BIOHAZARD【V+α】   作:”蒼龍”

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皆様おはようございます、第3話目更新でございます。
前回は投稿時間ガバッてしまいましたが今回は大丈夫です。
さて、今回も物語には多少の差異がありますがそれをお楽しみ頂けたら幸いです。
では、本編へどうぞ。


EP III『襲来と老婆と村人』

葵とイーサンがライカンを2体倒した後互いに噛まれた箇所を痛がりながらも葵はT-Genesis由来の再生力で欠損した箇所が既に治り始めていた。

しかしイーサンの方は痛ましく、止血措置を取らないと失血死しかねない程手の欠損が酷かった。

 

「葵、イーサン、大丈夫⁉︎」

 

「…イーサンの方は酷い怪我、止血しないと。

マキ、手伝って!」

 

「す、すまん…油断しちまった」

 

すると小屋に立て籠ったマキ、イヴが駆け寄り葵の方は再生が早く止血等の必要が無かったが、イーサンの方が酷かった為マキとイヴは急ぎ簡易キット内から止血剤と包帯を取り出し、イーサンの左手を応急処置していた。

イーサンは油断したと反省し、次はこうは行かせないと気を引き締め、葵も同じ気持ちを抱いていた。

 

「な、なあ、アンタら本当に唯の軍人なのか?

そもそもその娘さん、さっきの妙な力と言い今も怪我が治っとるし、何者なんだ?」

 

「…深い事情は言えませんが、私達は此方のイーサン・ウィンターズ氏の誘拐された娘さんや行方不明の奥様を追って此処まで来たんです。

嘘を吐いた事、この転がってる化物の様に変な力を持っていた事、それら全てを詫びます。

……ですが貴方を助けようとした意志は本物です、それだけは信じて下さい」

 

するとこの小屋、及び家の家主の老人が小屋の中から出て来て葵達を不気味がるが、葵は本当の目的の『1つ』を明かし、嘘を吐いた事や化物の様な力を見せた事を詫びつつ助けたかった意志は本当だと口にして頭を下げていた。

 

「……分かった、アンタ達は見ず知らずのワシを助けようとした。

その恩を仇にして返したくないからそれを信じるよ…ワシはグリゴリ・スタンだ、軍人さん」

 

「…信じてくれてありがとうございます、グリゴリさん」

 

すると葵達が自身を救った事が大きかったのか老人、グリゴリは葵達を信じると口にして葵に手を差し伸べ握手させながら葵を立ち上がらせる。

 

「(取り敢えず生存者1人を救えたか…この爺さんがローズの居場所とかを知ってるなら良いんだが…)」

 

対するイーサンも止血と応急処置を終えて立ち上がり、このグリゴリがローズの居場所、ひいてはまだ諦めていない本物のミアについて知ってるかどうかを気にしながらも、取り敢えず目の前にある命を救えた事に心が洗われローズを誘拐されてからの焦燥感に一時的な落ち着きを取り戻した。

 

 

 

 

 

 

それからイーサン達は各々の自己紹介をしながら、グリゴリの家の中にあったチェーンカッターで門のチェーンを開け、更にグリゴリが予備武器としてハンドガンを装備して隣のラジオが鳴る家へと入りラジオに反応が無い事を確認し、ドア前に棚を置きバリケードを作る。

 

「そうか、アオイ達はこのイーサンの娘さん、ローズちゃんや居なくなった奥さんを探す任務を受けた、あんな化物を殺す軍隊に所属してるんだな…。

後から仲間も来ると……それにしても、村の外は化物が人を殺すのが当たり前の世界になっとるなんて知らなかったわい…」

 

「はい。

ですから私達は攫われたローズちゃんの保護とミアさんの捜索を優先し、同じく目的で2人を探して遭難したイーサンを保護。

その後彼を守りながら共に探す様に命令を受けました」

 

「(それにしてもラクーンシティ事件すら知らないなんて、ミランダの奴の情報統制は凄まじいな)」

 

グリゴリは葵とイヴ、マキがB.O.W.を殺す部隊に所属し、イーサンから家族写真を見せながら話を進めるが、その中でイーサン達は村の外の事を知らな過ぎるグリゴリにミランダの情報統制が凄まじく、またその統治能力の高さも障害となると内心考えていた。

 

「それで爺さん、ローズやミアを見かけなかっただろうか?

ローズは間違い無く方角的にこの村に入っていくまでは分かったんだが…」

 

「いや、分からん……ワシ達もあの化物に襲われて自分の事で手一杯で…すまんな、イーサン」

 

「…分かりました、では貴方を先ず何処かに避難させてから地道に探す様に……来る‼︎」

 

イーサンはローズや、ミランダに殺された可能性を否定する為にミアの事も聞くが、矢張りと言うべきかグリゴリ…と言うより恐らくこの村人全員はライカンの対処で手一杯で他人や村の外に気が回らない故に首を横に振っていた。

葵はそれを確認し、グリゴリを先ず避難させてから地道に探す…そう段取りを話していた所で彼女は表情を険しくする。

 

『グルァァァァァァァァァァ‼︎』

 

『…‼︎』

 

すると外からライカンの声が殺到し取り囲まれている事を理解する。

すると葵は精神集中をし、透視で見えたライカンをサイコキネシスであり得ないレベルで身体を捻じ曲げる。

それらを見たライカンは危険本能からかその場から離れて行く。

 

「…よし、追い払いました。

兎に角避難場所を探さないと拙いです、早く此処からーー」

 

『ーーー誰か…まだ生き残っている人が居たらうちへ来て。

畑の側の、私の屋敷よ』

 

「!

他にも生き残りが…?」

 

葵が次の指示を出そうとした所でラジオから声が鳴り渡り、如何やら畑の側の屋敷に生き残りが居ると判明し、更にその声を聞くとグリゴリの表情は見るからに明るくなり、声を上げ始める。

 

「『ルイザ』だ‼︎

彼女も生き残っていたんだ‼︎

ああ、此れもマザー・ミランダのご加護だ…‼︎」

 

「失礼グリゴリさん、そのルイザって人の屋敷へ向かう道は?」

 

「あ、ああ。

この場所なら…この隣の家に奴等の襲撃から床下に逃げて抜け穴を作った者達が居った。

其処から抜けて、共同墓地から行けば畑へと向かえる筈!」

 

グリゴリはルイザと言う女性が生き残っていた事をミランダに感謝し、4人はミランダへの崇拝をする意識操作は正しいと感じながらグリゴリからルイザの屋敷に向かうルートをマキが聞き、全員で武器を構えながら家の中に落ちてたハンドガンの弾(但し葵達のには使えない)を回収して外に出る。

 

「…静かに!」

 

「‼︎

お、追っ払ったのにもう戻って来おったのか…⁉︎」

 

「チッ、しつこい化物共だな…‼︎」

 

そして、屋敷へと続く道の抜け穴を使うべく隣の家に向かおうとした瞬間、屋根の上にライカンがスタンバっていた事を葵が透視で察知し、グリゴリは恐怖心を、イーサンは悪態を小声で発しながら家の外階段を登り始め、そして全員が中に入った……所で風が吹き、中の食器が割れてしまう。

 

『グルァァァァァァァァァァ、グルァァァァァァァァ‼︎』

 

「クソが、何でタイミング良く風が吹きやがるんだよ‼︎」

 

「…さっきみたいに入り口にバリケードを張って、奥へ逃げよう‼︎」

 

その音にライカンが反応し、先程みたく、しかし先程以上の数が一斉に押し寄せイーサンは更なる悪態を吐くが、イヴが冷静に先程と同じ様に入口に棚のバリケードを置く。

そして奥に行く中で葵は先程みたくサイコキネシスを使いライカンを殺すが、さっきと違い逃げる素振りを見せなかった。

 

「さっきは逃げたのにあのB.O.W.が逃げ出さない⁉︎

まさか、奴等を操る存在が近くに…」

 

「葵、それ考えるより奥の穴を通って外行くよ‼︎

この数じゃ、私達の武器を総出で使わないとならないよ‼︎」

 

葵はライカンを操る存在が近くに居るのではと考えて透視で周りを見ようとしたが、マキが奥に進む様に急かした為中断してイーサン達を護衛しながら家の奥に進み始める。

 

「ん、コイツは……使えそうだ!」

 

「あっ、ショットガン?

ならイーサンにグリゴリさん、私の弾薬受け取って‼︎

2人が使う弾と同じだよ‼︎」

 

「おおすまんマキ‼︎」

 

するとイーサンはテーブルに置かれたショットガンを入手して下部スライドを引き弾を何時でも撃てる状態にした瞬間、マキがイーサン、グリゴリに自身が持つショットガンの同じ規格弾を渡し、準備万端で地下へと降り始めた。

その間、マキ達はスクラップやガンパウダー等を確保しながら抜け穴から外に飛び出した。

 

「敵性B.O.W.と戦闘を開始します‼︎

デルタ2、オメガ18、保護対象を守りながら囲まれない様に注意を‼︎」

 

「はいよオメガ16‼︎」

 

「…守る‼︎」

 

そして葵の合図にマキ達はサジタリウス、カスタムショットガンをライカンに向かって放ち始め、囲んで来そうな個体から率先して倒し始めて行く。

 

「俺もローズ達の為だ、負けてられるか‼︎」

 

「女子供に戦わせて、大の男が戦わんのは可笑しな話だわい‼︎」

 

それに合わせ護衛対象のイーサン達もライカンに向けて発砲し、次々と現れるライカン達を殺して行く。

しかし、先程から殺しても数が減らない所か音に寄られて益々集まって行き、イーサンはジリ貧に感じ始めていた。

 

「チィ、オイアオイ達‼︎

このままじゃジリ貧じゃ無いのか⁉︎」

 

「仕方ありません、屋根の上に登って迎撃しましょう‼︎

…それにしても、先程とは違って統率が取れた動きを……矢張り近場に操る者が…?」

 

イーサンの叫び声に葵達5名は梯子から屋根の上に登りながら其処で周りを囲まれぬ様に銃を撃ち続け、鉈や刃物を持って迂闊に近付いて来た個体には葵の怪力キック、マキの本気パンチ、イヴのカビ剣等で応戦して行くが、此処で葵は統率の『取れ過ぎた』動きをするライカン達に矢張り近場に操る者がいると考え出していた。

 

「くぅ、奴等火を付けた弓矢まで撃って来おった‼︎

矢張り『あの婆様』が言っていた『ライカン』は恐ろしい‼︎」

 

「婆様?

それに今ライカンって、何故あのB.O.W.の名前を」

 

グリゴリは火を付けた弓矢まで使って来たライカンに恐怖を感じ、周りに火の手が上がる中気になる単語である婆様や何故か知ってるB.O.W.の名前に違和感を覚えそれを聞き出そうとした。

 

『グサッ‼︎』

 

「ぐあっ、う、うわぁ‼︎」

 

『イーサン‼︎』

 

だが弓矢がイーサンの足に目掛けて飛び、それが刺さってしまう。

更にそのイーサンの隙を突きライカンが1体イーサンを屋根の上から落とし、イーサンは川まで転がり落ちてしまう。

それを見た葵達はそのライカンを殺害後、葵がグリゴリを抱き抱えて飛び降り、イーサンの下に走って駆け寄る。

 

『グァァグゥ‼︎』

 

「げっ、馬にまで乗ってワラワラと集まり出した‼︎」

 

「…戦力差、かなりヤバ目。

此れアオイが居ても詰んでるかも」

 

「く、くそう、折角嬢ちゃん達に救われた命が此処で終わるのか…‼︎」

 

その最中、馬に乗ったり屋根を伝ってライカン達が集まり始め葵達は周りを取り囲まれてしまう。

葵は苦し紛れにサイコキネシスを使ったりするもその分以上のライカンが集まり最早手が付けられない程の数に四方八方囲まれてしまう。

 

『フゥ……グォォォォォォォォ‼︎』

 

「うわっ、ボス的存在来た……こりゃあ、最悪葵やイーサン達だけしか生き残らないかも…」

 

更に屋根の上から巨大な戦槌を持った大型B.O.W.、ハウンドウルフ達からのコードネーム『ウリアシュ』が現れイーサン達を威嚇し、マキはいよいよ自身の命運が尽きたかと思いつつイーサン達を守るべくカスタムショットガンを構え、イヴも左手に大型のカビ盾を形成しながらサジタリウスで威嚇し、葵も襲い掛かって来た瞬間サイコキネシスを使い殺すと決めながら待ち構えていた。

 

『ゴーン、ゴーン、ゴーン』

 

『グァァグゥ!』

 

『…はっ?』

 

すると城から鐘の音が鳴り渡ると、ライカンやウリアシュ達は突如としてその場を去り始め葵達の口から乾いた声が上がった。

そしてイーサンは刺さった弓矢を抜き、回復薬を足に掛けて治すが何が起きたかサッパリな為グリゴリに問い掛け始めた。

 

「痛ぅ…なあ爺さん、あの化物共は鐘の音を聞いた途端居なくなったんだが一体…?」

 

「わ、分からん。

だが城の鐘が鳴ると奴らは現れ、また鐘が鳴ると奴らは消える……消えるのはマザー・ミランダのご加護だと思いたいんだが…」

 

『シャリン、シャリン』

 

すると開けた赤い門の方向に杖をついた謎の老婆が立っており、更に自身の存在をイーサン達に気付かれると門の中の方へと入って行ってしまう。

 

「あ、あの婆様だ!

ワシ等にライカンを教えてくれた婆様は‼︎」

 

「何?

お、おい待て…!」

 

「(…ライカンの名を知る人…油断ならないかもしれない…)」

 

するとグリゴリがその老婆こそが自身等にライカンの事を伝えた=警告をした者だと話しイーサンは痛がる足を押さえながらも老婆を追い始める。

だが葵、更にマキやイヴはライカンの名を知る老婆に対して警戒心を表に出さない様にしつつも追い掛け出し、そして直ぐに追い付くと何やら杖で地面にシンボルを描いていた。

葵達はこれが村に使われるシンボルと思いつつイーサンが声を掛け始める。

 

「…生にも死にも、栄光を与えん…」

 

「なあアンタ、此処に居ると危険だ。

……何をやってるんだ?

なあ聞こえてるのか?」

 

「(……⁉︎

このお婆ちゃん……いや、この人他の人達よりも異常な特異菌の反応がある⁉︎

何なのこの人……まさかこの人…)」

 

老婆は何かを呟きながら地面にシンボルを書き続け、イーサンの問い掛けに鈍い反応しか示さず年相応の耳の遠さを見せ付けていた。

しかしイヴだけは反応が違った。

A.B.F.で培った表情を表に出さない訓練から平静さを装いながら、自身のE型菌が示す老婆の体内の特異菌の反応が異常な値を示している事を察知し、イヴは心の中でこの老婆の『正体』に勘づき始めていた。

 

「あぁ…其方か。

あの子の父親だな?」

 

「あの子…まさか、ローズの事か⁉︎」

 

「ははははローズ!

そうともローズじゃ!

あの子に危険が迫ってる、マザー・ミランダが村に招き入れて全ては闇に堕した‼︎」

 

すると老婆はイーサンをローズの父親だと言い、更に危険が迫っている事、マザー・ミランダが村の中に確かに『招き入れた』事を口にしてグリゴリも含む全員がその言葉に警戒心を露わにし、更に流石の葵やマキも此処まで事情通な老婆に対して唯の老婆から『怪しき者』へと警戒をランクアップさせる。

すると再び城の鐘が鳴り渡り始めた。

 

「城の鐘が災いを告げておる!

奴等が来るぞ!」

 

「ば、婆様またあの化物、ライカンがやって来るのか⁉︎」

 

「我等が為に鐘は鳴る…また奴等が来るのじゃ!

あっははははははは、はぁ〜ははははははは‼︎」

 

すると老婆は城の鐘がライカン襲来のサインである事を告げ、更に我等……村人の為に鐘は鳴ると意味不明な言葉を羅列し、ライカン襲来を怯えるグリゴリを無視して門を閉め、そして高笑いを上げて声が遠退き始めた。

 

「……な、なあイーサン、ローズちゃんは確かに誘拐されたんだな?

だがあの婆様の言い方だとマザー・ミランダがローズちゃんを連れて来た様にも聞こえたんだが…」

 

「分からない……突然娘を誘拐されて、妻も居なくなって…俺には、分からない…‼︎」

 

「(イーサン……あれ⁉︎

一瞬目を離した隙にあのお婆さんが消えた⁉︎

……ま、まさか、あの老婆の正体は……だとしたら、今『敵』に回せばこっちが死ぬ‼︎

何とか気付いてないフリをしないと…‼︎)」

 

グリゴリは今までのイーサン達の言葉、謎の老婆の話を接合して自身等が敬愛するミランダがローズを誘拐した可能性に行き着き、イーサンは唯々困惑し、分からないと告げる事しか出来ずそれを案じた葵はイーサンに目を向ける。

すると一瞬目を離した隙に老婆が『透視先から消え去り』、葵の中でそれにより老婆の正体に行き着き、今は敵に回すまいと思いながら周りを探索した。

 

「…この乱れ書き、あの婆ちゃんの物かな?」

 

するとマキは床に村のシンボルが描かれた蝋燭が沢山点いている民家内に乱れた書き置きを見つけ、葵達もそのメモの内容を見ていた。

内容は以下であった。

 

 

『おお、ライカンよ。

お伽話の、悪魔の狼共よ。

我等を食らいに来るが良い。

血肉を食らいに来るが良い』

 

 

「間違いなく婆様の物だ…何だが、まるでライカンに食われる事を喜んどる様な…」

 

「この村の惨状で頭がイカれちまったのか…」

 

「(……違う、あの老婆は危険人物……とは言えないね。

クリスからの命令もあるんだから…)」

 

グリゴリは文面からも老婆の書き置きだと思い、更にイーサンは村の惨状で精神が可笑しくなったのだと口にし憐んでいた。

が、正体に行き着いたイヴや葵は逆の感想を抱くも、今伝えて余計な火種になる事を良しとせずそれを胸の内に止めることにした。

 

「この先が城か…だが何かを嵌めなきゃ入れない様だな」

 

「この先は四貴族様の1人、ドミトレスク夫人様が治める城なんだが……あの婆様やイーサン達の話があるからのう。

特別に門を開けるクレストを託そう。

…本当なら村の皆で決めねばならんが、こんな惨状では…」

 

イーサンは立看板からドミトレスク城と書かれた場所に向かうが、門は2箇所何かを嵌めなければならないギミックがあり開かなかった。

グリゴリは様々な事からイーサン達に門を開けるクレストを託すと即決し、人柄の良さを見せていた

そして共同墓地から小教会に入り、『巫女のクレスト』を手にするとグリゴリが道案内を始める。

 

「こっちだ、この先がルイザの屋敷だ!

城の門を開けるもう1つのクレストもルイザが管理しておる!」

 

「道案内ありがとうございますグリゴリさん。

だけど畑の中にライカンが居ますから、私の力で潰します‼︎」

 

グリゴリが先導しながら畑に入り、クレストの片割れをルイザが管理してると話しながら小走りで進み出すと葵は透視とサイコキネシスを駆使して畑に隠れたライカンを駆除し、ルイザの屋敷前の門まで辿り着く。

しかし門は開かずグリゴリは焦り始めていた。

 

「くそう、ルイザ、ルイザ!

ワシだ、グリゴリだ‼︎

門を開けてくれ‼︎」

 

「…ダメですね、中の人達は怯え切って家主さんっぽい人…多分ルイザさんの話も無視して開けようとも」

 

「父さん、誰か…」

 

「……待って下さい、隣の家に負傷した人を含めた2名が取り残されてます!」

 

グリゴリは門を叩き、ルイザ達に開けてもらおうとしたが結局聞き入れられず、透視を使った葵も家主以外が怯え切っていると話していた瞬間、隣の家屋に誰かが居る事を勘付き5人は家屋内に入り込む。

すると負傷した男性と若い村娘が其処に居た。

 

「おお『エレナ』、『レオナルド』も‼︎

何とか生きておったか‼︎」

 

「グリゴリ、グリゴリ貴方なの⁉︎

と、兎に角ドアを閉めて!

ああマザー・ミランダ、私達にもしっかりとご加護があったのですね…‼︎」

 

「……で、其処の他所者共は誰だ?」

 

するとグリゴリはその家屋に居た人物と顔見知りであり、それぞれ村娘がエレナ、その父親らしき人物で刃物を武装し、負傷しながらも葵やイーサン達に警戒心を露わにしているレオナルドの2名が居り、レオナルドの警戒を解こうとグリゴリが話し始める。

 

「あ、ああこの人達はワシの命の恩人だ!

村の外でライカンの様な化物を殺すのを専門とした軍人のアオイ、マキ、イヴの3人に、娘さんや奥さんを探しに来たイーサンだ!

皆人柄が良く、見ず知らずワシの命を身体を張って守った恩人だ!」

 

「えっ、じゃああの化物達を倒してくれるの⁉︎

ああ、マザー・ミランダ…‼︎」

 

「…私達だけでは無理ですが、仲間が来る予定なので必ずやあの化物達を退治し尽くすと約束します」

 

グリゴリの紹介によりエレナは葵達3人は化物退治の専門家と聞きマザー・ミランダの加護が舞い降りたのだと思い彼女に感謝し、レオナルドは信じられないと言った様子で葵達を見ていた。

そして葵は仲間が来たら必ずライカン達を退治し尽くすと約束を交わした。

…ライカンを操るマザー・ミランダの殺害を隠しながら。

 

「しかし、他に生存者があの屋敷に居るみたいだが…誰も開けてくれる様子が無いんだな」

 

「ええ、多分皆ライカンに怯え切ってて…だから、私は出血が酷いお父さんを診てなければならないから門の裏手に回って開ける事も出来なかったの‼︎」

 

「ならレオナルドさんの信頼を勝ち取る為にイーサン、私と行きますか」

 

「…」

 

イーサンはエレナに誰も門を開けない事を告げると彼女は家屋に空いた穴を指差し、其処から裏手に回れる事を示唆するがレオナルドが負傷した関係で動けない事を話すと、マキがイーサンを伴い門の裏手側に回る事を話した。

その間もレオナルドは信用ならないと言った表情を葵達に向けるが、直ぐにイーサンが再び家屋のドアを開ける。

 

「門を開けた、早く来るんだ!」

 

「随分と、遅かったな…」

 

「ナイスですよイーサン。

じゃあエレナさん、レオナルドさんのもう片方の方を支えますから行きましょう」

 

「あ、ありがとう…アオイ達は優しいのね…!」

 

そしてレオナルドのちょっとした悪態を流しながら葵は彼のもう片方の肩を支え、イヴとグリゴリが周りを警戒しながら直ぐに門を潜るとイーサンが門を閉め、取り敢えず屋敷の玄関前までやって来た。

 

「…なあエレナ、この村で何があったんだ?

何であのライカンとか言う化物が?」

 

「私にも分からない、マザー・ミランダのご加護がある筈なのに…!」

 

「おい皆、グリゴリとエレナだ‼︎

レオナルドが負傷しとる、早く此処を開け………待て『ユリアン』、銃を下ろすんだ」

 

イーサンは村の惨状を理解していない為、特異菌に感染している事を胸に仕舞いつつエレナに話を聞くと、マザー・ミランダの加護がと話し葵達の言う通り、そしてエヴリンの件を思い出し精神操作が相当進んでいると感じ、ならばあのライカンはと嫌な予感を感じながらも玄関先に視線を移す。

するとグリゴリが中に居た人物、『ユリアン』にショットガンを向けられており一触即発状態になっていた。

 

「ユリアンお願い銃を下ろして、私達を中に入れて!」

 

「黙れ叫ぶな、血の臭いで奴等が寄って来る‼︎

それに他所者が!」

 

「このままじゃ父さんが…!」

 

「俺の知った事じゃねぇ!」

 

するとグリゴリに混じってレオナルドを支えたエレナも話に混じるが、ユリアンは負傷したレオナルドの血の臭いでライカンが集まる事を指摘しつつ他所者のイーサン達を中に入れたく無い事も踏まえて口論になり、葵達は不毛だと思いつつ成り行きを見守っていた。

 

「何の騒ぎ?」

 

すると中から葵が透視で見た家主ルイザが現れ、その場を収めようとイーサン達の前に来ていた。

それを見てグリゴリはホッとした表情を見せ始め、其処からルイザの信頼はこの目の前のユリアンより厚いのだと感じていた。

 

「こいつ等、死に損ないや他所者を中に入れようと…」

 

「『こいつ等』ですって?

彼等は友人よ。

さあ入って、こっちよ、中へ」

 

ユリアンが更なる悪態を吐こうとした所でルイザはエレナ達を友人と言って中に招き入れ、レオナルドとエレナは先に入って行く。

するとルイザはイーサン達の前に来て見慣れぬ人物と、葵達の武装からやや怪訝な表情を浮かべていた。

 

「貴方達、村の人じゃ無いわね?」

 

「ああ、彼等はイーサン、アオイ、マキ、そしてイヴだ。

彼等の内3人は誘拐されたイーサンの娘さん達を探す任務中に此処に来た化物退治専門の軍人で、見ず知らずのワシの命を助けてくれたんだ。

アオイやイヴは不思議な力を持っとるが、その人柄は信用出来るぞルイザ」

 

すると残ったグリゴリがイーサンや葵達の説明をし、葵達を化物退治専門の軍人だと説明しつつ任務は誘拐されたローズやミアを探す事と、見ず知らずの自身を助けた事から人柄は信用出来る事、葵とイヴが不思議な力を持つ事を伝え何とか信用を勝ち取ろうとしていた。

 

「成る程…良いわ。

エレナやグリゴリの知り合いなら信じましょう、入ってイーサン達。

ユリアン、見張りの仕事に戻って」

 

「あ、なら2:2で分かれます。

何時あの化物、ライカンが襲って来るかも予測不可能なので…イーサン、イヴ、中に入って。

私達はユリアンさんの見張りの仕事のお手伝いをします」

 

「そう…見ず知らずの人を助けようとする意志、確かに感じたわ。

ならイーサン、イヴ、グリゴリ、中へ」

 

そうしてユリアンの怪訝な顏を無視してルイザはグリゴリの話を信じイーサン達全員を中に入れようとした所で葵がマキと共に見張りを買って出て、理由もライカンが何時襲って来るかも分からない為と話しながら門の外を警戒していた。

そしてルイザは葵の人柄を肌で感じ、その見張り役をユリアンと共に任せ他3人を中に招き入れるのだった。

 

「…ふん、他所者が」

 

「はい、私達は他所者だよ。

けど、あんな化物に襲われてる人を見捨てる程薄情な人間じゃないので貴方も、中の人も守りますよ」

 

「…ふん!」

 

ユリアンはルイザ達が中に入ると葵達に更なる悪態を吐くが、マキが化物に襲われた者を助けない程薄情な人間じゃないと意趣返しをしつつユリアンも守ると言い、それを聞いたユリアンはマキの喧嘩腰精神だが確かに誰かを助けようとする意志を感じてそれ以上何も言わずに門を開け始め、3人で見張りを始めた。

 

「(……それにしても、透視して分かったけどこの村の人全員は特異菌だけじゃ無い、何かの『寄生体』を植え付けられてる。

…B.O.W.、ライカンの『正体』もあるし、中のイーサン達が大丈夫なら良いんだけど…)」

 

そして葵は、透視能力で村人全員の体内には特異菌以外にもう1つ寄生体が存在する事を察知し、ライカンの『正体』込みで中に入ったイーサン達に何が無ければ良いのだがと思い始めていた。

……そして葵は後悔する事になる。

寄生体の事を話さなかった事、見通しが甘かった事、そして何より『全員で中に入らなかった』事に対して。

何故ならその懸念した事が現実になるその時がもう目の前に差し迫っているのだから。




此処までの閲覧ありがとうございました、
差異その1、グリゴリがルイザの屋敷まで同行する。
差異その2、老婆の正体に勘付く者が居る。
差異その3、老婆がライカンの存在を村の人達に言いふらしていた。
これが本編と異なる点です。
但し、その3に関しましてはあの老婆なら本編でも村人にライカンを話し回ってると思われる為余り差異には入らないかもです。
因みに村人全員が『寄生体』を植え付けられているのは若者の場合は親からの遺伝によりそうなってたりするとしてあります。
そして次回はいよいよ…。

此処までの閲覧ありがとうございました、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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