだろうな。うん。
やる気が削がれた俺は無理矢理そう納得し、艦橋の上に寝そべった。最高速度やら何やらは今は気にしない。
「………群像とイオナが海に出る日は劇場版でアシガラがやったダイナミック入水をやってみたいな。まぁ、駄目だろうけど」
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★☆★☆★
「クッソ!なんでいきなり火災なんか起こるんだよ!」
俺は炎が轟々と燃え盛る施設内を走り、僧達を助けるために地下に向かっていた。
「確かに妙だが、今はそれどころじゃない!」
隣を走る群像にそう言われ、改めて今の状況を確認した。確かに、文句言ってる暇は無いな。
「俺は右に行く、当真はそっちを頼む!」
「あぁ、任せろ!」
地下に降り、暫く走ると分かれ道があったので、群像と俺は別れ、要救助者達を探す為に再び走り出した。
「誰か!いないのか!?いたら返事してくれ!」
原作通りならば助かるのは確定しているが、俺とシマカゼという異分子がいる以上、バタフライエフェクトが発生している可能性がある…、もし俺達のせいで僧が死ねば……いや、そんなことを考えるのはやめだ。今は探すことに専念しよう。
救助を行いながら捜索を続けていると、琴乃からもう要救助者はいないという連絡を受けたので、俺は外に出た。
「おい、琴乃は……?」
俺がそう聞くと、一度歯を食いしばって顔を歪めた群像が入口に向けて走り出した。
「やめるんだ群像!」
「うるさい!!離せ!」
こんなにも荒れる群像は見たことがない。だが、救助活動で忘れていたがよくやく思い出した。琴乃はここで死ぬんだったな……俺が察して項垂れていると、群像が俺に目を向け叫んだ。
「当真!まだ中に琴乃がいる!!助けに行ってくれ!!」
「行っては駄目だ!!」
群像の叫びを掻き消すように僧も叫び、二人とも俺を見る。俺は崩落しつつある入口に目を向けた。そして一歩踏み出そうとすると、僧が悲痛な声を上げた。
「群像、当真……もうやめてくれ……頼む、頼むから……」
「っ!クソッ!」
その声を聞いた群像と俺は僧を見て、群像は暴れるのをやめ、俺はまた項垂れた―――
そして、あれから3週間が経過した今、俺は旧倉庫区画にて群像とイオナの会話を聞いていた。
ある程度まで話が進んだのを確認して聞くのをやめた俺はその場を後にし、シマカゼと決めた合流地点へと急いだ。
「やっと来たか、待ちくたびれたぞ」
シマカゼは既に船体を浮上させた状態で俺を待っていた。言葉とは裏腹にその顔には笑みが浮かんでおり、興奮を隠しきれないという様子だ。やっぱり、コイツは霧よりも人間の部分が強いんだな。
「悪かったよ。でももうこれでなんの未練も無く出れるわ。退学届叩きつけておいたしな」
「………まぁ、もう戻らないから合ってるけど。必要だったのか?」
「あぁ、これは俺なりのケジメさ」
シマカゼが一度額に皺を浮かべかけたが、すぐに何時もの表情に戻し、俺に問いを投げて来たが、俺はしっかりと応えた。
「ならいい、乗れ」
俺の答えを聞いたシマカゼは階段を作り、甲板の上に上がった。てか、もうクラインフィールドで階段作れるくらいになったんだな……
そして、艦橋に上がった俺は艦長席に腰を降ろし、シマカゼは俺の隣に立ち、こう言った。
「こっちの準備はとっくの昔に完了してるから何時でも出れる。後は
「っ!……ああ!シマカゼ、発進!!」
俺はようやくコイツが俺を艦長と認めてくれたのかと嬉しくなり、何時もよりも大きな声を出した。
スペックは他の艦のスペック一覧と駆逐艦島風のスペックを基にかなり適当に考えたものです。
444ktという頭のおかしい数値なのは、抵抗を極限まで減らしたハグロが300ktなのでさらに上にした結果です。
ですが書いてある通り、最高速度に達して暫く光速移動を行った後はOOのTRA○S−AM後のような状態になるので、色々考慮するとハグロの方が上となります。
次回から数話の間オリジナル展開を挟みます。