BIOHAZARD【V+α】   作:”蒼龍”

41 / 71
皆様おはようございます、第5話目を更新でございます。
今回はヨナの大暴れ回になっております。
CLOWN事件から3年が経過し如何なっているかお楽しみに。
では、本編へどうぞ。


EP V『ヨナルート:トラップ殺しと増える参考人』

葵達とルナ達の話し合いが終わり、全員がマスクを再び被り行動方針が決まった後、レオン達はきりたんにわざとセキュリティハックを甘くしルーツ達の喋る余地を作らせ様としていた。

 

「よしキリタン、今だ」

 

『はいですレオンさん』

 

 

そしてレオンの合図できりたんはハッキングを緩め、放送機器等の使用権を向こう側に譲ると、ルーツの怒声がいきなり響き渡った。

 

『貴様らぁ‼︎

よくも、よくも我が子を殺してくれたな‼︎

絶対に許さんぞ‼︎』

 

その話す内容も完全に予想通りの面白味が無き物であった。

その為全員ルーツの話題は無視してマキが『ゲーム感覚』を利用した話題を振った。

 

「そんな事より私、アンタ達の『ゲーム』をクリアしたんだからさ何かプレゼント…武器の弾薬とか寄越しなよ。

ほら見えないかな、このカードキー?」

 

マキは挑発するかの如く2枚のカードキーを見せながら『ゲーム』クリアの報酬を要求する。

それに対してルーツは何やら発音が聞き取れない、音割れする程の叫び声を放つと急に放送が切れ、次に『正門』前に再びテーブルが現れ、其処にマキが使った弾薬一式+αが揃っていた。

 

「煽り耐性0だねあれは。

しかもご丁寧に使った弾丸一式だけじゃなくオマケも付くとか……ふふん、ゲーム感覚の奴はこう言うのを律儀に守るから結構先読み出来るし掌で踊らせ易いんだよね〜」

 

「CLOWN事件が経験として活きたな」

 

マキは弾丸一式を取りながらリロードし、ダールトン一族は御し易くまた煽りに弱い事を見抜き此れから先が完全に自分達の独壇場になると予感していた。

そしてそれは他5人も同じく、しかし油断せず確実にダールトン一族の抹殺を図る為次なる行動に出ようとしていた。

 

「なら次は誰が行く?」

 

「私が行くわ、左の罠から逃げる『ゲーム』を土台から壊して来るわ」

 

B.Y.は次に誰が向かうと聞いた瞬間ヨナが率先して動き、左の罠からの逃走ゲームのドアを指差しその『ゲーム』を土台から崩すと宣言し、レオン達は発言の意図を理解すると反対意見無しに話が進み、ヨナはルナとイヴを連れて行く事になった。

 

「あの、ゲームの土台を壊すってまさか…」

 

「ええ、私の氷で罠の悉くを砕くわ。

ルナ、イヴ、少し寒いかもしれないけれど我慢なさい」

 

ルナはヨナの力、T-Genesisウィルスに完全適応した恩恵で氷の力を発揮している事を聞いていた為、自身の予想を敢えて聞くと矢張りヨナの口から罠を砕くと発言が飛ぶ。

それを聞いたルナはイヴが寒がらない様に抱きしめようと思いつつ、ゲームが土台から崩れる様を見たいと言う気持ちもありそれを止めようとはしなかった。

 

「では行くわ。

ああそうそう、罠を砕くには砕くけれどルナとイヴは守る事は忘れないから安心なさい」

 

そしてそれでいて最優先事項を忘れないと宣言しヨナはイヴ達を伴い罠からの逃走ゲームのドアに行き、其処でマキの様にエレベーターで目的地まで降りて行く。

 

「……悪い人達の、ゲーム、壊すの?」

 

「ええ、完膚無きまでに壊すわ。

だからイヴ、貴女も見てなさい。

多分スカッとするって事がどんな事か分かるから」

 

そんな中でイヴはヨナに対してダールトン一族の『ゲーム』を壊すのかと聞くと、ヨナはスカッとすると言う事を教える為に完膚無きまで壊すと告げ、イヴはスカッとするとは何なのか分からず見守ろうと決める。

そしてエレベーターのドアが開き3人は外の広い空間に出る。

 

『フハハハハハ、次に選ぶのがこのゲームとはな‼︎

此処は作動した罠から制限時間内に次の部屋へ移動する逃走系ゲームだ‼︎

因みに何処かにあるカードキーを部屋内の宝箱から見つけねば次の部屋に行けぬ様になってるので死ぬ気で探したまえ‼︎』

 

するとルーツのルール説明が入り、ヨナは周りを見渡すと確かに一面カビ塗れだが柱等は無い単純に広い空間であり、其処に無数の宝箱がある事を確認した。

しかしヨナは初めからこのゲームを崩す気でいる為カードキーなど見つける気は0だった。

 

「キリタン、わざと監視カメラ等を生きさせて。

此れから連中に一泡吹かせてあげるためにも、ね」

 

『はいはーい、じゃあ満足するまでやって下さい〜』

 

ヨナはルーツのルール説明を完全に無視し、更にきりたんにわざと監視システムを生きさせる様に指示を出すときりたんも了承。

そしてマスク越しにヨナは不敵に笑みを浮かべるのだった。

 

『それでは、心逝くまでゲームをーー』

 

「ふっ、ダールトン一族が私の命を奪えると本気で思っているのかしら?

そう、レティシア家盟主たる私に」

 

ルーツが最後のセリフを言おうとした瞬間、ヨナは言葉を被せ、更に自身がレティシア家盟主……つまりはヨナ・レティシアだと明かし、放送機をジッと見ながら彼等の反応を伺っていた。

 

『なっ、貴様…今レティシア家盟主だと言ったか⁉︎』

 

「ええ言ったわよテロリスト。

もし疑うなら顔も見せて差し上げますわ。

ほら、良くご覧なさい。

この私、ヨナ・レティシアの顔を」

 

するとルーツは明らかな怒気を孕んだ声を上げると、ヨナはマスクを外し素顔を見せ、その後再びマスクを付けて放送機を見つめていた。

 

『き、き、貴様ぁ‼︎

ヨナ・レティシア、よりにもよって貴様が我等ダールトン一族の前にぬけぬけと顔を見せるとは‼︎

いや、そもそも貴様等の所為で我等は』

 

「あら、それはごめんあそばせ、ね。

しかし貴方達は私が言えた義理では無いけどバイオテロを画策している立場の者。

なら鎮圧される運命にあるのが分からないのかしら?

…最も理解していればそんな事を画策しない筈でしょうけどね、まるで過去の私だわ」

 

ルーツは完全に頭に血が上り、ヨナに対して怒りをぶつけるがヨナは過去の過ちを自虐として交えながらバイオテロを起こす者の末路を語り、それを理解していないと話して敵の思考を単調にしようとしていた。

 

『ぐぅぅぅ、シャァルッ‼︎

吊り天井以外の全トラップも稼働させモールデッドを最大限呼び寄せろ‼︎

この雌餓鬼をルナ毎殺せぇ‼︎』

 

『プツン』

 

そしてヨナの作戦は完全に嵌り、相手は自らの手でヨナに全力をぶつけると宣言してしまう。

それを聞いたヨナはそれ全て砕くと思案し、放送機を見ていると天井が下がり始め更にモールデッドが湧き始めた。

 

「…本当に操り易い連中だわ。

それにしても吊り天井以外のって事は元から吊り天井はあってモールデッドも湧く、それでいてイヴも巻き込まれそうだったの?」

 

「……うん、でも私の、居る場所だけ、天井に穴が……空く仕組みだった…だから、お母さん、離れないで…」

 

ヨナはルーツ達の煽り耐性の無さに自分達に都合の良い状況を作り易いと感じつつ、イヴに部屋の詳細を聞きこの場はイヴも巻き込み易く、今はルナが居る為巻き込まれる対象が増えた状況だと理解した。

更に先程のルナ毎と言う言葉と今までの過程からある推察がヨナの中で確信に変わる。

 

「となれば……先程の言葉からルナ、ルーツ達の貴女への心配の無さも含めて、貴女はこの研究所で始末させられる可能性があったわね、事故として」

 

「えっ⁉︎

……た、確かにイヴを操る方法が確立されているなら私はもう不要ですが……ダールトン一族ならやりかねない短絡的な事、ですね…」

 

するとヨナは近付くモールデッドを始末しながら壁際に向かい、その頭でルナの生存を今まで考えないやり方や、ラオがイヴ達を狙った際にイヴしか心配していない上に先のルーツの発言を纏めてルナは元から殺害予定と話し、ルナもその考えに至っていた。

 

「…でも、それって逆を言えば私には好都合な訳であるのよ。

オメガ17特記事項を2つ、あっさり達成出来るのだから。

と言う訳で全リミッターを現時点で解除、此れよりルナとイヴの保護を最優先にしつつトラップを破壊するわ。

貴女達、少し離れてなさい」

 

するとヨナはそんな事態すら好都合と呼称し、自身の全リミッターの解除を宣言しするとヨナの周りの空気が凍え始め、そしてルナ達に離れる様に言うと手を添えていた壁から下がり始めた天井に突如として氷が走り出す。

 

「此れで天井トラップは意味を無くす」

 

「…此れが、T-Genesis完全適応者の力……」

 

そしてヨナが一言添えた瞬間、あっと言う間に天井全てが凍り付き天井の降下も止まってしまった。

それをルナは驚愕しながら絶対零度の冷気を放つ彼女を見つめ、近付けば逆に危ないとも思いイヴを伴い2メートル半離れていた。

 

「全く、私達が焚き付ける前から短絡思考なんて昔の私を見てる様で気分が悪いわ……いや、あの時の私以上に短絡的か。

どちらにせよ、被験体のコントロール役、私達にとっては重要参考人を暗殺しようとするとは良い度胸をしてるわ……完全に叩き潰してやるわよ」

 

そして近付くモールデッドも絶対零度の障壁等を用いて全て氷漬けにすると、それを拳で砕きながら過去の自身以上の短絡さを持つダールトン一族に対し完全に敵意を見出しルナやイヴを守るべく行動を開始する。

 

「さて、先ずは次の部屋に行くわ、よ‼︎」

 

『ドゴォォッ‼︎』

 

ヨナは先ず部屋の通り道に居るモールデッドを砕いた後カードロック式のドアの前に立ち、それに全力のパンチを繰り出すとドアが吹き飛び通り道が出来上がった。

それと同時に警報音が鳴り響くが、ヨナはそれ等を無視しつつモールデッドが侵入しない様に部屋の出口を氷で閉しながら進む。

 

『き、貴様ァ‼︎

ゲームの趣旨を理解してーー』

 

「そっちこそE型被験体には暴走抑止、コントロールがある程度必要な為に監視役が要る事を理解してる癖にその役のルナすら殺害しようとする行動や発言を焚き付ける前から漏らしていたわ。

なら、最早こんな下らない『ゲーム』に付き合う義理は無いわ」

 

すると『ゲーム』を無視し始めたヨナにルーツは怒声を浴びせるが、対するヨナは母親役たるルナの殺害を表に出している為最早『ゲーム』に付き合う義理立ては無いと話し、次の『ゲーム』の無力化に努めようとする。

するとモールデッドが床を無意味に踏むと落ちて行き何か刺さる音がした。

 

「成る程、下は針山ね……ならこうするだけよ‼︎」

 

するとヨナは床に手を置くと其処から放射状に5メートル範囲が完全に凍結し、その凍結した足場に乗ると床が一瞬動きそうになりながらも床全てを氷と一体にしてる為か沈む事無く先に進める様になってしまっていた。

 

「2人共行くわよ。

あ、滑るから足元注意よ」

 

「は、はい……この施設の罠はヨナさんには通じ無さそうね…」

 

ヨナはルナ達を伴い氷漬けで滑る床をゆっくり進ませ、罠その物を無力化しつつモールデッドすら凍らせては砕きつつ前に進み、再びドア前まで来てドアをパンチで破壊し、次の部屋まで進んでしまう。

 

「さて次はーーー」

 

『ボォォォウッ‼』

 

ヨナ達が次の部屋に進むと部屋の両端から炎が吹き出し、徐々に3人に迫り来ると言う『ゲーム』参加者を焼死させる目的の部屋であるとヨナは理解した。

 

『フハハハハハハハハ、貴様は氷を操る異能の化物の様だが、この灼熱地獄の炎の前にはーーー』

 

「この程度の熱で灼熱地獄?

はぁ、これならまだ…」

 

『ブゥン!』

 

ルーツはヨナの力を見てこの部屋の炎ならばと豪語しようとした。

しかしヨナは溜め息を吐いた直後、超高速移動で炎の目の前まで行き、そして手を翳すと……『炎が噴射口毎凍り付いてしまった』

 

『ーーーはぁ?』

 

「レミエルやケルビム、それにBSAAが作った小型超高圧バーナーの方が熱かったし、使う者が良かった所為で最後まで熱を凍らせる事は出来なかったわ。

なのにそれ以下の熱しか無い炎で灼熱地獄を呼称しても…滑稽よ」

 

ルーツは監視カメラ越しに起きた事象に乾いた声を上げると、ヨナは自身が体験した更に熱い炎の例を挙げながらもう片方の炎すら凍らせると、ルーツ達の灼熱地獄を滑稽と断じてそのままドアを今度は蹴破る。

 

「す、凄い。

炎すら凍らせるなんて」

 

「此れが私、ラファエルだった者の力よ。

それでイヴ、彼等の自慢な罠が私の様な小娘に無力化される様を見て、貴女は如何感じたのかしら?」

 

ルナはヨナの力をただ凄いとしか口に出来なかったが、対してヨナは罪の象徴たるラファエルの力と呼称しやや自虐気味な声色で応えていた。

更にイヴに罠を悉く無意味な物にする様を見せ、如何感じたかを問いた。

 

「……分からない。

……でも、なんだか、胸の奥が……熱く、なったり、喜ぶのと似た様な、何かを…感じてるの…」

 

「ふふ、悪者の企みが潰れるのは見ててこうグッと来るでしょう?

それこそが『スカッとする』って事よ。

覚えて置いて損は無いわ」

 

するとイヴは抽象的な、しかし胸の奥から喜びに似た何かを感じると話す。

ヨナはそれこそがスカッとする事であると話し、ルナは少々悪い方の教育だと思っていたが事実自身も胸が空く思いをしていた為何も言わずにイヴの頭を撫でていた。

 

「さてお次は…」

 

『プシューッ‼︎』

 

そしてヨナは次の部屋に入ると突如ハウスダストの様な物が部屋一面に噴出され始める。

そしてヨナのマスクに装備された高性能フィルターが作動し、マスクには『E型菌検出』の文字が流れる。

 

『フハハハハハハハハ、其処はE型菌を散布し酸素供給器を使いながらカードキーを探す場所だ‼︎

だがルナ女史に渡したマスクには貴様らの様な高性能フィルターでは無い、ただのマスクしかない‼︎

果たしてルナ女史を生かしながら強行突破出来るかな?

フハハハハハハハハハハハ‼︎』

 

するとルーツはこの部屋の罠がE型菌を散布する場所であり、更にルナのマスクはヨナの高性能フィルターでは無い単純な感染防止マスクである事を暴露し、このままではルナは菌に感染する事を示唆しながら高笑いしていた。

 

「……お母さん…‼︎」

 

「だ、大丈夫よイヴ、少し息を止めていれば、何とかなるから……‼︎」

 

イヴはそれを聞き初めて無表情を崩し、『母』のルナの心配をする仕草を見せる。

対してルナはイヴを安心させようとして息を止めれば大丈夫だと小型酸素ボンベで息をしながら痩せ我慢をし、母として『娘』に余計な心配させまいと行動した。

 

「……そうね、息を止めていれば感染はしないわ。

スゥ……」

 

『カチャッ、ピピピ‼︎

カチャカチャッ、ピッ‼︎』

 

そのルナの言葉を聞いたヨナは大きく息を吸った後、何と自身の高性能フィルターを外し、ルナのマスクに代わりにフィルターを装備させ彼女が普通に息を吸える様にすると言う大胆な行動に出た。

 

「な、ヨナさん⁉︎」

 

「……」

 

ルナはその行動に驚きヨナを案じるが、そんなヨナは高速移動で特異菌を散布している噴出口の下までいて移動し、自身の氷で噴出口を氷漬けにして機能不全にする行動を息を止めながら行い、そして全てを機能不全にした瞬間ドアを破壊し2人をそれぞれ抱えて次の部屋……マキとの映像記録から決戦場に辿り着き一息吐いていた。

 

「ふう……ルナ、イヴ、貴女達大丈夫かしら?」

 

「そ、それは此方のセリフですよヨナさん‼︎

このフィルターが無いとあの中は息を吸えなかったのに…何故こんな無茶を⁉︎」

 

ヨナはルナとイヴの身を案じるが、ルナは逆に息を吸わずに一連の行動を1分以内とは言え運動をしながら息を止めると言う狂気の沙汰をした事を咎め、フィルターに手を掛けて返し始めた。

 

「何故って、貴女はイヴ同様死んではならないからよ。

貴女は私の毒親と違って、イヴを真っ当にしようとした。

だからこそ私は貴女を死なせる訳には行かなかったのよ……1人の女の子の立派な親の貴女を」

 

対してヨナはルナに自身の毒親と比べ、イヴの『母親』をしっかりとしている彼女を死なせない為にこの行動を取ったと反論し、ヨナの親がどんな人物か知らない彼女を困惑させる。

 

『お取り込み中すみません、その決戦場も特異菌噴出装置があるみたいです。

それ、今後全部此方で止めて置きますね……ヨナさんみたいな無茶をする人が出ない様に』

 

「ごめんなさいねキリタン、そうしてくれると有り難いわ。

アカネ達はもしかしたらだけどスコット・ケネディやB.Y.達は普通の人間、下手したら感染して死ぬ可能性すらあるからね…」

 

するときりたんが通信を掛けて来ると、今後はヨナの様な行動を取る者が出ない様に同様の装置を止めると話し、ヨナもウィルス完全適応者の為感染しない可能性がある琴葉姉妹よりレオン達の心配をしそうする様に要請する。

 

『ゴウンッ!』

 

「決戦場が下がり始めた……さて、今度はどんな下品な輩が現れるやら…」

 

すると決戦場がマキの時と同様足場が下がり始め、更にイヴとルナが隔離されいよいよ未だ見ぬダールトン一族と戦う事になると確信したヨナは、ラオの様な下品な相手が来ると思いながら身構えていた。

そして決戦場は下がり切り、奥のドアが開かれ、その先の暗闇から蒼いドレスを着た、美しい蒼い髪をしたダールトン一族の女が現れた。

 

「ふふふ、まさかあの様な方法でこのトラップ場を突破するとは思いませんでしたわ。

初めまして、ヨナ・レティシア様。

私の名は『カトリ・ダールトン』、ダールトン一族の長女でございます。

どうぞお見知り置きを」

 

ヨナはどんな罵声や汚い言葉がその女から出るかと少し様子を見ていたがそのダールトン一族の長女、カトリ・ダールトンは礼儀正しくヨナにお辞儀をし、更に何処か柔かな笑顔を見せていた。

 

「あら、ダールトン一族は皆単純な愚か者しか居ないと思っていたら少しまともそうな者が来たものね、一見は」

 

「ふふ、父やラオ達が不貞を働きルナ様を殺害するとおっしゃっているらしいね?

……大変申し訳ございません。

まさか其処まで恐ろしく思慮無き行動に出るとは思いませんでしたわ。

ルナ様、短絡的な父達に代わり謝罪致しますわ」

 

ヨナはカトリを一見してまともな者と評価した……が、そのカトリは父ルーツ達を短絡と思慮が無いと言いつつルナにドレスのスカートを持ち上げ謝罪の言葉と同時に謝罪ポーズをし少しヨナは困惑させられ、ルナの方を見ていた。

 

「えっと、カトリ……さんは、私やイヴに食事を何時も運んでくれたり、私やイヴが一緒に居る時間を増やそうと言ってくれた方です……イヴの読心曰く『ルーツ達の様な悪人では無い』、らしいです……」

 

ルナはカトリを一応さん付けし、特異菌感染者であるが故に読心が可能な為イヴにも心を読ませたが、結果はルーツ達とは違うと言ったらしい。

そしてヨナはそれらを聞き少し思案すると、自身がレティシア家やCLOWNに縛られていた経験則からある答えを見出した。

 

「成る程、貴女はダールトン一族と言う家の名に縛られて生きてきた口ね。

まるで私みたい……レティシア家の敷いたレールの上を歩かされ、私の場合は身勝手な愚兄によってCLOWNに、貴女は実の親達からバイオテロを扇動する側にさせられた、と言った所かしらね」

 

ヨナは自身の経験からカトリが置かれた状況を推察し、過去の自分の様な事になっていると言い放つ。

カトリは無言のままヨナの言葉を受け取り、懐からゆっくりとサイレンサーが付いたロシア産ハンドガンを抜き出し、ヨナもそれに合わせてアルバート01を引き抜いていた。

 

「……ヨナ、カトリは、ダメ…!!」

 

するとイヴは此処で明確に敵味方は誰かと言った発言をし、2人の敵対を良しとしない事を無表情からやや眉を顰めていた。

それを聞きヨナはある事をカトリに聞こうとしていた。

 

「貴女、コネクションからの治療は受けた?

ラオ・ダールトンみたく生殺与奪からも外れた化物になったのかしら?」

 

「ご自身で、想像なさって下さいな」

 

ヨナはカトリがコネクションから精神支配の治療を受けたか、またイヴの生殺与奪権から逃れたか気になり問うとカトリは想像に任せると返しながら互いに引き鉄に指を置き、そしてーーー。

 

『ズダンッ‼︎』

 

『グギャァァァァァァァ‼︎』

 

2人は互いの背後に居たモールデッドを撃ち抜き、更にイヴやルナの前に立ちながら隣り合わせになりカトリは素人ながらもしっかりと銃を構え、ヨナは訓練された者の構えをした。

 

「やっぱり貴女精神支配から脱していないじゃないの!

E型被験体が正確な読心術を発揮するには感染してそのままの状態になってなければならないって資料にもあったわよ‼︎」

 

「あらごめん遊ばせ!

私と双子の兄様は貴女達が侵入した時点でこの研究施設に幽閉されて何時殺されるか怯えてた所でしたのよ‼︎」

 

如何やらヨナはイヴがしっかりとカトリを読心した事から『コネクションからの治療を一切受けていない』事を予測し、イヴが普段から力を使わない為感染者の症状が表れていないのも計算に入れ会話をしていたのだ。

そしてカトリ曰く双子の兄も幽閉され殺される身である事を自白しつつ、強化タイプを含めたモールデッドを倒して行く。

 

「それに私は他の皆と違って特異菌の力が上手く発揮されない唯の一般感染者と同じと言われて父からは恥晒し、母からは愚か者と蔑まれてましたわ‼︎

兄はラオ並に超人化してもダールトン一族の栄華に興味が無かった為私と同じく冷遇されましたわ‼︎」

 

「成る程、複雑な家庭環境ね‼︎

ダールトン一族にも内情がある訳ね‼︎」

 

更にカトリは超人化出来ず一般的な感染者と余り変わらずイヴの匙加減で何時でもモールデッドになるか石灰化するかの何方かの為、兄は超人化しても思想の違いから冷遇されていたと話し、ヨナはつくづく自身や琴葉姉妹に似た様な環境に置かれたと感じ取り、このカトリも現場判断で参考人にする事に決定していた。

 

「キリタン、この施設を掌握してカードキーを早く出して‼︎」

 

『もうやってますよ〜、後30秒頑張って下さいね』

 

「…そう、なら良いわ‼︎」

 

ヨナはきりたんにこの『ゲーム』施設の掌握を行う事を命じていたが、如何やらきりたんはとっくにやってたらしく思えばあれだけ五月蠅かったルーツが決戦場に来てから全く無言な事に成る程と思いつつ30秒耐える様にしていた。

 

『ゴウンッ!』

 

「決戦場のセキュリティが解除されてる⁉︎

私が死なないと解除されないのに⁉︎」

 

すると15秒で決戦場の床が上がって行き、更に周りのガラス張りの研究員達の居る場所もシャッターがマキの時と同様に降りていた。

それを見たカトリは自身が死なないとこの施設が解放される事が無いとうっかり口にしてしまい、ヨナはそれを聞きある事を思い浮かべカトリに叫び始めた。

 

「貴女、まさか最後に死ぬ気だったの‼︎」

 

「…っ!」

 

「冗談じゃ無いわ、私達はそんな救える命を救えない碌でも無い結末なんて見たく無いわ‼︎

だから貴女も生きなさい、全力で、足掻いて‼︎」

 

ヨナはカトリに死ぬ気だったのかと叫び、カトリは無言で俯くとそれがYESだったと知り激怒する。

更にカトリに対し生きろと叫び、A.B.F.制式採用AKを構え救える命を救えない結末を避ける為イヴ達も守りながら銃弾を放ちモールデッドを怒りの表情を向けたまま始末して行く。

 

『キュオンッ、ピィー!』

 

するとその間にマキの様に2種のカードキーが現れた為、ヨナは高速移動でそれを掠め取るとモールデッドを更に始末し、ルナ達を閉じ込めるガラスが開いた後破壊したドアを塞いだ氷を自身の手で砕きながらきりたんが掌握し、作動しなくなったトラップ地帯にヨナやルナ達は再び足を踏み入れた。

 

「ほら、貴女も早く来る‼︎

さもないと置いて行くわよ‼︎」

 

「…ヨナ・レティシア様、貴女は私に生きろと、生き恥を晒せと?

バイオテロリストの片棒を担いだ私にーー」

 

「当たり前よ、それにそれを言うなら私も同罪だし生き恥なんて言うな‼︎

良いから早く来なさい‼︎」

 

ヨナはカトリにも付いて来る様に叫びながら未だ湧いて出て来るモールデッドを始末しながら手を差し伸べ、家族がテロリストの為罪を禊ぐ為に死のうとしたカトリはこれから生きる事を生き恥と口にした瞬間、ヨナから更に怒鳴られ手を引かれて決戦場からトラップ地帯に出てしまう。

 

「後は自分の足でエレベーターまで駆け抜けなさい‼︎

私は『3人』守るので手一杯だから早くしなさい‼︎」

 

「…此れがヨナ・レティシア様、か。

御先祖様が勝てない訳ですね」

 

ヨナはルナ、イヴ、更に参考人に数えられたカトリを守るべく銃の引き鉄を引き続け、エレベーターの前まで走らせる。

それを見てカトリ・ダールトンはレティシアに勝てない訳を自身の中で理解していた…が、此れはヨナ自身も救われた恩人5人達のお人好しがうつった所為だと知らない為理解が及ぶ訳が無かった。

 

『ピピッ、ブゥーン』

 

「ほらエレベーターが開いたわよ、早く入りなさい‼︎」

 

そうしてあれよあれよと言う間に無数に湧き続けるモールデッドを処理しながらエレベーター用カードキーでエレベーターを開け、カトリを含めた3人は先にエレベーターに入り、最後にヨナがエレベーターに入りスイッチを入れてトラップエリアから脱出した。

そうしてこの中でヨナはダールトン一族と言っても一概に敵と呼べない者も矢張り居るのだと理解しつつレオン達の前に出るまで警戒を解かないのだった。

 




此処までの閲覧ありがとうございました。
氷の力で罠を全て無力化させ、イヴにスカッとさせたヨナの回でした。
カトリ・ダールトンと彼女の兄は治療も特異菌コントロール装置も無い為読心し放題でイヴがやろうと思えばさっくり殺せ、また敵の中で冷遇された立場にある人物になります。
それと次回から『ゲーム』クリア後の弾薬補給の部分を省略させて頂きますが、使った弾丸やマガジンはマキみたく+αを添えて戻って来ます。

次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。