BIOHAZARD【V+α】   作:”蒼龍”

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皆様おはようございます、第16話目更新でございます。
今回は遂にハイゼンベルクとの交渉回になります。
それが如何なる結末を迎え、話が如何転ぶかお楽しみに下さいませ。
では、本編へどうぞ。


EP XVI『交渉、その結末』

イーサン達はウリアシュ等の結晶を売り、弾薬を購入すると4人でフラスクを手に持ち、ゆっくりと祭壇に納める。

1つ、2つ、3つ、そして4つ目を入れた瞬間、再びイーサンとイヴの脳裏にローズが見た光景が浮かぶ。

 

「今度のは… まさか、あのクソ野郎達にバラバラにされた時の…!」

 

「…イーサン、イヴ、もしかして精神感応でローズちゃんの記憶を?」

 

「…察しが良いねアオイ。

そうだよ、ローズが精神感応で私達に見せてくれてるんだよ。

自分が見た光景を…」

 

イーサンとイヴは今度はローズがバラバラにされた時の光景を見てしまい、それを精神感応でローズの記憶を見た事を察した葵はそれを聞くとイヴ曰くローズ側から精神感応をして記憶を見せてると話す。

この事から生後半年位でそんな事が出来るローズは矢張りミランダが狙う程の力の持ち主だと如実に示していた。

 

「だがローズは俺とミアの掛け替え無い娘だ、どんな力を持とうが関係無い、必ず元に戻す!」

 

「…だねイーサン。

私等もその為に力を最後まで貸すよ」

 

しかしイーサンはローズは自分の娘であり、必ず元に戻すと言う決意を口にする。

それにマキが頷きつつ最後まで手を貸す事を約束し、ローズのフラスクが納められた祭壇の上に手を翳し、葵、イヴ、そしてイーサンもその手に自身の手を重ねて決意を改めて固める。

その時、祭壇の固定具が外れてそれが『聖杯』となった。

更に祭祀場への道の燭台に火が灯る。

 

「祭祀場へ行けって事ですね。

じゃあ祭壇…いえ,聖杯は私とイーサンで持ちますね。

マキさんとイヴは周りを警戒して下さい」

 

「…うん、ライカン1匹も近付けさせないから安心して」

 

「じゃあ行くぞ…この先にハイゼンベルクの奴が居るんだろうな………絶対に…」

 

葵は状況から祭祀場へ向かう様に判断し、イーサンと2人で聖杯を運び始めマキとイヴに護衛を任せる。

2人はドラグーンとサジタリウスを構えながら扉を開けて周りを警戒し石橋を渡り始める。

すると突如地震が起き、全員周りを見渡す。

 

「今のは…?」

 

『此方きりたん、震源地不明の揺れを確認しました。

皆さん大丈夫ですか?』

 

「うんきりたん、今聖杯の祭壇にローズちゃんのフラスクを納めてそれを抱えて祭祀場へ向かう途中だよ。

それにしても、此れがクリスさん達の言ってた揺れ……まさか、『菌根』が活性化して村全体が揺れてる?

だから震源地を特定出来ない?」

 

イーサン達が困惑する中できりたんからの緊急連絡で震源地不明の揺れを確認したと報告が入り、葵は此れがクリス達が湖で話した揺れだと確信する。

更に憶測として、自身達がこの村に来たもう1つの目的………破壊対象の『菌根』が活性化してると思い、マキとイヴも可能性が高いと思い葵を見ていた。

 

「…なぁ、聞きそびれてたんだがその菌根って何なんだ?

特異菌に関連してるのは間違い無いし、名前からしてアレらの根本の存在って分かるだが」

 

「…はい、イーサンは湖で木の根の様な物をクリスさん達が研究してるのを見ましたよね?

アレが菌根、特異菌の根なんです。

そして根や枝があるなら大元がこの村の何処かにある…それを破壊する事が私達のもう1つの目的であり、特異菌事件を断つ1歩になります」

 

イーサンは菌根の事を改めて聞くと、葵はこの特異菌事件に於いて大元があり、それが菌根でありその大元の破壊がミランダ抹殺と合わせた目的だと話し、イーサンは成る程と理解しつつクリス達が破壊するのに躍起になるのも此方が原種であり大元だからと頭で整理する。

 

「てな訳で目下菌根を捜索中なんだけど、ローズちゃんの件があるから元に戻して取り戻しつつ、ミランダを抹殺して菌根を破壊するのが全体任務になる訳。

私達がローズちゃんの奪還で、クリスさん達が諜報、バカ隊長や他の皆が囮になっていたのはそれが理由」

 

「確かにクリスならB.O.W.が殺せるなら直ぐに殺す筈だな…昨夜の襲撃みたいにな。

大体納得が行ったぞ、助かったよアオイ、マキ、イヴ」

 

「…礼なら、全てが終わってからね」

 

更にマキが補足説明をしてクリス達が村中を諜報し、B.Y.達が囮になってた理由を話すとイーサンは昨夜の襲撃を思い出し、アレでミランダを殺せれば残りは四貴族と菌根だけになってた筈だったと納得し、説明した3人に礼を言うとイヴがB.Y.の受け売りを口にし、他3人はニヤけさせる。

そして祭祀場に辿り着き、例の紋章前にイーサンと葵は立ち、その側にマキ達が警戒する。

 

「じゃあゆっくり置くぞ」

 

「はい…よいしょっと」

 

『ガチャン、ズズズズズズズ

 

イーサン、葵は聖杯を紋章の上に置くと祭壇みたく固定され、何処かで何か大きな物が動く振動が伝わり、葵はきりたんに何が起きているかを確認し始める。

 

「きりたん、何が起きてるの?」

 

『ハウンドウルフの『アンバーアイズ』さんとデルタチームのデルタ6さんから村外れのハイゼンベルクの工場に続く橋が掛かり始めたと報告がありました。

聖杯設置と連動してるみたいですね』

 

きりたんはアンバーアイズ達からの報告と葵達が送る映像から祭祀場に聖杯に置いた事でハイゼンベルクの工場に続く橋が掛かり始めたと報告し、イーサン達はハイゼンベルクがフラスクを納めれば分かると言う言葉を改めて理解する。

すると聖杯の周りの足場が昇降機となり、頭上が例の紋章の壁で塞がり一方通行となる。

そして足場が降り切ると目の前には洞窟とその先に出口が見える。

 

「…ハイゼンベルクの工場はあの先です。

さて、ローズちゃんのフラスクが納められた聖杯を置いて行って良い物か…」

 

『ガキなら心配するなイーサン、アオイ達、それで良いんだ。

はっ、良いから橋を渡ってとっとと来い!』

 

「…チッ、あの野郎…」

 

葵は早速ローズを置いて行く事に躊躇を示すとハイゼンベルクの放送が入り、橋を早く渡る様に命令して来る。

その口調や態度からイーサンは拳を握り締め、葵達も眉や米嚙みを引き攣らせながら武器を構えながら葵達と並走して洞窟を抜け橋を渡り始める。

そして橋を3分の2以上渡り切ると再び放送が入る。

 

『おお!

イーサン・ウィンターズ、アオイ・コトノハ、マキ・ツルマキ、イヴ・アーク!

ようこそ!

まさかドナとモローまであっさり殺してミランダの厄介な戦力を削るとはな。

だがアメリカや日本、中国にロシアじゃもっと酷い目に遭ったんだろ?』

 

「…こっちの素性は把握済みと」

 

ハイゼンベルクは態々ようこそと言い放ち、更にイーサン達がそれぞれの地で酷い目…トラウマとなる、戦う決意を固めた目に遭ったと口にし、イヴが素性を一方的に把握されてると口にし、全員で腹の底に怒りを溜めて行く。

 

『お前達が気に入った。

ローズとミランダの事について話がしたい。

中に入って来い。

心配するな、罠なんかじゃねぇ』

 

そうして開いたフェンスの門を潜り、ハイゼンベルクの癪に触る放送に耳を傾けながら工場の敷地内に入ると中に入るように言われた為イーサン達は真っ直ぐ工場の入口に向かうとそれが開き中に入る。

 

「さて、奴は何処に居る…?」

 

「…此方は開かないのであっちの扉に行きましょう」

 

イーサン達は周りを見て行ける場所を探すが、正面のドアは向こう側からしか

開かない様になっており、葵の指揮の下、横のドアを開けて階段で下へと降りて行く。

更にその先の扉を開き、行き止まりの部屋に入る。

 

「…此処にも居ないのか?

ん、あの布は?」

 

イーサンは周りを見渡し、ハイゼンベルクが此処にも居ない事を確認すると不意に布が掛けられた場所を見つけ、葵達もそれに近付き布を取る。

すると其処にはイーサンにミアや葵達、更にクリスに他の四貴族にミランダの写真が貼られていた。

特にドミトレスク達の写真には赤く✖︎が書かれており、明らかに異様な光景だった。

 

「何だこれは…」

 

「…っ‼︎」

 

イーサンはそれらを見て異様に思い込むが、その横で葵がある一文を見つけ全体が写る様にタブレット端末で写真を取り直ぐにCLOUD共有をする。

 

「辛いよな?」

 

『‼︎』

 

すると背後からハイゼンベルクの声が聞こえて来た為、葵達は武器を構えて威嚇する。

しかしハイゼンベルクは余裕ある態度を崩さずに口を開く。

 

「当ててやろう、他の奴等の様に俺を倒せばローズを救えると思ってるんだろう?」

 

「娘は治ると聞いた!」

 

「ふう、良いか?

分かってねぇ様だが…」

 

『ブルルン、ブルル、ブルルン!』

 

ハイゼンベルクはドミトレスク達の様に自分を倒せばローズは救えると話し、イーサンはデュークから言われた救える事を口にする。

葵達もハイゼンベルクを睨みながら警戒するが、そのハイゼンベルクは何かを言おうとした…瞬間、下から何かのエンジン音が聞こえて来る。

葵は透視で下を見るとそれと『余計な物』まで見てしまう。

 

「クソッ、五月蝿えな。

おい静かにしてろ!

…悪かった、イーサンまぁ座れ。

嬢ちゃん達は済まないが立っててくれ、俺が何かしたらイーサンを守れる様にって形を取る為にな」

 

ハイゼンベルクはその音の主に対して排気口を開けて静かにする様に叫ぶとそれの音はピタリと止む。

更にハイゼンベルクはそれに謝罪し、ハッチを開けっ放しの排気口に椅子の脚を掛ける様に置きイーサンに其処に座る様に言い、此れは明らかに落とす気があると葵達が思う。

だがハイゼンベルクは葵達が何時でも動ける様に立たせる様に言い一応フェアな形を取る。

 

「…イーサン、座って下さい。

何かあれば救い上げます」

 

「………分かった、座る。

それで、話って何なんだ?」

 

「ふう…良いか、お前達はミランダに踊らされている。

A.B.F.オメガ小隊が此処に来られなかったみたいにな」

 

葵はイーサンに何かあれば救う前提で座る様に言い、イーサンはそれに従い座るとハイゼンベルクの話を聞き始める。

するとハイゼンベルクはイーサンや葵達がミランダに踊らされていると口にし、更にオメガ小隊が来られなかった事も引き合いに出しながら話を進める。

 

「先ずお前達の仲間の囮作戦、ローズの瓶を上手く奪い返せる様にするとかの作戦はミランダには関係無いんだ、初めから囮なんか見向きもしてない。

それっぽく演出してるだけでお前達は良い様に奴に踊らされてたんだよ」

 

「何ですって、何を根拠に」

 

「根拠は、ローズの瓶を奪い返されてるってのに全然ミランダが動かない点だ。

儀式にはローズが必要なのに何故だ?

当たり前だ、最後はミランダが総取りする様にこの舞台は仕組まれてるんだからな!」

 

ハイゼンベルクはB.Y.やイータ小隊達の囮が効果が無かった事を告げ、マキは何を根拠にしてるか口にすると彼はミランダがこの期に及んで未だ動かずと言う点を指摘する。

更にこの一連の事件は最後にはミランダが勝つ様に仕組まれているとも話す。

 

「…総取り、何故言い切れるの?」

 

「E型被験体のお前なら分かるだろイヴ?

この村の連中はカドゥが埋め込まれてる、つまり何時でも奴の好きな様に殺せて、ライカンにする事が出来る。

お前がモールデッドを作れる様にな。

オマケにだ、俺が調べ上げた事だが俺達用済みになった四貴族はアイツの子供の器になる可能性があるだけの偽りの子で、しかも俺達が死ねば菌根が完全に目覚める仕組みになってやがる!

そしてイーサン、ローズの父親のお前は奴の家族になる資格があるか試されてんだよ!」

 

イヴがハイゼンベルクに何故総取りが出来るか敢えて問うと、イーサンからはエヴリンを彷彿とさせる様に村人の生殺与奪を握り、ライカンに何時でも変異可能だった事を明かす。

つまり村人は絶対に救えないと確定し、イーサン達の中で腑が煮え繰り返っていた。

更に彼は話を続け、自身達はローズが見つかるまでの器候補で、用済みなった今は殺せば菌根が目覚めるトリガーになってるとさえ明かした。

此れには葵達も寝耳に水であった、何故なら菌根を刺激しない様に立ち回ったつもりが逆に目覚める様に動かされていたのだから。

 

「つまり…あの図体のデカイクソ女に…ブサイクなサイコ人形…ウスノロの怪物…最後にこの俺で入れ替えって訳だ、巫山戯んなよ‼︎」

 

「お前達の事情なんか知るかよ、俺は村人の無念を晴らして娘と妻を取り返したいだけだ‼︎

奴の家族になるつもりは無い‼︎」

 

「俺だってそうさ、俺自身の自由を取り戻したいのにこのザマだ‼︎

だから最初はあのガキを利用しようと考えてた、ミランダがビビる位のヤベえ力を持ってたから……」

 

『ブルルン、ブルルルルン‼︎』

 

ハイゼンベルクは怒りをブチ撒ける様に話し、他の貴族達を侮蔑しながら刃物を自身の力で写真刺して行き最後はミランダの写真を一閃する。

対するイーサンはミランダの家族になるつもりは無いと叫ぶが、前例たるハイゼンベルクが自身の落ち振りを見せ、其処にローズの力を利用しようと考えていたと口にし、イーサンの堪忍袋に触れるがその瞬間下からまたエンジン音が響いた。

 

「いい加減にしろよ、何度言わせんだ‼︎」

 

「自分の作り物の管理も出来ないんですか?」

 

「ああ、ありゃ完全な失敗作だからなクソが…。

それでだ、俺と手を組まないか?

一緒にローズを奪い返して、ミランダをブチ殺してやるんだ!」

 

ハイゼンベルクは下のモノに叫びを入れ再び鎮まらせると葵は透視で見たそれの管理が出来ないかと言うと失敗作と返される。

そしてハイゼンベルクはサングラスを外してイーサン達に手を組み、ミランダを共に殺してローズを奪い返す事を提案して来る。

しかしイーサンはその会話の中で看過出来ない物がありそれを怒りのまま叫び始める。

 

「お前、さっきローズを利用するとか言ったよな?

あの子は人殺しの道具じゃない俺の娘だ‼︎

そんな事を言う奴に俺が手を貸すと思うか⁉︎」

 

「まぁまぁまぁ待てよイーサン、この話には続きがあるんだよ!

確かに初めはローズを利用する案を考えた、だが‼︎

代替案がこの村に、お前と一緒にやって来たんだよ‼︎

そう、其処の嬢ちゃん達とその愉快な仲間達さ‼︎」

 

イーサンはしっかりと聞いたローズを利用すると言う案をこの男は立てていた事にキレ、そんな者と手を組む気はないと叫ぶがハイゼンベルクは続きがある、代替案がやって来たと口にする。

それは葵達とその仲間達であると言う。

それを聞き葵達はハイゼンベルクに視線を外さない様にする。

 

「先ずマキ・ツルマキとその仲間は元BSAA極東支部のエース中のエース、あのゴリラ野郎と並ぶ実力者だ‼︎

更にE型被験体であり、その力を使わなくても戦闘力の高いイヴ・アーク‼︎

そしてミランダがビビり散らかす力を持った一角、イヴの先輩でありT-Genesisウィルスの完全適応者のアオイ・コトノハ‼︎

更に時間さえ稼げればアオイの仲間であり、同じウィルスに完全適応して奴がこの村に揃わない様に仕掛けたヨナ・レティシアとアオイの双子の姉、アカネ・コトノハ達までやって来る‼︎

あのゴリラ野郎達だけじゃ頼りなかったが、此れなら確実にミランダをブチ殺せる‼︎」

 

ハイゼンベルクは嬉々としてマキやB.Y.達デルタチーム初期メンバーにイヴ、更にT-Genesis完全適応者の葵と仲間達、更に時間稼ぎが出来ればミランダが揃わない様に仕向けた茜達までやって来る事を告げそれだけ戦力が揃えばミランダに勝てると豪語していた。

つまりこの時点で葵達の力を借りられればもうミランダに勝てる算段が付いていると言うのだ。

因みにハイゼンベルクのゴリラ野郎は誰を指すかとイーサン達は考えたが、パンチ力が段違いなクリスが浮かんでいた。

 

「…アオイ、お前達は良いのかそれで?

良い様に使われるって感じだぞ?

それに…」

 

「うーむ、持ちつ持たれつ…私等が警戒したハイゼンベルクを監視下に置けるメリットはあるけど…」

 

「…アオイに任せたい、ハイゼンベルクと手を組むか」

 

イーサンは葵達を案じてハイゼンベルクに良い様に使われると言い、且つある事がイーサンの中で蟠りになっていた。

この中でマキは考えるが答えを出し渋り、イヴも葵の一存に任せたいと話す。

こう言う時には葵は間違った選択は取らないとイヴもマキも知っているからである。

そうして葵の判断はと言えば。

 

「………良いですよ手を組んでも。

但し、此方が言う条件を飲んで下さい」

 

「確かに一方的に組もうはフェアじゃねえからな。

良いぜ、条件は何だ?」

 

「先ず1、私透視で地下を見たのですがあれは何なんですか?

2、この事件終了後はある程度自由にしますが地下のアレがあるから好き勝手やらせない様に一定の監視下に置かせて貰う事。

そして3……3は、貴方自身の罪をこの場で数えて下さい。

それらをクリアしたら手を組みましょう」

 

「あー、成る程な。

その3つか…じゃあ時間も惜しいからさっさと達成させて貰うぜ」

 

葵は手を組む代わりに3つの条件を突き付けて来る。

それを聞いたハイゼンベルクは頬を掻き、それら3つの条件を達成すべく口を開き始めた。

 

「先ず地下のアレは、村人の死体を利用した俺の『鋼の軍団』製造工場さ」

 

「何だと、お前‼︎」

 

「おっと待てよ、あくまで死体を利用してるだけだ、マジで。

決して生きた人間は使っちゃいねえ。

が、道徳に反するのは分かってる……だがこうでもしなきゃミランダに対抗する軍団を作れなかったんだ、済まないとは思ってる。

で、監視下に入るのは大いに結構。

別に大それた事をしたい訳じゃない、ミランダの手から離れて自由に生きて自由に死にたい、それだけだからな」

 

第1条件の葵が見た物の告白…村人の死体を利用したハイゼンベルクの鋼の軍団を自身で口にし、イーサンに叫ばれるまでも無く死体以外は使ってない、道徳に反するのを承知でいた。

ミランダに対抗するためとは言え済まないと口にし、更に監視下に置かれる事を良しとしてあくまでもミランダから脱却したい事を言葉から滲ませる。

 

「それで俺の罪か………正直数え切れねえから分かる範囲で数えるが、先ず鋼の軍団製作に死体とは言え村人を利用した事。

イーサン達にやったショーを他の奴にもやった事、ミランダに曲がりなりに加担した事、それから………ああ、お前等に一々癇に障る事を言ったりやったりだな。

そして未遂だがローズを利用しようとした事だな、済まなかった」

 

そしてハイゼンベルクは自らの重ねた罪をイーサン達の前で告白し始め、様々な事を懺悔室で神父の前でその罪を悔い改める様に話し、自身の性格からの癪に触る言葉から村人の死体を利用した事、果てはローズを利用し掛けた事等多岐に渡り罪を数えた。

此れ等をイーサン達は黙って聞き残るは葵が如何なる判断を下すかを見守っていた。

 

「…本当に、数え切れる範囲でそれだけですか?」

 

「ああ、此れ以上は数え切れねえ。

いやマジだぜ?」

 

「……ふ、ふふふ、あははは、あはははは‼︎」

 

すると葵は不意にハイゼンベルクにそれだけかと聞き、ハイゼンベルク自身も数え切れないと言い懺悔が終わった……その瞬間葵は腹から高笑いをし、ハイゼンベルクの罪の告白を嘲笑うかの様な態度を見せた。

 

「な、何だよ、何で笑ってやがるんだ⁉︎」

 

「此れが笑わずにいられますか?

貴方は1番懺悔しなければならない事に全く触れず、そして触れないと言う事はそれに対し何とも思っていないんですよ!

さあイーサン、父親の貴方なら分かるハイゼンベルクの1番の罪を白日の下に晒して下さい‼︎」

 

葵はハイゼンベルクの罪の中で1番懺悔しなければならない事を口にせず平然としていた事に彼が表面でしか謝罪をしていないと見抜き、その懺悔をしなければならないイーサンに向かってハイゼンベルクが犯した最も重い罪をこの場で言う事を叫ぶ。

そしてイーサンは、父親の自分なら分かるハイゼンベルクの罪が何なのか…腹に溜めていた怒りをやっと吐き出せると思いそれを口にする。

 

「ああ、1番にお前が懺悔しなきゃならない事はただ1つだ!

ローズをバラバラにした事の言い出しっぺがお前だって事だよクソ野郎が‼︎」

 

「っ⁉︎」

 

「サルヴァトーレ・モロー…マッドサイエンティストでママっ子で汚らしいB.O.W.でしたが、私達が貴方と手を組むか否かを判断するに至る手記を残していた事には評価しますよ、ええ。

さあ見なさい、此れがそのモローの手記ですよ!」

 

イーサンはローズがあの様な…結晶化させられた後バラバラにさせられフラスクに詰められたのはハイゼンベルクが言い出した事であると怒りのまま叫び、ハイゼンベルクが一瞬たじろいだ瞬間葵は懐に仕舞っていたモローの手記を彼に投げ付け、それが胸に当たると丁度ハイゼンベルクの足元に落ちてそれが目に留まる。

 

「さてカール・ハイゼンベルク、それが見えるなら音読してあげましょう。

『ミランダおかあさまからローズのびんをひとつあずかった。

みんな仲がわるいから自分だけぎしきのなかまはずれにされると思ってる。

だから4にんが1つずつローズをあずかるってハイゼンベルクが言いだしたんだ。

みんなあつまらないとぎしきできないように。

おかあさま『すきにしろ』って』…如何ですか、此れを見て聞いてイーサンに対して何か思う事はありませんか?

無いですよね、所詮『人間のフリをしたB.O.W.』なんですから!」

 

葵はその手記の内容を敢えて音読し、ハイゼンベルクにしっかり聞こえる様に口にした。

それらを音読し切った後、葵は表面でしか平謝りしていないハイゼンベルクをB.O.W.と言い放ち、人間では無い事を高らかに口にし交渉のテーブルをひっくり返し始めていた。

それらを聞きハイゼンベルクはモローの手記を踏み付けながら手を震わせイーサン達を睨み付けていた。

 

「以上でもう分かったでしょう、貴方は人間の心なんてとっくに捨てたか落としたか元々無いか…何にせよ私達はB.O.W.とは手を組まない!

人の心がある誰かのコントロール下に置かれてたり、人の心を持った生体兵器と呼べなくなった『人』なら手を組みますが貴方は自身の意志を持つ生体兵器、思考判断が出来て自立するモノだからそれに該当しない‼︎

アテが外れて残念でしたねカール・ハイゼンベルク、貴方が人の心があればまだ組む目はあったけどそれが無いなら私達が手を貸してやる道理は無いです‼︎

ローズちゃんを戻す方法なら自分達で探しますからどうぞお好きにミランダに反逆して返り討ちに遭えば良いわ‼︎」

 

マキ、イヴがイーサンと葵の言葉を内心肯定し武器に手を添える中、葵はハイゼンベルクへの糾弾を止めず人の心さえあれば、と口にしながらハッキリと手を組まない事を告げて交渉のテーブルを完全にひっくり返した。

更にローズを元に戻す方法を自身達で探し、ハイゼンベルクには勝手に反逆して死ねば良いとまで言い放ち葵も腹に溜めていたハイゼンベルクへの怒りをぶちまけながら睨みつけていた。

 

「……ッッ‼︎」

 

ガシャンッ‼︎

ガシッ‼︎』

 

「うおっ⁉︎」

 

「イーサン‼︎」

 

するとハイゼンベルクはイーサン達の選択に怒りに震え、次の瞬間にはイーサンの椅子を蹴り排気口に落ちそうになったイーサンの手を取る。

それにマキは声を上げ、3人は当然の帰結として武器を構えハイゼンベルクに銃口を向ける。

しかしハイゼンベルクがイーサンの手を掴んでいる為、このまま撃てば下に彼を落としてしまう為撃つに撃てなくなっていた。

 

「如何する、最後のチャンスだぞ?

考え直して手を組むか、それとも下に落ちて地獄を見るか?」

 

「やってみろよ、クソ野郎!」

 

ハイゼンベルクはイーサンに対し最後通告を行い、手を組むなら下に落とさないと言うがイーサンの心は既に決まっており、何時もの悪態を吐き手を組まない意志を示した。

 

「…ふん、ご愁傷様」

 

「うあぁ‼︎」

 

「イーサン‼︎

ふぅぅぅ‼︎」

 

それに対しハイゼンベルクは遂に痺れを切らせてイーサンの手を離し、ハッチの空いた排気口に彼を落としてしまう。

それを見た葵はハイゼンベルクにサイコキネシスを最大限で放ち、壁にめり込ませつつマキ達がワイヤーロープ射出機でイーサンの下に降りるまで時間稼ぎをする。

そして2人が降りた後葵もそのまま降りて高い身体能力で着地、イーサンに駆け寄る。

 

「大丈夫ですかイーサン!」

 

「ああ、何とか」

 

『『シュツルム』、やっちまえ‼︎』

 

『ブルル、ブルルルルルル‼︎』

 

葵がイーサンの安否確認をし、3人で彼の無事に胸を撫で下ろそうとした瞬間ハイゼンベルクが上からシュツルムと呼ぶモノに命令を下す。

するとさっきのエンジン音が響き渡り、その方向を見ると上半身がエンジンとチェーンソープロペラと一体化した様なB.O.W.が居り、葵が透視で見たハイゼンベルク曰く失敗作な物だった。

 

「何だコイツは⁉︎」

 

ズダダダダダダダダダダッ、ズダンッズダンッズダンッズダンッ‼︎

カンカンカンッ‼︎』

 

「正面からの攻撃じゃビクともしない、それに此処では戦えないから逃げましょう‼︎

ふんっ‼︎」

 

イーサンはその容貌に驚き、サターンとデュランダルを放つが全く効果が無く弾丸を弾かれてしまう。

葵は正面からの攻撃は効かない+この地形では満足に戦えない為一旦逃げる事を提案しつつサイコキネシスをぶつけ少しだけ距離を離し、全員で走り始める。

 

「あんなのを作ってるとかマジ気がしれない…って行き止まり⁉︎」

 

「…皆、ダストシュートに入って‼︎」

 

「それしか無いか、うおおっ‼︎」

 

マキはシュツルムを作ったハイゼンベルクの狂気の一端を目にして気がしれないと口にした所で行き止まりに当たり、全員で立ち止まってしまう。

しかしイヴがダストシュートに入る案を提示し、イーサンもそれしか無いと思い全員で時間差で降りて行く。

因みにシュツルムはその間に追い付いて来る為葵が殿となり、サイコキネシスで動きを封じて他3人が降りて時間経過した所でダストシュートに入る。

 

「よっと!

ふう、全員怪我は?」

 

「無い、無事だ…。

ハイゼンベルクめ、後で一泡吹かせてやる‼︎」

 

「それにしてもイーサンと葵は正しい判断をしたと思うよ。

ローズちゃんをバラバラにして何とも思わないクソ野郎と手を組まないって言ったんだから」

 

「…2人共、ナイスだよ」

 

最後に落ちた葵がイーサン達の無事を確認し終えると、イーサンはハイゼンベルクに悪態を吐き他の貴族達同様一泡吹かせる事を宣告しながら上を見ていた。

そのイーサンと葵にマキ、イヴは2人が正しい判断を下したとはっきりと言い交渉を蹴った2人を労っていた。

葵達は自身の判断は間違えてないと自信を持ちながら頷きつつ、廃材置き場で工場からの脱出を図る為その場から歩き始めるのだった。

 




此処までの閲覧ありがとうございました。
実はハイゼンベルクとの交渉で共闘成立も考えましたが、其方は先駆者様が居られる様なので二番煎じにしかならないのと、ハイゼンベルクからローズバラバラを言い出した件から此れではイーサン所か葵達も首を縦に振らないだろうとキャラクター性を考え、ハイゼンベルクに罪を数えさせて今更数えられる訳が無いと感情的になりつつイーサンにローズをバラバラにした件を謝れたら人の心は残ってる判定になる感じでした。
結果はこの通りとなりましたが。
さて、次回からハイゼンベルクとの本格的な敵対ルートになりますので少々お待ち下さいませ。

次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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