BIOHAZARD【V+α】   作:”蒼龍”

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皆様おはようございます、第17話目更新でございます。
今回はジェイクの話になりますが、最初に言っておきます。
ジェイクはいきなりEXハードモードの難易度の敵にぶち当たってしまいます。

では、どんな物か本編へどうぞ。


EP XVII『ジェイク達の戦い:動き出した道化師』

日本近海のアメリカ軍特殊空母、其処では回収されたT-Genesisサンプルとジェイクの血を基にワクチン、抗ウィルス薬、そして日本で確認され始めたネフィリムの進化形態であるエクスシアの対応、更にはCLOWNが全員ウィルス完全適応者と言う事からそれらを殺し、力を抑制する血清弾の生成が最新技術の推移を集めて行われていた。

そんな中で採血され暇を持て余したジェイクは甲板に出て日本の方角を見て風に吹かれていた。

 

「ジェイク、今話し掛けて平気かな?」

 

「シェリーか、話し相手が欲しかったから丁度良いぜ」

 

其処にシェリーがやって来てジェイクと話を始める。

その話とは無論、自分達の因縁……Gウィルスを素材に作られたT-GenesisやそのT-Genesisのサンプルを奪ったと言うもう1人のウェスカーの子、京町セイカの事である。

 

「…お前の親が作ったウィルスを使った新型ウィルス、それのワクチンやらを作ればこの事件は終わると思えば今度は俺と同じ血を引く奴が居ると来た。

全く、俺達はつくづく親の因縁とやらに振り回されてばっかりだな。

こうも立て続けにウィルスだのウェスカーの子だのが続くとは、今回の事件は混沌とし過ぎだって一言言いたくなるな」

 

「そうね……でも、私の思いは変わらない。

親は親で私達は私達、1人の人間としての生き方に責任を持って行かなないといけない。

そして今回、偶々私等の親の因縁が目の前に現れたからそれを葬り去る責任が生まれた、けどやっぱりそれは親に振り回されるんじゃなく自分の心で決めたからなのよ。

ジェイク、貴方もそうでしょ?」

 

「……」

 

ジェイクはシェリーにつくづく親の因縁に振り回される自分達の事に対して皮肉を口にし、しかしそれは1年前の蘭祥(ランシャン)でのバイオテロでウェスカーの子であり彼が何をして来たかを散々聞かされ悲観していた物とは違う、まだ心に余裕があるが少し戸惑いを隠せていないと言う物である。

シェリーはそれに同意し、更に1年前に自分を激励した際と同じ様に激励し、いよいよ彼女も目の前に因縁が差し迫った為覚悟を決めたとその言葉から分かる様にジェイクに話していた。

それらを聞きジェイクは確かにその通りであると同時に、戸惑って足踏みするのは質じゃないと思いシェリーの方を向き何時もの彼の表情を見せた。

 

「そうだな,ならさっさと事件を解決するとするか。

事件が終わればシェリーが奢ってくれるみたいだからなぁ」

 

「そうね、じゃあ中に戻りましょう。

貴方のお陰とこの空母の設備のお陰でワクチンや、特にこのバイオテロで好き勝手してるB.O.W.やウィルス完全適応者用の血清弾がそろそろ出来上がりそうってハニガンが『ブゥーン、ブゥーン‼︎』っ‼︎

警報⁉︎」

 

ジェイクはすっかり元通りになりシェリーもこの空母の設備のお陰でワクチン生成や血清弾の完成が間近だと話していた瞬間、空母の警報が鳴り2人は何かがあったと悟り急ぎ艦橋へと向かおうとした所で、遠くの空に輸送機が近付いて来ているのが見え多分それ関連だと悟っていた。

そうして艦橋に向かえば慌ただしく通信機からの応答を処理する兵士達の姿があり、ジェイク達は何かが起きた事は容易に想像出来、更にハニガンが彼等が丁度来た為何が起きたか説明を始めた。

 

「ジェイク、シェリー、大変な事が起きたわ!

今この空母に向かってCLOWNの構成員がBSAAの輸送機に偽装した機体で此方に向かって来ているわ!

更に最悪な事に如何やら人質を用意してあって、それを解放させて欲しければジェイク・ミューラーとシェリー・バーキンの両名を差し出せと脅迫して来ているわ!」

 

「何ですって⁉︎」

 

「ったく、この道化達は理想の実現やら何やら話してるがやっぱり只のテロリストだな、無関係な人間を巻き込んで俺達を誘い出そうとして来やがる。

まぁ、こんなバイオテロを起こしていた時点で分かっていたがな!」

 

「あっ、ジェイク!」

 

如何やら遠くの空に見えた輸送機はBSAAの機体に偽装した物らしく、兵士達の慌ただしい会話を盗み聞きした所で信号まで偽装しており護衛艦の射程範囲所かもう空母の甲板から小さく見える位置まで接近を許したと聞き、更にハニガンがジェイク達に人質が輸送機内に居る事、その上で人質の解放には自分達の身柄を要求している事を知り、ジェイクはこの1年で培ったバイオテロ犯に対する様々な感情や身柄要求に対するやり方、そして何より今回のCLOWNが喜びそうな事を頭の中で図式にして並び立たせて甲板へと向かった。

それを追ってシェリーが追い掛け甲板に出た所で既に甲板では邪魔になるこの空母に残った輸送機等の艦載機を空母前部に退かす様に動かし始め(それ以外の殆どの輸送機はBSAAの支援に回っている)、そしてその輸送機が遂に艦橋退かした艦載機間の甲板へと降り立ち整備兵達が身構える中でジェイクはCLOWNの輸送機の7メートル程前に躍り出て、シェリーもそれに随伴し銃を構えようとしていた。

が、ジェイクはそれを制止させ相手が出て来るのを待たせた。

そして人質達7名を降ろした所でそれを盾にする様に輸送機から胸元を開かせた焦茶色のスーツをYシャツを下に着る事無く素肌の上から着ると言う何とも海外ドラマで良くある悪い組織の長ですと姿や振る舞いで語る金髪で仮面を被った男が現れる。

この男は確かにCLOWNの構成員の1人であり服装の特徴も一致しており、この男がT-Genesisの完全適応者だと思いシェリーは怒りの表情を見せ、ジェイクは険しくはあるが不敵な表情を見せていた。

するとCLOWNの男は整備班に手を振りながらジェイク達に話し掛けて来た。

 

「やあジェイク・ウェスカー、そしてシェリー・バーキン。

お前達と会えて何よりだ。

てっきり正義の味方様のアメリカは少数の人質を切り捨てて俺を殺そうと輸送機を撃ち落としに掛かると思って嘆いていた所だったんだ。

実際護衛艦がロックオンして来ていたからなぁ……しかし、こうやって要求に応える辺りアメリカ様もまだ甘いなぁ」

 

「は、何勘違いしてやがる。

別に俺は誰からの指示も受けてない、俺は俺の意思でこの場に出て来たんだぜ?

寧ろそのアメリカ様や感謝してろよ、お前の要求を通さず撃ち落としていた可能性があるのを俺が甲板に出るのを見てアドリブで対応したんだからな」

 

CLOWNの男は自分の要求が通り歓迎されたと思い大振りの仕草を見せながら言葉を発するが、ジェイクは自らの意思でこの場に出た事や自分の行動からアメリカ側がアドリブをしたのだとどちらも皮肉りながら相手が馬鹿みたいな奴、否、スペンサーの理想成就等と言っている連中の一味だとして馬鹿だと認定しながら話していた。

 

「おや、おやおやおやおやおや?

アメリカ様は随分と冷酷でジェイク・ウェスカー殿は随分お人好しだなぁ?

ではそのお人好し次いでに此方の要求を呑んで貰おうか、人質の命が惜しくば、なぁ?」

 

「卑怯な…‼︎」

 

「ああ、確かに卑怯で…しかも臆病者だな。

人質が居なきゃ何も出来ないと考えてご大層に人質捕ってセリフ選んで此処まで来てその上で人質の命と引き換えだと抜かしやがる。

ウィルスの力で新人類とやらになった癖に本当にやり方がセコイなぁ、流石道化様だ」

 

CLOWNの1人はジェイクをお人好しと皮肉りながら人質の命を盾に要求を飲ませようとし、それにシェリーが憤るがジェイクは道化らしいと皮肉り返して相手の出方を待っていた。

しかしその相手はジェイク達が必ず要求を呑むとして手を伸ばし、此方に来る様に促していた。

無論シェリーはこれを受け入れる気は無く、しかし人質を救い出す方法が無いかと思案しジェイクがそれを見て矢張り自分が考えた手が有効だと判断して話を始めた。

 

「ああ、良いぜ、お前等の要求に応えてやるよ」

 

「ジェイク⁉︎」

 

「ふふ、矢張りお人好しだなウェスカーJr.。

では此方に「但し条件がある、これを呑まないなら俺は其方には行かない」……条件?」

 

ジェイクは条件有りでCLOWNについて行くと話し、CLOWNの男は此方に主導権があるのに何故そんな事を言うと感じつつも話す様に促し、対するジェイクは乗ったなと不敵な笑みを浮かべつつ条件を話し始めた。

 

「先ず第1、人質連中は解放しろ。

俺がそっちに行くんだからもう意味が無いだろ?

で、第2条件だが此方が本題だ。

お前等はやたらとゲームが好きだろ?

なら俺にもそのゲームに参加させろよ。

そう、お前等新人類様の力をこの俺に見せつけるって形でな。

まぁ要するに、俺と戦って勝てたら着いて行ってやるって言っているんだ、分かるか道化様?」

 

ジェイクは要約すると人質の解放とCLOWNの力をジェイク自身に示し、その戦闘で勝ったら着いて行くと言う普通ならばそんな事は通らない要求であった。

しかしジェイクにはこれが通る可能性が8割方ある方だった。

何故ならCLOWNのリーダー格はレオン達にゲームと称した籠城戦を3回も仕掛け、更にバイオテロ直前にまでゲームをするかの如き犯行予告を出していたのだ。

つまり相手は最終的に如何転ぼうが自身等の理想が叶うと妄信しており、その過程にスパイスが欲しいからと『ゲーム』を仕掛けて来たのだとジェイクは判断したのだ。

そうしてCLOWNの男は肩を震わせていた。

これは怒りに震えたのか?

答えは否、ジェイクの提案した『ゲーム』に笑いを堪え切れずに震えていたのだ。

 

「くはは、はーはっはっはっはっは‼︎

新人類たるこの俺の力を貴様に見せて連れて行くか‼︎

良いだろう、実にシンプルな条件だ‼︎

ほうら、人質はくれてやるよ‼︎」

 

そして笑いを堪え切れなくなったCLOWNの男はジェイクの要求通りに1人ずつ人質を解放し、シェリーが1人1人人質を抱き抱える。

しかしシェリーは気付いた、人質7名全員の首筋に注射痕がある事を。

シェリーは嫌な予感しかせずCLOWNの男にそれを問い質した。

 

「貴方、この人達の首にある注射痕はまさか…‼︎」

 

「そう、T-Genesisをごく少量だが打たせて貰ったぞ。

お前達の作る薬がしっかり働くか確かめさせる為の実験台としてなぁ……ふはははははははは‼︎」

 

「如何やら殴るのに遠慮の要らない相手なのは本当みたいだな!」

 

シェリーの嫌な予感が当たり、人質は皆T-Genesisを少量ではあるが感染させられ、このまま放って置けばゾンビ化する未来が待っていると言う目の前のCLOWNの男の外道振りが際立っていた。

此れにはジェイクも手加減せず殴れると言いつつ彼の中の正義感が目の前の男を許すなと叫んでおり、腕を鳴らしシェリーにアイコンタクトで人質全員と整備班を中に入れるように合図しシェリーは急ぎそれを実行した。

しかしCLOWNの男は笑い声を上げるのを止めずジェイクに対し嘲笑っていた。

 

「はははは、幾ら我々と同じステージに立つ資格を持つとはいえ所詮は旧人類の枠に収まっているウェスカーJr.が俺を相手取るか‼︎

面白い、このCLOWNが第6位、『レミエル』が貴様を相手してやろうか‼︎」

 

「はっ、新人類とか言って所詮ドーピング野朗だろ。

そんな奴に俺が負けるかよ。

それにレミエルだぁ?

七大天使の名前を使うとかいよいよ頭の痛い奴だって自白しやがったか、ウケるぜそれ」

 

目の前の仮面の男は自らをレミエル、七大天使の1人の名を名乗りジェイクはこの男を完全に頭がイカれた奴認定し、皮肉たっぷりの言葉を投げ掛けた後直ぐ様突撃し交戦状態になる。

先ずジェイクが腹、首にパンチ、更に顎にアッパーを加えてから足払いをして倒した後肘を鳩尾に食らわせ其処から仮面に向かって踵落としをすると言う一連の動作を傭兵業を営み、更にB.O.W.との戦いにも1年以上経験を積んだ為10秒と掛からず全てを自身の力で出せる最大の威力で叩き込み、踵落としをやった後に一旦後ろに下り相手の出方を待つ体勢に移行した。

すると流石に踵落としに耐えられなかったのか仮面が割れ姿が露わになる。

その素顔はジェイクより年上だが20代後半の顔立ちであり、目はウィルス完全適応者特有の赤く発光した物であり人間のそれでは無かった。

 

「ふう、今のは効いたよ。

さあ、次はどうする?」

 

「…余裕ぶってるのも今のうちだぜ!」

 

一連の攻撃を受けたレミエルは手招きしながらジェイクが次の攻撃をするのを誘っていた。

それに対してジェイクは冷静に距離を詰め、全くガードをしないレミエルの耳や鼻、首、腹にパンチやキックを連続で喰らわせて行き、しかしそれでも余裕を見せてノーガードを通すレミエルにジェイクは全身全霊のハイキックを首に叩き込み、レミエルを甲板とキスさせた上に踵落としでレミエルを追撃。

常人やジュアヴォ、ゾンビや首が明確な弱点のハンタークラスの戦闘力のB.O.W.程度ならばハイキックの時点で首の骨が折れ絶命、更に踵落としで幾らそれ以上の戦闘力を持つB.O.W.でも大ダメージ必至な一撃となり勝負はこの時点でもう決まっている程の物をジェイクは叩き込んだのだ。

しかし……レミエルは何事も無かった様に立ち上がり、首を鳴らしながらジェイクの一連の攻撃に対し常人では辿り着けない戦闘力を見せた事に矢張り此方側に来る資格がある、そんな意図を込めたジェイクには意味が分からない笑みを浮かべていた。

 

「チッ、此れがウィルス完全適応者か……シェリーのとは違って更に厄介そうな感じがしやがるな」

 

「その通り、バーキン博士の娘はGの胚をラクーンシティで植え付けられ、それをワクチンで中和して体内に残留したGウィルスとその胚から適応したタイプだ。

我々の様にウィルスを直接投与しつつそれに完全なる適応をしたタイプではないのだ。

よって回復能力とウィルスへの耐性には優れているが……」

 

ジェイクがこの男に厄介な何かを感じ取り、更にシェリーとは違うタイプのウィルス適応者と断定するとレミエルは大振りな態度で自分達とシェリーの違いを高らかに説明しながらジェイクを少しだけ見据えた………その瞬間、『5メートル以上離れていた互いの距離が一瞬で縮まり』、ジェイクの目の前にレミエルが右手を握り締め、構えながらそれを突き出そうとしていた。

ジェイクは脳内で『ヤバい』と感じ取り咄嗟に防御体制に入り、そのガードの上にパンチが繰り出され、ジェイクは『7メートル後ろにある艦橋の下部外壁に叩き付けられ』てしまい、その衝撃で意識が一瞬のみ持って行かれてしまう。

 

「グハッ……‼︎

ゲホッ、ゲホッ…‼︎」

 

「この様に身体能力に差が出るのだよ。

ジェイク・ウェスカー、これで分かっただろう?

此れが新人類たる我々の力だ、諦めて我々と共に来い。

そうすればお前もこの素晴らしい力が手に入るんだぞ?」

 

レミエルは自身とジェイクの間にある歴然たる差を示した所で勝利宣言たる勧誘を開始し、ジェイクが付いて来ればこの力が手に入ると誘惑する。

しかしジェイクはこんな誘惑など受けはしない。

何故なら自身が捕まった事でC-ウィルスが強化された事例等を既に経験している為最早その手の勧誘は全て願い下げと言う精神が出来上がっていたのだ。

 

「ペッ‼︎

へっ、誰がお前等の誘いに乗るかよ。

その誘いを受けた所で人体実験の対象になるだけだってこっちは分かってんだよ。

だったら願い下げだぜ、そんな自由もない碌でも無い生活をするなんざな!」

 

ジェイクは血が混じった唾を吐き捨てながら再び身構えて抵抗する意思はまだまだあると言う姿勢を見せ、これに対しレミエルはまるで残念だと言わんばかりに大振りに嘆かわしいと言った様子を見せ、再びジェイクを見つめると今度は交渉では無く『命令』にその口調と勧誘が変わり始める。

 

「はあ、なら仕方無いか。

無理矢理にでも連れて行かせて貰うぞ、ウェスカーJr.。

恨むなら愚かな選択をした無力な己を恨むんだな」

 

「やれるもんならやってみやがれ、道化野郎…‼︎」

 

2人の男の話は平行線を辿り、何方か一方が勝利しない限り……と言うよりも、レミエルの要求が通るにはジェイクを殺さない程度に戦闘不能にするしか無い為面倒だと考えながら無型の脱力した油断も隙も大ありな構えを取る。

これは無論どんなにジェイクが足掻こうが勝てるからと算段が付いている為の油断では無い余裕の姿勢であるのだ。

一方ジェイクは先程のダメージは防御が間に合ったお陰で最小限で済み、しかし自身とレミエルの力の差は歴然だとし、1年前に戦ったストーカーB.O.W.である『ウスタナク』と比べてもパワーはあれ以上、スピードに至っては比較にならない物であり、此れがウィルス完全適応者の力だと嫌でも思い知らされてしまう。

が、だからと言ってジェイクは自身が諦めてしまえばT-Genesisを強化されてしまい、事態を更に悪化させてしまう事が分かり切っている為諦めず距離を離さず近付かせずのままで構え、更に攻撃、防御何方でも出来る様に独自の構えを取りレミエルの出方を待っていた。

 

「………」

 

「…………『ブロブロブロブロブロブロブロブロ‼︎』っ、何だ、戦闘ヘリ⁉︎」

 

互いに睨み合いをしていた所に突如として空の彼方から戦闘ヘリが両者の間に割って入る様に現れ、ジェイクは一体このヘリは何なんだと困惑し、レミエルも他の同志がこんなヘリに乗って来るなど聞いていない為何なのかと視線を移した。

そして、その戦闘ヘリは唐突に機体に搭載された機関砲を放ち始めたーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃医務室では医師達が懸命にT-Genesisに感染した人質達の治療に当たり、現在完成間近であったT-Genesis用抗ウィルス薬を投与する準備に入り、シェリーは医務室をガラス越しに覗いており、もしもT-Genesisの体内からの除去がこれで確認されなかった場合には医師達の生命を優先し人質達の処分をする様にと言われており(しかし流石にギリギリまでは待ってくれると約束してある)、シェリーは藁にも縋る想いでその光景を見つめていた。

 

「お願い、ジェイクの血で作られた薬なの……このまま無事に効いて……‼︎」

 

シェリーが悲痛な思いを口にし、横に居る武装兵達もシェリーと同じくこの手で民間人を射殺する事態にはならないで欲しいと表情には見せていないがその光景に手に汗を握り締めていた。

そして患者達の血管に完成間近である青色のT-Genesis用抗ウィルス薬が投与され、医師を含む全員が患者達に薬が効く様にと祈った。

そしてその結果はーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

攻撃ヘリに搭載された機関砲が放たれ、ジェイクとレミエルの何方かを攻撃したかと言えば、ヘリはレミエルに向けて攻撃し始め両者は明確な敵対者であるとジェイクは理解し、しかしこのままでは何発かは自身も機関砲に巻き込まれると機関砲の弾丸がレミエルに当たってる中でジェイクは判断し距離を離すべく後方に飛び距離を離し、すると案の定ジェイクが居た場所にも甲板に大型弾丸が当たり火花が散り(なおレミエルの乗っていた輸送機にも機関砲が当たり爆発四散している)、一方レミエルも右手で防御態勢に入っているが明らかに直撃を受け続ければミンチになるそれを受けても血飛沫が飛ぶ程度で済んでおり、矢張り根本的に人間と肉体強度が変わり過ぎているとジェイクはこの機関砲乱射で理解した。

 

「ちっ、邪魔者が、失せろ‼『グジュグュジュッ‼︎』

 

するとレミエルはヘリの邪魔にフラストレーションが溜まったのか左腕を異形の腕に変異させ、其処からは若干火が吹いておりその腕をを攻撃ヘリに向けるとその腕先から炎の弾丸が1発飛び、ヘリは慌てて回避して甲板上まで行き、避けられた炎の弾丸は護衛艦の副砲に直撃し爆炎、その威力にジェイクはアレは当たれば此方はミンチ確定だと判断しつつヘリの動きにも注視し、そのヘリは他の輸送機等の邪魔にならない位置に着艦させプロペラとローターが回転を止め完全にエンジンが切られ、そしてコックピットが開くと其処から1人の女性が高々と回転ジャンプしながら降り立ち、そして歩いてジェイク達の下に近付いていた。

 

「ふう、取り敢えず撃ち落とさない様にアメリカ軍人さんに通信入れてみたけど、話が分かる人が艦長で助かったわ。

で、アレがT-Genesis完全適応者………へぇ、見た所肉体強度や身体能力やら何やらの向上に加えて左腕を変異させて火炎放射器やらグレネード弾発射機能が付いた異形の腕に変化させるのか。

中々どうして興味深い力を持っているのかしら、是非ともその身体を解剖させて欲しいわね、CLOWNのお1人さん♪」

 

「な、何だこの女……「貴様はセイカ・ウェスカー‼︎

何故貴様がこの場に居る‼︎」セイカだと⁉︎

ならこの女がセイカ・キョウマチ……‼︎」

 

ヘリから降り立った女性……セイカはレミエルを見据えながらその肉体の解剖をしたいと口にしつつ、ジェイクを庇う様に間に立ちレミエルの出方を待つ。

そのレミエルはセイカは事をセイカ・ウェスカーと呼び捨て目の敵にする態度を取り、一方ジェイクはこの初めて会う女こそが京町セイカであり、もう1人のアルバート・ウェスカーの子として警戒し始め何をして来るのかと身構えた。

するとセイカはレミエルに対し睨み付けを行い、その理由を口にし始めた。

 

「私の事を何も知らない奴がウェスカーと呼ぶなよ狂信者。

私の事をそう呼んで良い奴は限られてんのをその身体に叩き込んでやるわ…‼︎

と言う訳でジェイク・ミューラー、貴方と私で共闘しようじゃないの」

 

「はあ⁉︎

お前、いきなり初対面の奴に何を言ってやがるんだ⁉︎」

 

セイカは自らを『ウェスカー』と呼ぶ事をレミエルに対し完全に切れた素振りを見せた後、ジェイクの方を見ていきなり共闘を申し込んで来た。

その脈絡の無さにジェイクは困惑し、しかし対するセイカは淡々と共闘する理由を話し始めた。

 

「先ず第1、私はワクチン等の防衛や貴方達を助ける様に命じられた事。

第2に私のお気に入りの子達がコイツ等の所為で危ない目に遭ってる事。

そして第3に……私の事を良く知らない癖にウェスカーと呼んだコイツ等を地獄に叩き落としてやりたいと個人的に思ったからよ。

と言う事でジェイク・ミューラー、さっさと構えなさいよ。

私が貴方と戦う意思が無い今がコイツを殺るチャンスよ?」

 

ジェイクはセイカの語る3つの理由について頭で整理し、この女の出方が自身に敵対する物では無いと理解はした。

特に第3の理由、此れがレミエルと対立理由の1つとなって居る点であり、此処から彼女からのウェスカーへの気持ちは憎悪にしか感じられないと考えずジェイクは思い、明らかに自分が知らない物を知ったか体験したかでセイカはウェスカーに恨みを抱いていると感じ取れた。

その地雷にこのレミエルはタップダンスを踊りながら踏み抜いたのでは?

そう思い此処はセイカの力を利用する形でこのレミエルと言う地雷を踏み抜いた道化の1人を斃す事にしよう、そう考えて腕を鳴らしセイカの横に立った。

 

「要はあの野郎がムカつくって事なんだろ?

アンタとは違うが俺もアイツにムカついていた所だったんだ。

で、アンタが俺に力を貸すって言うならそれを利用させて貰うぜ。

その方が効率が良い筈だからな」

 

「そうそう、そう言う素直に私を利用してやる様に動けば良いのよ。

だって私は『貴方の味方では無い、敵の敵』程度の存在なんだから。

だから背中には気を付けなさいよ、何時私が貴方の事を切り捨てるか分からないのだから」

 

「はっ、その時は俺がアンタをのしてやるさ!

だから予め言って置くぜ、やれるもんならやってみやがれってな」

 

ジェイクとセイカ、2人のウェスカーと言う父を持つ2人は目障りなレミエルを斃す点のみで一致した利害関係を結び、互いに互いを裏切るのも承知、背中から襲うのも承知と、ジェイクはイドニア紛争以前の傭兵時代にあった同じ傭兵の裏切りの経験からこのセイカを腹の底から信用はせずにいた。

それはセイカも同じらしく彼女の心情なりにジェイクを隙あらば始末したいと思ってすらおり、だが今は葵達自分の気に入った子達を陥れた道化に地獄を見せる事に集中し此処に信頼も信用も無い、ただ目障りな物を潰す一点のみの利害から生まれた共闘関係が成立した。

 

「はははは、新人類になる資格を持ちながらそれを拒む愚者とT-Genesisによる物では無いが新人類となり高次への進化を遂げたにも関わらず旧人類とその文明に加担する愚者、2人の愚者が手を組み俺を斃そうとするか‼︎

面白い、このレミエル手心も加えず貴様達に裁きを下そうか‼︎」

 

「言ってろよ道化野郎。

お前の発言1つ1つが耳障りで仕方無いんだ、オマケに身振り手振りも目障りと来て日本の言葉にある『百害あって一利なし』って奴なんだよ。

だからお前みたいな巫山戯た道化は此処で……」

 

「私の大好きなお酒や葵ちゃん達が消された世界なんて面白みも何も無いつまらない世界になるに決まってるじゃん。

じゃあそんな世界にしようとする道化には此処で……」

 

『潰させて貰うぜ!/ご退場して貰うわ!』

 

ジェイクとセイカを見て嘲り、その上で裁きを下すと正に自分こそが神に等しき天の使いであるとその態度と言葉から察せられ、異形化した左腕から炎を吹き上げながらレミエルは2人を迎え討つ用意をし、一方の2人はレミエルに対し走り出し、その上からの物言い等を圧し折ると決めながら走り出した。

そうしてかつて世界を滅ぼそうとした男、アルバート・ウェスカーを父に持つ2人が七大天使の名を騙るテロリストを地に堕とし葬り去る為の一時的な共闘が、ワクチン等を開発して事態の鎮圧を図るアメリカ軍特殊空母上で開始される事と相成るのであった。




此処までの閲覧ありがとうございました。
ジェイクがこんな敵に初っ端からぶち当たってしまった理由は単純明快、CLOWN達もウェスカーの血を引き継いでるジェイクからワクチン等が作られるのを恐れた為、更に確実に捕縛する為に自分達で動き、且つバイオテロ発生国近海に誘き寄せる為に其処までの道中で何も仕掛けて来なかったのです(ワクチン生成と同時にT-Genesis強化にも使えますからね)。
シェリーはGの力をT-Genesisに利用できないかとウィルス耐性から強化したウィルスが彼女にも通用するか、と言う実験的な意味での身柄要求です。
そして利害一致によりジェイクとセイカ、2人の共闘が始まりました。
その結末は次回に…。

次回もよろしくお願い致します。
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