BIOHAZARD【V+α】   作:”蒼龍”

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皆様おはようございます、第29話目更新でございます。
今回はかなり詰め込んだ話になっております。
そしてこのタイトルの意味は……。

では、本編へどうぞ。


EP XXIX『覚醒』

駐屯地とROICE学園の中間地点。

BSAA先行バイオハザード封じ込め部隊チャーリーチームが目標地点まで向かう全員が乗れる車両を用意し、B.O.W.の大群が大体その場所を通る事から葵達は各チームからレールガンの予備やグレネードランチャー等を受け取って輸送機に乗り、降下地点に到着した瞬間全員おりB.O.W.の大群を少し待つ。

すると直ぐに其処に200を超えるネフィリムやハンターG、リッカーGにエクスシアが迫って来て全員その数に固唾を飲んでいた。

 

「さあ、後少し来なさい。

そうすればお前達は…」

 

そうして作戦通りヨナが前に躍り出てB.O.W.達を500メートル範囲内に入るまで待ち、自滅させ合う作戦を行っていた。

そしてB.O.W.がヨナを含めた生きた者達を見つけ走り出した……それから直ぐに500メートル範囲内に入り、ヨナは笑みを浮かべた。

 

「私の支配下だ!

さあ私の駒達、そのまま死ぬまで自滅し合いなさい‼︎」

 

『グルァァァァァァァァァァァァァァ‼︎』

 

ヨナが叫び手振りを交えながら500メートル範囲内に入ったB.O.W.に死ぬまで自滅させ合う命令を下すと、エクスシアも何もかもが隣のB.O.W.同士と自滅し合う光景がレオン達の目に映りレオンはプラーガ支配種の力をそのまま思い出し苦笑いしていた。

 

「ヒュー、これは凄いや。

B.O.W.共が馬鹿みたいに自滅し合ってるぜ」

 

「確かにこれなら安全に目標地点まで行けるな…よしクリス、命令を」

 

「ああ、全員チャーリーチームが用意した車両に乗り込め‼︎

ヨナ、君は道先のB.O.W.に命令を下せる様に助手席に乗るんだ!」

 

カルロス達はエクスシア達が自滅し合う光景を爽快に思いながら眺め、しかし任務を遂行すべくビリーが直ぐにクリスに命令を出させ、彼の命により全員が車両に乗り込むとクリスが運転席、ヨナが助手席に乗り込みエンジンを掛けた。

 

「これで全てを終わらせてやる…!」

 

クリスはその一言を呟くとアクセルを入れ目標地点まで車両を走らせ始め、葵達は長かったこの悪夢に終止符を打つと意気込み、周りもまた同様の思いを抱きながら車に揺られつつ目標地点到達までジッと待つのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして道端のゾンビやB.O.W.に死ぬまで自滅し合う命令をヨナが助手席から下しながらROICE学園北西1kmに位置する高層ビルに辿り着くまで残り400になった頃、通信先で神奈川県方面でBSAAの輸送機がケルビムの攻撃を受け墜落したり埼玉県方面もエクスシア達と道端で偶然鉢合わせた為車両がそのパワーで吹き飛ばされる報告等が多数上がり、事態の混沌化が更に加速度的になったとクリスは感じていた。

 

「はぁ、クレナイ…貴方はこんな光景が見たかったのかしらね?

まぁ、私も奴の事をとやかく言える立場じゃないからこれ以上は何も言わないけど…あケルビム、自殺なさい」

 

「…本当にケルビムまでも支配下に置き自滅させるとは…」

 

「これがT-Genesis完全適応者の特権の1つよ。

但しクレナイの支配範囲は私を優に上回るから目標地点まで200に入った辺りからはこの能力に期待しないで、奴の方が支配優先権と有効範囲が広くて高いから……あら?」

 

そうしてケルビムも自滅させT-Genesis完全適応者特権をクリスに話し、後ろで葵達もそれを聞きながら周りを見ていたヨナが残り300までになった所、前方の道路が事故車両で寸断されてしまいこれ以上は車での移動が不可能になった為、クリスは車を止め降り始めた。

 

「よっと、あらら…車が止まったと思ったらこれもう歩いてしか向かえない位道路がギッチギチだわ」

 

「チッ、仕方ねぇ。

此処からは全員仲良し子良しで歩いてくしかねえな」

 

「だな、じゃあ隊列整えて行くぞ!」

 

セイカ、ジェイクやその他全員は車両から降りると前方がもう車で進めない事を悟り愚痴りながら歩く道を取り、B.Y.が隊列を組ませ警戒しながら早歩きを始め、目標地点まで向かって行った(因みに茜は既に全リミッターを解除している)。

 

「そう言えばアカネ・コトノハ。

貴女もT-Genesis完全適応者ならT-Genesis産B.O.W.の支配権を持っている筈。

貴女それを何故今まで使わなかったのかしら?」

 

「あーいや使っとったよ、初めてエクスシアに遭遇した時にウチを狙う様に命令しながら。

でもウチのこの力の有効範囲、10メートルあったらええな〜的に極端に短いんよ。

せやからEdenI(エデンワン)内部で期待はせんでええよ」

 

するとヨナが何故茜はT-Genesis完全適応者の支配権を使わないのかを本人に聞くと、実はエクスシア初遭遇時点で使っており、更に有効範囲が10メートル以下と極端に短い事を教え、其方には期待しない様にと釘を刺すのであった。

そうしてビルまで100、50、そして遂に閉じられたシャッターをこじ開けビル内に侵入した。

 

「…敵影無し‼︎

ヨナ、EdenI(エデンワン)の入り口は何処に!」

 

「彼処、中央エレベーターに隠しパネルがあって其処で指紋認証するのよ

出し方は特定の階のボタンをこの階で順番を守り押すのよ」

 

クリス達は早速周りを見渡し、敵影が無い事を確認してからヨナにEdenI(エデンワン)の入り口が何処かを聞くと、ヨナはビルの中心にある中央エレベーターを指差し、其処に隠しパネルがあると話した為全員で中央エレベーターに集まり、ヨナの言った方法を試すと、通常のフロアパネルの下に指紋認証の隠しパネルが現れクリス達全員間違い無くこれがEdenI(エデンワン)の入り口と確信する。

 

「よし大将達、敵の首を狩る為にさっさと乗り込もーー」

 

『残念ダガ、行カセハセヌ』

 

「っ、この声は‼︎」

 

カルロスが早く全員で乗り込もうと言おうとした瞬間、独特な声がビル内に響き全員、特にクリス達は聞いた事がある為驚いていた。

それは間違い無くケルビムの声であった。

更にケルビムの周りにエクスシアが数十体もビルの柱の影等から現れ、クリス達を取り囲んでいた。

 

「ケルビムに…エクスシアがこんなにも⁉︎」

 

「敵の本拠地だから此れだけの物量を残しているとは思ったが……あれだけ外にB.O.W.を放ってまだこれだけいるとはな、泣けるぜ」

 

『貴様達ヲガブリエルノ下ニハ行カセハセヌ。

裏切リ者ノラファエル共々此処デ朽チ果テルガイイ』

 

クリス達はケルビムのみならず大量のエクスシアを見て驚き、骨が折れると言った様子を見せるとケルビムが紅の下には行かせないと言いクリス達を取り囲もうと躙り寄り、いよいよ以て最後の戦いだと全員は確信する。

 

「レッドフィールド、スコット・ケネディ、如何するのかしら?

さっきも言った様に此処では支配権は通じない、なら誰かが此処に残りケルビム達を相手にしなくてはならないわ」

 

『……』

 

「なら、クリスの旦那達は行けば良いさ」

 

ヨナも先程の会話を蒸し返し、此処まで来ては支配権を使えないと話しクリス、レオン達に誰が残るかを迫る。

クリス達もこの場に誰かが残らねばならぬと思い悩んでいた所、何とカルロス、ビリー、『アルファ』、エイダが率先して前に出ていく。

 

「なっ、お前達⁉︎」

 

「此処は俺達に任せな、他に方法は無いだろ?」

 

「ならば早く行くと良いさ。

何、降りた後にエレベーターを上げてくれればこの化物共を倒した後にさっさと合流するさ」

 

クリスの反応に対しカルロス、ビリーが振り向きながら笑みを浮かべ、死ぬつもりなど無くこの場を片付けたら合流すると話し、既に銃を構えクリス達に行く様にと言う雰囲気を作り出していた。

 

「エイダ、『アルファ』、良いんだな?」

 

「ええ、此処から先にこの化物達が行かない様にしてあげるわ。

勿論、貴方に貸し1でよ。

いつかは借りを返しなさいね、レオン」

 

「此処は戦場だ、運命は自らの手で切り開け……ただそれだけだ。

さあ早く行け、お前達にはお前達の役割がある筈だ」

 

エイダも珍しく殿を買って出た事にレオンは良いかと尋ねると貸し1でやってやると言う彼女らしい発言が飛び出てレオンは相変わらずだと苦笑し、そして『アルファ』に至ってはレオン達の役割を果たす様に言い放ち、全くレオン達の方は見ずに銃を構え戦闘態勢に入っていた。

 

「アンタら…分かった、任せるぜ」

 

「大隊長に皆、此処は頼んだで‼︎

さあ、皆早く乗るんや‼︎」

 

「皆さん…どうか生きてまた会いましょう‼︎」

 

ジェイク達がその覚悟を目にし、もう語り掛ける事すら時間の無駄使いだと判断してジェイクから率先して乗り込み、次にシェリー、ヨナ、ゆかり、あかり、B.Y.、マキ、セイカ、クリス、レオン、そして最後に茜、葵がエレベーターに乗り込み2人の姉妹が指紋認証をする。

 

『琴葉茜、及び欠落者琴葉葵の指紋認証。

ようこそ、EdenI(エデンワン)へ』

 

そうして第1の楽園の名を冠した最後の地獄への扉が開かれ、クリス、レオン達はその道へと踏み入り誘われて行った。

全てはこのバイオテロを終わらせる為に。

 

『別レ話ハ済ンダカ?

ナラバコノ地デ朽チ果ハテ、ガブリエルノ創ル楽園ノ糧ニナルガイイ』

 

「あら、別れ話なんか一切してないわよ?

ただ醜悪な化物を倒してさっさと合流するって話だったのよ、耳が悪過ぎて聞こえなかったかしら?」

 

そんな中で律儀に待っていたケルビムがエイダ達に要約して紅の作る世界の肥しになる様に言って来るが、そんな物はこの場に残った全員が願い下げであり、更にエイダはケルビムが自分達が何を話していたかをしっかり聞いていないとして不敵に笑い血清弾(Fallen Bullet)入りの銃を構え先ずは囲んでいるエクスシアから倒そうと思案していた。

 

「それか人語を介しても俺達の考えまでには及ばないんじゃないか、何せ所詮B.O.W.だからな!

さあ、派手なパーティの始まりだぜ‼︎」

 

「ああ、さっさと片付けてクリス達に合流するぞ‼︎」

 

「全員、攻撃開始‼︎」

 

そしてカルロスが気合入れの発言を行うとビリーもクリス達に合流するべく今まで培って来た物全てを出すべく手に力を込める。

最後に『アルファ』が攻撃命令を出した瞬間全員発砲し、数の多いエクスシアを捌きながらケルビムの攻撃も避けつつ、更にエイダがフックショットで開けたビルオフィスを縦横無尽に駆け回りながらケルビムにダメージを与える今までのB.O.W.戦の中でも特に激しい戦闘が繰り広げられるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ビリー、カルロス、待っているからな」

 

「エイダ、『アルファ』、必ずまた会おう」

 

クリス、レオンが4人の身を案じつつ必ず自分達を追ってやって来る事を信じてエレベーターが地下深くまで潜る感覚に揺られながら目的地に着くまで待っていた。

そしてエレベーターが止まり、ドアが開かれると其処にはEdenIII(エデンスリー)と同じ扉があり、エイダ達の為にエレベーターを上げると今度はヨナが指紋認証すると矢張りエントランスホールが広がり、しかし周りの壁は血塗れになり何かがあった光景が広がっていた。

 

「ヨナさん、此れって」

 

「ご想像通り、クレナイの日記にあった様にCLOWNが集めた下位メンバー全員も合わせてその場でT-Genesisを打ち、そして私達以外はゾンビ化してこの有り様よ。

さて、一応マップコピーをしましょう。

ただ、セキュリティ関係でこの下の地下階層のマップは此処では表示不可だからこの階層のマップだけになるけれどね」

 

葵はヨナにこの光景を聞くと紅の日記にあった完全適応せずゾンビ化した者達がこの血塗れの光景を作ったと説明し、茜達はあったなその内容的な表情を浮かべ、ヨナがこの場に居る全員のタブレットにEdenI(エデンワン)の通常階層のマップを送ると、矢張りEdenIII(エデンスリー)と大体同じ作りになっているのをレオン達は確認した…が、彼方には無かった第1管制室の先に更なる連絡通路があり、レオンは表情で此れはと確認を取る。

 

「此れがEdenI(エデンワン)独自の通路、地下施設に通ずる連絡通路よ。

此処を通ってその先のエレベーターに乗って地下階層に行く様になる…けれど、その先に行くには第1管制室からエレベーターのセキュリティをOFFにするか私の指紋認証が必要になるわ。

アカネ、一応確認するけどマスターコードは知ってるわね?」

 

「当然やで、んじゃさっさと行くで。

地上の皆が仰山驚く位早く終わらせたるで!」

 

ヨナは此れがEdenI(エデンワン)の更なる地下階層行きのエレベーターがある連絡通路であり、その先に行くにはヨナの指紋か第1管制室でマスターコードを使い其処のセキュリティをOFFにしてからでなければ使えないと説明する。

更にヨナは念の為マスターコードを知ってるか茜に問うと愚問と言わんばかりに即答し、改造AKを構え先頭に出る。

その意気込みにクリス達も乗り陣形を組み、最後尾はスナイパーのゆかり、あかり、その防衛の為のマキやヨナとなり施設を走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

そしていざトラップがある……かと思いきや、レオン達がEdenIII(エデンスリー)に入った際にあったレーザートラップすら作動せず素通りになり、そのまま何事も無く第1試験場前まで辿り着いてしまう。

 

「何だろう、何か拍子抜けって言うか……」

 

「恐らくクレナイの事よ、此処まで下手なトラップで掻き乱すよりラスボスらしくこの先で陣取る選択を取っているのよ。

全く、何処までもゲーム感覚で理解に苦しむわ」

 

「それ同感やわ」

 

マキ達は何も無い事に拍子抜けするが、ヨナは紅の思考からラスボスとしてこの先に陣取る選択を取ったと判断し、理解に苦しむと言いながら指紋認証を進めた。

それに茜が同意して同じく指紋認証をし、第1試験場の扉を開け全員が一斉に銃を構え突入した。

 

「………」

 

「…あれ、居ない?」

 

そしていよいよ戦闘になる…と思いきや此処でも拍子抜けを喰らい、第1試験場にすら紅の姿が無かった。

しかし全員は警戒を解かず試験場の真ん中まで陣形を組みつつ周りを警戒し、何処から来ても良い様に辺り見渡した。

しかし、幾ら待っても紅の姿は無く全員が全員こう思ってしまう。

紅は地下階層の方で待っているのでは、と。

 

「…ねえジェイク、レオン、クリス、これは先に進んだ方が良いと思うんだけど」

 

「ああ、なんか此処に居ても時間の無駄っぽいからな」

 

「よし、なら警戒を解かずこのままーーー」

 

「待っていたぞぉぉぉぉ、諸君ッ‼︎」

 

シェリーが先に進む提案をし、ジェイクやレオンが同意を示したその時、天井から赤髪の男が大人組と子供組+ヨナ、セイカの間に降り立ち、その男は圧倒的な身体能力を以てクリス達を蹴り飛ばしてしまう。

 

『ぐあっ‼︎』

 

「きゃあっ⁉︎」

 

「レオンさん、クリスさん、ジェイクさん、シェリーさん、B.Y.さん⁉︎」

 

「ふっ」

 

『Pi』

 

更に葵が5人の心配をする声を上げた瞬間、男は懐からタブレットを取り出し何かの操作をすると、第1試験場のクリス達が吹き飛ばされた範囲以外を覆うガラスが張り巡らされてしまい、大人達と葵達は分断されてしまう。

 

「ぐっ、しまった、油断した‼︎」

 

「アオイ、マキ、ユカリ‼︎」

 

『ズダンッダンッダンッダン‼︎』

 

ガラスの向こうでクリス達は一瞬油断した事を悔い、ガラスに向かってマグナム等を叩き込むが全く傷が付かず、此れではクリス達の援護が期待出来ない事が窺い知れてしまう。

そしてクリス、レオン達と茜、葵達を分断した男は余裕ある笑みを浮かべ葵達の方を振り向いた。

 

「出おったな……このマッドサイエンティスト‼︎」

 

「ガブリエル、いえ‼︎」

 

「処断対象、琴葉……紅‼︎」

 

茜、ヨナ、マキが憤りつつその男、ウィルス完全適応者の瞳をカラコンで隠さず更に既に仮面すら捨てた男、琴葉紅を見据え銃を構えたりヨナはウィルスの力を使い足場を凍結させ全力の戦闘態勢に入っていた。

それに対して紅の反応と言えば。

 

「やあ茜、それと葵、直に会うのは久し振りだね。

それからラファエル、いや、ヨナに娘達のお友達諸君、改めて自己紹介をするよ。

私はーー」

 

「自己紹介なんか如何でも良いです下衆野郎」

 

「それよりも現れましたね、全ての元凶、お義父さんを惑わした敵‼︎」

 

「全く、いきなりやってくれるわねこのド屑さん?」

 

「今更父親面しないで、こんなバイオテロを起こして、私の友達や先生や近所の叔父さん達、そして私の日常を奪い去った悪魔…‼︎」

 

紅は茜と葵の父親面をしてゆかり達に自己紹介をしようと言う神経を逆撫でする行為を行なっていた。

が、此れをゆかり達がバッサリ切り捨て、最後に葵が悪魔と呼び捨て既に父親とすら思っていない事を示した。

それを聞き紅は苦笑して次に何を話そうか思案していたが、其処にヨナが口を開いた。

 

「クレナイ、ゼラキエルと共に私の人生を弄んだ最低最悪の男‼︎

今此処でお前に復讐してやる、覚悟なさい‼︎」

 

薄いコバルトブルーのストレートのセミロングヘアがウィルスの力で生み出された寒風で靡き、更にウィルス完全適応者の瞳が怒りで更に赤く輝きその憎悪の深さがどれだけかを示しながら凍結箇所が広がって行き、茜達はヨナの力に巻き込まれない様に陣形を組みつつ自身が最も得意とする獲物を構え紅との戦闘態勢に入った。

 

「おやおや、君達は如何やら私との会話は不要だと見れるね。

本当ならもう少し話したかったんだけどね、例えばスペンサー卿の理想とした世界の実現が迫りつつあるからそろそろ矛を収めて共に来ないか、茜と一応レミエル以上の失敗作だけど葵のお友達だから新人類になる素質があるか先に検査してあげるよとか、ヨナが裏切りは不問にしてあげるとかあったんだけどなぁ……仕方無いね」

 

そんな彼女達を見て紅は自分本位のではあるが、話が色々あったと口にしたがこれ以上は聞いてくれないと判断し手を竦めやれやれと言った仕草を見せた瞬間ーーー。

 

『ブゥン‼︎』

 

「な、きゃあ⁉︎」

 

「ああっ⁉︎」

 

白龍同様の電磁による茜以上の超スピードでゆかり、あかりにそれぞれ接近してパンチやキックを与え、ガラスまで吹き飛びして激突させ、彼女達の肺から酸素を殆ど吐き出させ咽せさせた。

 

『ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ…‼︎』

 

「ゆかりん、あかりちゃん⁉︎」

 

「ちょっと痛い目に遭って私の言葉を聞いて貰おうかな」

 

マキ達がゆかり達の心配をする中、先に矛を抜いた紅は邪悪な笑みを浮かべながら彼女達をこのまま襲い、無理矢理話を聞かせると宣言して次にヨナとセイカに狙いを定めていた。

 

「ユカリ、アカリ‼︎

くそ‼︎」

 

「この、壊れやがらねえぞこのガラス‼︎」

 

「無駄だよレッドフィールド、そして忌々しいアルバートの息子。

そのガラスはレールガンみたいな超火力兵器を用いらなければ破壊不可能な代物さ。

それを持っているのは弦巻マキ君だが……それを使わせる暇は与えないから」

 

クリス達は何としてもこのガラスを破壊しようとあの手この手を使うが全く通用せず、更に紅がこのガラスを破壊するにはレールガン並の威力がある兵器を使わねばならないと話し、それを持っているマキは既に充電し始めガラスに向かって放とうとしていた…が、それを見抜いていた紅はマキの目の前まで迫りレールガン毎マキを持ち上げていた。

 

「な、うわっ⁉︎」

 

「マキちゃん‼︎」

 

そしてレールガンから振り払う様にマキを手の勢いで吹き飛ばすが、それをセイカが受け止めてお姫様抱っこをしつつ地面に下ろして2人で紅を見据える。

すると紅はレールガンの予備弾薬もマキの懐から奪っており、レールガンの充電をストップさせ弾薬を抜いた後レールガン本体はクリス達の方に、弾薬は逆側に投げ捨て茜達が上手く事を運ばねばレールガンが使えない様にした。

 

「クレナイ、今までの恨み此処で晴らさせて貰うわ‼︎」

 

「さっきから好き勝手やってんじゃ無いわよこのイカレ頭‼︎」

 

するとヨナ、セイカは同時に紅に襲い掛かり極寒の冷気を纏ったパンチと単純に素早く、しかしヨナや茜並みに重いキックを放った。

しかし紅はそれぞれを同時に受け止め、ヨナには超高温の、セイカには電磁のバリアを使い分けてそれぞれに対応し、更にセイカの足を振り回した後ガラスに向かって手加減無しで投げ付ける。

 

「ぐっ、痛ぅ〜…」

 

「ちょっと待っててくれないかなセイカ・ウェスカー。

君達が説得なんて真似をして真面目にヨナを倒さなかったから彼女の攻略法を知らないだろうから教えてあげるよ。

まず超熱で極寒の障壁を中和、更に体内の超低温も体内に超高温を送り込む事で中和して…」

 

『ボォォォォ‼︎』

 

紅はセイカを吹き飛ばした後ヨナの手を払い左手で首を絞め、更に右手でライナスの様な

火炎放射を彼女の体に浴びせ、その上で左手にも超高温の熱を加え彼女の体内温度や極寒の障壁を中和して行く。

そして体温が平温に戻った瞬間。

 

『ドゴォッ‼

ドゴォッドゴォッドゴォッドゴォッ‼︎︎』

 

「かはっ…‼︎」

 

「そうすれば氷の身体も解けてこの様に攻撃が通用するの、さ‼︎」

 

紅は何度も鳩尾に右手のパンチを加え、ヨナに明確なダメージを何度も叩き込みそして地面に思い切り投げつけた後蹴りを喰らわせ、ヨナを茜と葵の間にまで飛ばした。

 

「かはっ、かはっ…‼︎

やってくれるわね、クレナイ…‼︎」

 

「ヨナさん、大丈夫…みたいやな‼︎

にしても難儀なチート能力なんか身につけおってからに、ちっとはウチにアッサリ殺されてしまい‼︎」

 

ヨナはその耐久力から直ぐ復帰し一瞬心配した茜達を安心させ、その後直ぐに茜とセイカが超スピードで接近し同時にパンチを喰らわせに掛かり、復帰したゆかり、あかり、そしてマキがライフルやショットガンのスラッグ弾で紅を撃つが、超高温の防壁で3種の弾丸が溶けてしまい、更にセイカ達のパンチを受け止めた瞬間その腕を凍結させて2人を釘付けにした。

 

「やれやれ、聞き分けの無い子供達だ。

此れは大人として躾が必要、かな‼︎」

 

『ぐえっ‼︎』

 

「お姉ちゃん、セイカさん‼︎」

 

そして紅はそれぞれ交互に膝蹴りを喰らわせ胃液を吐かせ、それを太鼓を叩く様に楽しみながらリズミカルに2人を痛めつけた。

それを見た葵は2人の間を縫ってUMPに装填された血清弾(Fallen Bullet)を3点バーストで撃ち込む。

だが紅はそれをわざと受けつつ膝蹴りを止めず更に2人を痛め付け、茜をゆかりに、セイカをあかりの方に勢い良く投げ付け4人にダメージを与えてしまう。

 

「かはっかはっ‼︎

ゆ、ゆかりさん大丈夫…?」

 

「な、何とか…痛っ、ですが今ので利き手を捻挫したみたいです….!」

 

「うう、私も手を…」

 

「ごめんあかりちゃん、避けられなかった…」

 

茜、セイカはウィルスの力で耐久力や再生力が上がってる為ゆかりとあかりをそれぞれ心配するが、2人は如何やら利き手を捻挫してしまい狙撃が出来ない状態になったらしく徐々に状況が悪化しつつあった。

 

「くそ、こんな事で足止めを喰らってる場合じゃないんだがな……‼︎」

 

「くっ、ダメ‼︎

何をやっても壊れない‼︎」

 

レオンとシェリーもクリス達に合わせ何度もガラスの破壊を試みたが矢張り傷1つ付かず足止めを喰らってしまい、葵達の救出が出来ずにおり、その表情には明らかに焦りが生まれていた。

 

「クッソ〜、このチート野郎が‼︎

さっさとくたばれ‼︎」

 

「クレナイィィィィィ‼︎」

 

「このっ‼︎」

 

残ったマキ、ヨナ、葵も紅に向かって走り出し、マキはアサルトショットガン、葵はUMPの血清弾(Fallen Bullet)を撃ち込みヨナは氷のナイフを作り出しシステマで挑み掛かる。

しかし紅はマキ達の弾丸をわざと受け、更にヨナには先程の攻略法でダメージを与え今度はクリス達の方に投げ飛ばし、そして葵に軽く鳩尾に蹴りを、マキは近付いた所を左手で首を絞め上げる。

 

「かはっ‼︎」

 

「ゲホッ、ゲホッ……‼︎」

 

「が…ぐっ…」

 

「葵、マキさん、ヨナさん‼︎」

 

それらの光景を見た茜、セイカはそれぞれ1番危ない状況のマキを助けようと動き出そうとした瞬間、それぞれに水が目の前に降り注ぎそれを紅は凍らせ分厚い氷の壁を作り出し2人の動きを封じてしまう。

 

「マ、マキ、さん…‼︎」

 

意識が飛び掛けてしまっていたが、何とか意識を繋いだ葵は今度はハンドガンで紅の腕を撃つが、矢張り専用の血清しか効かない体質になっている為全く弱る素振りなど無くマキを絞め上げる手の力を緩めずにいた。

 

「さて、そろそろ1人には復帰不可能のダメージを与えて無駄に抵抗したからこうなったと茜達に知らしめてやらないとなぁ」

 

「っ、や、止めて………!」

 

すると紅は捕まえたマキを再起不能…つまり重傷を負わせると宣言して右手をゆっくり上げ、拳を作って行く。

それを見た葵は紅にそれを止める様に声を上げる。

しかしそんな事で紅は止まる訳が無く再び邪悪な笑みを浮かべ葵をチラ見し、明らかに葵に見せ付ける気だと本人は察した。

 

「マキィ‼︎」

 

「くそ、マキ…‼︎」

 

「くそ、マキを離せクソ野郎‼︎」

 

クリス、レオン達はその光景を見て仲間が此処で死んでしまう、そんな直感が頭を過り全員でガラスを叩き何度も破壊しようとした。

しかし、ガラスは無情にも砕けない。

 

「ま、マキさん‼︎」

 

「や、止めて!」

 

その間に茜は何とか腕1本分の穴を開け状況を見るとマキが危ないと察し更に力を込めて氷の壁を砕こうとした。

しかしこのままでは間に合わない、そんな考えが頭の隅を過ぎるも何としても助けようと手を動かす。

葵も痛みで動かない身体を這い蹲らせ、俯せになりながら手を伸ばしまた声を上げるが矢張り紅は止まらない。

 

「ふっふっふ…」

 

「マ、マキちゃん‼︎」

 

「マキ…‼︎」

 

紅は笑い声を上げながらマキの腹に向かってパンチを放とうと見えている全員に見せ付け、此処でセイカも氷の壁を腕1本分の穴を開けるももう間に合わないと察するも茜の様に諦めずに氷の壁破壊に着手し、ヨナも何とか立ち上がり走り出そうとするが明らかに紅のパンチの方が早く止められそうに無く、しかしそれでも友達になると言ってくれた人を助けようと足掻こうとする。

 

「や、止めろ……‼︎」

 

そして葵も口調が命令口調に変わり、明らかに紅対する怒りの感情と力のない自身への絶望の感情が渦巻いた表情を浮かべていた。

だが紅の邪悪な意志は意識を失い掛けてるマキの命を刈り取るべく腕の力を最大限まで溜めた。

 

「ではさよならだ、BSAAの若き隊員さん‼︎」

 

「止めろぉぉぉぉぉ‼︎」

 

そしてマキにパンチが振り下ろされ、その腹を貫こうと剛腕が迫った。

その時葵は感情を爆発させながら叫び、伸ばした手に更に力を込めながら紅に鬼の様な形相で睨み付け、声を荒らげた。

更に……誰も確認出来ないがこの時葵の瞳に変化が生じていた。

そう、何時ものやや赤目な瞳からウィルス完全適応者特有の真っ赤な色の瞳に変化していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これは…‼︎」

 

一方駐屯地の血清生成所となったテント、其処にシルバが要請した部隊が到着し命令を待っている所でシルバは茜、葵の組み合わせによる血清生成についての報告を受け急遽見に来ていた。

すると其処に表示された文字を見てシルバは驚きを隠せずにいた。

 

「血清が……Sandalphonが……完成した、だと…⁉︎」

 

『Serum production completed』、そしてシルバの言葉から琴葉紅用の血清、Sandalphonが遂に完成したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方同時刻のEdenI(エデンワン)第1試験場、紅は確かにマキの腹を貫こうとパンチを繰り出しそれが直撃した筈だった。

しかしその右腕は直撃する寸前で何故か本人の意思に関係無く、更に何らかの力が加わった様にプルプル震えながら止まり紅自身何が起きたのか良く分かっていなかった。

 

「こ、これは、一体何が」

 

「離れろ……‼︎」

 

すると葵の声が紅の耳に届き、しかしそれは先程までのが弱い物では無く背筋に何か冷たい物を感じさせる地の底から聞こえて来た様な声だった。

何故葵に自分は恐怖心を感じたのか、その正体を確かめるべく葵に目を向ける。

すると其処には……ウィルス完全適応者の瞳になった葵が紅を睨み付けており、明らかに葵が何かをしている、そんな直感が紅の頭の中に浮かんでいた。

 

「バ、バカな、A-2はウィルス完全適応者の形質が無かった筈⁉︎

それが何故」

 

「マキさんから離れろ……離れろぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

『ズガァァァァァァァァァッ‼︎』

 

「っ、ぐああっ⁉︎」

 

紅は葵がウィルス完全適応者特有の瞳になっていた事に驚き、事態が理解出来ず混乱していた。

そんな中葵は命令口調のまま叫ぶとその足元の地面がガラガラと崩れ始め、そして紅に強い衝撃波が加えられ対角線上のガラスまで吹き飛ばされた上に叩き付けられ、更に圧迫する様に何らかの力が込められていた。

 

「な、何だ、この力は…⁉︎」

 

「ふぅっ‼︎」

 

「ぐああ‼︎」

 

『バリィィィン、ズドォン‼︎』

 

そうして紅は更なる衝撃波を受けガラスすら砕かれながら壁に突っ込んで行き姿をその場から去らされてしまった。

これも全ては葵の『力』による物であった。

そう、葵の目覚めた力は茜の身体能力とは真逆の超能力体質、謂わば『サイコキネシス』と呼ぶべき物が葵の中に今まで眠り、そして感情の昂ぶりや友の危機に際してたった今目覚めたのだった。




此処までの閲覧ありがとうございました。
茜ちゃんが能力に目覚めているなら双子の妹で同じ生まれ方をした葵ちゃんが無い訳ないんです。
つまり紅は完全に見誤ってた訳です(具体的には完全適応者の形質が普通の人間のそれに擬態していたのです)。
そして葵ちゃんの力は身体能力は茜ちゃん程じゃ無いけど人間離れした物になってる+サイコキネシス、後あの場で使う場面が無かった透視になります。
力のモデルは映画版主人公のあの方がモデルです。
後今話にはクリス達の株を落とさない様にする為に分断と言う形になったと言う裏話があります。

次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。

追記:途中からB.Y.消失してた為追記、編集しました。
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