BIOHAZARD【V+α】   作:”蒼龍”

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皆様こんばんはです、第21話目を更新でございます。
今回は原作にもあったあのイベントを今作の流れにアレンジし送り届けます。
そしてタイトルもシンプルに彼になってます。
では、本編へどうぞ。


EP XXI『イーサン・ウィンターズ』

ミランダからの心臓への直接のダメージ、四貴族やライカン等との戦いによる疲労、茜達の到着への安堵から深い深い眠りについていたイーサンだったが、目覚めた瞬間見た事も無い場所に居り困惑していた。

 

「う、うぅ…如何なっているんだ…アオイ、マキ…イヴ…?」

 

「ふふふ、ふはははは…」

 

「誰だ、誰が居るのか…?」

 

すると葵達では無い誰かの声が響き、イーサンは立ち上がるが周りは雪、そして右側は川で左右何方も先が見えない程霧が濃く、何処を歩けば良いのか分からない状態と化していた。

 

「寒い………如何してこんなとこに…?

クソ…凍えそうだ…。

畜生…体が…うぅ……」

 

アテもなくフラフラと歩いていたイーサンだったが、身体中が凍える様な寒さに襲われて足が覚束無くなって行き、遂に倒れ掛けてしまい膝と手で身体を支えなければならない程に身体を動かす事が出来なくなってしまう。

 

「バカみたい、お前」

 

「その声は…『エヴリン』?

如何してこんなとこに…?」

 

そして先程の声の主が哀れむ様な、蔑む様な声でイーサンに声を掛けて来る。

イーサンは眼前の先を見ると其処には3年半前に自分が殺した生体兵器、E型被験体第1号『エヴリン』が立っていた。

更に表情は分からないが確かな声でイーサンに衝撃的な事を口走る。

 

「お前は、死んでる」

 

「死んでる…?

何言ってるんだ…俺は、確かにミランダに心臓を抜かれ掛けたが、アオイ達のお陰で…。

いや、仮にそうだとしてもダメだ、俺はローズを、助けに…」

 

「違うよ、ミランダの所為じゃない。

お前は、ずっと前から、死んでる」

 

「何を…何を言ってるんだ、俺は…くっ…」

 

エヴリンはイーサンが死んでいる、それもずっと前からと話し、イーサンはとても信じられず身体を無理矢理動かして前に進もうとしたが思う様に身体が動かせず遂に倒れ込んでしまう。

そんな顔や目すら動かせないイーサンの目の前までエヴリンは歩いて近付き、その眼前には彼女の黒い靴があった。

 

「ほらね、ミランダに殺されたんじゃない。

1度も可笑しいと思わなかったの?

今まであんなに傷付いて来たって言うのに?

思い出して」

 

エヴリンの1つ1つの言葉は自分が否定したい、見て来なかった部分を刺しその声に導かれある光景がイーサンの中で思い浮かぶ。

それは3年半前、自身やミア、生き延びた『ゾイ・ベイカー』を苦しめ悪夢のドン底に突き落とした家、イーサン達の運命を弄んだベイカー邸の風景だった。

 

「3年前のあの日、ベイカー邸で………お前は、ジャックに、殺された。

お前はとっくに、死んでたんだ」

 

そしてその中で特異菌で可笑しくなったミアを止む無く攻撃し、左腕を切り裂かれながらも彼女を撃ち活動停止させた直後に背後からベイカー邸の主人でゾイの父『ジャック・ベイカー』が現れ、イーサンに右ストレートを入れて更に追い討ちのストンプを加え、次の自身が覚えてる光景は別館から本邸に足を掴まれ引き摺られて行く物だった。

つまり、エヴリンの言い分ではジャックの攻撃で絶命したとイーサンに言葉を投げ付けているのだ。

 

「いや、そんな馬鹿な…あり得ない…」

 

「だから動ける筈が無いんだよ」

 

「いい加減な事を言うな…!」

 

「動ける、筈が、無い!

分かる?」

 

イーサンはその衝撃的な告白に心が絶望感に蝕まれ、否定をし続けてもエヴリンは動ける筈が無いと言い続け、その結論を曲げようとはしなかった。

そしてイーサンは自身の中には絶望に苛まれながら声を荒らげ始める。

 

「巫山戯るな!

じゃあ…今までの、俺は…いや、俺…俺は、自分で…。

ローズ…ミア…俺は…」

 

イーサンは絶望感の中でも脳裏にローズの無邪気な笑顔、ミアとの思い出が過り腕に力を込めて地面を握りそして立ち上がる。

だが、その瞳に右腕がカビ…特異菌塗れであり、その姿はまるでモールデッドとも言うべき物に変貌している事に驚きながら手を挙げ始めてそれを見る…その中でもエヴリンはイーサンの心を抉る言葉を言い放つ。

 

「分かったでしょ?

お前の体は全部カビで出来てるんだよ。

ふはははは、お前はもう2度と家族には会えないよ」

 

「家族…?

お、俺の家族…‼︎

駄目だ、ローズ…ローズを…助けないと…俺の…、娘を…」

 

「お前はもう死んでる、死んでるんだ!

あっはははは、はははは!」

 

イーサンはモールデッド同然の自身の身体を何とか動かそうとするも膝を突き、手で這いずらせながら前に進む事しか出来ず最早満足に動かせぬ身体に鞭打ち再び立ち上がらせさせる。

その間もエヴリンはイーサンに死んでると言う事実を突き付けその心を、精神を、全てを抉り出す。

そうしてなんとか立ち上がりその視界にエヴリンを映しながら前へと進み出す。

 

「俺が、ローズを…必ず…助ける…‼︎」

 

「…そう、貴方の手でローズを助けるのよ、イーサン・ウィンターズ」

 

「…誰だ、お前!」

 

エヴリンの背後から光が刺しながらその方向に決意を口にしながら向かい始め、嘲笑うエヴリンを他所に視界を光で遮られながらも1歩1歩確かに歩く。

そんなイーサンとエヴリンの間に突如、イーサンがこの激動の1日で見知った顔が其処に現れ、エヴリンも驚きながらその少女を見た。

 

「…初めまして、エヴリン。

私は………E型被験体第2号、イヴ……貴女の後に生まれた、E型菌を操る者にして、大切な人達に人の心を教えられて人の道を進む者よ」

 

「なんだ、何なんだそれ‼︎

お前は、『此処』に何の権利があってやって来た‼︎

何をしに来たんだ、お前‼︎」

 

「…勿論、イーサンを呼び戻しに来たの。

私の、私達の大切な仲間を」

 

エヴリンはイヴの存在に激昂し、『此処』に来られたのが余程気に入らなかったのか、又は自身とまるで逆の道を進んだイヴへ嫉妬したのかエヴリンはイヴを指差しながら何をしに来たと叫ぶ。

対するイヴは何時もの無表情に近い冷静な顔と声でイーサンを呼び戻しに来たと口にしてイーサンをジッと見ていた。

 

「イ、イヴ………俺、俺は…」

 

「…大丈夫、今までのやり取りをちゃんと一言一句聞いていたから。

イーサン、貴方は確かにモールデッドの様な存在…ううん、E型菌に完全適応してしまった者かもしれない。

でもねイーサン、貴方には奥さんのミアが居て、娘のローズが居て、それで全部だったでしょう?

だから貴方は貴方、例えベイカー邸で1度は死んでしまっても…貴方は、私達と一緒にローズを助けようと『生きて』奮闘しているあの子の最高の父親、私達が知るイーサン・ウィンターズなの」

 

イーサンはイヴにエヴリンが告げた事を口にしようとしたが、イヴはそれらを理解しながら1度は死んだ事を受け入れながらも、それでも今までローズの為に奮闘し今もそう言う存在、ローズマリー・ウィンターズの父親であり自分達が知るイーサンであり、其処に加えて『生きて』と言う言葉を添えて今までエヴリンに抉り取られた心を埋めながら表情の見えないエヴリンと違い確かな笑顔をイヴは見せていた。

 

「イヴ…俺は、『生きて』、いたんだ…?」

 

「…うん、『生きて』る、私達と出会った時も、ローズが生まれた時も、ベイカー邸から出た時も………そして今も」

 

「違う、ソイツは死んでるんだ‼︎

もう2度と家族に会えるもんか‼︎」

 

「…ううん、生きてる。

私には、私達には聞こえる、彼の心臓の鼓動が…『人の心』がローズを助けるって訴え掛けてる事を。

だから…行こう、皆が待ってるよ」

 

イヴはエヴリンと違いイーサン・ウィンターズは生きていると話し手を添えながら、彼を見据えながら今まで『生きて』来た証を立てた事を話した。

更にエヴリンの言葉を否定し、イーサンが持つ『人の心』が大切な娘を助け出そうとすると訴えてる、その為に心臓が脈打つ事を口にしながらイーサンの手を持つと2人の身体が重力に逆らい浮いて行き更に光もイーサン達を祝福するかの様にエヴリンの背後からイヴの後ろに周り辺り一面の霧を晴らし、エヴリンの表情を…嫉妬と、何処か悲しみに満ちた表情を露わにした。

 

「ま、待て、待て‼︎

イーサン、お前、お前は‼︎」

 

「…エヴリン、お前とは最悪な記憶しか無いが………ある意味お前が居なかったら俺はミアを救えず、ローズが生まれて来なかったかも知れない。

だから……最悪過ぎる記憶の存在でしか無いが、お前を忘れない。

お前がやった事も、言っていた事も全部」

 

エヴリンは手を伸ばしながらイーサンとイヴを憎らしげに見つめるが、イーサンはその存在が悪辣で自身のトラウマでしか無い存在だが、それでももしも彼女が居なければ今が無いとして忘れない事を告げる。

それらを口にして行く中でイーサンの身体はカビ塗れの物から人間のそれに変わって行きローズを取り戻す決意に満ちた瞳でエヴリンを見つめた。

 

「…さようなら、私と同じで、真逆の道を進んでしまった可哀想な貴女。

もしかしたら私が辿る道だったかも知れない『人』………私の、『お姉ちゃん』…」

 

一方イヴはエヴリンを自身のifとして語り、だがそれでも、可哀想な存在だったとしてもそれまでは生きた『人』と呼び、そして『姉』と言う言葉で締め括り優しげな瞳でエヴリンを見ていた。

それらを見て聞いたエヴリンは様々な感情が渦巻く瞳で2人を見ながら涙を流し、イーサンとイヴを見送りながら影となり消えて行き、そして周りの風景も朝の陽射しに包まれながら消えて行き、其処でイーサンの意識は白い光に包まれながら途切れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの光景を、エヴリンの呪いの言葉やイヴの祝福の言葉を脳裏に刻みながらイーサンは目を覚ますと身体は不意に揺られ、目の前には葵とマキが立ち、横には同時にイヴが目を覚まして3人は笑みを浮かべた。

 

「アオイ、マキ、イヴ…此処は…?」

 

「漸くお目覚めですかな」

 

「デューク…?」

 

周りは見覚えが無い物がぶら下がり、更に馬の蹄の音が聞こえて何なのか気になり出した所でデュークの声が聞こえ、此処が彼の馬車の中だと気付き、葵達に視線を合わせた。

 

「いやぁごめんなさい、あの後気絶しちゃって1時間で目を覚ましたんですが、もうお姉ちゃん達が作戦準備に入ってイーサンとイヴを守らなきゃってマキさんと一緒に身構えてたんですよ」

 

「んで2人が目を覚さないで更に数時間位経過したらデュークが来て、『お2人は必ず目覚めます、なので馬車にお乗りください、行くべき場所に案内致します』って事で2人を乗せて今がある訳」

 

「そうか………なあアオイ、マキ、少し話したい事があるんだ、聞いてくれないか?」

 

葵は先ずイーサンにいの1番で謝罪し、気絶後に1時間で目を覚ましてイーサンとイヴをマキと共に守ってた事を、マキはそれから数時間後にデュークが来て4人が行くべき場所に案内すると言い馬車に乗せて貰った事を明かした。

それを聞きイーサンは安心するとイヴを1回見やり、彼女が頷くのを見ると葵達に自身が意識を失っている間にあった事、エヴリンから言われた自身の真実を告白し始めた。

 

「…てな訳で、俺は如何やらベイカー邸で死んでいて、身体はモールデッドの様になっちまってるらしいんだ。

イヴは『生きて』るって言ってくれたがな」

 

「そうですか…カール・ハイゼンベルクの言った面白い身体ってそう言う…BSAAは何処まで隠蔽してたんだか、少し怒っちゃいますね…。

あ、イーサンの身体については何も言う事はないですよ、だってイーサンはイーサンなんですから…それにしてもエヴリンが…となると深層意識に残存思念が…彼女も報われたら…ブツブツ」

 

「ふむふむ成る程、イーサンの再生力ってそんな感じだったんだ…。

でもやっぱイーサンはイーサンだし、一緒にローズちゃんを奪い返す事に変わり無しだから一緒に頑張ろうじゃん‼︎」

 

「…軽いな、アオイもマキも」

 

イーサンは意を決して話した自身の肉体に隠された真実を口にすると葵もマキも『イーサンはイーサン』と言って受け入れマキは気兼ね無く手を振れて笑顔を見せ、葵はエヴリンの存在に触れイヴを知っている為か彼女が報われたらと口にしながらBSAAへの悪態等をブツブツとしながら考え込んでいた。

それを見聞きしイーサンは2人の軽さに軽く笑みを零し、横のイヴは「ほら、大丈夫だったでしょ」と言った笑みを浮かべイーサンを見ていた。

 

「おほん、皆様のお話が済みましたら私からもお話致しましょう。

ハイゼンベルク卿とは激しい戦いでしたな、ましてやミランダまで現れるとは」

 

「最悪でしたよ、ハイゼンベルクを消したら直ぐ動くと思ってたけど彼処まで早いとボロボロになるよ本当に」

 

「…それで、俺やイヴは何れ位寝てたんだ?」

 

「もう直ぐ夜明けです」

 

4人で話に華を咲かせてると其処にデュークが入り込み、ハイゼンベルクとの激闘後にミランダが現れた事を口にすると葵は最悪と称し、マキもイヴも、そしてイーサンもアレで生き残れたのが不思議な程ミランダの力を痛感し、幾らモールデッド同然な自身の肉体を加味しても此れでは勝てないと思っていた。

しかし気絶前に現れた葵と瓜二つの女性…恐らくその女性こそがミランダが恐れた者の1人、葵の姉の琴葉茜だと思い、彼女達やクリス達で力を合わせればギリギリ行けるか行けないかと頭の中で計算し、茜達の力に期待を寄せるしか今は出来なかった。

そしてデュークが行くべき場所に案内すると言った事で今ミランダの下に向かってると思い座して待つ事にしていた。

 

「あ、それとクリスさんが渡したタブレットの画像を見て下さい。

其処に希望がありますよ」

 

「え?

…このアカネって奴、素手であのヴァルコラックとか言う狼型B.O.W.を殺してるな…レティシア家の当主は氷使い……クリス達は相変わらず強いな…此れが菌根…ん、此れはミランダの研究室…っ、ミア‼︎」

 

「うん、隊長達がミランダの研究室で幽閉されてたミアさんを見つけ出したんだよ。

そして保護した…もう1度言うよ、ミアさんは生きてる!

だからローズちゃんをミランダから奪い返すだけだよ‼︎」

 

すると葵はクリスから渡されたタブレット端末を開く様に言うと開き、画像欄を見るとクリス達の戦闘場面やBSAAとの三つ巴等の画像があったり、自分達が苦労したウリアシュの番人版の様な物とヴァルコラックを相手取り圧倒するクリス、B.Y.、茜、ヨナを見て脱帽し菌根の画像を見た後ミランダの研究室の画像、そしてミアの姿を写した画像を見て飛び上がりそうになり、マキが残るはローズを救い出すだけとなったと話し自身が諦めなかった可能性が実を結んだ事を喜び、クリス達に感謝し目尻が熱くなっていた。

 

「…所でデューク、此れは聞いても無駄だと思うけど……結局貴方は何者なの?」

 

「へっへっへっへっへ、私自身も存じかねます。

期待した答えを出せず申し訳ありませんアーク様、そして皆様。

……さあ、着きましたよ」

 

「いや、今までの武器弾薬の件諸々も含めてもう気にしないさ、助かったよデューク」

 

するとイヴが気になっていた事の1つであったデュークの正体について、期待してはいないが敢えて問うと意外な事にデュークすら自身の存在を知らないと言いこの答えに葵も拍子抜け所か更に疑問が生まれていた。

が、今まで商売とは言え此処まで助けてくれたのは事実だとしてイーサンは気にせず目的地に辿り着いた所でマキ、イヴ、イーサン、葵の順で外へと出ようとしていた。

 

「ウィンターズ様、貴方様はコトノハ様達のお陰で人の世との繋がりを繋ぎ止められましたが、この先もしもミランダに遅れを取ってしまえば人の世に戻れなくなってしまいます。

お覚悟は?」

 

「…ふっ、愚問だよ、そんなのとっくに出来てるさ」

 

するとデュークが最後の忠告としてミランダに遅れを取る=死に瀕してしまえば人の世に戻れない…エヴリンの言った様にミアやローズ達の下に戻れなくなると老婆心からか口にし、その覚悟を問うとイーサンは覚悟は出来てると言って馬車から出て聖杯の祭壇へと降り立ち、デュークのショップを4人で最後に利用し始めた。

 

「おお…此れは機械と生命のアッサンブラージュ!

ハイゼンベルク卿の鼓動を感じますな」

 

「ふっ、最後まで四貴族ソムリエありがとうな。

じゃあミランダやハイゼンベルクとの戦いで失った分の弾薬等を買って……此れでこの店も見納めになるな」

 

「はい。

ではどうかお気を付けて…」

 

「ああ、世話になったな…あっちにはメモと物資が置いてあるな」

 

デュークのショップを最後に利用した後彼から励ましの言葉を受け取った後物資の方を見ると、貼り付けられたメモ書きに『ウチ等の物資を此処に置くで、葵やイーサン・ウィンターズ達が此れを受け取ると信じて、by:琴葉茜』と書かれており如何やらクリスやB.Y.、茜とヨナがイーサンや葵が受け取ると信じて大量の弾薬等の物資を置いて行った事が書かれていたのだ。

そしてこの先に自分達を信じて待つ者が、そして斃すべき存在や取り戻すべき愛しき子が居ると確信したイーサン達はそれ等を取り祭祀場への道を見据えた。

 

「…じゃあ行くぞ、3人共」

 

「ええ、最後まで一緒ですよ」

 

「ミランダの奴へのリベンジマッチと行こうじゃないさ‼︎」

 

「…必ずローズを取り戻そう、『皆』で!」

 

そしてイーサンの掛け声と共に葵、マキ、イヴは菌根蠢く砦を走って行き、そのまま祭祀場に向かおうとした。

しかし、その行く手を阻む為に菌根から幽鬼が這いずり出てイーサン達の前に立ちはだかった。

 

「邪魔をするな!」

 

「相手をしてる暇なんか無いんですよ‼︎」

 

「もう私等は止めらんないよ‼︎」

 

「…処断する‼︎」

 

イーサン達はモールデッドの特性を同時に思い出し、この幽鬼達はドミトレスク城の犠牲者、そのコピーであるとして一気に処断する選択を取る。

イーサンは2丁拳銃で全身を撃ち抜き、、葵は蹴り、マキはパンチで石橋の下へ落として行きイヴはカビ剣で頭から胸までを斬り裂いたり首を切断したりと容赦無しに倒し、遂に石階段を登り菌根を力尽くで開くと其処には見間違える訳の無い存在、ミランダが佇んでいた。

 

 

 

 

 

「ああ可愛いエヴァ…私の愛しい娘。

さあ出ておいで…」

 

ミランダは儀式の最終段階を終え、聖杯を特異菌で満たし自らの力を込めてエヴァの名を呼びそのカビの海から我が子を呼び起こそうとしていた。

そして、そのカビの海からローズの肉体が完全に復元された『赤子』が現れる。

 

「エヴァ…おまえなのかい。

ああ!

何れ程会いたかったか」

 

ミランダはその『赤子』をエヴァと呼び抱き抱え上げると歓喜に満たされ、100年以上抱いた悲願が今此処に達成されたと心の底から喜んでいた。

………だが此処でミランダに異変が発生する。

 

「何だ?

……あ、あぁ!

私の力が奪われて行く!」

 

ミランダの目から血涙の様にカビの液体が流れ始め、自身の力が急速に『赤子』に奪われて行く事を察知し始めた。

そう、儀式は失敗に終わったのだ。

此処に居る赤子はエヴァでは無い、聖杯で復元され、更にミランダの力を奪い始めたローズなのだ。

そしてミランダの背後から人の気配がし始める…イーサン達が丁度この時に来たのである。

 

 

 

 

「ローズ!

ミランダ‼︎」

 

イーサン達はミランダに向けて銃を構えて陣形を取り、威嚇し始める。

すると葵はミランダの目からカビの液体が流れている事に気付き、更にイヴはミランダの力が急速に弱まって行き、逆にローズの力が強まるのを感じ取っていた。

イヴは間違い無くローズがミランダから力を奪い出していると察し、此れなら自分達だけでも勝ち目が出始めだと思い始めていた。

 

「ちっ、邪魔者共めもう来たか!」

 

「さっさとローズを返せ!

早く‼︎」

 

「小賢しい、今度こそ息の根を止めて…」

 

『ズダァァンッ‼︎』

 

「今だ、ローズを‼︎」

 

イーサンは勘からミランダは今は自分達を相手取る暇は無いと感じ此処ぞとばかりにミランダを威嚇し、ローズを離す様に命令し始める。

一方ミランダはイーサンの要求等呑む気は無く、儀式に失敗したなら再び執り行えば良い、邪魔者は消すと言う思考からイーサン達の息の根を止めるべく動こうとした…そのタイミングでミランダの右側頭部に銃弾が命中し血飛沫が上がる。

更にその方向からクリスの声が聞こえ、イーサンは直ぐ様ローズを奪い返し抱き抱えた。

だがミランダはそれすらも無視してローズをイーサンの手から奪おうとしていた。

 

「くっ、この、離せ‼︎」

 

「この時を夢見て生涯を費やして来たのだ…なのにそれを奪おうと言うのか?

この子は…誰にも渡さん…」

 

「ミランダ、貴女の娘は生き返る事が無かった、その意味を考えなさい‼︎」

 

ミランダは血涙の様なカビの液体を流しながら自身がこの時の為に何れ程の時を費やしたかと身勝手な理論をぶつけてイーサンの手からローズを奪い取ろうとする。

その瞬間葵が何故エヴァが生き返らなかったのかそれを考えろと叫び、イーサンに手を貸してローズをミランダの手に奪わせない様に動き出す。

 

「黙れ…子供も居らぬ小娘如きが…‼︎

ふん‼︎

我が大願が成される時が来たのだ!」

 

「くっ、止めろ‼︎」

 

『ローズは、この私のものぉぉぉぉ‼︎』

 

しかし子供が居ない、ミランダからすれば小娘な葵がそれを説いた事が逆鱗に触れたのか、菌根を操り2人を振り払うと同時に自身とローズを菌根の中へと取り込ませて行き明らかに変異体へとなる様子が見て取れた。

それと同時に周りの地形も菌で埋め尽くされ、簡単に援護が入れない状況になってしまう。

 

「如何なっている⁉︎」

 

「ごめんなさい、私が逆鱗に触れてしまったみたいです…‼︎」

 

「…イーサン、アオイ、ミランダはローズに力を奪われた状態にあるよ!

つまり、今こそ勝機があって、ミランダからローズを奪い返せる千載一遇のチャンスだよ‼︎」

 

「成る程だから必死になってローズを…情報ありがとうイヴ‼︎

さあイーサン、葵、私達全員の手でミランダからローズを奪い返すよ‼︎」

 

イーサンが動揺する中で葵がこの状況を作り出した事を謝罪しながら銃を構える。

するとイヴがミランダがローズに力を奪われた状態にあり、今こそローズを取り戻す逆転のチャンスが訪れたと話す。

それを聞いたマキはミランダが葵の言葉に逆鱗を抱いたのは間違い無いがそれ以上に焦っていると判断し、『全員』でミランダを処断しローズを取り戻そうと鼓舞を入れるとイーサン達は一斉に立ち上がり銃を構える。

そうして蠢く菌根が消え、中から翼を生やした神々しくも禍々しい、身体が結晶の様に白くなった変異ミランダが現れる。

そして今此処に、村を訪れてから為る戦いの最終決戦の火蓋が切って落とされるのであった。




此処までの閲覧ありがとうございました。
イーサンの真実にイヴが介入し、精神感応で深層意識からイーサンを呼び戻しました。
更に葵達もイーサンはイーサンと割り切りローズを取り戻すだけだと話してミランダにまで辿り着きました。
次回はいよいよ今作のVILLAGEシナリオの最終決戦となります。
変異ミランダとの決戦をお待ち下さいませ。

次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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