今回は此処が恐怖と絶望による『邪悪と狂気が満ちる村』である事の一端を担う回となります。
詳しくは本編へどうぞ。
「待ってて、奥の様子を見て来る」
ルイザの家に入ったイーサン、イヴは少しだけ待つように言われ、その場にあったメモ書きやこの村のアルバムを見ていた。
メモには曰く、家畜をやられて冬を越せない、エルネストと言う人物が消えた事、ミランダが見捨てたのかと言う不安が書き綴られていた。
「…報告が正しいならライカンの目撃例はローズがこの村に入る前から密かにあった。
それでローズを見つけ、連れて来たから実験対象の村人全員を…って事が思い浮かんだけど、口外しないでね、不安を煽りたくない」
「あ、ああ……お前、本当にエヴリンとは違うんだな。
人の心が通ってると言うか…」
「…それはお母さん、そして葵達が人の心を、責任を、愛を、様々な事を教えてくれたから。
お母さんと会う前までは間違い無く私はエヴリンと同じだった、だからそれや色んな罪を私は背負ってる…」
イヴはハウンドウルフやデルタチームの監視からライカンの目撃情報は今よりも前からあった事、目的のローズを手にした為実験場の村人の抹殺を示唆したりするも、不安を煽りたく無い為口外しない事をイーサンに言う。
対するイーサンはイヴをエヴリンと違うと言うが、イヴは様々な事を学んだからと言い、エヴリンと同じ罪があると言いつつ何処か悲しそうな表情を浮かべていたのをイーサンは見逃さなかった。
「こっちへ」
すると奥の様子を見終わったのかルイザが2人を奥へと案内し始める。
イーサンは葵やイヴが言っていた事…ミランダ関連は口に出さない、ボロを出さない様にしようと思いながら後を付いて行く。
「さあ、みんな待ってるわ」
ルイザがカーテンを潜り部屋の中に入るとイーサン、イヴも合わせて中へと入り始める。
すると其処にはグリゴリやレオナルド、エレナ達を含めて数名の生き残り…中にはレオナルド以上に負傷した者や酩酊した者が居た。
「何だこいつ等は、他所者が殺しに来たのか!」
「黙って『アントン』、グリゴリ達3人を助けてくれたのよ」
「誰も助けなんか頼んじゃいない!」
酩酊した男性、アントンはイーサン達のを見るや否や酒に酔った勢いで叫び始めた為、ルイザはグリゴリ達を助けた事を言ってその事咎める。
すると他人に頼り慣れていないレオナルドはイーサン並の悪態を再び吐くが、別段イーサンやイヴは気にしていなかった。
村社会に於いて他所者の扱いなどこの程度、グリゴリやルイザ達が特別なのだと思っていた為である。
「どうぞイーサン、イヴ、座って」
「無事だったのは…村でこれだけか?」
イーサン、イヴはルイザに椅子を用意されて座ると、周りを改めて見たイーサンが無事な村人はたったこれだけなのだと思い口に出す。
するとアントンがそれを聞き酒に任せた醜態を晒し始める。
「無事?
無事だと?
此れの何処が無事だって言うんだ⁉︎
動けもしねえ怪我人に、バカみてえに泣くしか出来ねえ女!
お前もだ!」
アントンはイーサンに始め叫び始めたが、その対象は段々とこの場に居る村人全員に向けられて行き、遂には家主のルイザにまで当たり散らす様になる。
それを見てイーサンは良い顔をしなかった…が、もっと良い顔をしなかった人物が此処に居た。
「血塗れの死に損ないのジジイ共に、他所者まで連れ込みやがって…‼︎
この家が安全だと?
安全な場所なんかねぇ!
外の…腰抜け連中も、とっくにぶっ殺されてる。
明日には……ゴクゴク、明日には俺達も皆死ぬ。
そいつのクソ亭主みてえに…泣くんじゃねぇ『ロクサーナ』‼︎」
「もう止めーー」
『ピコーン!』
アントンのボルテージがヒートアップして行き、不安を煽る事を口々にし、そして他人を誹り始めた時点でルイザが止めに入ろうとした……所で、この中で10代なイヴが立ち上がり、アントンに向かってカビで作ったピコピコハンマーで頭を叩き、アントンやグリゴリ以外の周りはそのカビで作ったピコハンに驚きイヴに視線が集中し、何を口にするのかと注目してしまう。
そうしてイヴは息を吸った後……。
「……この村の人の貴方が真っ先に諦めて如何するの?
私の知り合いが言ってた、生きる事を諦めるなって。
他所者の私が言えた義理じゃ無いけど、それでも言わせて貰う……不安を煽らず、何とか諦めないで。
化物退治の専門家が、この家に来たんだから」
イヴはアントンにA.B.F.として戦場の中でBSAAだったB.Y.の言葉を思い出し、死に掛けの部下に生きる事を諦めるなと言い無事に生還させた事を脳裏に思い出しながらそれを口にし、更に化物退治の専門家が来たと言いピコハンを崩して自身の武装を一通り見せた。
凡そ10代の見た目なイヴには似合わないゴツ過ぎる銃と先程のカビのピコハンを見てアントンは其処で黙り込む。
「そうだ、その子や外の2人の女性は村の外から来た化物退治の専門家なんだ!
そして今みたいな不思議な力を持っている!
そんな人達が、この時期に村に来たのはマザー・ミランダのご加護があったからに違いないんだ!
後から彼女達の仲間が来る事にもなっとる。
だからアントン、イヴの言う通り生きる事を諦めず、頑張ろう…!」
其処にイーサン達に救われたグリゴリが加わり、此れもマザー・ミランダの加護による奇跡的なタイミングだと話し込む。
更に後からイヴや葵達の仲間が来る事も話し、生きる事を諦めない事に同意した彼はアントンを大人しくさせる事に成功し、次にルイザが口を開いた。
「…ありがとうグリゴリ、イヴ。
兎に角、此処は代々私の家族を守り続けて来た家。
酔っ払いであれ何であれ、誰でも歓迎する。
此処に居れば安全よ」
「……チッ」
そしてルイザはその広い心を以てアントンに最後に声掛けをし、グリゴリやイヴの言葉が効いたのか渋々座っていた椅子へと戻り始める。
「…一体何が起こってるんだ?
誰か教えてくれ」
「分からない、ただ普段通り静かに暮らしていたらある日突然…化物が現れて、襲って来たの。
何度も…何度もやって来てそれでーー」
「待ってルイザ、旦那さんは?
まさか…」
イーサンはこの村で何が起きたのか…恐らくミランダが裏で関わっている事を脳裏に思いながらもボロを出さない様に問うと、ルイザからある日突然ライカンに何度も襲われたと口にしており、取り敢えずライカン襲来はローズが来る前から起きていた可能性が高いと感じていた。
「(…報告通り、ね)」
イヴも報告に矛盾は無く、村人を救おうとクリス達が裏でミランダにバレない程度に手を尽くしていた事も聞き及んでいた為それでも死んだ村人を悼んでいた。
そしてエレナがルイザの夫の話を振るとルイザは顔面蒼白になりながら口を開く。
「いえ…か、彼は何処かに居る、絶対に。
村の人や……それこそ、イヴの仲間の方に助けを……ええそうよ、きっと助けを呼びに行ったのよ」
「……もしも私達や、仲間が貴方の旦那様を見つけましたら、必ず保護致します」
ルイザは夫は助けを呼びに行ったと口にし、イヴの事も見ながら話を進める。
それを聞きイヴは仲間や自分達がルイザの夫を見つけたら保護すると約束して、彼女の焦燥感を少しだけだが和らげさせた。
「祈りましょう……彼が、私達の為」
「そうね、さあ一緒に」
するとロクサーナの提案でルイザの夫に祈りを捧げる事を提案すると、イヴやグリゴリの言葉で頭が冷えたアントンやレオナルド、更に奥に居た怪我人の『セバスチャン』を含めて皆で円を囲み、イーサンとイヴもそれぞれエレナ、ルイザの手を取り形だけだが祈りに参加する。
『大いなる者よ、聞き入れ給え。
畏敬の念と共に捧げん。
無限の闇より、運命を定めし手が我等に差し伸べられん事を。
深夜の月が、黒き翼で舞い上がる時、我等は自らを犠牲とし、最後の灯りを待つのみ。
生にも、死にも、マザー・ミランダに…栄光を捧ぐ』
「(此れが祈りだって?
此れじゃまるで…)」
「(…ミランダ、自分の都合の良い風に意識操作して、この村の人達を……許さない…!)」
祈りの言葉を聞いたイーサンは此れではまるで自らを生贄に捧げる物だと感じ、イヴはミランダの本性をクリス達から知らされてる為その心に怒りが満ち、イーサンとイヴの互いの握る手は力強くなりミランダに対する念は祈りとは真逆の物になっていた。
「さあ、お茶の支度を。
エレナ、手伝って」
「その祈り、前にも聞いた。
墓地に居た老婆から」
ルイザはエレナを伴いお茶の支度をしようとすると、イヴがイーサンをチラ見して来た為、彼は適当な事を…祈りを墓地に居た老婆から聞いたと言い、それを聞きグリゴリも反応を示す。
「ああ、この村に伝わる大事な祈りなんだ。
この祈りを捧げれば、マザー・ミランダのご加護を得られるんだ。
そしてあの婆様は、ワシ等にライカン共の襲来を…」
「はははは、あの婆さんか。
あのババアならもう完全にイカれちまってる」
グリゴリは祈りは村に伝わる大事な物、マザー・ミランダの加護が得られると口にし、葵達から話を聞いてたイーサンは内心ミランダに侮蔑の感情を抱いていた。
更にレオナルドも悪態込みで話に参加し、老婆がイカれていると話すと此れにはイーサンもあの乱れた書き置きを見た為同意していた。
「でもあの人は…とても献身的よ。
だからきっと彼女にもご加護がある筈だわ」
「………私は、あの人が怖い……」
「えっ、イヴ?」
それに対しルイザはグリゴリ同様老婆は良い人だと口にし、彼女にもマザー・ミランダの加護があると口にしていた。
すると不意にイヴがイーサンやルイザにしか聞こえない小声で、老婆に恐怖心を漏らしてそれを聞いたイーサンはイヴの方を見ていた。
「ふふふ、ふはははははは、はははぁゥゥゥゥ…」
『ドサッ‼︎
ボゥ‼︎』
するとレオナルドが不意に笑い始めた瞬間、突如声から苦しみの声色が漏れてテーブルに倒れ臥してしまう。
その際にランタンが床に落ち、炎が燃え広がり始めた。
「おい、何してる⁉︎」
「レオナルド如何したの?
大丈夫?」
アントンは燃え広がり始めた炎を踏み消そうとするが、勢いが止まらず燃える速度が上がり始めイヴは既に外に出ないと焼け死ぬと判断して立ち上がり始める。
するとルイザがレオナルドの身を案じて彼に近付き始める。
「……っ‼︎
危ない‼︎」
『カキィィン‼︎』
するとイヴはレオナルドの異変……目が既に人間の物では無く、外のライカン達と同じになった事を見抜き彼が手にした鉈包丁をカビ剣で弾き返しルイザを救う。
「クソが‼︎」
『グルゥゥゥゥ、グァァグゥ‼︎』
「ぎ、ギャァァァァァァァァァァ‼︎」
更に其処に背後からアントンがワイン瓶で殴り掛かるが、ターゲットが彼に変更になった程度でレオナルド…否、『元レオナルド』のライカンはアントンの首筋に噛み付き彼を殺してしまう。
そしてイーサンは今まで考えたくかったこの村が特異菌の実験場、村人は実験台とライカンの存在が=として繋がってしまい、最悪の事態になったと思っていた。
「きゃあ、いや、いやァァァァ‼︎」
「く、くそう、止めるんだレオナルド‼︎」
次にロクサーナに飛び掛かり彼女も直ぐ様殺してしまう。
その惨状を見たグリゴリはレオナルドだったライカンにショットガンで発砲、それにダメージを与える。
その間にセバスチャンは逃げようとしたが、火の勢いに追い付かれ身体中を焼かれ始めてしまう。
『グァァグゥァァァァウゥゥゥ‼︎』
「もう止めなさいレオナルド‼︎」
だがレオナルドライカンはグリゴリのショットガンを物ともせず立ち上がるとグリゴリに襲い掛かろうとするが、其処に先程救われたルイザがショットガンを構え参戦。
2人掛かりでレオナルドライカンを命を賭して止める気でいた。
「イーサン、イヴ、エレナを連れて早く逃げなさい‼︎」
「それとイーサン此れを、もうワシには必要無い‼︎
君達に救われた老い先短い命、此処で使う‼︎」
「で、でも父さんーー」
「クソッ‼︎
行くぞエレナ、アレはもう君のお父さんじゃない‼︎」
ルイザ、グリゴリは命懸けでレオナルドライカンを此処で止めるつもりでキッチンへ続く廊下前に陣取り、更にグリゴリはイーサンに自身のハンドガンを弾毎渡し、エレナも逃がそうとしていた。
そのエレナは父がライカンになった現実を受け入れられずそれに手を伸ばそうとしたが、銃を受け取ったイーサンはエレナを連れ奥へと引っ込む。
「イヴ、貴女も早く行きなさい‼︎
私達は彼を足止めする、その代わり貴女達は生きる事を諦めないで‼︎」
「お前さん達はイーサンの娘さん達を救い出すのが任務だろ、ならば早く行くんだ‼︎」
「………っ、ごめんなさい‼︎」
そしてデュランダルを構え未だ残っていたイヴをルイザ、グリゴリがイーサン達が逃げた廊下に逃げ込ませ、更にグリゴリが優先順位の上位であるローズ奪還等を口にし、それを達成させるべく銃撃を開始してイヴを行かせようとした。
それをイヴは彼らの意志はもう曲がらないと判断し、3年半前に芽生えた良心が痛みながら彼女達に謝り、イーサン達の後を追って行った。
一方その頃外を見張っていた葵達は背後から銃声と焦げ臭い臭いがして来た事を察知し、急いで門を開けていた。
すると炎がルイザの屋敷を焼いており、中で何かがあったのだと2人は直感し、そして2人はライカンの正体をクリス達から聞いていた為中で誰かがライカン化したのだと悟る。
「こ、此れは…」
「くっ、何で見通しが甘いのよ私‼︎」
「あ、葵待って‼︎」
ルイザの屋敷が燃え、呆然と立ち尽くすユリアンを他所に葵は超人能力で2階、そして空いている屋根裏部屋の窓までジャンプして行き、葵の焦燥感を目の当たりにしたマキもワイヤーロープ射出機で屋根裏部屋まで上がり、葵の後を追った。
すると其処には屋根裏部屋にまで登って来ていたイーサン、イヴ、エレナが居た。
「3人共無事ですか⁉︎」
「アオイ、マキ‼︎
ああ、車で壁をブチ抜いて此処まで来たんだが……エレナの父さんが……それを止める為にグリゴリの爺さんとルイザが…‼︎」
「……」
葵達はイーサン達3人の無事を確認したが、レオナルドがライカン化した事やルイザとグリゴリが彼を止めるべく残ってしまった事を口にし、マキは絶句し葵は全員で入らなかった事を後悔し始めていた。
「……エレナ、生きる事を諦めるんじゃ無い!
娘は、ローズはきっとあの城に居る‼︎
それに妻のミアもこの村の何処かに…‼︎
けど2人を探す前に君を必ず避難させる‼︎」
「駄目よ、あの城に行けば貴方達の命が無いわ!!
それに私1人なんて………父さん?」
イーサンは先程から憔悴したエレナにイヴが口にした生きる事を諦めるなと言う言葉を口にし、彼女に生きる活力を生ませようとし、更にローズを探す前に避難させるとも言う。
が、エレナはドミトレスク城の『噂』を知ってる為逆にイーサン達を案じ、更に1人生き残った所で……そう口にしようとした瞬間、レオナルドライカンがゆっくりと屋根裏部屋前まで上がって来る。
「っ、2人共下がって‼︎」
「ダメ、イヴ撃たないで‼︎」
『エレナァ……』
イヴはレオナルドライカンを確認した瞬間デュランダルを構え処断しようとしたが、エレナが射線に入った為撃てずにいた。
更に追い打ちを掛ける様にレオナルドライカンは僅かに理性が残ってるのか、それともオウム返しなのかエレナの名を呼んでしまう。
「私を呼んでる!
父さん‼︎」
「止めろ危ない‼︎」
『ガシャァッ‼︎』
エレナはその言葉に反応してしまい、今にも崩れそうな屋根裏とレオナルドライカンのいる足場を繋ぐ木の板を勢い良く駆けてしまい、その板が崩れエレナは自制しているのか娘を襲おうとしない化物と化した父親と共に足場に取り残されてしまう。
「じっとしてろ!
ほら、手を伸ばせ‼︎」
「エレナさん、お願いです、生きる事を今放棄しないで下さい‼︎」
「…エレナ‼︎」
「ほら早く、手を‼︎」
その崩れ掛けた足場の上にイーサン、葵、イヴ、マキは回り込みそれぞれ手を伸ばしエレナに生きる様に説得を試みた。
しかし、此処でエレナが取ってしまった選択はと言えば……。
「イーサン、皆行って!
イーサンの家族を救って‼︎」
「エレナ諦めるな‼︎
さあこっちだ、早く手を‼︎」
エレナは手を取らず父だったモノと運命を共にする選択を取ってしまった。
その選択が示すかの如くレオナルドライカンはエレナより先に落ちエレナはイーサン達を見つめたままになってしまう。
イーサン達はなおも諦めず手を伸ばし続けて彼女を救おうとした。
葵もサイコキネシスを使おうと決めてエレナを浮かしていた。
『カァー、カァー‼︎』
「っ、何このカラス⁉︎」
「きゃぁぁぁぁ‼︎」
「ああエレナ、畜生‼︎」
すると葵の集中を乱すかの如くカラスがイーサン達に纏わり付き、その瞬間エレナは炎の中へと落ちて行きその手を誰も取る事が出来なかった。
そしてマキがカラスを怒りのままカスタムショットガンでスイングして屋根裏部屋の窓の外に出すが、後に残ったのは誰も救えなかったと言う悲しみだけだった。
「如何して……皆死んじまうんだ…‼
エレナ……こんなの酷過ぎる……︎」
「そんな、私、サイコキネシスを使って……あ、あぁ……‼︎」
「くっ、あのカラスさえ邪魔しなきゃエレナさんは必ず助かった筈なのに……‼︎」
「(……あのカラスからも……まさかあのカラスは…‼︎)」
イーサン達はそれぞれ絶望し、特に葵はサイコキネシスを使ったにも関わらずエレナを救えなかった事に絶望し、マキもカラスの邪魔さえなければ助かってたと口にしていた。
だがこの中でイヴはあのカラスにも『老婆と同じ異常な特異菌反応』があった事に気付いており、しかし今敵に回せば命は無い為言い出せずにいた。
「何で…こんな……それに、アオイ達、ライカンの正体が村人だったって知ってたんじゃ無いか…?
なら何で……‼︎」
「……教えられると、思いますか?
貴方の隣人は何時か化物になる、化物の正体は元村人ですよ、なんて……こんな、残酷な真実、言えると思いますかっ…⁉︎」
イーサンはフラフラしながら屋根裏部屋の窓まで歩き、葵達3人にライカンの正体を最初から知っていたかと問い詰める。
すると葵が泣きながらイーサンに反論を始め、教えられる理由が一切無かった事を口にし逆にイーサンを問い詰めてしまう。
それを見たマキは間に入り2人を引き離すと窓の外から2階、そして地面に降り立ちマキから口を開いた。
「…こんな事になったのも、エレナさん達があんな風に死んだのも、全部ミランダの奴が悪いのよ…葵達は誰も悪くない、悪いのはマザー・ミランダとか言うクソ女が…‼︎」
「畜生、エレナ、爺さん、ルイザ……マザー・ミランダ、見つけたら必ずぶっ殺してやる…‼︎」
「…私も、久々にガチギレしましたよ……ミランダも、その配下も絶対に許さない…‼︎」
「……」
マキは全ては特異菌を操るミランダが悪いと説き、それに対してイーサン、葵、イヴ達もまた同意見となりミランダに対する正義感から来る正しき怒りを胸に秘め、拳に力が入っていた。
そしてイヴはルイザの家の中で手にしたドライバーを使い、片割れの『悪魔のクレスト』が保管されてる小屋のロックを外しクレストを手にした。
『ズダァン、ズダァン‼︎』
「や、止めて、ミランダ様…‼︎」
「っ、今の、ユリアンさん‼︎」
するとショットガンの銃声が2発と声が響くと葵はユリアンの物だと悟り、門を飛び越えて目の前の光景を見る。
すると其処には確かに居た、ローズを攫い、今もユリアンを目の前で殺害した自身達が倒すべき敵、マザー・ミランダが。
「ミランダァァァァァァァァ‼︎」
『ズガァァァァァァァァァッ‼︎』
葵は本気でキレていた為、クリスからのミランダを合流前までは敵に回すなと言う指示を無視してサイコキネシスを使用、ミランダを吹き飛ばした上で身体を何度も地面に叩き付けたり骨や身体をバラバラに捻ったり等をして怒りのままに力を奮っていた。
「アイツがミランダか、このクソ女が‼︎」
『ズダダダダダダダッ、ズドンッズドンッズドンッズドンッ‼︎』
「ちょっと葵、イーサン、未だ奴を敵に回したら駄目だって、気持ちは痛い程分かるけど今は耐えて‼︎」
そして門を開けたイーサンはグリゴリから託されたハンドガンとデュランダルの2丁持ちで銃撃を開始、葵と共にミランダを攻撃するが未だ比較的冷静だったマキ、更にイヴが2人を止めに入り2人を落ち着かせる。
そして畑に倒れ伏したミランダは……捻れた身体をミシミシと元に戻しながらイーサンや葵達を見据えた。
「成る程、確かに厄介な『敵』だな、アオイ・コトノハ…ふっふはははは…!」
ミランダは葵の事を明確な敵視をし、更に厄介と呼称した後畑の中を進み、そして葵の透視から逃れる様に無数のカラスに擬態してバラバラに飛び去っていってしまう。
「クソ、今のが…‼︎」
「…はい、マザー・ミランダ、私達が殺すべき……敵です……‼︎」
イーサンは初めて葵達の口から出て来たローズを攫った敵、ミランダが今の黒装束の女かと問うと、葵はカラコンの下にあるウィルス完全適応者の証たる瞳がそれを貫通して輝きを増し、そしてその口から憎悪も滲ませた地の底から響く様な声でイーサンに殺すべき敵だと言い放ち、そして4人は無駄だと分かりつつもミランダの後を追う。
すると小教会前で老婆に遭遇し、全員無言で近付いた。
「皆死んだ。
そうとも、皆に死が訪れたのじゃ…。
ふんははははは、あぁーはっはっはっはっはっはっ‼︎」
「…クソ、イカれババアが…‼︎」
「(…貴女の演技、いつか暴いてやるよ…‼︎)」
そしてイーサンは先程の事を思い出して老婆に遂に悪態を吐き、葵達と共に無視して先を進み始めた。
しかし、イヴと葵だけは特異菌の反応や先程の突然の消失から老婆の正体を既に悟っており、その怒りを胸に秘めながら老婆の『演技』を暴く算段を頭の中で立てて行くのだった。
「よし、門が開いた。
ふん、『行けば命が無い』か…」
そのすぐ後にドミトレスク城への門をクレストのギミックを解いて開き、イーサンが先に進もうとする。
しかし、葵は途中で透視で気付いた事があり立ち止まる。
「葵、如何したのさ?」
「居る、この先にミランダと配下の『四貴族』全員が」
「何、さっきのクソ女に加えて配下が居るのか?
なら好都合だ、一網打尽にしてローズを奪い返してやる‼︎」
マキの問いかけに葵はミランダと、その直属の配下たる『四貴族』が全員集合している事を見てしまいジッと覗いていた。
対するイーサンは一網打尽のチャンスだと捉えて先に乗り込もうとした。
が、イヴがイーサンの服を掴みそれを止める。
「…駄目、さっきの見てなかったの?
アオイの本気のサイコキネシスを受けてもケロッとしていた相手なんだよ?
下手に挑めば返り討ち。
だから、此処は二手に分かれよう?
ミランダ達を避けつつ真正面から城内部へ行く組、正面から行った人達がもし捕まったら救出する組。
それからミランダに攻撃を仕掛けない、これ絶対条件だよ」
イヴは慎重に行く提案をし、正面から敢えて行く組とそちらが捕まった際の救出組に分かれる事、更に絶対条件としてミランダには手を出さない事を口にしていた。
その提案は理に叶っており、戦力分散は危険だが全滅するよりもマシな手法でもある事でもあると葵達は思っていた。
「なら俺は真正面から行ってやる!
ミランダに手を出せないのが口惜しいが…奴らを避けてローズを探せば良いんだ、ならば俺はそっちに行く」
「…はぁ、私も真正面。
イーサンだけじゃ危なっかしいし、さっきの私は頭に血が上り過ぎてた。
だから今度は大丈夫だよ、皆」
すると案の定イーサンは真正面組を選び、デュランダルやグリゴリの形見のハンドガンを構えながらもミランダに手は出さない様にすると約束をしていた。
それに反応して葵もイーサンに同行すると口にし、頭が冷えたお陰で冷静な判断を下せる為マキも此れなら大丈夫と思っていた。
「なら私達が救出組だね。
20分経過して通信機から通信がない様なら突入するから」
「うん……今まで通信傍受も考えて使わなかったけど、四の五の言ってられないね」
そうして自動で救出組に決まったマキ達は全員通信機をONにして通信傍受の可能性があり使わなかったが、もう侵入がバレてる為なら引っ掻き回すと葵は思いながら通信機をONにする。
「じゃあ20分間隠れて待ってて下さいね。
私達も潜入頑張りますから」
「あいよ〜」
「じゃあ行くぞアオイ」
そして葵、イーサンは城に向かって走り始め、その後ろ姿をマキ達は見送りつつライカンとの無用な戦闘を避けるべく隠れる場所を探し始めるのであった。
……そんなマキ達の近くに、馬車が近付いている事に2人は気付き、何なのかと思い警戒心を強めその馬車の正体を見るのだった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
葵達は別に都合の良い神様でも救世主じゃないです、だからこそ救えぬ命もあります…それが如何なる『形』でも。
差異は祈りに生存したグリゴリにアントンも加わる、村人の微妙な死因、イーサンの本来のハンドガンが此処で手に入り連射に優れたグリゴリの形見、更に単発威力に優れたデュランダルの2丁拳銃となり制圧力が上がりました。
更にマザー・ミランダとの邂逅も葵のサイコキネシスとイーサンの2丁拳銃を浴びる物になりました。
しかしミランダには現時点で何方も通用しないと言う事実も…。
因みにルイザ、グリゴリはレオナルドを止める過程で火の瓦礫の下敷きになり死亡してます。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。