蒼き鋼のアルペジオ 光速の駆逐艦が征く   作:ニャモししゃもじ

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もっと良くしようとしたのですが、文才の無いこの頭ではこれが限界でした……


拠点

自分で言うのもなんだが、初戦闘で見事勝利を収めた俺達は上機嫌で八丈島に向かっていた。

上機嫌にはなってるが、俺も当真も警戒はしてるから多分大丈夫だろう。

ただ、油断するとすぐ死ぬ危ない世界だから気を抜けないというのが少し悩ましいとこでもある。

 

そんなことを考えていると、不意に当真がこっちに視線を向けた。

 

「あとどれくらいだ?」

 

あとどれくらい……現在地と目的地の距離を検索……このままの速度で後23分くらいか。

 

「このまま何事も無ければ23分ほどで着くな」

 

幸い進行方向に霧の反応は見当たらないし。

 

「何事も無ければ、か……」

 

そう言って厳しい目をして進行方向に視線向けるのはいいが、本当に何も無いと思うぞ?てか、また戦闘とかあってたまるかって話なんだが……そうだな、ちょっと冗談でも言ってやるか。

 

「なら潜るか?海中なら少しだけでも気は楽になるだろうさ」

 

これで結局レーダーで見つかるだろなんだの言って来れば暫く話す内に元に戻るだろうか「そうだな……潜航」ら?

 

「どうしたんだよその顔……てか、お前から言ったのになんでお前が驚いてんだよ?」

 

「あ、うん」

 

と、とりあえず言われた通り潜航しよう。考えるのはその後でも問題無いし。うん……

そう無理矢理納得しながら海中を進んだ。

――――――――――――――――――――――――――

そろそろか、もうここまで来たら浮上しても良さそうだが………悩ましい顔をしているところを見るに、まだみたいだな。

一体何時まで潜航する気なのやら……ちょっと聞いてみるか。

 

「なぁ、何時まで潜航してるつもりなんだ?」

 

「そうだな……周囲に霧の艦艇は?」

 

「いないに決まってる。それにもしいたら迂回するなりなんなりするわ」

 

それ以前に報告するしな。

 

「そうか、なら浮上だ」

 

「了解」

 

当真の命令に従って艦体を浮上させた俺は、万が一を考えてソナーに反応が無いか確認したが、潜水艦などはいないと確信し、ソナーから意識を移した。

 

「あれが八丈島か」

 

「思ってたよりもデカい……」

 

前者が当真で後者が俺である。なんというか、デカかったのだ。衛星写真で見た限りではそこまで広く無さそうに見えたのだが、普通に広い。

 

「この島にも港はあるだろうし、そこに行くぞ。地下ドックは無いだろうがな」

 

当たり前だろ。こんな絶海の孤島に等しい島であんな地下ドックある訳ないし第一あったら逃げるわ……

 

崩れたりして道が狭まっており、一瞬通れるのか?と心配になったが、駆逐艦だったのが幸いして入港することが出来た。

二人で艦から降りると、不意に当真が港全体を見回して言った。

 

「ここに地下ドックの入り口を作ると考えると、ちょっと狭いな」

 

「確かに、横須賀の地下ドックを再現するとなると狭いかもな」

 

この港の拡張作業以前にまずは発電設備の設置諸々やらなきゃいけないからそれに取り掛かるの当分先だと思うがな。

それに防衛機構は優先する必要もあるし、何より資材も必要だから資材回収して来ないといけないし……

 

こうして考えると、一体何ヶ月かかるのか想像着かないな……幸いにもこの島付近の海域にナノマテリアルの鉱床があるのでちょっとは楽になるとは思うのだが、決して多い訳ではないから全部終わった後に残るか微妙なところなんだよな……

 

「とりあえず、何するんだ?」

 

段々思考が暗い方向に進み始めたので、頭を振って当真に質問を投げかけた。

 

「まずお前はナノマテリアルを集めて来てくれないか?その内に俺は少し島内を見てくる」

 

二手に別れて行動。その内俺の役目ナノマテリアル集め……ならコイツを渡しておくか。

 

「ほれ」

 

「おっと、なんだこれ?」

 

「無線機、人間サマからちょっと頂いて来たやつさ」

 

俺の言葉に当真は物凄く微妙な表情をしたが、全く気にする必要は無い。だってその無線機の元の持ち主はテロを企んでいたのだから。

 

「……後で返してきたほうがいいやつか?」

 

「返さない方が日本の為だし、そもそもどうやって返すつもりだ」

 

疑問に満ちたという表情で返した方がいいかなんて聞いて来たのでそう返してやった。

 

「そうか、じゃあ頼むぞ」

 

「おう!…あ、待って!」

 

煮えきらないという顔で歩いて行こうとする当真を呼び止めた俺は、当真に駆け寄って少し大きい人形のようなもの――ちびシマカゼを二人手渡した。

 

「これって……」

 

もう既にわかっているようだな、流石だ。

 

「ちびシマカゼだ、シマカゼ2号は演算が追いつかなくて流石に無理だったからこれで我慢してくれ」

 

「あ、ありがとう」

 

さて、当真も行ったし、ナノマテリアル回収行って来るとしますか。

まずはちょちょいとボート作って、オールも作って、後は海に出てナノマテリアルを積めるだけ積んで入らなくなったら港――ではサイズ的に無理そうだからに海岸辺りに行って、ある程度貯まるまで繰り返すだけだな。

 

「よし、それじゃ出航〜」

 

俺はボートに乗り込んでオールを漕ぎ、海に出た。

――――――――――――――――――――――――――

多分必要な量のナノマテリアルは揃ったし、そろそろ戻るか……ちなみにだが、結論から言うと、せめて気分だけでも良くしようという試みは全て無駄だった。

何故なら、どれだけ楽しくしようとしても、人類の頭脳を軽く超える我がユニオンコアが勝手に残り回数を算出してしまうのだから。

あの心が疲れ果てていた時に無慈悲に『残り:79回』と表示された時の絶望は二度と御免だ……

 

「と言っても、もう終わったから今凄く清々しい気分なんだがな!アハハハハハ!」

 

嬉しすぎて笑いが止まらないのだが、何時までもこれでは駄目だと思って感情コントロールに制限をかけると一瞬で高揚感が収まり冷静になった。

多分顔もイオナみたいな無表情になってると思う。

 

 

結局そこから無心でオールを漕ぎ続けて行くと、ものの数十分ほどで八丈島に着いた。

ある程度までボートに乗りながら進み、足が着きそうなところまで来てからは歩いて押した。

 

「後はこれを持って行くだけ、だがその前に向こうの確認をしておくか」

 

俺は無線機のボタンを押すと、すぐに返事が来た。

 

『なんかあったのか?』

 

「いや、こっちの作業が終了したから連絡したんだが、どうだ?」

 

『あー、そうだな。ひとまず仮拠点と崩れてた港の整備は出来たな|

 

仮拠点と聞き、普通に考えてそれくらいかと考えた俺の耳に、衝撃的な一言が聞こえて来た。

 

『それと、片方だけだが発電施設も完成したぞ(・・・・・・・・・・)

 

「そっか、頑張ったな―――え?」

 

『ん?どうした?』

 

聞き間違い……だよな?もう一度聞いてみよう……

 

「発電施設が完成したって言ったか?」

 

『あぁ、労力や資材の関係上、今設置出来てるのは西山だけだけどな』

 

………一瞬耳を疑ったが、どうやら聞き間違いでは無いようなのだが、一体どうやって……普通の人間の体ではまず耐えられない筈なの……まさかっ!?

 

「おい、まさかだがちびシマカゼ使ったか?」

 

……ほぼ確定だと思うが一応聞いておくとしよう。

 

『よくわかったな。なんでだ?』

 

やっぱりか。

 

「あんな環境に防護服もないただの人間が耐えれる訳ないだろ。そう考えたらちびシマカゼという結論に至るのは至極普通だ」

 

『なるほどな。とりあえず続きは後にして、港に戻って来てくれないか?仮拠点はそこに設置したからさ』

 

仮拠点は港に置いたのか。海から少し離した方が安全ではあるが、仮拠点だしまぁ妥当か。

 

「わかった、これから向かう」

 

『了解、助けはいるか?』

 

「……往復すればなんとかなるが、時間が惜しい助けてくれ」

 

『わかった。今どこだ?』

 

「そっちのちびシマカゼに位置情報を送る。ちびシマカゼの案内に従って来てくれ、その間に俺も動いておくからさ」

 

『わかった』

 

さてと、ちびシマカゼ1号に位置情報を送信して、こっちは回収したナノマテリアルから台車を4台作り、その内の一つに残りのナノマテリアルを積み込めるだけ積み込み運び始める。

 

 

俺は日が暮れる前には終わらせたいと思いながら台車を押し続けた。




数話とか言いましたが、次回から原作に突入しようと思います。

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