今回もベネヴィエント邸編と冒頭に+αがあります。
更に恐怖のアレがどうなるかお楽しみに。
では、本編へどうぞ。
追記:お気に入り登録が40を突破致しました!
閲覧して下さる皆様、本当に本当にありがとうございます‼︎
某国上空、1機の輸送機…A.B.F.のロゴマークがあるそれがA.B.F.本部に向かい全速力で飛んでいた。
中に居るは葵達の部隊、オメガ小隊であり葵の双子の姉である茜や友人のヨナ、ビリーにカルロス達がそれぞれの座席に座っていた。
「おいもっと早く飛ばせへんのか⁉︎
此れじゃあ本部に着く頃には夜になるで‼︎」
「分かってますよ隊長‼︎
でも此れが精一杯なんです‼︎」
「畜生、ミランダ…‼︎
まさかコネクションを通じてウチ等と葵達を分断させる罠を既に張ってたなんて…‼︎」
隊長席で茜は運転手にもっと早く飛ばせないのかと憤り、運転手も此れが全速力と言い放ち茜はコネクション、そしてミランダの罠に嵌った事に自分達は迂闊だったと考え、更に既にきりたんの報告からミランダへの作戦が決行され、それが失敗に終わり葵達がイーサンを伴い村に向かいローズを奪還しようとしてる事等を聞いていた。
「クリスの旦那達が仕留め損なうなんてな…」
「それだけミランダが化物なんだろう。
それに今回のこの偽のバイオテロ事件、裏で糸を引いていたのもミランダだった。
奴は今までに無い想像を遥かに超える存在なんだろうさ」
先ずカルロスが口を開きあのクリスやB.Y.、更に葵にマキ、イヴに加えベータやイプシロン小隊、HW隊にデルタチーム初期メンバーと猛者ばかりを集めた襲撃が失敗に終わり、ミランダの目的を達成させた事に頭を抱え、ビリーはミランダの化物振りと力に振り回されない周到さから今までに無い想像を絶する者だと説いていた。
「エイダ達の言葉を信じるならそうだけれど、実際に通信機から生存者すらコネクションの構成員だと後続のイプシロン、ニュー小隊から報告が引っ切り無しに上がってる。
エイダとセイカ、2人が現地でくれた情報は正しかったと言う事よ」
最後に通信機の先から生存者すらコネクション構成員と後続部隊の報告が次々に上がる事をヨナが口にし、エイダとセイカが現地で茜達にくれた情報…「此れはミランダが仕掛けた罠よ、早く戻らないと全てが手遅れになるわよ?」と言う言葉が事実だと裏付けられている事にまんまと嵌められたが半分、急ぎ戻らねばが半分の気持ちで輸送機に揺られていた。
「くそ、くそ‼︎
葵、マキさん、イヴっち、クリスさん、B.Y.さん達…イーサン・ウィンターズ、ウチ等が辿り着くまで無茶しちゃアカンで…‼︎」
茜は珍しく焦った表情でタブレットを弄り、葵達により共有された様々な情報から現在ローズがバラバラにされ、それを葵達が奪還に動きクリス達はミランダの目的周りや何故ミランダがローズを知ったのか等の調査、B.Y.達とイータ小隊が囮役兼ミア・ウィンターズの捜索を葵達から依頼され遂行中の中で彼女達の身を、未だ見ぬイーサンを含めて案じていた。
「先の作戦の後続は腕は確かなエイダ達だけでは無い、頼れる人達も来たから心配は無い…後はアオイ達を助けに行くだけね…」
そしてヨナが口にした偽バイオテロは後続にA.B.F.の2部隊のみならずエイダ達、更にエイダ達のタレコミでやって来たDSOのレオン、シェリー達に任せ機体は燃料やエンジンが焼き切れる心配も他所に全速力で飛んで行く。
全ては葵達の救出の為に。
その頃イーサン達は物置部屋でオルゴールを鳴らしピンセットを手に入れ、そのピンセットから口のフィルムを取り出し最後に書斎の隠し部屋から鋏を手に入れミアを模した人形の胸の包帯を切り、其処からメダリオンを手にして未だ行っていない工房横の通路先に向かう事になった。
「クソ、さっきから何なんだよこの現象は⁉︎
ミアが俺に隠し事をしてるみたいなラジオ音声や電話、一体何なんだよ‼︎」
「イーサン落ち着いて!
多分と言うか絶対此れドナ・ベネヴィエントが仕掛けて来てる心理戦を含んでる筈!
迂闊に熱くなって乗らないで、奴の思う壺だよ‼︎」
「マキ…ああ、そうだな……所で、葵とイヴは何でさっきから黙っているんだ?」
しかしイーサンはラジオや電話から一方的に流れて来るミアが何か隠し事をしてる様な音声に苛立ち、更にこの現象がずっと続いている為心象穏やかでは無かった。
が、マキのアドバイスで少し冷静さを取り戻し、その後は葵とイヴが何故黙ってるか2人に聞き始める。
「ああ、私はこの現象について考えたんですよ。
私は後少しで推理道具が揃う感じです。
多分イヴも……それでイヴは何か分かった事はあるの?」
「…ある、と言うより確信。
でも抜け出す方法を考えないといけないから未だ教えられない。
ただ言える事は、ヒントは『このベネヴィエント邸に入る前から提示されている』、だよ」
「ベネヴィエント邸に入る前から…」
葵とイヴはそれぞれこの現象について考えていたらしく、葵は後少しでパズルのピースが揃うと話し、イヴは既に答えには行き着いては居るがこの現象から抜け出す方法を考え出さないとならないと言って答えを出し渋っていた。
しかし重要なヒントとしてベネヴィエント邸に入る前からヒントその物が提示されている事を話した。
「…分かった、答えとか全部分かったら教えてくれ。
それで、メダリオンを填めたは良いが此れの開け方は…多分あのミアを模した人形の右腕と左目の模様、だよな?」
「多分ね、だから此れをああしてアレをそうすれば…はいオープン」
それからイーサン、マキは目の前の謎解きに集中し、メダリオンを填めた後に模型人形にあった模様を揃えると古びた石階段が現れ、それを降りて行くとフィルムを揃えて回した映写機に映った井戸も現れ一気に不気味さを増していた。
「全く、ホラー映画じゃあるまいしこんな不気味な井戸が何であるんだか……んじゃ井戸には私とイーサンで降りるから葵とイヴは待機で」
「了解、何かあったら互いに呼び合いましょう」
そうして揺り籠が不気味に揺らぐ部屋内にある井戸にイーサン、マキが侵入して行く。
そして井戸の底には先程のミアの模型人形らしき物がバラバラにされて浮かんでおり、其処から2人は息を呑みながら同じく浮いていた配電盤の鍵を入手する。
「…如何かしてる」
「確かに、悪趣味ってレベルじゃ」
『ガジャァァァァァァァン‼︎
おぎゃぁあ、うあぁぁん、えぇぇん…‼︎』
「何だ、アオイ何かあったのか⁉︎」
イーサン、マキは模型人形がバラバラになり浮いていた事等を踏まえ悪趣味を通り越した悪意を感じながら梯子を上り始める。
すると何かが壊れる音と赤ん坊の泣き声が響き渡りイーサン達は葵とイヴに何かあったのかと思い急いで登ると、其処には壊れた揺り籠をじっと見つめる葵達が居た。
そして赤ん坊の泣き声は未だ響く。
「何だ、何があったんだ2人共?
それにこの赤ん坊の泣き声は…?」
「分かりません、井戸に少し意識を向けてたら突然揺り籠が壊れて、それでこの赤ちゃんの泣き声が…」
「…悪趣味」
イーサンが先に上に上がり、葵達に何があったのかを聞くと如何やら突然揺り籠が壊れた上に赤ん坊の泣き声が響き渡っているらしかった。
謎の答えに辿り着いているイヴは悪趣味とだけ話し、マキも上がりミアの模型人形があった部屋へと戻って来る。
すると其処には井戸の底に移動した様に人形無く、代わりに血の跡と腸の様な物が廊下に続いているのを目撃する。
「………」
「…ねえ、あれってもしかして………臍帯、だよね?
何であんな物が…」
『きっと大丈夫、大丈夫よ、大丈夫。
問題無い、大丈夫、大丈夫…』
イーサンは余りの現実離れした光景に何時もの覇気が無くなり、マキは廊下にある物が臍帯…臍の緒だと見抜いてしまい此方も同じ様に呆気に取られ、葵は固唾を飲む事態になっていた。
更にラジオからはミアの音声…更に息遣い等がラマーズ法だとも感じ取れ3人はやや青褪めていた。
この中でイヴは率先して前に出て部屋から出ようとしていた。
「…配電盤の鍵があるなら、そっちに行こう?
………本当に悪趣味」
「そ、そうだな、行こう…」
イヴの言葉からイーサン達は覚悟を決めてエレベーターに続く廊下へと出る。
そして足元には矢張り臍帯がありそれが延々と続きイーサン達3人の歩を重くする。
そうして一歩一歩前に進んで行き、ある程度の場所から臍帯が途切れていた。
そして……。
『ベタッ、ベタッ!』
『⁉︎』
『アーハッハッハ!
パァパァ〜!』
そして廊下の先から臍帯に繋がれていたモノ…醜悪な姿でイーサンを見ながらパパと呼ぶ悍ましき化物が姿を現し、イーサン達4人に迫って来ていた。
「ヒィ⁉︎」
「う、うわぁぁ、に、逃げて‼︎」
「クソ、何なんだよコレは⁉︎」
「………悪趣味、ううん、もう悪趣味なんかじゃ済まないね、此れ………!」
その余りの醜い姿に並大抵、それこそリッカー並に醜悪な化物でも見慣れた葵が小さく悲鳴を上げ、マキやイーサンはパニック状態になりながら180度反転して奥へと逃げて行く。
その中でもイヴは何故か冷静なままで何かに対して悪態を吐いていたが、イーサン達はそんな事を気にする余裕が無く走り、人形があった部屋まで戻ってしまう。
「ああクソ、如何するんだアオイ、マキ、イヴ⁉︎」
「アレのスピードは遅いですからこの卓で回り込もうとして来た時に全速力でエレベーター前まで走りましょう‼︎」
「ああもう、何なのよあの化物は⁉︎
見るのも堪えないよあんなの‼︎」
イーサン、葵、マキはそれぞれパニックになりながらも『化物』のスピードを考えて卓を回り込もうとした瞬間に全力ダッシュで配電盤まで走ろうと決め込みその案で行く事になる。
『あぁぁうぅぅぅ、パァパァ〜』
「ーー今‼︎」
そして案の定『化物』がイーサン達の部屋まで追い掛けて来て卓を右側から回り込みイーサン達に迫ろうとしていた。
それを見た葵が合図を出して4人は全力疾走で配電盤まで走り、鍵を使い配電盤を開けると黒電話があった通路の扉に填めるレリーフが入っておりそれを見て黙って全力疾走でその扉前に行き、そして中へと入った。
「はぁ、はぁ、はぁ……何なんだよ、あの『化物』は…アレが赤ん坊なのかよ…」
「うう、吐き気して来た…」
「………マキ、我慢。
配電盤にヒューズが無かったでしょ、だから代わりのヒューズを取りに行こう」
イーサンは息も絶え絶えになりながらあの『化物』が赤ん坊、しかもミアを模した人形から出た奇怪なモノだと思い完全に気を呑まれており、マキは吐き気を催し、葵に至っては黙り込んでしまい思考が纏まらずにいた。
その中でイヴは何故か冷静なまま扉の方を見ながら次にヒューズを取ると言って先に進み始めようとしていた。
「お、おいイヴ、お前アレ見て何とも思わないのか?
肝が据わってるとかそんなレベルじゃないぞ?」
「…肝を据わらせる必要は無いよ。
だってコレ、『実害は無い』んだから…」
「は、はい…?」
イーサンは厨房を進むイヴの異様な冷静さに逆に寒気を感じてそれを問い質すと、そのイヴは『実害は無い』と言って何時ものイヴらしさが失われない冷静振りを見せ、イーサン達を困惑させる。
その中で葵はパニック状態が続きながらもイヴの冷静さからパズルのピースの組み立てを再び始め、イーサン達の後ろで息を整えながら思考を纏め始める。
「(イヴはアレが実害は無いって言って、加えて此れ等一例の現象に答えを見出してヒントはベネヴィエント邸に入る前から出てたって言っていた………此れ等全部を統合して答えを導き出すなら……まさか、でもそうとしか…けれど、私やイヴまで嵌る程の?
だとしたら、ドナ・ベネヴィエントを舐めてたかも知れない…)」
葵は寝室に入った辺りで思考が纏まり、イヴが見出したと思われる答えに行き着くと自身やイヴが嵌る『それ』を仕掛けたドナ・ベネヴィエントは別ベクトルで厄介過ぎる敵であり、内心ドミトレスクを斃した事から何処か油断が生じていたと反省点まで見出してイヴを見つめ、そして視線が合うとイヴは頷き答えは『それ』だと葵に確信を持たせさせていた。
「よし、ヒューズを取るぞ…」
『カチ、プツン!』
その中でイーサンはヒューズを取り出し、電気が消えた所でペンライトを点けてマキ共々身構えながら来た道を戻り始める。
その先頭をイヴ、次に葵がジリジリと進み始め、物音が立つ暗闇の先へと進み始める。
そして再び先程の扉前に辿り着いた…その瞬間。
『あぁぁ、はははぁは、はぁははは!
パァパァ〜!』
「ッッッッッッ⁉︎」
「に、逃げるよ皆‼︎」
案の定『化物』が扉を開けて現れ逃げ道は寝室方面しか無くイーサンとマキは再びパニック状態と化しUターンを開始し始める。
葵も答えには行き着いても現状何も出来ない為同じくUターンしようとした…そんな中でイヴはそのまま前へと進み出し、『化物』に対してわざと捕まる様な行動を取る。
そして案の定身体を掴まれその巨大な口に押し込まれ始めた。
『yummy〜』
『イ、イヴゥゥゥ‼︎』
「イヴ…‼︎」
『化物』はイヴを美味しいと言いながら食べてしまい、そのまま丸呑みにされてイーサン達はイヴを目の前で食べられてしまった事に完全に冷静さを失い、葵はイヴが何か『賭け』に出たと思いながらも失敗した際のリスクに見合ってない行動に冷や汗を掻きながらその成り行きを見ていた。
「クソ、イヴが‼︎」
「イーサンダメ、武器が無いからアレと戦えない‼︎
…くっ、イヴ…‼︎」
イーサンはイヴを救おうと手を伸ばすが、マキがそれを止めて奥に逃げる様に押し止め、しかしイヴが『化物』に呑まれた事に涙を流して自身の無力さに絶望していた。
そして答えに行き着きかけてる葵もまた此れでイヴを失えば自身の力の無さに嘆き、一生の傷を負う覚悟を以てその行動を止めなかった。
『パァパァ〜、あぅあぁぁ!
あぁう…あぁぎゃ!』
「な、何だ⁉︎」
『あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!!?』
『バシャァッ‼︎』
そんな中で突如『化物』は踠き苦しみ始め、イーサン達は何事かと思いながらそれを見てると『化物』はその場で破裂、その中から拳を突き上げたイヴが血塗れで現れ、イヴ自身はその感触を不快に感じながらも1つ溜め息を吐き上手く行ったと言う顔を見せていた。
「イ、イヴ‼︎
お前、大丈夫だったのか⁉︎」
「…ピース。
それとアオイ、答えは分かった?」
「…うん、今ので確実に。
だけど実感が無いと言うか、未だ掴め切れて無いと言うか何だけどね」
イーサン達はイヴに駆け寄り、安否確認をするが当本人はピースサインを出して余裕を見せていた。
しかし何か実感が掴み切れて無いと言い手を握っては離すを繰り返し違和感がある素振りを見せていた。
そして葵もイヴの行動で漸く一例の現象に答えを見出し、此方もイヴ同様違和感を感じて集中を途切れさせない様にしていた。
「答え……つまり、この現象にアタリが付いたのか、2人共?」
「…うん、でもまさかE型被験体の私まで嵌る何て思わなかった、ドナ・ベネヴィエントは私やエヴリンを上回る『幻覚使い』だよ」
「…幻覚!
あ、そうか、だから初めからヒントはあるって言うし、イヴは答えに近かったのか……でもそのイヴや葵まで嵌るって相当ヤバい幻覚だよね、此れ?
如何やって抜け出すのよ?」
そしてイヴ、葵はイーサンとマキに種明かしをして此れが一例の現象全てが幻覚だと話し、マキやイーサンもハッとしてそうならば全てが納得行く現象や最初からヒントはあったとイヴが言うのも頷けた。
だがそのイヴや葵も嵌る幻覚にマキは相当強い幻覚使いだと認識し、逆に抜け出す方法が全く見当たらなかった。
「…今のも幻覚と理解した上で体内の特異菌を操る感覚を最大限に研ぎ澄ませて、幻覚を一時的に掌握出来たからやれた事。
でも相手も馬鹿じゃない、同じ手は2度と通じない…後は如何するかがまた問題」
「そう都合良くは行かないって訳か…」
如何やらイヴがやった方法はE型特異菌を操り、相手の特異菌由来の幻覚に対して掌握を行えた事によりあの『化物』が爆散する様なビジョンになった様である。
しかし幻覚面では明らかにドナ・ベネヴィエントがイヴを上回る為もう脇を固められて同じ手は使えないだろうとイヴは考えていた。
イーサン達も同じ考えで、如何にか幻覚から抜け出さねばと考え始めていた。
「………兎に角皆さん、先ずエレベーターに向かいましょう。
先ずは上に上がらないと話になりませんよ」
「そうだな…よし行こう……幻覚と分かってもまだ恐ろしいな…」
その状況下で葵が先ず地上に戻る様に促し、イーサンとマキも同意して歩き始める…が、幻覚と分かろうともあの醜悪な『化物』やこの空間に慣れない為イーサンは珍しく意気消沈気味になり、マキも同様だった。
そして葵はイヴが体内の特異菌を操れたのなら自身の体内に間違い無くT-Genesisはあると考え始め、次は自分が賭けに出る番だと思い始めていた。
「良しエレベーターに着いた、ヒューズを入れて…」
『あぁぁぁああ、パァパァ〜!』
「ぎゃあ、また来た⁉︎」
「…もう同じ手は使えないし、幻覚に構ってられない、早く乗り込んで!」
そうしてイーサン達は漸くエレベーター前に辿り着き、ヒューズを入れた途端あの『化物』が再び現れ、マキはエレベーターのボタンを連打し早く開く様に慌てて操作していた。
イヴも同じ手は2度と使えない=今度丸呑みにされたら助からないと圧縮言語で話し、エレベーターの扉が開いた瞬間4人は飛び乗り上に上がるボタンを押して扉が閉まる。
『あぁぁぁ、パァパァ〜、あぁぁぁああぁぁあきゃ‼︎』
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ…」
ギリギリでドアが閉じ、エレベーターが上に上がり始めた事でイーサン達はあの得体の知れない『化物』から漸くオサラバが出来たが、既に息も絶え絶えでドミトレスク城を上回る精神的な疲労を伴いイーサンも何時もの悪態が出来ない程に疲弊し、マキやイヴも幻覚と分かりながらも汗が止まらず肩で息を吸ってしまっていた。
『きゃははははは、あはははははははは‼︎』
「こ、今度は何だ…!」
「…この声、あのビスクドールの…いよいよ本命のお出ましですよ」
イーサン達がエレベーターを降りた瞬間笑い声が聞こえ、一体何なんのかとイーサンは鋏を持ちながら身構えると、葵は声から例のビスクドールの物だと判別し全員がドナ・ベネヴィエントが正面切って現れたのだと悟る。
そしてリビングルームに入り周りを見渡すと、あのビスクドールがあり更にその背後から喪服の様な黒服を着て顔を隠した女性、ドナが現れる。
「行かないで…行かせないわ…」
「コイツが、ドナ・ベネヴィエント‼︎」
「んん〜そうだよ〜、そしてあたしが可愛いアンジーちゃんだよぉ‼︎
それにしても手品を見破るわまだ生きてるなんて凄いねぇ。
でも早く私を見つけないと、お友達にブッ殺されちゃうからね‼︎」
マキは現れた女性を改めてドナだと確認すると、例のビスクドールが動き出しアンジーと自己紹介をしつつ、周りの人形を操りその手や足に付いた刃物でイーサン達に襲い掛かり始め、4人はそれを振り払いアンジーを見据える。
「チクタク…命懸けで探しな」
「待てこの野朗!」
「アタシを見つけてごらん!」
アンジーはその後何処かに逃走して行き、イーサンは待てと言うがそれで待つ敵など居らず、そのまま飛び去ってしまう。
そして全員が『化物』との鬼ごっこの次はアンジーとの隠れんぼに付き合わされ、更に何処までが幻覚で何処までが実態か把握し切れない為イーサン、マキは特に苛立っていた。
「クソが‼︎
お遊びに付き合ってる暇はこっちには無いんだよ‼︎」
「あのちょい高値で売れそうなビスクドール風情が、人間様に楯突くんじゃないよ‼︎」
「…ふぅ、ええ全くですよ。
イーサン、マキさん、イヴ、2階に行きましょう」
イーサンやマキは人形風情が人間に楯突き命を狙う事やローズの為に時間を掛ける暇など無いと悪態を吐き、イヴはもう一度幻覚掌握が出来ないか試していたが矢張り脇を固められ無理であった為珍しく舌打ちをしていた。
そんな中葵はすっと歩き始め、『ただ一点を見つめて』2階へと向かい始めた。
それに対してイーサン達は互いを見合い、葵の後ろを付いて行き始める。
「さあ着きましたよ。
居るんでしょう、アンジー…B.O.W.、ドナ・ベネヴィエント」
「きゃはははははは、すっごいねぇ‼︎
いきなり私の隠れ場所を見つけるなんてねぇ‼︎
それにしても、ローズさえ産まれなきゃこんな事にはならなかったのにねぇ‼︎」
そうして2階の突き当たりの部屋にてアンジーを発見し、葵は腕を組みながらそれをアンジー、そしてドナ・ベネヴィエントと呼び冷淡な目で見つめていた。
するとアンジーは隠れんぼの1回目をいきなり見つけたイーサン達を褒めると同時にローズを貶し、その内にある本性を包み隠さずイーサン達に見せていた。
「黙れこのクソ人形が、俺の娘をとやかく言う筋合い何かお前にあるか‼︎」
「それにあんなのを地下で見せて来たアンタは間違い無く人の心なんか理解しないB.O.W.よ‼︎
そんな奴が偉そうに何か物を言えると思うなよ‼︎」
「…ええ、全くです‼︎」
イーサンはアンジーの言葉に激昂して鋏を見せて今にも飛び掛かりそうになり、マキもこのベネヴィエント邸に来てからの幻覚から来るフラストレーションに遂にガチギレを起こし、目の前のそれをB.O.W.だと吐き捨てて指を鳴らして本気のパンチでアンジーを破壊しようとしていた。
そんな中葵はそれ等に同意し、アンジーに向かって何かを掴む様に手を伸ばすと不意にアンジーが首を手で掻いていた。
「あ、が、ま、まさかアンタ、アタシの幻覚を…⁉︎」
「ううん全然、今も幻覚に掛かりぱなし。
だけど、この身体に持って生まれた力は幻覚下でも失われない。
それをイヴが証明してくれたお陰で意識を限界まで集中して漸く捕まえたよ…‼︎」
如何やら葵はイーサン達が2階に上がる前に予想した通り、先程から透視とサイコキネシスが使える様になっていたらしく、流石のアンジーも踠き苦しみながら驚き幻覚を破ったかと問いて来る。
が、葵は特異菌を操れない為幻覚掌握など不可能である…しかし、イヴが力は失われない事を証明した為集中を切らさず力を引き出す感覚をずっと保った為、此処に来て漸く力を取り戻したらしかった。
「さあイーサン、マキさん、イヴ、後はアレを『撃つだけ』ですよ!
早く銃を構えて‼︎」
「アオイ、まさか銃も最初から失われては…⁉︎
だが、俺達は幻覚の中に居るから銃には触れないぞ‼︎」
「そうだよ、残念だったねこの化物」
「黙れ」
そして葵はイーサン達に目の前の『敵』を撃つだけだと叫び、銃を構える様に命じていた。
イーサン、マキは此処で漸く装備も幻覚で認識出来てなかった事を理解するが、葵達と違い只の人間の2人や幻覚下に置かれたイヴは銃に触れた感覚が全く無く構え様が無かった。
それをアンジーは嘲笑うが、それを葵がサイコキネシスを強めて黙らせる。
「大丈夫、人間の意志って強ければこんな幻覚如き普通に破れる物なの。
私を信じて、イーサン、マキさん、イヴ‼︎」
「…ああ、信じるぞアオイ‼︎
うおおおおお‼︎」
「この、生物兵器が‼︎」
「…眠って‼︎」
葵はイーサン達に人の意志の力を説き、それがこんな幻覚如きに敗れる事は無い、必ず幻覚側を破れると、自分を信じる様に叫ぶ。
それを聞いた3人は葵の前に出て腰に装備してる筈のデュランダルやサターン、マキ用カスタムガバメントを引き抜く動作を行いそれを撃つ仕草を強い意志を、鉛玉を叩き込むと言う絶対の意志を以て行う。
「ひっ、や、やめ、人形ちゃん達アタシを守って…ア、アァァァ‼︎」
するとアンジーの身体中から血が噴き出すと同時に視界がぼやける現象が発生するがイーサン達は構わずに銃を撃つと言う感覚を更に強めそれを行なっている仕草をする。
その中で周りの人形達がイーサン達の手や足等を刃物で刺して来て抵抗をし、全員に激痛が走るが構わずに銃を撃ち続ける仕草をする。
「や、止めて、助け…アァァァァァァァァァァ………‼︎」
そしてアンジーが助けてと懇願をするが、それを無視してイーサン達は撃つ仕草を続けていると、やがてアンジーは顔から寄生体の触手が出て来てグロテスクな姿になりつつ断末魔の悲鳴を上げる。
そして視界が再びぼやけると、同じ部屋で壁にドナ・ベネヴィエントが全身に銃創を作りながら凭れ掛かり、そのまま結晶化して行った。
「ハッ⁉︎
……俺達、銃を構えて、人形じゃなくて人形使いを…」
「恐らくこれが答え合わせ、この人形使いドナ・ベネヴィエントは私達の側にずっと居て、強い幻覚を見せ付けていたんでしょう。
それに、私の透視には確かにアンジーは動いていましたが大元はドナの方が映ってましたよ…」
そしてイーサン達は銃を構えており、しかも撃っていたのは人形側では無く人形使いのドナだったと驚いていた。
その中で葵は推察や2階に居たのはアンジーのみならず大元のドナが見えていた事を明かし、3人はそれが答えなのだと、目の前で結晶化したドナを見ながら納得していた。
「さて、このビスクドールと鍵は貰って行きますよ……あ、イーサン。
1階にフラスクがありますから取りましょう」
「あ、ああ……ん?
内ポケットに…」
葵はその後、ドナの遺骸から容赦無くビスクドールのアンジーと鍵を回収し、鍵をその場で組み合わせて『四翼の胎児の鍵』にし、その部屋から去って行く。
イーサンもそれに続きハンドガンを仕舞い先に進もうとした所で内ポケットにポストに投函したはずの写真の存在に気付き、その裏面を見てダンマリとしていた。
「…ああ、私達の思い出の品も、投函したと思い込まされてた訳ですね」
「あ、ホントだドックタグが戻ってる」
「…髪留めも」
すると葵達はイーサンの方を振り向き、最初のポストに投函したと思われた思い出の品も戻って来ており、あの時点で幻覚に完全に嵌ったと全員が理解しながら1階に戻り両足が入ったフラスクを取り、イーサンに渡してベネヴィエント邸を後にしようとした。
が、イーサンは写真の裏面を見てそれから目を離さずにいた為葵達は不思議がりイーサンを見やる。
「イーサン?」
「あ、ああいや、何でもない。
さあ、次に行こう……」
マキがイーサンに話し掛け、何かあったかを聞くが本人は何でもないとして次に向かおうと口にし、葵達に並走して走り始める。
その中でイーサンはジャケットの内ポケットに手を当て、その裏面に書かれた一文に想いを馳せながら前へ進み出した。
そしてその一文とは。
『ローズの事をずっと守ってあげてね、イーサン』
「(ああ、勿論だミア。
そして、君の事も必ず助け出すからな…)』
その一文とは、ミアからローズに込めた愛の言葉とイーサンへ宛てたメッセージであり、それを見たイーサンはより一層ローズやミアへの想いを強めて一歩踏み締めた。
この誓いだけは必ず貫く、ミアも助け出す、そう夫として、父としての当然に抱く感情を秘め、再びこの村を走り出すのであった…。
此処までの閲覧ありがとうございました。
最初は茜達の視点で急ぎ本部に戻る場面、葵達は絶賛恐怖体験してました。
しかし、恐怖の権化ベビーはイヴが特異菌の力で幻覚を逆に掌握、其処から一連の全てが幻覚と種明かしになりました(特異菌由来の幻覚ならE型被験体がギリギリ掌握出来ない訳が無いのです)。
そしてイヴが力を使った事から葵も幻覚下で力を取り戻し、透視で見えてるイーサン達の武器でドナ撃破となりました。
しかしイヴは危ない橋を渡り此れな為ドナも十分強敵でした…。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。