BIOHAZARD【V+α】   作:”蒼龍”

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皆様おはようございます、第5話目更新です。
VILLAGEシナリオはまったり速度で更新して行きましょう。
さて、今回はお姉さんやらおじさんやら怪人くんやら人形ちゃんが初登場する回となります。
では、本編へどうぞ。


EP V『『ショー』とデュークと蟲人間』

マキ達に見送られ、イーサンと葵はドミトレスク城の城壁内へと入り込み始める。

その際に葵は溜め息を吐き過去の記憶を呼び起こされる。

 

「おい如何したんだアオイ、怖気付いたのか?」

 

「いえ、城潜入ってのがイヴを利用して悪さをしようとした没落貴族達との戦いの時と同じ様だなって感じたんです」

 

「…そう、なのか。

だが今のイヴがあんな感じならかなりの武勇伝があるんだろうな」

 

イーサンは葵から過去に似たシチュエーション、しかもイヴを利用して悪事を働こうとした者達が居たと話す。

イーサンも矢張りイヴもエヴリンの様な時代があったがあの様子から葵達がかなり暴れた上に『人間らしさ』を教えられたのだと思っていた。

 

「今度聞かせてあげたいですよ、イヴのお母さんの本当の愛と、私達の没落貴族達を千切っては投げた話を」

 

葵は笑みを浮かべながら当時の話を聞かせたいと話し、そして城壁から城へと繋がる門のレバー前まで辿り着きイーサンがそれを引き上げようとする。

 

「これはこれは…」

 

『っ‼︎』

 

「未だ生き残りが居たとは。

タフな奴等も居たもんだ」

 

その瞬間、イーサン達が步いて来た方向から巨大な鉄槌を持つソフトハットと丸サングラスを着用する髭が生えた男が現れる。

その周りは葵のサイコキネシスの様に物が浮き、そして漂っている異能者だと一目で分かる人物だった。

葵は資料で見た事がある、この男こそがミランダの配下、四貴族の1人『カール・ハイゼンベルク』である。

 

「貴方は、ミランダの配下の1人、ハイゼンベルクね!」

 

「何、コイツがあのイカれ女の腰巾着か!」

 

「……ほう、他所者か。

面白え」

 

するとハイゼンベルクは自身を知りつつ、更にミランダに忠誠心の欠片も無いイーサンと葵を一目で他所者と見抜き、一言言うと腕で2人に周りの物をぶつける素振りを見せる。

 

「させない‼︎」

 

すると葵は真っ先にイーサンを狙った鉄の棒をサイコキネシスで止め、弾き返すと「ほう」とハイゼンベルクは感心し、更に中に浮いた物を勢い良くイーサン達に叩き付けようとするが、その悉くを受け止めては弾き返すを繰り返していた。

イーサンは目の前で起きている異能者バトルに驚きながらも、葵が味方なのが心強いと思っていた。

 

「ハッハァー‼︎

サイッコーだぜお前‼︎

まるで俺みたいな事が出来る他所者の女、そうかお前がミランダの奴がビビってたアオイ・コトノハか‼︎」

 

「五月蝿い‼︎」

 

「っ、うお⁉︎」

 

するとハイゼンベルクは葵の事に注目し始め、ミランダすらも恐れていたと話していた所で葵はハイゼンベルクの声を雑音扱いし、周りの樽や箱をぶつけた瞬間最高威力のサイコキネシスをハイゼンベルクに叩き付け、壁にめり込ませながら押し潰そうとしていた。

 

「アンタの能力のタネは分かった、私みたいなサイコキネシス使いかと思ったけど操れるのは鉄だけ‼︎

つまりアンタは磁力人間ってだけよ‼︎

本物の化物の力、此処で見せてやるわよ‼︎」

 

「ぐ、がぁ‼︎

な、成る程、こりゃミランダの奴がビビり散らかす訳だ‼︎

だがな…後ろが、お留守だぜ‼︎」

 

『グサッ‼︎』

 

葵はハイゼンベルクとの対決で周りの木箱を操らない、鉄しか操らない事から磁力を操ると見抜き、そのまま絶対的な優位を作り上げる。

しかしハイゼンベルクはそれでもなお余裕を見せ、ミランダが恐れた事を再三告げた直前後ろが留守だとしながら何かが深々と刺さる音がした…イーサンの方から。

 

「ぐあっ‼︎」

 

「っ、イーサン‼︎」

 

「おっと、余所見厳禁だぜ嬢ちゃん⁉︎」

 

「しまっ……ッッ‼︎」

 

イーサンの背後から鉄棒が背中から腹を突き破りながら刺さり、葵がそれに気を取られた隙を突き、一瞬サイコキネシスが緩んだ所で葵、イーサン両名に向かって鉄屑を無数に飛ばし、上半身を鉄で覆い被せて倒れ伏せさせてられてしまう。

 

「くっ、私じゃなくイーサンを…‼︎」

 

「嬢ちゃんの能力はミランダから聞いてる、だから肉体の耐久力も含めてイーサン・ウィンターズを狙った方が勝てると踏んだだけさ。

さて、ミランダが見たら喜びそうだ…はははは、ははははは」

 

そして葵の怒りの声にハイゼンベルクは自身が葵と対面で勝つにはイーサンの方から狙った方が見込みがあったと話しつつ、更に鉄屑を葵達にぶつけイーサンの方は気絶し、葵は未だ気絶せずにいたがイーサンの事を考えると再び動けなくなってしまう。

 

「(……絶対後で後悔させてやる…‼︎)」

 

そしてこの時葵の中で決めた事が1つあった。

ミランダ共々、イーサンの背後を狙ったこの男に地獄を見せてやろうと。

そんな怒りを秘めながら葵はイーサン共々引き摺られて行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「他の者では力不足でしょう。

私の娘達なら存分に愉しませる事が出来ます。

それに我がドミトレスク家にお任せ頂ければ、貴女様に最高の血をご用意する事をお約束致しますわ」

 

「其処退いてよブサイク!

アタシが見えないでしょう‼︎」

 

そうして葵はイーサンが完全に起きるまでは目の前に居るミランダやハイゼンベルクとその他の四貴族の話を完全に無視し続ける事にしていた。

 

「うう…うぉ⁉︎」

 

「あ、起きましたねイーサン。

ごめんなさい捕まっちゃいました」

 

するとイーサンが目を覚まし、目覚めの1番に捕まった事を謝罪し、話を続ける白ドレスの巨女『オルチーナ・ドミトレスク』や近寄っていた息が臭くブサイクな『サルヴァトーレ・モロー』、黒服を着て顔を隠す『ドナ・ベネヴィエント』が操るビスクドールの『アンジー』を無視を決め込んでいた。

 

「待て……つまり……」

 

「ねえ起きたよおー!」

 

「テメエら五月蝿えぞ‼︎」

 

するとハイゼンベルクが話をしようとした所でアンジーが元から目を覚ましていた葵では無く漸くイーサンが目を覚ました事を叫ぶとハイゼンベルクがモロー共々五月蝿いと叫んでいた。

近寄って来た息の臭いモローやイーサンが起きるまで気を引こうとあの手この手を使ってたアンジーを鬱陶しく思ってた葵は此れにだけは同意していた。

 

「何だ…此処は…アイツらの中の1人はさっきの…」

 

「此処は城壁内部の更に奥ですね。

で、ミランダに四貴族全員大集合で両手が塞がってる、余り手向かわない方が身の為っぽいですね……」

 

イーサンは意識を取り戻してから状況確認をしようとすると、葵が場所に加えてミランダと直下の配下、四貴族に囲まれ両手が使えない事を話しながら2人で成り行きを見るしか無かった……葵1人なら打開策はあれどイーサンが居る為それを実行出来ないのもあった。

 

「コイツ等を独り占めにして何が面白いってんだ?

この俺なら、全員が楽しめるショー見せてやれる」

 

「ふん、何て下らない。

安っぽいサーカスなんて誰が見るの?

この者達が苦しむ様は私が保証しますわ」

 

「どうせ誰も居ねえ城でコイツのナニを切り落として、そっちの嬢ちゃんの血を一滴残らず啜ろうってんだろ?」

 

如何やらハイゼンベルクはドミトレスクの言い分に不服があり、我こそはと名乗りを上げるがドミトレスクはそれを安っぽいサーカスと見下し、対するハイゼンベルクもイーサンと葵に対する処遇を口にして中には下品な表現や、葵は自身の血を啜られると聞きならばT-Genesisの強い毒性で殺してやると逆に考えていた。

 

「互いの言い分は分かった。

片や一方は理屈に及ばぬ様だ。

だが、我が意は決したぞ。

ハイゼンベルク、この者共、お前に委ねよう」

 

すると此処でミランダが口を開き、自身の決定を口にした。

その結果、ハイゼンベルクかイーサンと葵の処理をする事が決まる。

 

「マザー・ミランダ!

如何言う事ですか⁉︎

ハイゼンベルクは幼稚な上、貴女への忠義も疑わしいと言うのに!」

 

その結果に不服があった為かドミトレスクは立ち上がり、そのタイラント級の巨体をマジマジと葵達に見せつけ、長パイプを右手の指で添えながらイーサン、葵を見つめていた。

 

「私めにお任せ下されば、滞り無くこの者達を…」

 

「ガタガタ言ってねぇで、自分が負け犬だと認めちまえよ!

餌が欲しけりゃこの嬢ちゃんの分かれた仲間を当たりな!」

 

「その口をお閉じ坊や‼︎

今は大人が話してるの!」

 

「坊やだぁ?

テメエこそミランダ様に楯突く気か?」

 

するとハイゼンベルクがその異論に負け犬と評しイーサン、葵をそっちのけで口論が始まる。

此れには葵もまた一枚岩じゃ無い敵、但しボスが圧倒的な力で操っているタイプの相手だと思い始めていた。

 

「お前は責任と言う物を全く理解していない様ね‼︎」

 

「図体がデカくなるとエゴまでデカくなっちまうみてぇだな!」

 

「ケンカ!

ケンカ!

やっちゃえ!

やっちゃえ!」

 

「おい、俺達の事は無視かよ!」

 

その口論は白熱するとハイゼンベルクとドミトレスクは互いを罵り合い、モローが笑いアンジーが喧嘩を煽る叫び声を上げ、此れにはイーサンも堪らず悪態を吐き葵はミランダが居る所為で自滅は期待出来ない為黙っていた。

 

「静まれ!

我が命は絶対だ、異議など認めぬ。

身の程を弁えるが良い!」

 

「如何も『お母様』」

 

するとミランダが4対の黒き羽を広げその場を静め、更に異議は認めないとしてドミトレスクの言論を一蹴する。

それに対してハイゼンベルクは何処か皮肉混じりな声色でミランダを『お母様』と呼びつつ自身の『ショー』が開ける事を喜んでいた。

そして良く見れば周りにライカンが集まり出し、いよいよその『ショー』が始まる事を予感させる。

 

「では親愛なる…獣の諸君。

長らく待たせたな、いよいよゲームの始まりだ!

……そんじゃ期待してるぜイーサン・ウィンターズ、アオイ・コトノハ。

準備はいいか?

うるぁ‼︎」

 

「おい、よせ…‼︎」

 

『ドスンッ‼︎』

 

そしてハイゼンベルクはドミトレスク達やライカンに大振りな演技を見せた後イーサン、葵に期待していると話しながら鉄槌をイーサンに向かって振り下ろし、上手く足の間にそれが降ろされた為彼は無傷で居た。

 

「またイーサンを…‼︎」

 

「だって嬢ちゃんじゃ耐久力の所為で当ててもつまらないだろう?

じゃあ10…9…8…」

 

「クソ、イカレ野朗共と化物が‼︎」

 

葵は再びイーサンを狙ったハイゼンベルクに怒りを向けるが、対するハイゼンベルクは葵のT-Genesis完全適応者の耐久性を考えて葵にこれを当ててもショーは楽しくならないと話し、そしてカウントダウンを開始しイーサンは更なる悪態を吐く。

 

「イーサン、彼処に穴があるから飛び降りましょう‼︎」

 

「畜生が、それしか無いか‼︎」

 

「3…2…1…ショータイム‼︎」

 

葵はライカンに囲まれる中で穴を見つけ、更に透視で逃げる経路を把握してイーサンに飛び込む様に促し、彼もそれしか無いとして走り出し、そして2人で飛び込んだ。

その瞬間カウントダウンが終わりハイゼンベルクの『ゲーム』が始まる。

 

「ああ、クソッタレが‼︎」

 

「あのイケオジ風男、覚えてなさいよ‼︎」

 

『良いぞ、そうだ走れ!』

 

イーサンと葵はライカンに囲まれ、追い掛けられながら狭い通路を走り、ハイゼンベルクの悪趣味な声援を背にしながら前にライカンが現れた為横穴に方向転換、木のバリケードを破壊して更に狭い一本道の、落ちたら真っ逆様な天然石橋に降り立つ。

 

『その調子だイーサン、アオイ!

はははは!』

 

「おいアオイ、お前の怪力やサイコキネシスは如何したんだよ⁉︎」

 

「未だです、未だ使うタイミングと言う物が…イーサン前‼︎」

 

ハイゼンベルクの声援は続き、イーサンは葵のT-Genesisより得ているパワーを何故使わないのかを疑問に思い叫ぶが、葵は『タイミング』を図っている…すると前方の穴からウリアシュが再び現れ、イーサン達の前に立ちはだかる。

 

「お、おい此れでも未だパワーを使わないのか⁉︎」

 

「仕方無い、飛び蹴り1発‼︎」

 

『ドガァッ‼︎』

 

イーサンも痺れを切らし始め、未だ葵に動く気はないかと叫ぶと葵はウリアシュの顔面に飛び蹴りを1撃喰らわせ退け反らせた。

 

『グゥオォォォォォォォォォ‼︎』

 

しかしそのパワーある抵抗がウリアシュを怒らせたのか、その戦鎚を振り下ろして橋を崩してしまいイーサン達は其処から真っ逆様に落ちてしまう。

 

「うわぁぁっあ、あぁぁぁぁぁ、ぐぅ‼︎」

 

『未だ生きてるのか、やるじゃねえか』

 

「針天井…ああもう見飽きたトラップだよもう‼︎」

 

ウリアシュに落とされた際に縦穴に入った2人は未だ周りをライカンに檻越しに囲まれ、更に針が付いた天井が自身らに迫り来る、ダールトン城でも似た様な物を画面共有で見たトラップを葵自身が体験し見飽きたと呼称していた。

 

「ああ畜生……アオイこっちだ‼︎」

 

「正解良く分かりましたねイーサン‼︎」

 

『はは、全くよぉ…噂通りのしぶとさだな』

 

イーサンはしゃがみながら木材の先の吹き抜けを発見し、それを破壊して奥に進むと葵は正解が分かっていた為イーサンを純粋に誉めていた。

するとハイゼンベルクは噂通りのしぶとさと話し、2人の素性を知ってる体で話していた。

そして針天井トラップを吹き抜けから退避して降りると、目の前に針山ローラーが現れ回転し始めた。

 

『おい、まさな俺がお前達逃すと思ったか?

ドナとモローが退屈しちまってるからな。

そんじゃ派手に内臓をブチ撒けて、盛大なフィナーレの幕開けと行こうじゃないか‼︎』

 

「ああ、くそ…アオイ、彼処に穴が」

 

「いえ……その必要は無いですよ!

ふん‼︎」

 

そしてハイゼンベルクがそのトラップを以てフィナーレとすると宣言した瞬間、イーサンは周りを見渡し壁に小さな穴が空いている事を確認し葵と共に其処へ隠れようと言い掛けるが、葵は此処が『図っていた場所』だと理解し、その怪力で手枷を破壊して針山ローラーの前に鎮座した瞬間、サイコキネシスを遂に使用してローラーを止める。

 

『あ、おい‼︎』

 

「日本産とアメリカ産のミンチが出来上がるって思った?

残念、出来上がったのはこの国特産の鉄屑だよハイゼンベルク‼︎」

 

『グシャ、グシャ、グシャリッ‼︎』

 

ハイゼンベルクが抗議の声を上げようとした瞬間、葵はローラーにサイコキネシスを叩き付けてそれを潰して行き、最後には無害な丸い鉄のボールにした後元ローラーを蹴り上げ、壁にめり込ませた。

そして手刀でイーサンの手枷を割った後、ニヤリと笑っていた。

 

『おいおいおい、あんまり興醒めさせる様な事は』

 

「私達のモットーは敵の『ゲーム』を台無しにする事よ。

それを知らずに『ゲーム』を仕掛けたのはそっちの落ち度だよ。

それと…監視カメラで私を見てるならご注意」

 

『何ぃ?

……うっ、ごえっ⁉︎』

 

『プツン』

 

ハイゼンベルクは今の葵の行動に完全に趣旨が違う旨を話そうとした瞬間、葵達CLOWN事件やダールトン事件解決組は『ゲーム』破壊をモットーにし、テロリスト達のそれ等を悉く壊して来ていた。

それを話した後葵は監視カメラ越しにサイコキネシスをハイゼンベルクに放ち、彼の脳をシェイクして放送を無理矢理切らせた。

 

「今のは?」

 

「監視カメラ越しにハイゼンベルクの脳にサイコキネシスを当てました。

私出来るんですよね、透視とか監視カメラ越しでも相手を指定したサイコキネシスを放つ事が。

そしてこの手の『ゲーム』は最高潮でそれを壊してやる、それが私のやり方なんですよ。

迷路系なら透視で始めからコンセプト破壊しますが」

 

イーサンと葵は奥に進みながら、先程の葵の行動を問うとハイゼンベルクに監視カメラ越しにサイコキネシスを当てたと言い、更には迷路では無い、この手の『ゲーム』ならば最後の最後にコンセプト破壊してやると言い放ち、イーサンはルーカスの様な相手と葵は何度も戦っていた事を悟りつつハイゼンベルクに最後にザマァ見ろと思っていた。

 

「さて、先程捕まった場所に着きましたよ。

イーサン、レバーを」

 

「ああ……アオイ達が味方だと心強いな。

エレナ達の事は……本当に気の毒で未だ引き摺っちまうんだが……ローズの為に力を貸してくれてありがとう」

 

「例ならローズちゃんを助けた後に。

それよりも、私はミアさんの生存を未だイーサンみたいに諦めてませんから。

…絶対に見つけ出して救いましょう、2人を」

 

そうしてハイゼンベルクに最初に捕まった場所に辿り着き、イーサンはレバーを引くと葵、マキ、イヴが味方なのが心強いと漸く認め、力を貸す事に礼を述べると葵は未だ早いと返し、更にミアの事を諦めていないとまで言いイーサンに完全協力する姿勢を見せる。

始まりはミランダの存在から生まれた誤解だったが、葵達が共に行動を取る事で此処で漸くイーサン達の間の関係性が氷解する。

 

「よし外だな…雪が降って来たしマキ達は大丈夫だろうか?」

 

「……アレから20分以上経過。

もう救出に動き始めていても可笑しく無いですね。

通信を入れます。

此方オメガ16、デルタ2にオメガ18……待って、近くで私の通信機越しの声が聞こえました」

 

城壁から外に出て葡萄畑に来たイーサンと葵はマキ達は無事かを確認すべく通信を送るが、その通信音声を葵の耳が割と近くで聞こえた事をイーサンに話し、彼も何事かと思い道なりに進み始めた。

すると其処には馬車があり、中から馬車の前扉を埋める程巨漢の男が現れた。

 

「お待ちしておりましたよウィンターズ様、コトノハ様」

 

「何故名前を…?」

 

「貴方、何者ですか?」

 

その男がイーサンと葵のファミリーネームを口にし、初対面なのに何故名を知ってるのか警戒心を露わにする。

すると馬車の横扉が開き、中からマキ、イヴが出て来る。

 

「えっ、マキさんにイヴ⁉︎

如何してこの馬車に…」

 

「いやぁ、葵達と分かれた後にこの人が馬車で来てそれで…」

 

「…『救出に向かわずともウィンターズ様達なら必ずやミランダ達の下から去る事が出来ます。

その際に貴女方が捕まってしまっては本末転倒です。

どうぞ馬車にお入り下さいませ、ツルマキ様、アーク様』って言って馬車に乗せて貰って此処まで…」

 

するとマキ達は分かれてから直ぐにこの男に出会い、其処で説得を受け馬車に乗せて貰い、ドミトレスク城前まで連れて来て貰った事を明かし、葵やイーサンは益々この男の目的が分からず困惑し、男の方を見た。

 

「この村では貴方達はもう有名人ですからねぇ。

何でもウィンターズ様のご家族をお探しと、ミランダの打倒を目標にしてるだとか…。

確かに此方の城は怪しい雰囲気ですな」

 

「ああ、お前もな」

 

男は村人が消え去ったこの村で既にイーサンや葵達が有名人だと話し、更に目的をイーサンの方のみならず葵達の方までピタリと言い当てて怪しい雰囲気を醸し出し、葵達は怪しい行動を見せれば銃やサイコキネシスを叩き込むと決め、イーサンは悪態を吐いていた。

 

「ほほほほほ、私は商いをしているだけ…」

 

「はぁ、此処で?」

 

「ああ申し遅れを、『デューク』と申します。

如何です?

武器に弾薬、傷薬に…欲しい物は何でも提供しましょう」

 

その男、デュークは商いをしていると話し、全員こんな村やドミトレスク城前でそんな事をしている不自然さに更に不気味さを醸し出すが、不足している武器弾薬、更には傷薬まで提供すると至れり尽くせりなサービス精神を見せていた。

それに対する葵達の答えは互いに見合いながら頷き、葵から切り出す。

 

「分かりました、その商いの腕を見せて貰います。

但し条件としてこのタブレットに写真を撮らせて貰って、CLOUDで仲間に共有して貰いますね」

 

「えぇえぇ勿論。

もし貴女方のご友人方に出会いましたらその時は商いとして商売をさせて頂きますとも!」

 

「…OK、じゃあ写真に撮って隊長達のCLOUDに共有しとくわ」

 

葵は商いの腕を見せて貰う代わりに仲間達、クリスやB.Y.達に写真を共有させると言うある意味では指名手配の様な措置を取るが、デュークはそれを快く快諾し、マキが写真を取りCLOUDにその写真に『Duke』とメモして共有化し、そうして彼の商品を見始めた。

 

「『何、買うんで?』…んん、昔の友人の口癖でしてね」

 

「あーはいはい……って、サジタリウスやデュランダルのマガジンに、私らのショットガンの弾薬から弾薬の設計図、イヴのグレネードランチャーの各種弾にアタッシュケースに私らの回復アンプルにイヴやイーサンの回復薬まで…⁉︎」

 

「…本当に何でも揃ってる、貴方何者?」

 

デュークは昔の友人の口癖を披露しながら武器弾薬を見始めると、何と武器を収めるアタッシュケースから弾薬の設計図、更に本来出回っていないサジタリウスやデュランダルのマガジンや弾薬等があり本当に何者なのか疑問に思い始めた葵達。

 

「(サジタリウスにデュランダル、それにこのマガジン……私の『ペンドラゴン』まで予備弾薬を用意してるなんて…本当か何者なんだろう、この人)」

 

更に葵はサジタリウス等のA.B.F.の銃のマガジンのみならず、自身が改造したデザートイーグルを基銃とした、茜のアルビオンと同じく彼女達やヨナにしか扱えぬ様にカスタマイズしたマグナム銃『ペンドラゴン』のマガジンまで存在する事に驚きを隠せずにいた。

だが、此処で少し問題が発生する。

この村の通貨『Lei』が無かった為購入不可なのだ。

 

「やば、この村の通貨だからドルも円もポンドもルーブルも使えないじゃん。

如何したら…」

 

「おやおやお金にお困りの様ですね。

なら今後はライカン達の落とす結晶等をや宝物を集め換金すると良いでしょう。

更に、今回は特別サービスでこの村の通貨に皆様のお金を換金致しましょう!

村を出る際にはお金は全額お返し致しますので、如何でしょうか?」

 

「…それマジ?

破格過ぎるわ…」

 

葵達は村の通貨、ルーマニアの通貨でもあるLeiを持っていない為買い物が不可能だと話す。

するとデュークは次からはライカン達が落とす結晶、更にこの村の宝物を換金する様にアドバイスを贈ると同時に全員のポケットマネーを村の金に換金し、そして村を出る際に全額返金すると言う破格サービスを行いマキを逆に引かせる。

 

「さあ皆様、如何いたしましょうか?」

 

「…取り敢えずハウンドウルフ隊やデルタチーム、それにA.B.F.の補給路が確保されるまではデュークの商品利用をした方が効率的だと思う。

アオイ、マキは?」

 

「…うん、女は度胸!

持ってるお金を全部換金して、そのお金をイーサンにも渡して買い物をする‼︎

此れで決定‼︎」

 

「即決だなアオイ達…」

 

そうしてイヴの言葉から葵達はポケットマネー全額を換金し、補給路確保までイーサンにも山分けしてデュークの商品を利用する事に決定して葵、マキ、イヴは全額をデュークに渡す。

するとかなりの額のLeiが帰って来た為、それ等をその場でイーサンに山分けして傷薬に回復アンプルに弾薬等の商品購入をするのだった。

 

「今後ともご贔屓に。

ああ、それと銃のカスタマイズをしたい時もご利用下さいませ。

最も、コトノハ様やツルマキ様達の武器は既に特注品、下手なカスタマイズをすればバランスが崩れる芸術品ですので、此方は主にウィンターズ様がご利用なさる事になるかと」

 

「取り敢えず助かったぞデューク、それにアオイ達。

さて、いよいよ向かうとするか…」

 

デュークは葵やイーサン達に今後も利用する様に、更にイーサンが主に利用するであろう銃のカスタマイズの事も話すと取り敢えずイーサンはデューク、そして葵達に礼を述べて城の正面玄関を見やる。

そして、中へと侵入する。

 

「……人の気配が無いな」

 

「正面には…『ベイラ、カサンドラ、ダニエラ』って3人の女性の肖像画、横のドア前には1月5日、レドニクって人が男1、女3を『納品』、1月28日にミランダが奥様、ドミトレスクと会談…つまりこの時点でローズちゃん誘拐を計画してた訳だ。

後2月1日にデュークと商談ってある。

あの人マジで商いをしてるし…」

 

イーサンは人の気配が無いのを確認し、更にマキが周りを探索し正面の肖像画の女性達、更に来客名簿を目に通しミランダは1月28日時点で計画をドミトレスクに伝えていたと予想し、更にデュークは本当に商いをしているだけとしてこの来客名簿の中でも浮いた存在だった。

そして横のドアを開け、甲高い叫び声が聞こえたホールに出ると葵達は周りを調べる。

 

「今の声……地上部にはそれの発生源が無いから地下から響いたのかな?」

 

「そう…、にしても開かないドア多いね」

 

「ああ、それにこっちの扉には『心無き四天使に仮面を与えよ』だとさ……ん⁈」

 

葵は甲高い叫び声は地下から響いたのかと予想を言い、マキ達が周りを調べても開くドアは1ヶ所のみで、後はイーサンの下に集まり、壁に似た扉に書かれた内容をイーサンが音読した……その瞬間イーサンの手の周り、否、ホールの周りに大量の蟲が集まり、更に開かなかった奥の扉が開き、そして蟲が集まると3人の『人』になった。

 

「む、蟲人間…しかも3人も⁉︎」

 

「ローズを探しに来たのかしら、うふふふふふ!」

 

「あははははははは!

獲物が沢山、しかも良い男に処女の臭いが3人‼︎

誰から選ぶか迷っちゃうわぁ!」

 

蟲人間達はイーサンや葵達を値踏みし、誰から狙うかを口々にしイーサン達の周りを回り始める。

そして、その狙いが決まった様で蟲形態になりながらハルパーを獲物の足に振り被る。

その獲物はイーサンだった。

 

『グサッ‼︎』

 

「ぐあぁ‼︎」

 

『イーサン‼︎』

 

「決めたわ、この男をお母様の下に運んで、後は嬲りながら狩り殺すわよ『カサンドラ』、『ダニエラ』」

 

「良い考えね『ベイラ』お姉様!

あははははは‼︎」

 

そして蟲人間、ベイラ、カサンドラ、ダニエラの肖像画に描かれた3名はイーサンを引っ張り始め、奥の部屋に連れ込み始めようとした。

残した葵達は狩り殺すとしながら。

 

「…イーサン待ってて、今助け」

 

「俺の事は良い、先にローズを探してくれぇぇ‼︎」

 

葵、マキ、イヴはイーサンを助けようとしたが、そのイーサンが自分よりもローズの身を案じて3人に探す様に叫びながらベイラ大量に奥へと連れて行かれてしまう。

村に潜入し、作戦開始から1時間以上が経過した現在。

未だ分からぬローズを探し出し、更に恐らく生きてこの村の何処かに居る筈のミアを探し出す為イーサン、葵達は始まりの関門たるドミトレスク城の洗礼をイーサンの身を以て受けるのであった。




イケオジハイゼンさん、まさかのショーが台無しに。
これにはハイゼンさんおこでしたが葵の有無を言わさぬ脳シェイクが炸裂によりその先の言葉キャンセルに。
更にデュークの商い魂により今までスルーした金問題がポケットマネー換金で解消されました。
更にイヴが茜達と比べ火力不足からグレラン所持発覚。
葵も専用マグナム所有。
そしてドミトレスク城潜入からの初洗礼は矢張りイーサンが受けてしまいました。
男相手が久々なのもあります上次回で三姉妹の思惑も少し語ります。
因みに葵はドミトおねえさんの弱点は知らないです。

次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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