今回はレミエルとの決着回であり、ジェイクとセイカの明確な『邂逅』回になります。
では、本編へどうぞ。
空母医務室に置いて、感染させられ中期症状を見せていた人質達に完成間近な抗ウィルス薬が投与されこれで薬が効けば……そう藁に縋る思いで人質達を見つめていたシェリー達。
その結果はと言えば………最新の検査技術も取り入れているこの空母での、抗ウィルス薬の力により人質達の体内にあったT-Genesisが消滅して行き、最終的に人質達の容体は安定化し、ウィルスも死滅していた。
つまり、抗ウィルス薬は効果を発揮し人質達の命を救ったのである。
「……良かった……‼︎」
シェリーは胸を撫で下ろすと同時に手摺りに捕まりながら一息吐き、ジェイクの血が再び人を救った事に安堵し、同時に完成間近でこの効力ならばしっかりと完成させれば末期寸前の人達にも効力が期待出来ると言う1つの光明が見えた事になりならばシェリーは何が何でもこれらを完成させなければならないと考え、外に居るジェイクに合流しCLOWNの男を倒さねばならぬと考え空母内から外に出ようとする。
「待って下さい、エージェントバーキン‼︎」
すると自身の背後から声が掛けられ、後ろを振り向くとそこに居たのは血清弾開発担当員の1人であった。
「貴方は……まさか、完成したの!」
「そのまさかです、今は5マガジン分ですが、血清弾がつい今しがた完成しました‼︎
貴女とジェイク氏のハンドガンマガジンにそれらを詰め込みました、早くジェイク氏にも届けてあげて下さい‼︎」
それはシェリー達が待ち望んだ物の3手の内の1つ、特殊なB.O.W.やT-Genesisウィルス完全適応者に対し毒となり、それらの力を抑制し殺す正に希望となる弾丸、血清弾が遂に完成したのだと知らされシェリーのハンドガンマガジン2個、ジェイクのハンドガンマガジン3個にそれらが詰められている計5マガジンを受け取り、血清弾開発者の1人にただ一言「ありがとう」と告げた後シェリーはジェイクの下に走った。
今もこうしている間にもこれらの完成や敵の足止めをしてくれている彼の行動に報いる為に急ぎ空母内を駆け抜けて行った。
一方外の戦闘はウィルス完全適応者の京町セイカがジェイク側に加わり、その2人が同士に走り出しレミエルへと向かって行った。
それに対してレミエルは左腕から火炎放射を放ち2人を焼こうとしたがジェイクはスライディングで避けつつ自身が見つけた銃器店でカスタマイズされたハンドガンでヘッドショットを加えていく。
が、ハンドガンとは言え弾丸が何発も頭に直撃し脳漿も飛び散っている筈なのに意に介さず左腕を徐々に下げようとしていた。
しかし其処にセイカがウィルス完全適応者の耐久力で火炎放射をそのまま走って突っ切り身体が燃えたまま顔面に左アッパー、左腕を右手で押さえジェイクに炎が当たらない様にしつつ自身も左手による首、顔面パンチや膝による鳩尾等を何度も『本気』で叩き込み、ジェイクも顔面に銃弾を浴びせて行く。
「調子に乗るなよ、ウェスカーの血を継ぐ愚者共‼︎」
するとレミエルも此れら全ての攻撃に対し苛立ちを覚えたのかセイカの首をフリーの右手で掴み締め上げると左腕の異形の腕をセイカに向けて火炎放射を直接浴びせ、更に右手で締められている首からは肉が焦げる音がし、右手自体も熱したフライパンを上回る温度に達している事が窺い知れ、ジェイクは捕まったセイカを離させようと起き上がって再び走り出しレミエルに接近しようとする。
レミエルはそれを予測し左足でジェイクを蹴り上げ肋骨を何本も折ってやろうと考えハイキックを行う。
だがジェイクは傭兵時代での対人戦闘やB.O.W.との戦闘の全ての経験と直感を生かしこのハイキックを避けて懐に潜り込み左脇腹にパンチを繰り出し、其処から流れる様に背中に回り込み軸になっている右足を払い転ばせ、その瞬間にセイカに向けた左腕もズレて顔面に背後から攻撃が通る様になりジェイクは渾身の力を込め始めた。
「喰らいやがれバケモンが‼︎」
ジェイクは膝と肘で頭を挟む様に打ち込み、二つの力を込めた硬い部位に挟まれレミエルの頭から『ブチッ』と何かが切れる音がし、鼻から血が流れ始めながら倒れ込もうとしていた。
其処に空かさずセイカが右手の高速を振り解き、共に倒れ込む勢いでレミエルの顔面に叩き落としを加え、レミエルの後頭部が甲板にめり込む程のパワーを叩き込む。
それらを受けた為か異形化した左腕から炎が吹き止み、2人は先程の走って来た位置に側転やジャンプで戻り態勢を立て直した。
するとジェイクはセイカの服が『全く焦げてない所か燃えた形跡すらない』事に気付き話し掛け始めた。
「おいおい、スーパーガールだから炎で焦げないのは分かるんだが服が一切燃えてないってどう言う事だよ」
「ふふん、私の服はタイラント達と同じく防弾、防刃、耐熱とあらゆる攻撃に対して高い防御力を誇る特別製なのよ。
まぁ、あっちはリミッター目的で付けてる訳だけど私達ウィルス完全適応者は人間の思考そのままにアレ以上のパワーとスピード等を発揮出来るから単純な防御力底上げ用の服だと思えば良いわよ♪」
「…最早何でもありだなオイ」
ジェイクはセイカの服がタイラント達がリミッターで着けているスーツ等と同じ物であると聞かされ、その間に首に付いていた焦げ跡がすっかり再生し切りダメージその物がシェリーと同じく治り切り何でもありだと称しながら呆れたと言ったニュアンスの声色を上げる。
するとレミエルは甲板に陥没した頭を立ち上がる反動で持ち上げて陥没から解放、そのまま2人を見据え口や鼻から出ていた血を拭いながら笑みを崩さず口を開いた。
「流石はウェスカーの子達と誉めてやろう。
片や旧人類のままでありながら俺に対し僅かでもダメージを与える程の身体能力を見せ、片や我等と同ステージに上り詰めた新人類なだけあってその力は言うに及ばず。
……だが、足りんな‼︎
この俺を殺し切るにはまるで足りん‼︎
貴様達の攻撃は確かに有効打が多いが我々T-Genesisにより新人類となった者は、末席であるこの俺でさえも貴様達が与えるダメージを上回る再生能力を誇るのだよ‼︎
ははははは、いやあ心躍るなぁ……貴様達が僅かな希望を見出した所を圧し折れるその時が訪れるのを想像しただけで俺がこんな旧人類しか居ないつまらない場所に来た甲斐があったと言う物だよ、ははは、ははははははははははははははは‼︎‼︎」
「……何なんだあいつ、いきなり訳分からねえ事を高々と叫びやがって」
「さあね?
要約したら私達の相手が出来て嬉しい、私達を潰すその時が待ち遠しいって所ね……ダメージを明確に与えてこの反応ってマゾなのかしらね、気持ち悪いわ」
レミエルはジェイクとセイカが自身にダメージを与え、確かな有効打を与えた事すらも笑い、だがその言葉にはまるで敗北の2文字が無い事が窺い知れた2人は訳が分からないこの態度にそれぞれの反応を見せて構えをし、出方を窺う。
だがまだ高笑いしてあまつさえ余所見までした事にジェイクとセイカは自分達が舐められていると分析しつつ、先程までのレミエルに与えたダメージが抜け切ってしまってると判断出来た為2人はアイコンタクトもせずに同時に突撃し、セイカはFN P90でレミエルの全身に銃弾を浴びせながら首にハイキックを叩き込みまたレミエルは甲板とキスをしたが、今度は直ぐに起き上がりセイカの頭を右手で持ちながら腹に左腕の炎をゼロ距離で浴びせる。
その隙をジェイクは逃さずマグナムを取り出して頭にクリーンヒットさせ僅かに頭をよろめかせた瞬間全身の急所にパンチ、キック、肘打ち、膝蹴り、そして心臓の上に親子故に無意識に同じ構え、同じ繰り出し方の掌打を浴びせてセイカの拘束を解いた。
するとセイカもお返しと言わんばかりにジェイクみたく連続パンチやキックを格闘ゲームのコンボの様に流れる様に叩き込み、最後は2人同時に小さくジャンプしながらスピンキックを浴びせてレミエルを吹き飛ばし、2人は倒れ込んだレミエルにリロードしたカスタムハンドガンとFN P90の銃弾を浴びせて全身を風穴だらけにした。
2人は相手がウィルス完全適応者、B.O.W.に等しき、否、間違い無くB.O.W.であるそれに油断せずに銃を仕舞い再び格闘の構えを取り絶命などしていない筈の七大天使を騙る男が立ち上がるのを待った。
するとレミエルは再び高々と笑い声を上げながら立ち上がり、するとその過程で風穴が空いていた箇所が治り始め、またこの2人相手には隙が大きく反撃を受け易いと感じたのかレミエルは左腕の異形化を解き普通の腕に戻しながら歓喜の声を上げる。
「はははははははははははははは‼︎
素晴らしい、素晴らしいぞウェスカーJr.達‼︎
T-Genesisで新人類となったこの俺を相手に果敢に攻めるその勇ましさ、そして力強さは敬意に値するぞ‼︎
さあもっとだ、もっと見せてくれ、貴様達の限界と言う物をなぁ‼︎」
レミエルはジェイク達の攻めを評価すると口にし、更に限界を見極めるべく離された距離を再び超スピードで詰め寄り2人に掴み掛かろうとする。
しかし此処でセイカはジェイクは『人間』の為先程から掴まれている為分かる手の超高温に身体が耐え切れずその掴まれた部位が焼き切られてしまうと分かっており、その為ジェイクに向けられた左手を自身の右腕に掴ませ、更に左手で右手を押さえ身動きを止める。
が、此処でセイカは掴んだ、掴まれた部位に対して気付く事があった。
それは何と、先程まで以上の高熱が手から発せられ、レミエルの足と接している甲板もその熱で溶け始めていると言う更なる超高熱が全身から発せられていると。
ジェイクもセイカの手や服から肉が焼ける焦げ臭い臭いに加え触られてる部位から煙が噴き上げているその光景を見て、今自分が殴り掛かればその熱に拳が耐えられず焼かれてしまうと気付きカスタムハンドガンでレミエルを撃ちセイカの拘束を解こうとした。
が、何とハンドガンの弾丸も着弾した瞬間から融解し、レミエルにダメージを与える前に溶け切ってしまうと言う今は何をしても駄目だと言う光景を目撃して攻めあぐねいていた。
「コイツ、さっきよりも熱いじゃないの。
しかも私が焼けてく様を見て笑うとか気持ち悪いし、この熱の温度からして私相手に手加減していた訳?
舐められた物ね…‼︎」
「クソが、殴ったら熱で駄目、銃弾も駄目、だったらどうすれば「ジェーイクッ‼︎」っ⁉︎
シェリー‼︎」
2人は相手が焼ける様を見て狂気的な笑みを浮かべるレミエルに気色悪さと今まで手加減して相手されていた事、更に現在何をやっても無駄な足掻きにしかならないと言う光景に2人はそれぞれ苛立ち、特にジェイクは人間である自分はこの後何をすれば良いか思案していた所にシェリーの声が響き、そちらを向くと自身に向かってハンドガンのマガジンを投げられている事が見て取れ、それを受け取りマガジン内を見ると通常の弾薬と違う弾薬が詰められている事が分かりシェリーに再び視線を向けるとその意図を理解してシェリーは頷いて見せた。
だがシェリーも今現在レミエルが発してる熱を目撃しておりハンドガンを構えてはいるが撃っても溶かされると分かっており撃てずにいた。
「このままじゃ無理だよな…ならセイカ・キョウマチ‼︎
アンタスーパーガールなんだろ、だったらソイツの熱が止まる様に隙を晒させてくれ‼︎」
「全く、私に命令しないで欲しいっての。
でも、私をウェスカーと呼ばないその気遣いやらいい加減鬱陶しくなって来たコイツを黙らせる為に従ってやるわよ‼︎」
其処でジェイクは未だこの熱に耐えられているセイカに対してレミエルが隙を作る様に言い放ち、対するセイカはジェイクに命令されるのは癪だと言う態度を見せながらも、ジェイクが自分をウェスカーと呼ばないその言葉選びに2割、そしてこの鬱陶しい七大天使を騙る男に対する興味の失せに8割と言ったセイカ自身の感情を込めてその拘束を振り払い再びパンチやキックを肉が焼かれながらも繰り出し、そして最後は矢張りと言うべきかジェイクと同じく掌打を叩き込みレミエルを吹き飛ばす。
しかしレミエルはその吹き飛ばしに対して身体が倒れない様に力を込めて支え、そして受けたダメージに対して笑い声を上げると甲板から発せれた金属が溶けた臭いと煙が消え、レミエルは明らかな隙を晒したとジェイク、シェリーは察し2人は特殊弾頭が込められたハンドガンを構え、セイカは2人の射線に入らぬ様に飛び上がりジェイクの横に立った。
「これでも喰らってろ、バケモンが‼︎『ズダンッ‼︎』」
ジェイクがレミエルに対し化物と叫んだ瞬間、シェリーと共に特殊な弾丸……完成したT-Genesis産B.O.W.やレミエルの様なウィルス完全適応者用の血清弾を放ち、それがレミエルに対し直撃し血飛沫が2つ上がる。
その間にシェリーもジェイクの横に立ちレミエルを見据えながらハンドガンを構えていた。
「…はははは、なんだ今のは?
それが切り札だったのか?」
しかしレミエルはまるで堪えていない素振りを見せながらジェイク達を見やり、これには3人共(セイカは2人の様子から察し)放った血清弾が効き目がなかったのかと焦り、しかし銃の構えを解かずにレミエルに銃口を向け次の出方を待った。
そしてレミエルは先程の様に超高熱を発しながら超スピードで近付こうと足に力を込め走り出す……その瞬間に立ちくらみと視界が赤く染まり、更に頭痛や吐き気と言った様々な症状が表れ、その上先程まで纏えた高温を発せなくなり身体の自由が効かない事をたった今察してしまう。
「な、何だ……身体が……き、貴様ら、何を撃ち込んだ……⁉︎」
「ふん、やっとその巫山戯た余裕ぶった態度を崩したな。
何を撃ち込んだか教えてやるよ、血清弾だよ。
しかもお前等やB.O.W.様に調整された特注品だぜ。
特別サービスだからもっとたらふく喰らいな‼︎『ズダンズダンズダンズダンズダンッ‼︎‼︎』」
「ぐっ、がァァァァ!??!」
レミエルは何を撃ち込まれたか理解出来ずジェイクに叫ぶと当の本人は血清弾だとあっさりネタバラシし、そのまま再び血清弾を何発も浴びせレミエルに更なる苦しみを与える。
無論これはただのB.O.W.処理などでは無い、ジェイクがこのバイオテロで苦しみ、そして死なざるを得なかった人々の痛みを与える七大天使を騙る男に対する謂わば天に登る力を奪い去る鉄槌である。
そのジェイクに続きシェリーも弾丸を撃ち込んで行き、ジェイクと同じ想いを抱きながら引き鉄を引いて行き、それをセイカはレミエルに対し養豚場の豚を見る様な目で見つめ、様々な感情…特に侮蔑とプライベートに土足で踏み込んだ事への怒りの感情を込めてレミエルが血清弾を受けて倒れていく様を見つめていた。
そしてレミエルは遂に仰向けに倒れ伏してしまい何も抵抗する力を出せずゆっくり近付いて来るジェイクとシェリーに身体を起こして見つめる事すら出来ない状態になり、マトモな言葉を発せぬまま目の前まで来た2人に視線を向け口をパクパクと開けていた。
が、呂律が回っていない為何を話しているのか誰にも分からず、また理解しようともせず2人はレミエルの頭に銃口を向け死刑宣告を口にした。
「罪も無い人達を苦しめたその身勝手な行い、此処で全部断じてあげるわよ…‼︎」
「これでゲームオーバーだ、七大天使さん?」
『ズダンッ‼︎』
シェリーはCLOWN達の身勝手さに怒りを燃やし、その姿はかつてラクーンシティで自身を救ってくれたクレア・レッドフィールドに重なりながら引き鉄を引き、対してジェイクはゲーム感覚でバイオテロを引き起こした者に対しゲームオーバーと言う最大限の皮肉を込めて引き鉄を引き2つの血清弾はレミエルの脳天に叩き込まれ、其処でレミエルは踠き苦しみながらもまともに手が動かせずガクガクと震える事でしか苦しんでいる事を表現出来ず、そして遂に白目を向き震えていた手もパタリと動かなくなりレミエルの絶命は確定的となった。
「『プシュッ、ゴクッゴクッゴクッ』ぷはぁ………ホント、七大天使を騙っておいて人間様に負けるなんて滑稽でしか無いわね。
取り敢えずもう聞こえないだろうけど貴方風に言えば……つまらないゲームだったわよ、レミエルさん?」
するとセイカは超スピードで態々ヘリからビールを取り出して来てジェイク達の後ろでそれを飲みながらレミエルの事をつまらなかったと評し飲酒を進める。
その言葉にジェイクは概ね同意していたがこの女が自分と同じくウェスカーの子であり、更に自分と違い何らかのウィルスに完全適合したレミエルと同等の存在である為警戒心を捨てず酒を飲み切るまでは銃口を向けずに睨むだけにし、そして飲み切ってセイカが缶をヘリのコックピット内に後ろ投げで入れた所を見計らい通常の弾丸を込めたカスタムハンドガンを構え、射撃モードを単発から3点バーストに変えてセイカを見据えた。
「…そう、それが正しい判断よジェイク・ミューラー。
アンタと私は所詮はこの天使気取りを倒すだけの共闘関係に過ぎなかった。
だから此処からは……アンタと私の『話し合い』になるわ」
対するセイカもベレッタを構えてジェイクに銃口を向け『話し合い』と言う単語を出して冷淡な笑みでジェイクを見つめていた。
するとシェリーもジェイクと同じく銃口をセイカに向け、互いに何時でも銃を撃てる状態にしながら距離を保つ。
するとセイカの背後から頭に向けて幾つもレーザーポインタが向けられ、その先をジェイク達が見ると米兵達がセイカにライフルを構えており何時でも狙撃可能な状態になっていた。
が、セイカはそんな事にはとっくに気付いており全く意に介さずジェイク達に視線を外さず銃を向けっぱなしの状態にしていた。
こうして天使を騙る男はかつて世界を滅ぼそうとした男の息子達、更に自身等が使うウィルスの基を作った男の娘に倒され地に堕ち、惨たらしく死んで行った。
そして次はジェイクとセイカ、2人のウェスカーの子の『話し合い』の番と相成ったのであった。
「…先ずセイカ・キョウマチ、アンタは何なんだ?
アンタが此処に来た理由は聞いた、だがアンタ自身の考えは聞いていない。
だからこう質問してやる、『アンタ自身の目的は何なんだ』?」
「ふふ、私自身の目的かぁ。
私が此処に来た理由を聞いたら愚問だって笑い飛ばしたけど私自身の目的を此処で聞くなんて目の付け所が違うわね〜。
うーん、強いて言うならアンタを見に来た、かな?「俺を?」
そう、ある人のイタズラ心があったとは言え見ておきたくなったのよ。
ジェイク・ミューラー……私と違ってこれと言った束縛を受けず、母からも確かな愛情を持たれ、そして自由気ままに生きて来た………謂わば『私のもう一つの可能性』の様な存在、『コインの表側に位置する奴』がどんな人間なのかをね…!」
ジェイクはセイカが此処に来た『誰かに命じられたから』では無い『個人としての理由』について問い質すと、セイカは不意に笑みを浮かべて銃を下ろし横をトコトコと歩きながらジェイクを見据えて己の中に秘めた物を垣間見せる様に話をして行き、そして超スピードでジェイクの目の前まで走って来てその目を見開きながら狂気的な笑みを浮かべてジッとジェイクの目を見ていた。
そしてその瞳は緑色でありながらその下が赤く輝いた光が漏れており、この緑色の瞳はカラーコンタクトである事をジェイクは察し、更にジェイクとシェリーはセイカの言葉から滲み出る激情の一片を感じ取り冷や汗を掻き迂闊な言葉を発する事が出来なくなっていた。
現在セイカはジェイクとシェリーの目の前に居る、よって迂闊な言葉を発せば此処で殺されると察した為黙って彼女の言葉を整理し始めた。
ジェイクが自身のもう一つの可能性やら、コインの表側やら、母からの確かな愛情や自身と違い束縛を受けず自由に生きて来た等の言葉を整理した。
すると2人の中でその答えはあっさりと出てしまう。
この京町セイカはジェイクが歩んで来た人生とはまるで別物…と言うよりも真逆の人生を生きて来たのだと、特にジェイクは理解してしまい睨む目は変えてはいないがその内には驚愕の色が浮かんでしまい、それを見たセイカは不気味に笑いジェイクに話し掛けていた。
「ふふふ、そうよ!
私は所詮アルバート・ウェスカーが保険の為に私の組織とパイプ役に立たせる様に関係を持った女を母に持ち、その母からはウェスカーが自分を捨てた事を知れば私はお荷物、生まれなければ良かったと四六時中虐待を受け、更にその母はウェスカーが邪魔になったって理由で殺され、私は実の母からは愛されず、実の父には自身と同じあらゆるウィルスへの耐性や適応力を持つ事から組織にウィルスやB.O.W.の性能実験の検証台として売られて自由もない、何時死んでも可笑しく無い人生、いや、人生とすら呼べない研究対象として生きて来たのよ!!
そうやって私は今の力を得て行ったけど自由なんか無い、ならせめて生き意地汚く生きてやると思って生きてたけどウェスカーは私の今居る組織を捨て、更には自身が神になるとか馬鹿らしい野望を抱いて組織に負債を、危うく組織の足が付いてしまう事態を生み出して勝手に死んで行った!!
まあ勝手に死んだのは良い、この手で殺してやりたかったけど殺す権利がある人が殺したから100歩譲ってそれも良い!
けど奴は私の事を捨てる所か殺さずに放置して死んだのよ!!
お陰で組織の私に対する風当たりは更に強くなり、更なる過酷な実験や果ては頭の中を弄る実験までされたのよ!!
その所為で私は喜怒哀楽の中で『喜』の部分しかまともに感じられなくなって怒りも哀しみも対して感じられない人としてあるべき物が欠落して完全な生物兵器に成り果てた上で組織への負債をエージェント兼自社商品として支払う今があるのよ!!
アンタは、アンタ達は良いよね、親に振り回されても自分は自分だから生きていけるから!!
でも私にはそんな権利すら許されなかった!!
こんなの酒飲んで自分は人間だって酔わなきゃやってらんないわよ!!
でも結局酒にすら酔えない、ただ飲むだけしか出来ず味程度しか分からない………そんな私の歩んで来た道をアンタ達に分かる!?
分からないでしょうね、コインの表側なんだから、だから私は此処に来た、あの人のオーダーもあるけど私の事をアンタに教えてやる為にねぇ!!
あはは、あははははははははははははははははははははははは!!」
ジェイクとシェリー、否、彼等だけで無く甲板に居る人間全員はセイカの支離滅裂で前後の脈絡もバラバラ、しかしその声には怨嗟のモノが混じりながらもその表情は只々『笑顔』しか浮かばずにいて、だがそれは泣いているとも取れて怒っているとも取れるモノであった為その場に居た軍人達は絶句し、シェリーは自身の両親には確かな愛はあった故にセイカの辿って来た道は自身の親が更に狂気を煮詰めた科学者だった場合にあったかもしれない、ジェイクももしかしたら彼女の様になっていた可能性があったかも知れない、正に『もう一つの可能性』を目の当たりにして何も言えずにいた……が、それと同時に同情などしよう物なら即座にセイカに殺されるとも2人は雰囲気から理解しており、彼女の狂気の笑い声を只々見据え、そしてジェイクは独白中に距離が再び開いた事で銃口をセイカに向け、彼女の出方を待った。
そうして彼女が次に行った事は……再び笑みを、しかし先程のとは違う人間的な笑みを浮かべ再び話し始めた。
「…ふふふ、そう、それが正しいわよジェイク・ミューラー、シェリー・バーキン。
私みたいな悪党に同情なんかしたら手痛いしっぺ返しを喰らうだけなんだからそうやって警戒心を捨て去らない事よ。
……それじゃあ、オーダーも終わった事だし私はそろそろ私が気に入った子達の所に戻るわ。
あ、それと、そいつの死体からDNA鑑定してみなよ。
面白い事が分かるって私にオーダーしてくれた人がヘリの中で言ってたわよ。
それじゃあ待ったね〜!」
セイカは同情もせず警戒心を捨てないジェイク、シェリーに自身の中で100点を付けて安易に自分に変な感情を向けなかった事を正しいとしながら再びレーザーポインタが向けられた事にまた意に介さず、更にレミエルのDNA鑑定をする様に勧めた瞬間人間離れしたジャンプでヘリのコックピットに乗り込み、エンジンを起動して甲板から離陸、そのまま空母から離れて行く。
米兵達は銃を撃とうとヘリに向けるがジェイクが大きな声で「止めておけ」と一言警告し、この逃亡を無視すればセイカはそのまま去って行くが、そうでなければ相応の痛い目に遭うとオメガ1に似た匂いを感じ取りそのまま去らせて行った。
「ジェイク……」
「大丈夫だシェリー、それよりソイツのDNA鑑定が先だろ?
ならさっさとやっとけよ………アレがセイカ・キョウマチ……俺達にあったかもしれない可能性、か……」
シェリーはジェイクを心配して彼に声を掛けるが、そんなジェイクはシェリーの心配を受けつつ手を挙げて大丈夫だと言いながら艦内の用意された自室に向かって行くと自身のもう一つの可能性、京町セイカを明確に認識し、今後もこのバイオテロ解決に向かって行く先々で出会うであろう彼女に対し次もまた油断しないとしながらカスタムハンドガンをホルスターに仕舞い、更にアルバート・ウェスカーは余計な事をして死んだのだと更に理解し京町セイカが敵に回った場合の想定も加えながら今後の行動方針を纏めて行くのだった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
セイカさんが今まで酒を飲んでいたのはそれが彼女にとって唯一の逃避法であり、しかし一切酔う事が無い為ただ味を感じる事しか出来ず、しかし飲まずにはいられない依存症を患っており、また此処まで明確な怒りを向けたのは彼女が気に入っている葵達が死に掛かりその相手程度にしか向けず(しかも笑顔)にいたのもある意味この『邂逅』の為だったりします。
そして早速消えるCLOWNの1人でしたが…相手と武器の相性が悪過ぎたと言う事で。
次回もよろしくお願い致します。