タイトルの意味は……文字通り、としておきます。
では、本編へどうぞ。
CLOWN達の仕掛けた第2ラウンドを退けたレオン達。
その戦闘では矢張りレオンが初遭遇のB.O.W.相手にも無慈悲な無双でB.O.W.を逆に翻弄し、デルタチーム2人の息のあったコンビネーションによる脅威度の高いグリゴリやネフィリムの早期撃破、そしてゆかり達の援護射撃と、マキが呟いたB.O.W.を素手で殺すを弾が勿体無いからとCLOWN達のゲームに完全にキレたのか犬型B.O.WのエンゼルやハンターGにネフィリム、そして中型B.O.W.で迂闊に近付けば針飛ばしでウィルス感染させられてしまう此度のバイオハザードの元凶グリゴリをキックやパンチで吹き飛ばして踵落としで頭を潰し、グリゴリに至ってはドロップキックを顔面に当て怯ませた後体勢を直ぐ手直しながら魔改造ハンドガンで瘤に付いた目を潰しながら足払いをして転ばせたら瞬間顔面に地面が衝撃で陥没する強烈な追い討ちパンチを食らわせ、虫の息の所にアサルトライフルで止めを刺し、グリゴリの特徴たる針飛ばしをさせないままほぼ殴り、蹴り殺すと言うレオン曰く「怒った女は矢張り怖いな」と彼の口から冗談混じりで出る等、茜の『本気』にレオン以外の全員はこの中で同じ事が出来るのはレオン位だと共通認識を持ち、マキやB.Y.はオメガ1の実力を何度も見て来た為、敵に回せば下手なB.O.W.よりも驚異度が高過ぎるが味方に回ればレオン並に心強いのだと改めて思い知っていた……しかしマキは矢張り茜が、A.B.F.が自分の仲間達を絨毯爆撃等で殺した事を未だ割り切れず、本当の味方とは未だ認識しきれず何時でも脳天を撃てる様に警戒心と不信感を隠さずにいた。
そんな2人の下手な仲介は逆に今の連携を崩してしまう為時間による解決と言う当たり障りが無い対応で2人の衝突を避けていた葵達は、2度の襲撃によりマキがまたアサルトショットガンを破損させたり、葵のUMPがジャムを起こしてしまい応急修理をして一応使える状態にし、しかし何時またジャムが発生するか分からない状態の物を使い続ける羽目になり直ぐに変えなければならないが、2度の襲撃によりチャーリーチームが寄越してくれた武器弾薬が一気に消費されてしまい、代わりの銃も限りがある為そんなに取っ替え引っ替えが出来ない状態でもあり葵達はレオン達と合流し武器弾薬の調達が出来たにも関わらずたった1日で再び武器弾薬不足の危機に直面し始めていた(その割にマキがアサルトショットガンを2度も壊しているが割愛)。
そしてPM21:28、戦闘組で現在部屋の真ん中で元から持ってた自前の武器を含めた武器弾薬の残りを並べ、更にチェス盤も用意しながらレオンを司会に話し合いを開始していた。
「……残った弾薬は12ゲージ弾が36、俺とB.Y.とマキとセイカで使うから9発ずつ、スラッグ弾も同様に9発ずつ、但しアサルトショットガンの予備はもう2丁しかない。
7.62×39mm弾はアカネしか使わなかったから結構余裕があると思ったが、ダブルタイプな上にロングマガジンだから弾丸の消費が予想以上に激しく3マガジン分が残っただけマシな方、.40S&W弾は1人しか使わないから未だ余裕があるが、そもそもアオイの銃がジャムを起こしてポンコツになり掛かってる、UMPの数も残り2丁だから余裕がある様に見えて此方も余り無い。
セイカの使うFN P90の弾である5.7×28mm弾も残り2マガジン分、アンチマテリアルライフル用の12.7×99mm NATO弾もこの2回の襲撃でかなり使わされ、屋上にハンターが飛び込んだ際にユカリ、アカリは護身用のサブマシンガンやハンドガンを使わされたりもした。
そのアカリのドラグノフ(セミオートスナイパー)用の弾丸である7.62×54mmR弾もユカリの残り弾数並に少なくなり、そして.45ACP弾はアカネとアオイしか使わないからかなり余裕があるがユカリのサブマシンガンを含めて9×19mmパラベラム弾は俺達の殆どが使うからかなり多めに持って来たが、もう全員分を分けたらそれぞれ3マガジン分しかなく、今銃に込められた弾も中途半端………ハッキリ言おう、俺達は後1回、今日立て続けに起きた2回の襲撃と同じ規模かそれ以上の襲撃があればその時点で弾薬は全て枯渇し、護身用のナイフ1本だけで戦わされる羽目になる。
つまりは俺達は上手く立ち回ったが、相手が反則の隠し駒を何度も使った結果此方はチェックを掛けられてしまった状態な訳だ」
レオンはそれぞれの弾丸を確認し合い、全員がそれに頷きながらマキはもうアサルトショットガンを何時もの様に使っちゃダメだと感じていよいよ慎重に使う様に心掛け、葵は何時でも故障しかねないポンコツ銃を使い続けて使えなくなった瞬間に予備に取り替えなければならないと頭で考え、更にレオンがチェス盤で自分達8名の白駒(茜の提案でレオンがクイーンになり、ビショップはマキとB.Y.、ルークが葵とセイカ、ナイトはゆかりとあかり、茜はレオンをクイーンと言う役割が多過ぎる大役にした事に対する彼からの腹いせにクイーンにプロモーションしたポーンにされ、非戦闘員の生存者達をキングに見立てている)を並べてCLOWN側の黒駒を次々と取っているが、その黒駒が取った後に次々に配置され、2回の戦闘から算出したそれぞれの動きを反映させた結果、現在白駒が取ったら配置される黒駒に取り囲まれ、身動きが取れない状態と化しキングに黒のポーンやナイトが近付きチェックメイト寸前である事=もう抵抗手段が無くなり掛けている事を分かり易く伝えた。
これにはマキやB.Y.も頭を押さえてしまいゆかり達は静かに目を閉じ、セイカはビールを飲むスピードがゆっくりになり、葵は頭の中でこの状況を如何打開するかチェス盤や武器を見ながら何通りも考え出し、しかし思い浮かぶ手は悉く自分達が無惨に命を落とし、キングを取られてしまうと言う最悪解しか無い状態となり、もしも1回だけは上手く凌げたとしても2回目は無いとして葵は自分の力不足に涙を滲ませてしまっていた。
「葵、自分を責めんとき。
悪いのは葵じゃあらへん、CLOWNとか言うクソ野郎達や。
ウチ達は出来る事を限り無くやって此処まで耐え忍んだんや。
寧ろ、1回の支援だけであるだけの襲撃を凌いだのが良い結果やったんやで。
だから、葵が泣く必要なんかあらへんよ。
それに、今までが上手く行ったんやし今度だって上手く行くで!」
「お姉ちゃん…」
すると今にも泣きそうな葵に茜は励ます為に声を掛け、葵が涙を流して自分を責める必要は無いとし、更には今度も上手く行くと締め括り茜を知らない人からすれば楽観的な答えが、しかし茜の戦闘能力を知っている戦闘組の皆はそれが裏打ちされた実力から来る自信なのが6割、残り4割は葵を励ます為に着いた優しい嘘の様な物だとレオン達は悟り、それを楽観的だと言う者は誰一人居らず葵の気がしっかりと戻るまで黙って皆見ていた。
そうして葵は無言のまま茜に抱き着き、茜の胸の内で啜り泣き押し潰されそうな心を曝け出し、茜もまた黙ってそれを受け止めながら葵を抱きしめ、葵の気が済むまで泣かせてあげようと姉らしい行動を見せ、レオン達もまた葵が泣き止むのを静かに待った。
それから30分ずっと泣き続けて疲れたのか、葵は直ぐに眠ってしまい茜やマキ、ゆかりに抱えられイタコやずん子達の近くで毛布を被り寝かせられていた(因みに金淵も葵や茜が命懸けで戦っていた為なのか近くで寝るな等文句を一切言わず、葵や藍、茜をテロリストやらバイオテロ犯扱いした事を内心悔いている、そしてウナときりたんは既に寝ている、あかりは監視時間の為屋上に居る)
「ぐっすり寝てもうたなぁ」
「無理もないですよ、大人でマダオで図太いセイカさんなら兎も角「ちょっと聞こえてるわよ〜!」(無視)葵さんは私やあかりちゃんみたいな諜報員だったりマキさんみたいにBSAAの隊員じゃない、本来ならずん子さんやイタコさん達側の人間なんですから」
「こんな事が起きなきゃ葵ちゃんは銃なんか取る事の無い、普通の女の子として生きて皆でワイワイ日常の中で明るく照らされてる人だったんですよ。
それがこんなバイオテロに巻き込まれて…」
「初めはお母様を守りながらもマキちゃん達に守られる側だった、それがこの学園に着いてからは守るべき人が増えて、それで銃を取って茜ちゃん達の様に本格的に戦場に立ってしまいましたわ。
それも、自分も感染するか、その場で死ぬかの恐怖とも戦いながら。
其処から来る様々な重圧を考えてしまいますとこんな風に責任に押し潰されそうになるのも無理もありませんわ」
「……すまない葵君、我々身近な大人が戦う力を持たないばかりに君に責任全てを押し付けてしまって。
無力な僕達を、君は恨んでも良いんだよ……」
「それ言うなら私達戦える人間もですよ。
確かに葵が戦って助かった部分は多々あるけど、私達BSAAやゆかりん達やレオンさん、そして茜……オメガ1……これだけ戦える人間が居るのに私達は民間人を戦場に巻き込んだ。
これは一生私に付き纏う罪だよ。
それに私は葵に未だ隠し事を……『琴葉一家の監視』とか言うごく一般家庭を見張るなんて訳の分かんない任務で葵の隣にいたんだ。
先生達以上に罪深いし、友人としても、BSAA隊員としても全部失格だよ、私……」
茜達は出来るだけ静かに見守り葵がゆっくり寝れる様に言葉を紡ぐ。
それらの中でゆかりが本来なら守られるべき側だと口にするとこんな事が無ければとずん子が呟き、イタコがROICE学園に来てからの計り知れない重圧と恐怖に押し潰されそうになったのは無理もないと言い、コウは大人でありながら戦う力が無く責任を押し付けた事を恨んで構わないと紡ぎ、マキは戦える人間が居たのに巻き込んだ事は一生の罪だと口にし、更にBSAA隊員として何故か『琴葉一家の監視任務』と言う詳細が未だ伝えられていない任務を隠している事から1番自分が友人気取りの罪人だと言い友人としてもBSAA隊員としても失格だと呟き俯いてしまう。
それらを聞いていたレオンやB.Y.もまた同じ事を考え、全てを聞いた茜は葵の頭を撫でながら悲しい表情でその涙の跡が付いた寝顔を見ていた。
「………ホンマに、守るって口にしながらこないな戦いに巻き込んだのは許されへんな、特にウチは……戦えない『お母さん』は兎も角、ウチは戦えるっちゅうのに……ホンマ、お姉ちゃん失格やで、ウチ……」
そして茜は最後に姉失格だと口にし、全てを聞いた藍もまた何も言えないが葵に戦わせた自身も母親失格だと感じ、無言のまま涙を流し、チラ見でそれを見た茜は心の中で「ああ、この人はホンマに『お母さん』なんや」と思い、今まで棘のある言葉を投げかけ近寄らせ難くしていた自分がアホであった事を此処で自覚し、しかし今更歩み寄る事は出来ないとも認識しており茜は葵の1番身近に居た味方であった『お母さん』に懺悔の念を送りながら、葵の頭を撫で続けるのであった。
葵は夢を見る。
その内容は2日前にも見たあの悪夢である。
茜が銃を持ち、父を撃ち殺すあの悪夢だ。
そして決まって終わりは昇降機で登って行く足場で姉妹の距離離れて行き、最後は茜のいるフロアの天井の壁により茜の姿を捉えられなくなり其処で終わる悪夢である。
しかし、此処で葵は今まで気付かなかった事に気が付く。
それはこの場所は記憶にない場所ではあるが、昇降機フロアの直ぐ隣に何らかのガラス張りの部屋……設備からして何らかの研究室的な物であると認識し、其処に入るには昇降機フロアとその研究室を繋ぐ恐らく滅菌室を通らなければならなかった事。
その研究室の機材が何らかの薬液を合成し、瞬間冷却しアンプルに詰め込む物だと。
そして………父琴葉紅の足元には乱雑に散らばった研究資料と思しき紙が有った事。
更に葵の1番近くに落ちていた紙の1枚には今の自分が見聞きした文字が書かれていた事を。
その文字とは…………『T-Genesis』、この日本を恐怖と惨劇に満ちた地獄に変えた悪魔のウィルス、その名が記されていたのだ。
「ハッ!!?」
葵は悪夢を見て飛び起き、更にその内容で今まで理解していなかった事を今この場で気付き理解してしまい、自然と葵の心の中に恐怖心が……死ぬ事やウィルス感染とは違う、もっと別の恐ろしい物を感じ取り、そしてそれは葵が『1番そうあってほしくない』と感じる恐怖心であり、それがふと口から漏れてしまう。
「………お父さんが、T-Genesisを作った……?」
そう、バイオテロで亡くなった筈の父親が今日本を、そして果ては世界を地獄に変えてしまうウィルスを作り出してしまったと言う、謂わば加害者の娘であると言う耐え難い恐怖に駆られ始め身体が震え両手で震え出した身体を支えるが全く震えが止まらず脂汗すら流し始め正常な思考が出来ない状態になりつつあった。
ふと時間を見やれば時刻はAM2:15、22時位に泣き疲れて寝た記憶があり其処から4時間経過した事になり近くにはずん子やイタコに藍、きりたんやウナ、コウとずんだもん達が寝ており、しかし今はあの悪夢の内容を藍よりも1番真実に近い人物……姉である茜にこの悪夢の話を聞きたかった。
今思えばこの悪夢の事を茜に聞くのが怖かったのだ、もしもこの悪夢の内容が事実で姉が父を殺害したと彼女の口から聞いてしまう事が。
それと同様に茜と再会してから藍、最愛の母にこの話を聞くのが気が引けており、恐らく藍も悪夢の真実を知っている筈であった。
だが矢張り同じ様に聞くのは怖くなっており、また母を悲しませたくないと言う思いからも藍からこの話を聞く事は思考が纏まらない事もあり今現在も選択肢として浮かばずにいた。
其処で茜に話を聞く為に部屋を見渡して姉を探し始める。
すると何時もは見張り番の交代等で部屋に居る筈の茜が居らず、代わりにレオンとマキ、そして交代で寝ているあかりしか居らず、茜の場所を聞こうと横に居るずん子達を起こさない様に起き上がりレオン達に声を掛ける。
「あ、あの、レオンさん、マキさん……」
「ん、アオイ。
起きたのか…って如何したんだ?
顔色が悪いぞ?」
「起きて顔色が悪い……もしかして、詳しくは言ってくれないけどなんか嫌な悪夢を見たって奴だよね?
大丈夫?」
レオン達は葵の顔色が悪い事を見て心配し、マキはこれが(詳しくは話して貰えてないが)悪夢を見た後に起きる物だと葵から聞いており、何度かそれを気にしたら悪いのが寄って来るから考え過ぎるなとゆかりと一緒になってアドバイスしたが、結局悪夢を見た後は必ず悪い事が起きるらしくこの悪夢を見た日=厄日なのが確実となっており、実際この悪夢を見て起きた日にバイオテロが起きてしまい今があり、そして再びこの悪夢を見て今まで理解出来なかった事を理解してしまい精神的に参ってしまっていた為、この悪夢の事や理解出来た事を伝え真偽を確かめなければならないと言う衝動に駆られ、正常な思考が出来ず単純な返事しか出来なくなっていた。
「だ、大丈夫……あの、お姉ちゃんは、何処に?」
「アカネ?
彼女なら外の風を浴びると言って正面玄関の方に行くと言ってたが「あ、ありがとうございます、じゃあ、行ってきます……『ガラガラ、ガシャン』あ、おいアオイ!
……本当に大丈夫か?
酷く焦燥している様だったが…」
「……私心配なんで見て来ます、レオンさんは見張りを続けてて下さい」
レオンが茜の場所を伝えると葵は震える身体を両手で支えながら教室を出て走って行き、レオンはその様子から正常じゃない事を察し何か起きるのではと不安に駆られ、マキも同じ事を思ってた為、例え友人失格だとしても放って置けないとして見張りをレオンに引き継ぎ葵の後を追って教室から出て行った。
そして残されたレオンは窓に向かって口を開く。
「……女同士、しかも姉妹の話に首を突っ込むなんて度胸あるな。
そしてこの後何かあれば俺がアカネの居場所を教えた所為になるか、泣けるぜ「クーン……」ズンダモン、起きてたのか……俺を慰めに来たのか?「ワン!」
……本当にお前はよく躾けられて、皆を守ってくれる番犬だよ、偉いぞズンダモン」
レオンはこの後何かドロドロした話が絶対あると確信し、その件で葵に茜の居場所を教えた自分がその拗れた責任を負う事になる為軽く皮肉を口にすると、横にずんだもんが来てレオンを励ましに来ていた。
そのずんだもんを見てこの子は本当に頼りになるよく躾けられた番犬だと思い知り頭を撫でてもしかしたら普通の人以上に心の拠り所になると思ったレオンであった。
レオンから茜の居場所を聞いた葵は震える身体を必死に支えながら正面玄関から外に出て、周りを見渡して茜を探すと校庭に備え付けられたベンチの近くで月明かりに照らされ、空の月に手を伸ばして黄昏ている茜が其処に居た。
葵は漸くそれを黙って見ていた…と言うより足が竦み動けなかったのだが、いつまで経っても悪夢の真実には近付けないと考え、恐怖を堪えて茜に近付いて行く。
すると足音に気付き茜は葵の事を見つけるが、双子の姉妹であるが故か俯いていても顔色の悪い事や足音で気分が悪い事を察せたらしく、茜は真剣な目で葵を見つめ口を開く。
「葵……その様子やと寝起きで寝覚め悪かったみたいやけど、何か変な夢でも見たんか?」
「…流石お姉ちゃんだね、うんそうだよ、悪夢を見たんだ……これを見ると決まって厄日になる悪夢を……」
茜の問い掛けに葵は見たら厄日になる悪夢を見たと答え、茜はその顔色の悪さから相当の恐怖心が芽生えている事も察し、茜はそれを口にするんがおとろしいなら言わんで良い、
そう口にしようとした瞬間葵の後ろからマキが走って来て、それと同時に葵は顔を上げて遂にそれを口にする。
「幼い頃……大体8年前に変な施設の中でお姉ちゃんがお父さんを銃で撃ち殺して、それで私に謝りながら昇降機のスイッチを入れて私とお母さんを上に昇らせて、それで私が叫んだ後昇降機がお姉ちゃんの居る場所の天井まで昇って壁に阻まれた後2度とお姉ちゃんの姿を見なくなるって悪夢を見たなよ、私……」
「ッ⁉︎」
「……えっ?」
茜は葵の口から出た悪夢の内容に目を見開き明らかに驚いている表情を見せ、対してマキは今まで詳細に聞いてこなかった葵の見る悪夢の内容に呆けた声を上げてしまい、葵はマキの声に気づき後ろを振り返り表情でこれが私の見る悪夢なんだよと言った泣き顔とも笑い顔とも取れる様々な感情が入り乱れた表情を見せ、マキはそれを見て葵の一歩後ろまで近付き話を聞く姿勢を見せ、それに対し茜は追い返す事はせずそのままいつから悪夢を見ているのかを問い正す。
「…何時から何や、その悪夢をみるっちゅうのは?」
「お姉ちゃんがバイオテロに巻き込まれて死んだって聞いてから大体半年かな……でも可笑しいよね、私とお姉ちゃんは日本で生まれ育って、それでお姉ちゃんとお父さんが旅行に行ってそれで巻き込まれて死んだ筈なのに、全く分からない施設で私の目の前でお姉ちゃんがお父さんを殺すなんて。
でもね、今日またその悪夢を見て今まで気が付かなかった事に気付いて、それが怖くなってお姉ちゃんに聞かなきゃいけないって思ったのよ、この悪夢が何なのか、お姉ちゃんは本当にお父さんを殺したのか!
ねえ答えてよ……私、お母さんを悲しませたくないからお母さんには聞けないんだよ……だから、1番真実に近いお姉ちゃんに聞かなきゃ駄目だって思ったのよ、気付いちゃった物も含めて全部‼︎
お願いだよ……お姉ちゃん……」
「……琴葉茜、私は部外者だしとある任務……琴葉藍と娘の葵の監視って詳細を伝えられてない上からの変な任務を隠して来て葵の友人失格だけど、それでも隣に立って来たから一応言っとくよ。
この話は答えた方が良い、それが例えどんな残酷な真実であっても絶対に言わなきゃ駄目だって分かる。
私はアンタにも言ったよね、お父さんの血縁者が
だからかな、私には分かるんだ、この話はそれに類した話なんだって。
もしも私が居て話せないなら私は見張りに戻る、友人失格だしBSAA隊員としても失格だし。
けど必ず話すんだよ。
じゃなきゃアンタは後悔するし、葵の心は壊れるよ、間違い無く。
さあどうすんのさ、葵の双子の姉、琴葉茜さん?」
葵は声を荒らげながらこの悪夢と自分の記憶の矛盾と、今まで気付けなかった物を答える様に茜に縋る様に迫り、大粒の涙を流しながら茜の肩に手を掛ける。
更にマキは自身の過去からこの話は自分の経験した事…父の血縁者がアンブレラのウィルス研究部門でB.O.W.を作っていた事に似ている物だと直感的に察し、葵に自分が隠して来た任務を暴露して友人失格ではあるが、茜に対し警告して逃げ道を塞ぐ様に必ず葵の問いに答えなければならないと迫り、自分が邪魔なら消えるがそれでも絶対答えろと言い茜に葵の姉としての責任を果たさせようとした。
それらを聞き、また今まで葵を戦いの場に立たせて来た自分が今更姉を名乗るのは烏滸がましいと感じつつも、同じ立場であるマキが友人失格と任務を暴露して葵から絶交宣言を受けたとしても葵の味方であり続ける覚悟を見せた。
それを見て茜は一度目を閉じ、深く考えた末に結論を纏めて口を開いた。
「……分かったで。
葵の疑問に思う事全部答えたる、答えられる範囲っちゅう条件付きで。
この話はな、一度に話せば話さなかった場合と同じで葵の心を壊しはるんや。
それだけの劇薬なんや、此れは…。
それと、あんさんは友人失格やって言っとるけど今まで葵の友達として接してくれたあんさんは嘘偽りなかったんやろ?
なら聞く義務はあるし、寧ろ聞いて欲しいんや。
そして支えて欲しい、ウチの大事なたった1人の妹を。
……2人共、ベンチに座るで。
ゆっくり話したる」
茜は葵とマキに真実を話すと言う決断を、しかし余りの劇薬である為話す範囲をある程度絞って話すとしながら下し、マキは全部話さないよりも全然マシだと考えベンチの左端に座り、葵も涙を拭きベンチの真ん中に座り、不意にマキを見て彼女もまた何処か泣きそうだと気付いた葵は、隠して来た任務を抜きにしてもマキは友人だと言う視線を送る。
それにマキは申し訳なさそうにしつつもまだ友人で居てくれる葵に感謝し、一筋の涙を流して上を向く。
そして姉失格な茜がベンチの右端に座り、葵を中心にして茜は静かに話を始める。
「……先ず葵の見る悪夢、これは先に結論から話すと全部事実や。
ウチはこの手で『お父さん』、いや…あの男を撃ち殺した、そうする必要があったからや」
「…そう、事実、なんだね……じゃあ次に、あの施設について答えて、あの施設にはガラス張りの部屋があった。
その中に通じる扉は今思えば滅菌室で、そしてそのガラス張りの部屋の中の設備は明らかに薬……それか、ウィルスを作る物だった、違う、かな?」
茜は結論から話し『父親』を撃ち殺したのは事実だとし、更にあの男と言って明らかに父親として見ていない口ぶりで話し、マキは任務の事を含めた全てをパズルのピースを1つ填める様に頭の中でキーワードを並び立てていく。
葵もそれが事実だと確認した後に先程見て初めて気付いた部分の1つであるその施設に薬かウィルスを作る設備があった事を聞き、マキはこの時点である程度察し、黙って震える葵の左手を掴み味方は此処に居ると態度で示し、葵もその友人の手の温もりに支えられながら茜の答えを待つ。
そして予想通りの返答が返って来る
「せや、その施設はあの男が隠し持っとったウィルス研究施設兼隠れ家や。
あの男や『お母さん』は元アンブレラであの男は『お母さん』の反対を押し切ってウィルス研究を続けとったんや。
スペンサーの理想を叶えたいちゅうアホ臭い妄信に駆られとってな」
「それって、CLOWNと同じ「せや、全く同じや。
だから連中とあの男は同志とも言えとるな」全く、イカれた奴って何でその辺にゴロゴロ居るの‼︎
…あ、ごめん葵、そんなつもりは」
「大丈夫、大丈夫……マキさんならそう憤るって分かってたし、私もこの事実に今までのお父さんへの気持ちが…崩れて来てるから…」
葵の予想通りあの施設はウィルス研究施設兼セーフハウスだったらしく、その思想も聞きマキが憤るのも無理もないと思い始め…そして父に対する感情はマイナス方面へと突き走り、あれだけ大好きだとおもっていた父親にもう冷めた感情しか抱けなくなり始めた自分が居ると葵は認識していた。
そして此処まで予想通りならば、悪夢の中で見た研究資料の1枚に書かれたT-Genesisに対する予想も正しいだろうと感じながら、しかし直接確かめなければならないと心の中で思い口に紡ぐ。
「じゃあ……その研究施設で研究していたウィルスって……今この日本で地獄絵図を生み出したT-Genesisなの?
今日見た悪夢で私は気付いちゃったんだ、足元に落ちてた研究資料の1枚にT-Genesisって書いてあったのが」
「………せや、T-Genesisは其処で生み出され、そんで今日本だけやない、世界中の人達の生命すら脅かそうとしとるんや。
最もウチが知る限りのT-Genesisは偶然の歯車の一致で生み出されたもんやけど、バイオハザード発生から6日で阻止出来へん段階に突入して1ヶ月もしない内に〜なんて核爆発級の代物じゃなかったで。
恐らくこの8年で改良に改良を重ねて此処まで漕ぎ着けたんやろな、あの道化達は」
「……そっか、葵も私と似た……だから上層部は、そんな任務を…」
そして研究していた物はT-Genesisだったと言う事実も確認し終え、遂に葵の中の父への感情はマイナス方面を突き抜けて最早彼方まで沈み切って行ってしまった。
マキはそれらを聞き、T-Genesis事態は8年も前に存在していた事を知り、且つ葵は自分と良く似た境遇であった事を知りつつ何故琴葉一家監視の任務を帯びたのかと言う意味を知り手に込める力が強くなり、しかしそれは葵が痛がる物では無くその温もりをより感じやすくさせ、その上で自分は葵の味方だと言う事をより知らせる物であると葵は気付いており葵の方も握り返していた。
「……んでもって『お母さん』なんやけどな。
さっきも言った通り元アンブレラやけどあのクズと違って本当に葵や……多分ウチも本当に愛してたんやろうけど、あのクズを見捨てられない板挟みになってはったんや。
せやけど……それでも、葵の事をこんなに可愛く育て上げてくれた、元から持っていた記憶操作技術であれ以前の辛い記憶を全部忘れさせて、葵の事を守りながらお天道様の方へ連れ出してくれはったんや。
せやから『お母さん』の愛情は本物やし、誇ってええで」
「……そう、なんだ。
だから記憶と事実が食い違ったんだ……お母さん……」
しかし、そんな父への想いに冷めて行く葵に気遣ったのか、或いは本物の愛の力で葵を此処まで普通の、それでいて可愛い女の子に育て上げた感謝からか、又は突き放してしまった事への懺悔か母である藍の愛情は本物だったと告げ、真実の記憶である悪夢を忘れさせたのも彼女が持っていた記憶操作技術による物であり、8年前以前の記憶は全て操作され辛く忘れるべき部分だけを操作してごく一般の女の子として育て上げ、また身見守り抜いたその確かな愛を葵は感じ取り、藍に対し嬉し泣きをしていた。
「…琴葉茜、私が言えた義理じゃないけどアンタ今から藍さんに謝って来いよ、散々棘のある言葉で威嚇しやがって」
「…せやなぁ…」
するとマキは藍に関する話に口を出し、今まで突き放したり棘のある言葉で威嚇してとても藍の人柄上やってはならない事をやって来た事を指摘して謝る様に命令形の言葉を投げかけた。
すると茜は黄昏ながら肯定し、今まであのクズの琴葉紅の事があり何処か信用し切れなかった自身に対し嫌気が差し、藍には今からでも絶対に謝らなければならない、そう感じ目を閉じていた。
そうして嬉し泣きも止めた葵は何故自分や茜があの研究施設に居たのか気になり、またあの悪夢以前の記憶は全て藍の手で操作された記憶であり本当の記憶はなんだったのか、それが気になり茜に問い掛けた。
「…じゃあ、私やお姉ちゃんはなんで幼い頃にあの研究施設にいたの?
セーフハウスだから居たって考えてもとうさ…ううん、お姉ちゃんから聞いた琴葉紅の性格や思想上子育てなんか絶対しないし私達は邪魔な存在になるから捨てていたかもしれないって感じたんだけど、何でなの?
それにあの悪夢以前の記憶もお母さんが忘れさせる様に記憶を操作したならその本当の記憶って何なの?」
「ごめん葵、そっから先はアウトや。
今の葵の精神状態を考えたら絶対に話したらアカン内容なんや。
言えなくてすまんな葵……けれど絶対話す時が来る。
それまで待っとってくれへんか?」
しかし如何やらこの先の内容は話せないらしく茜からアウトと言われ、しかし話す時が来たら話すと約束し、取り敢えず葵の聞きたかった事は聞けた為それに頷き、マキもこれ以上葵が聞いても話せないなら部外者の自分も口を挟めないとしてそれで納得する事にした。
「…さて、夏とは言え真夜中や、早よ中に入って暖まるで〜。
……ああ、それから」
茜は話が終わった所で立ち上がり、夏とは言え真夜中は冷えるとして中へ入る様に促すと、葵達は立ち上がりその後に続こうとする。
すると茜が何かを思い出したのか立ち止まって2人を見ながら口を開いた。
「京町セイカはん、あの人は信用出来へんで。
ウチの中で完全に黒や、気ぃ付けとき」
『………はい⁉︎』
それは、京町セイカが信用ならない人物であると言う爆弾発言だった。
不確かな事は生存者の和を乱す為看過出来ない物であるが、この茜の目や口調からは完全にそうであると言う確信めいた物を感じさせ、葵とマキは驚きを隠せず何故なのか問い質し始めた。
「ちょ、ちょっと待ってお姉ちゃん、セイカさんが信用出来ないって如何言う事なの⁉︎」
「アンタのその物言いから確信を得てるって感じらしいけど、それを私等にも説明なさいよ!」
「ん〜、今説明してものらりくらりされるんでB.Y.、デルタ1の解析待ちやな〜。
まぁ兎も角早く中入っとくで〜」
『ちょ、ちょっと‼︎』
2人は説明を求めたが茜はB.Y.の解析待ちと言う曖昧な返事しかせず、そのまま中に入ってしまい葵達は後を追い走りながら中へと入っていった。
「……やっぱりそろそろ潮時みたいね」
そのやり取りを、葵が茜に悪夢を説明する様にと言ってベンチに座りながら話をしていた時に、3人の位置から見えない物陰からずっとビール缶を片手にして飲みながら全部聴いていたセイカは、何か意味深な発言をしてビールを飲み終え、アリバイ作りの為と酒を更に飲みたい為に家庭科室の酒類保存用冷蔵庫へと行き新たな酒を手にしてから1-A教室へと向かうのであった。
果たして茜の言葉とセイカの真意とは?
それが分かるのは、そう遠く無い時間の先であった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
悪夢とはウィルスによるバイオテロに対する物と葵ちゃんが見る悪夢のダブルネーミングでした。
更に琴葉姉妹の母の愛は本物です、間違い無く(断言)。
最後に茜ちゃんが言ったセイカさんを信じられないって発言の真意は……また次回に。
次回もよろしくお願い致します。