BIOHAZARD【V+α】   作:”蒼龍”

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皆様おはようございます、第6話更新でございます。
今回は琴葉葵ルートとなります。
やや駆け足気味な内容となってますが、ご了承下さいませ。
では、本編へどうぞ。


EP VI『葵ルート:『親』と『愛』』

ヨナ達は無事エレベーターでレオン達の下に戻って来た後、一緒に連れているカトリ・ダールトンに念のため手短に事情聴取をしようと言う話になり、カトリは兄を助ける事を条件にそれを呑み聴取が開始された。

 

「先ずカトリ・ダールトン、年齢25歳。

特異菌感染者だがコネクションからの治療を受けておらず今もイヴの精神支配下にあると?」

 

「ええ、そして私の兄同様特異菌コントロール装置は移植されず何時でもイヴが私を殺すか、或いはモールデッドになるか…何にせよイヴから命令を受けたら逆らえない中期から末期の感染者ですわ」

 

レオンはカトリに聴取し、自身の状態が中期から末期の状態だと話し、イヴが普段から力を使わない事がつくづく良い方に向かっていると感じつつ、更に聴取を続ける。

 

「では君はルイジアナの例等から特殊な薬液を掛ければ切断された部位が完全に接合されたりするんだな?」

 

「はい…それから再生力も、爪を剥がした程度ならすぐに再生出来ます……けれども他の家族よりも再生力もその他の力が劣り、変異が最高潮に達した化物にならない限り私は限り無く人間のまま、だと思います」

 

更にB.Y.は最新の報告書にあったルイジアナの感染者『ベイカー一家』等の事例である薬液を掛ければ切断箇所の接合すら可能になっていると聞き、矢張り感染中期から末期の間である事を確認しつつ、カトリが『人間』と言う言葉を使った為次に茜が最後の聴取を行う。

 

「んじゃ残り2つやから良く聞くんやで?

あんさんや兄で長男の『カトル・ダールトン』はルーツ・ダールトン達が目指しとるダールトン一族の栄華に興味が無い訳やな?」

 

「はい、所詮私達は既に没落して埋もれた存在なんです。

なら、そのまま静かに暮らせればそれで良かったんです…少なくともカトル兄様や私はそう思ってました…」

 

茜は残り2つの内の1つ、カトリと双子の兄で長男のカトル・ダールトンは没落した一族の栄華を取り戻す事に反発し、特異菌に感染させられながら冷遇された事実を話す。

レオン達は此れによりダールトン一族も一枚岩では無い事を窺い知るのだった

 

 

「んじゃ最後。

ウチ達が手にしたコネクションの構成員が漏らした情報によると、ルーツ・ダールトン達はイヴをロシア首脳部に放って特異菌を感染、そのまま国を牛耳って世界に特異菌を売る計画やって話やけど合っとるか?」

 

「はい、例えそれが4年5年掛かろうとも必ずやり切ると父達は話してました…」

 

そして最後のレオンが捕らえたコネクション構成員が漏らしたダールトン一族の計画を茜が事実か聞くと、カトリはYESと口にしこの計画の部分のみは報告書通りだと理解し、聴取を終了させる。

 

「では聴取終了、交換条件でカトル・ダールトン救出も行う。

カトリ・ダールトン、兄は何処に居るかは分かるか?」

 

「はい、迷路の先にある決戦場で母の『ミラ・ダールトン』に拷問されていると…」

 

レオン達は事情聴取を終わらせ、交換条件を果たすべくカトリに兄カトルの居所を聞くと、迷路『ゲーム』の先にある決戦場にて拷問されていると話す。

葵は事実確認すべく透視能力をフルパワーで使い、迷路『ゲーム』の先の決戦場まで視透しそれが事実と確認する。

 

「うん、足を切られたり腕を捥がれたりしながら薬液を掛けられては同じ事の繰り返しを受けてる。

次は私が行くよ皆、迷路なら私の透視能力で丸分かりだから」

 

「OK、それじゃ行ってらっしゃい葵」

 

葵は次に透視能力がある自分が行くと話し全員から了承を受け、マキから見送りの言葉を受けると頷き直ぐにイヴとルナを伴いエレベーターに入り迷路『ゲーム』に行くのだった。

……拷問と、誰がそれをしているかを聞いた際に芽生えた静かな怒りを秘めながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「父さん、奴等次は迷路に向かってやがるぜ!

間違いなくあのクソ兄貴をバカみたいに助けに向かったぜ‼︎」

 

「ククク、迷路にはモールデッドにハズレルートには罠があると知らず……カトリに絆されて愚かな選択をした者だ、ハハハハハハハ‼︎」

 

一方その頃セキュリティルームではシャルとルーツが愚かなカトルを助けに向かったお人好し達を周りのコネクション構成員達と共に嘲笑い、その選択が愚かだと口走っていた。

 

「(……コクッ)」

 

「(グッ)」

 

その後ろでエイダは『潮時』だと見極め、2人はそれぞれ移動を開始し、その場から誰にも気付かれず去ってしまった。

それもエイダは端末からデータを遠隔回収とダールトン一族が保有するデータを全て裏から消去しつつレオン達の下に、セイカは葵が向かった迷路『ゲーム』の場所にセキュリティが安定しない内を狙い専用通路で向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして葵達は迷路『ゲーム』エリアへ到達し、恒例のエレベーターロックを受けた後天井を見上げ放送機を見つめた。

 

『ふぁーはっはっはっはっは‼︎

あの愚かな娘に絆され同じく愚かな息子、いや、子と呼ぶ事すら憚れる者を助けに其処に向かうとは愚か者達だなぁ‼︎』

 

更に恒例の、しかし今回はカトリやカトルを愚かな子と誹り、また自分達も愚かだと嘲笑う内容だった為、親関係に様々な事情を抱えた葵は手に力を込め、壁に対し力強く拳を叩き付け、拳をめり込ませながら声を出し始めた。

 

「良いからさっさとルール説明しなよ。

貴方達と話す価値は無いので、さっさと、早く、今直ぐ」

 

「ア、アオイさん…⁉︎」

 

ルナは地獄の底から出て来たかの様な葵の声に驚きつい声を上げてしまう。

対するイヴも無表情ながらも葵は『怒っている』と理解し火に油を注がない様にダンマリとしていた。

 

『おおっとすまない、それではルール説明をしよう‼︎

その迷路は正解のルートが一定時間で変わり、ハズレルートには恐ろしいトラップが仕掛けられている場所だ‼︎

其処をモールデッドの襲撃を掻い潜りながら正解のルートを見つけると良い‼︎

では幸運を、フハハハハハハハハ‼︎』

 

『プツン』

 

そんな葵にルーツはテンションを変えずルールを説明する。

そして最後に心にも思っていない事を口にしながら通信を切る。

それに対して葵はめり込ませた拳を引き抜き、迷路の入り口にルナ達を守りながら入り始めた。

 

「あ、あのアオイさん、先程は何故あんなに怒って…」

 

「…それは私の個人的な理由何ですが……あのルーツ・ダールトンやこの先に居る母親と言うミラ・ダールトンに『親』を名乗る資格なんか無いって思ったからです。

ルナさんもイヴちゃんの『親』を名乗るなら、アイツ等に話す内容を決めといた方が良いですよ」

 

ルナは葵がキレた原因を聞くと、個人的な理由と前置きしつつルーツ達に『親』を名乗る資格が無いと話した。

そして葵はルナに対してもイヴの『親』ならルーツ達に話す内容を決めるべきだと話す。

それを聞いたルナは真面目に思案し、此れまでのルーツ達の発言を思い返し始めていた。

 

「さてと、迷路は最初の分岐は右か左、此れが一定時間で切り替わるみたいだけど、切り替わる前に入ってしまえば意味無しなんだよね、透視で見た限りだと」

 

すると葵はタイマーをスタートさせつつ最初の分岐ルートに差し掛かると透視能力を駆使して罠が無く道が続くルートに入れば切り替わりが直後に発生しても別段問題が無い事を能力で理解した為右に3人で行く。

すると直後にルートが切り替わった為タイマーをオフにして何れ程で切り替わりが発生するか測り切る。

 

「1分半ね……ならさっさと正解を選び切ってカトルさんを救わないと。

ルナさん、イヴちゃん、私にピッタリ付いてきて下さいね」

 

葵は1分30秒でルートが切り替わる事を理解した瞬間、そのままルナ達にピッタリと付いて来るように促しながらルナ達の体力を考えて休息を取りつつ早歩きを始めた。

その間に全て正解のルートを正確に選んでしまった為か、ルーツが再び放送を掛けて来る。

 

『貴様、何故正解のルートが分かるんだ‼︎

不正をしているな‼︎』

 

「自分で考えなさいよ親失格者」

 

ルーツは葵の意味不明な正解ルート選択に不正を唱えるが、結局葵は種明かしはせずそのまま正解ルートを選び続けた。

その中でルナは葵のある言葉に引っ掛かり…と言うよりも確信を得てしまう。

 

「(…ああ、そう言えばCLOWN事件の主犯は…葵さん、だから貴女は私に『親』を語るならと……確かに、そうですね。

彼等は親失格です…!)」

 

ルナはCLOWN事件の主犯の名は琴葉紅と思い出し、更に葵や茜のファミリーネームを思い出した為親失格、親の何たるかと言う葵が敢えて語ろうとしなかった部分を理解し、それをこの先の『母親』のミラ・ダールトンにぶつけてやろうと考え出していた。

 

『……あ、葵さんストップ、お客様が来ましたので全セキュリティを掌握しときますね』

 

「きりたん、お客さんって……足音」

 

『コツッ、コツッ、コツッ』

 

するときりたんから突如『お客さん』と言う言葉を聞き何事かと思いきや、少し離れた所から足音が聞こえ、透視能力を駆使して『何者』かを敢えて確認しつつハンドガンに手を掛け、待ち伏せた。

 

『カチャッ‼︎×2』

 

そして曲がり角越しに両者は相対する。

片やマスクで顔を隠す葵、片や壁一面に特異菌のカビ塗れの地帯にマスクもせずに葵にハンドガンを向ける女性…京町セイカだった。

 

「セイカさんお久し振りですね、直接会ったのはCLOWN事件以来ですね」

 

「その声のトーンはガチギレ中の葵ちゃんだね。

ごめんね、態々ガチギレ中のタイミングで会いに来ちゃって♪」

 

セイカは葵の声色からガチギレ中と判断し、そのタイミングで会いに来た事を謝罪しつつハンドガンを仕舞い、イヴ達の方に目を向ける。

対するイヴは初めて会う人間だが、本能的に『表面でしか笑ってない』と察知しルナの後ろに隠れてしまう。

 

「貴女は…H.C.F.のセイカ・キョウマチ…さん…。

何故貴女がこのエリアに?」

 

「いや〜ルナさん、私達H.C.F.はある選択を迫られていてね〜。

それを葵ちゃんや貴女達に伝えに来たんだよね〜」

 

対するルナは何度かセイカと出会った事がある為何故此処に居るかを問うと、セイカは葵達にH.C.F.の選択を迫られている事を知らせに来たと言いながらフレンドリーにルナにも話し掛けていた。

そしてそれを聞き葵は大方の予想が付いた為口を開いた。

 

「H.C.F.はコネクション、と言うよりダールトン一族に資金援助を続けるか否か、って所ですか?」

 

「大正解。

次いでに此処で得たE型特異菌のサンプルと情報を持ち帰る事も任務でね〜。

で、葵ちゃん達にあっさり足を付けられた上にこんな回りくどい施設なんか作っての実験なんかに資金援助は金の無駄って判断を下したってのを、ね」

 

セイカは葵に当てられた事をアッサリと話し、E型特異菌のサンプルとデータ回収、更にはダールトン一族への援助停止=足跡を辿らせない様にする目的を話し、それを聞いた葵は話すと言う事は大方の作業が終わってしまっていると察知し、溜め息を吐いていた。

 

「……で、サンプルもデータも私達が侵入した混乱に乗じて全部回収したから私達をおちょくりに来たと?」

 

「おちょくるなんてとんでもない!

ダールトン一族の成敗のお手伝いをするだけだよ葵ちゃん〜♪」

 

更に葵は正解ルートを歩き出しながらセイカの話を聞けば、裏を見れば間違い無く自身等の痕跡消しをやる気であると察し、ならば画面と音声共有でせめて証拠を残してやろうと思う……が、セイカは次に悪魔の提案をして来る。

 

「あ、因みに〜、私達が居た証拠を公表しないなら〜、イヴちゃんの真の力を組織には黙って置くって交換条件もあるけど、如何する〜?」

 

「……成る程、セイカさん達は既にイヴちゃんの力を大体把握して、私達が貴女達を見逃せば『唯の失敗作だった』って話で済ませるって事ですか…裏を言えばイヴを狙い続ける事だって出来る、そう言う訳ですか…」

 

通信と画面共有で全員がセイカの存在を把握する中、セイカはイヴの隠している真の力を話さない代わりにH.C.F.が今回ダールトン一族にも関わっていた事を隠す様に強かな交渉をし始める。

 

『成る程、イヴの現状を理解した上で話してる訳か…抜け目が無いな、京町セイカ』

 

現在イヴは保護対象に切り替わる途中であり、それが今後も狙われ続けるのは不毛だとセイカは遠回しに察する様にしており、葵や共有中のレオン達は抜け目が無いとして完全に先手を取られてると理解し、『アルファ』が通信を全員に掛けて来る。

 

『此方『アルファ』だ、イヴに対する不確定要素を排除しない限り保護は出来ない。

現場判断でセイカ・キョウマチの交渉の是非を決めよ』

 

『アルファ』は今後イヴを保護してもそれを欲しがる者達が消えないと意味が無い=処断ルートしか無い為現場判断を下す様に命じつつ実際は交渉を呑む様に葵達に促していた。

それに気付いた葵は溜め息をしつつ答えを出した。

 

「…分かりましたよ、私達も任務をそのまま終わりたいので呑みますよ、その交渉」

 

「流石葵ちゃん達、話がわっかる〜!

じゃあダールトン一族に天誅を下しに行くわよ‼︎

この先が丁度決戦場だからね。

あー、此処までのルートのモールデッドを片付けた甲斐がありましたわ〜」

 

そして決戦場の目の前で交渉を呑むと葵が言うとセイカは葵に抱きつきながらルート上のモールデッドを全て片付けたと話す。

それを聞き葵は確かにモールデッドに出会わなかったと改めて思いつつ、A.B.F.制式採用AKを構えルナを見つめる。

 

「ルナさん、イヴちゃん、この先グロ注意だよ」

 

「えっ⁉︎」

 

葵はルナとイヴにグロ注意と話しながら決戦場に突入する。

すると其処には凄惨な光景が広がっていた。

磔にされた赤髪の男性が化粧の濃い小太りな女に剣で腕や足を斬られては薬液をかけられ再生させられると言う惨たらしい場面が目に映ってしまう。

 

「うっ‼︎」

 

ルナはそのショッキングな光景に吐きそうになるが、何とか持ち直して再び目を向けそれを見る。

磔にされているのは間違いなくカトル・ダールトンであり、それを血塗れで斬り付けていた女はミラ・ダールトンであった。

 

「あらあらお早いお着きだ事。

しかもH.C.F.のセイカ様が何故そちら側に?」

 

「ふふふ、本当に自分達が有益なデータを取り扱ってると信じて疑わないお馬鹿さんがいるなんてね……組織からの指令だよ、貴方達の実験は回りくどい、援助停止ってね!」

 

ミラは血塗れで話し始め、セイカが何故葵達側に居るかを気にするが、セイカはこの場に居るH.C.F.代表として援助停止を告げながらP90を構えていた。

しかし、対するミラの反応はと言えば。

 

「あら、そうでしたか。

なら良いですわ、新しい援助者を見つけるだけですから。

今はこのダールトン一族の栄華を愚弄した息子に『愛の躾』をしなけれ、ば‼︎」

 

『ザシュッ‼︎

ブシュゥゥゥゥッ‼︎』

 

「ぐあぁぁぁぁぁっ‼︎」

 

何と能天気に新たな援助者を見つけ出すと言い放ちながら『愛の躾』と言う名の拷問を更に始め、此れにはセイカも想定外の返しだったらしく口をあんぐりと開けてしまっていた。

 

「…愛の、躾ですって…‼︎」

 

「そう、これは愛ですよ‼︎

我が一族の悲願を理解しない愚かな子に対する躾、我が一族の悲願成就こそが最上の幸福だと知らせる為の教育なんですよ、おほほほほ‼︎」

 

『ザシュッザシュッ‼︎』

 

葵は目の前の女、ミラ・ダールトンが躾と称した拷問を愛、教育と破綻した理論を正しい事であると盲信しながらカトルの腕を刺し続け、痛みに耐えようとする彼を折る事に悦びすら見出していると葵達の目には映り、完全な狂人、一般の論理が通じない完全な化物だとマジマジと見せつけていた。

 

「琴葉紅と別ベクトルで狂ってる…論理が破綻し過ぎて訳分かんないわ…」

 

それらを見たセイカは自身も狂ってるがギリギリ踏みとどまれてる故に分かる紅と別ベクトルで振り切った狂気の女、ミラに対し訳が分からないとすら言い切り救い様が無い存在だと思ってしまっていた。

 

「さあ、愛の躾の中にあるのですから早くお帰りなさい、カードキーなら差し上げますので」

 

「違う、そんなの愛じゃ」

 

「愛じゃないです‼︎」

 

そしてカードキー2種を投げ付け、再び拷問を開始しようとしたミラに対し葵は愛じゃない…と叫ぼうとした瞬間、ルナがはっきりと愛では無いと叫んでいた。

それに反応したミラは眉を顰めながら振り返り葵達を見やる。

 

「ア、アオイさんが何が言いたいのか良く分かりました‼︎

貴女達は子供を一族の悲願、欲望を成す為の道具としか見てないんです‼︎

そんな物は愛じゃない、それは痛みによる洗脳であり傲慢な理論を正当化してるだけで間違って」

 

「黙りなさい小娘」

 

『ビュッ‼︎』

 

ルナはミラのやっている事は愛の躾ではなく洗脳、更には子を道具としか見ていないと言うミラの本質を突き間違った物だ…そう言い切ろうとした瞬間ミラは持っていた剣をルナに向かって投げていた。

 

「…お母さん…‼︎」

 

イヴは咄嗟に前に出ようとしたが明らかに間に合わずこのまま刺さる…そう誰もが、磔にされたカトルすら思った。

 

『ザシュッ‼︎』

 

「うっ、ぐっ…‼︎」

 

「ア、アオイさん⁉︎」

 

しかしそれに反応して庇った者が居た。

本来ならサイコキネシスを使い防げる琴葉葵その人だった。

しかし葵は敢えてサイコキネシスは使わずルナを庇い、剣を引き抜き遠くに投げ捨てていた。

 

「アオイさん、何で…⁉︎」

 

「良いから続き、話してよルナさん。

私は此れ位平気だから」

 

ルナは葵の傷を心配するが、胸に突き刺さり引き抜かれた葵の身体からは夥しい出血をしていたが、直ぐに傷口が再生し始めルナに話を続けさせようとしていた。

親としての、愛についての話を。

 

「アオイさん……はい。

ミラ・ダールトン、貴女は、貴女達は間違ってます‼︎

子供は自分の欲望を叶える道具じゃないんです、愛もそんな穢れた物なんかじゃないんです‼︎」

 

葵の話を聞いたルナは改めて話を続け、親と愛についての話を続け始めた。

セイカも親に愛された事が無い為興味津々でそれを聞き始めた。

 

「親とは子を育て、守り、そして正しく導く存在です!

決して欲望を子供にぶつける権利を持った存在じゃないです‼︎

愛だってそうです、親の愛もまた子供を守り育む心から生まれる、そんな曖昧ですがでもしっかりと形がある物なんです‼︎

だから言えます、貴女のそれは愛なんかじゃありません‼︎」

 

ルナはイヴを庇い、抱きしめながら親や愛を語り、特に愛は曖昧であり表現が難しいが、確かな形としてある物と叫び今までの静かでやや引き気味なルナ・アークからは想像出来ないモノを見せ付けた。

 

「だ、だがアンタもイヴを道具としか見てない筈‼︎

お前はバレてないと思ってるけど私は知っておりますわ、イヴに対して私の様に都合の良い事を教えて」

 

「それは違います‼︎

イヴは今まで知らなかったんです、愛も、道徳も、良心も、何もかも‼︎

だから私は出来る限り教えたんです、この世の中の一般的にそう呼ばれている物を‼︎

私は決してイヴを貴女達の様に道具とは思っていません、この子は……私の『子供』です‼︎

だからこそ、全力で『守ります』‼︎」

 

対してミラは何処で知ったかルナが一般的な道徳や良心を教えた事を引き合いに出し都合の良い物を教えた同類と言おうとしたが、ルナは今まで見て来たイヴは組織(コネクション)の所為で何も知らなかった事を話し、そして可能な限り、自らの都合の良いモノとしてならない様に注意を払って教えた事を振り返る。

そしてイヴを自身の『子供』と叫びイヴを全面的に受け入れる言葉を叫んだ。

 

「そうだね、親の愛って曖昧だけどハッキリとした形で残って、それを見て子供は育つんだよ。

対するミラ・ダールトン、貴女のは唯の押し付けだよ……そんなんで愛を語るなんて片腹痛いよ…‼︎」

 

「えっ、うわ‼︎」

 

『ズガァァァァァン‼︎』

 

そして葵はルナの言葉を藍が作った愛の形と同じモノを感じ肯定し、対するミラの物は押し付けと断じ、遂にサイコキネシスを発動させてミラを壁にめり込ませ、次に磔になったカトルを救い出し薬液をかけて傷を治していた

 

「す、すまない…助かったよ…」

 

「貴方の双子の妹さんの頼みですから」

 

カトルは自らを救った葵や、その舞台の立役者になったルナに感謝を述べていたが、葵は唯カトリの頼みとだけ言い再びミラの事を睨んでいた。

 

「お、おのれ小娘が‼︎

何なのだ今の力は、私達ダールトン一族以外にこれ程の異能の力を持つ者が」

 

「黙れ」

 

「あぐうっ‼︎」

 

ミラは葵が此処までの能力を備えている事を想定外だとし、最大限の警戒心を以って叫ぼうとした瞬間葵はサイコキネシスで口も腕も、心臓や脳、血管以外の動体の動きを封じ、更に透視能力で腹の中に特異菌コントロール装置を見抜き、サイコキネシス中は銃を使えない為セイカにそれを撃ち抜いて貰おうと算段を立てた。

 

「セイカさん、お腹のあの真ん中辺り、彼処を重点的に撃って下さい。

それであの人は終わりです」

 

「えっ、そうなの?

なら、えーい♪」

 

「ーーーーー‼︎」

 

セイカは葵の指示通りにお腹の中心辺りをP90で重点的に撃ち抜き、ミラが悶えると特異菌コントロール装置が破損した事を確認した葵はミラに対する生殺与奪権がイヴの手に戻った事を確認するとサイコキネシスを解く。

 

「あがが、が、特異菌コントロール装置がぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

「…えっ、アレって変異のコントロールも兼ねてたのルナさん?」

 

「えっと…はい。

ですから『特異菌コントロール装置』、なんです」

 

するとミラは突如として変異を開始し、葵はあの装置が変異すらコントロールするのかルナに聞くと、答えはYESが飛んできた為葵はサイコキネシスをフル活用して殺す用意をしようと考えていた。

 

『ウガァァァ、小娘共がぁぁぁぁぁぁ‼︎』

 

そして変異が完了するとミラはムカデを思わせる姿に変異し、その俊敏さでセイカの銃撃も避けつつ突撃して来た……が、葵にとって通常視界から外れない限り指定サイコキネシスからは逃れられない為空中で静止する。

 

『あ、がぁぁぁ‼︎』

 

「アンタみたいな母親とも呼べない奴と戦ってる暇はないわ‼︎

このまま今まで此処で死んだ人の無念の分を受けて、惨たらしく潰れて‼︎」

 

『ズンッ、ドンッ、ゴッ、ガンッ‼︎』

 

葵は空中で静止させた変異ミラを上、下、横と縦横無尽に動かして壁や天井に叩き付けていた。

更にその影響でカビの足が捥げてしまい、ダメージが蓄積され変異ミラは何も喋る事が出来なくなる程に全身の損傷が激しくなり、カビの再生力が全く追い付いていなかった。

 

『プシュッ、グチュッ、グジュジュグジャ‼︎』

 

そして変異ミラは力を発揮する前に葵のサイコキネシスによりミンチボールサイズまで圧縮、潰されてしまいそのまま石灰化。

それを葵はサイコキネシスで最後に壁にめり込ませ、セイカのパワーでも2度と抜けない様にしてしまう。

結果を見ればミラは葵の余計な怒りを買ったまま死に絶え、その姿に同情する者は居なかった、実の息子のカトルでさえも。

 

「………『守る』………」

 

だがイヴは先程のルナの守ると言う発言に今までに無い温かさを感じ取り、その言葉を何度も何度も噛み締めると、無表情であった筈の表情に僅かな笑みが溢れていた。

イヴはその温かさと言葉を胸にしまい大事にしようと思いながらルナに抱きついていた。

しかし、イヴの笑みに皆が気が付くのはまだ後少し先の話であった。




此処までの閲覧ありがとうございました。
遂に動き出したエイダ達。
そしてこの物語の主題の1つである『親』や『愛』を葵と母親役のルナが説きました。
例え血の繋がりがあっても愛が無ければ家族足り得ず、逆に血の繋がりが無くとも明確な愛が有れば真に家族となる…それをこの話の敵であるダールトン一族とルナ&イヴで対比させ、葵がそれを肯定する…書きたかった事が駆け足気味になりましたが書けました。
そして此れ等はイヴの糧になる…筈です。

次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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