BIOHAZARD【V+α】   作:”蒼龍”

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皆様こんばんはです、第23話目にして今作のVILLAGEシナリオ最終回となります。
お気に入り登録者様も50人以上、閲覧数も12000を超え自分として満足する作品になりました。
では長々と前書きを書くのも無粋なので本編へどうぞ。


LAST EP『全ての終わり、そして…』

イヴは葵達の静止を振り切り菌根本体にアクセスを開始する。

しかし葵が予測した通り、イヴの脳に重大なダメージが発生し始め、菌根本体にアクセスなどこのままでは不可能であった。

 

「うぅ……クリスやイーサン、アオイ達が頑張ったんだ!

私だって、私だって…頑張らなきゃいけないんだ‼︎」

 

だがイヴはそれでも菌根本体へのアクセスを止めず脳に直接菌根が分解、吸収して来た者達の情報全てが流れ込む。

そして意識ネットワーク下のイヴの身体が焼き切れ始め、これは現実世界でも脳が焼き切れ始めている事を表していた。

だがイヴは止めない。

葵が、イーサンが、皆が命を懸けてミランダを打倒しローズを取り戻したのだ。

ならば今度は自身が命を賭す時だと考え、菌根へのアクセスを続けた。

 

「うっ、く、ぅぅぅぅぅ‼︎」

 

しかし現実は非情な物か、E型被験体のイヴではこの情報量は受け止めきれない、情報の嵐に意識を引き千切られ菌根を漂う1意識になってしまうのだ。

にも関わらずイヴはまだ止めるつもりは無い………全てはイーサン達の活路を開く為であるのだから。

 

「くっ、うぅ、うぅぅぅ………?」

 

そうして情報の嵐に意識隊の身体が焼き切られ掛けた…正にその時、イヴの手を引く小さな白い手が菌根の情報全てを受け止め、イヴへの道を開いていた。

そしてその小さな手の存在を抱く男の姿もあった。

そう、今まで傷付き戦いローズを取り戻したイーサン・ウィンターズであった。

 

「イヴ、この真っ黒な嵐は何なんだ⁉︎

それにお前の身体、かなり焼き切れてるぞ、まさかこれが菌根本体の情報とアクセスの代償なのか⁉︎」

 

「…イーサン………て事はこの小さな手は………うん、ありがとう。

後は『2人』で行けるから………」

 

イーサンは身体が漂う中でこの黒き嵐が菌根本体にある全ての情報と仮定し、今のイヴの状態が菌根へのアクセスの代償と悟り彼女の心配をしていた。

一方イヴは自分に襲う情報の嵐は無くなり、後は真っ直ぐ道を進むだけになりその小さな手…ローズに後はイーサンと2人で行くと語り、次にイーサンの手を取り前へと漂い始める。

 

 

「お、おいイヴ大丈夫なのか⁉︎」

 

「…うん、ローズが私達に道を示したから…。

さあ行こう、菌根の中にあるエヴァの意識の所へ…」

 

「ローズが…?

そう言えば俺は何でこんな所にと思ったが、ローズが連れて来てくれ…うっ⁉︎」

 

イーサンはイヴの身を案じ続けると、そのイヴはローズが道を示したからと話し、此処で漸くイーサンも自身が何故此処に居るかを理解して抱いていたローズを見やる。

その時ローズの身体が光に包まれ、黒き嵐が全て消え去ると同時にイーサンは眩い光に目を瞑り、少し経ち目を開くと其処はあの村であり、エレナやレオナルド達が楽しく日常を謳歌する光景が見て取れた。

 

「レオナルド…エレナ…皆、こんな風に村で日常を………」

 

「…さあイーサン、行くべき場所は1つ。

さっきからローズがずっと示してる場所………共同墓地へ行こう」

 

イーサンはエレナ達が楽しく雑談し合い、作り過ぎた食事のお裾分けすらしていた村社会で良くある光景を目の当たりにして目尻が熱くなる。

それはイヴも一緒であり、しかし自分達には行かねばならない場所があると話し、ローズが先程から精神感応で示してる場所………共同墓地へと2人で走り、周りの村人にぶつからない様に向かう。

すると、共同墓地の一角に座り込む10代の少女の姿がイーサン達の目に映り、そしてその子こそが本能的にミランダが愛して止まなかった娘、『エヴァ』だと悟る。

 

「…お前がエヴァ、なのか?」

 

「…貴方達は誰?

またママが菌根の糧にしてしまった人なの?」

 

「…違う、私達は菌根にアクセスして貴女に接触しに来た者。

私はイヴ、貴女のお母さん程じゃないけど特異菌を操れる者。

そして此方はイーサン・ウィンターズ、実世界で…ミランダを終わらせた人よ」

 

イーサン達はエヴリンに何処か似た少女のエヴァに話し掛けると、彼女はミランダがまた菌根の糧にしてしまった被害者だと誤認するが、イヴから説明がありイーサン達は被害者では無い、ミランダを終わらせたものだと聞くとエヴァは目を見開き、同時にやっと悲劇が終わりになったのだと思い泣き崩れていた。

 

「ウィンターズ…そう、貴方がローズのパパなんだね…良かった…もうママは、村人や貴族さん達を実験に使ったりする事の無い、私と同じ眠りに就いたんだ……ありがとう、イーサン、イヴ……」

 

「いや、俺達2人だけじゃ無い、他にも仲間が居たからこそミランダを終わらせたんだ。

だが、今奴は菌根に溶け込んで菌根本体を操って俺たちに迫って来てるんだ」

 

「…そんな、ママは、未だ諦めてないの…⁉︎

私は、誰かを犠牲にして蘇りたく無いのに未だ…‼︎」

 

エヴァはイーサンが儀式に使われたローズの父親なのだと知り、更にイヴはミランダの様な存在だが彼女の様な狂気は無く、寧ろ人間と何ら変わり無く、更に口振りからイーサンと共にミランダを終わらせた事を悟りただありがとうと口にする。

しかしミランダは未だ諦めてないと知るとその表情は曇り、自身の考え…誰かを犠牲にしての蘇生は望まない事を口にする。

それを聞いたイヴはエヴァの手を握り、彼女の目を見ながら立たせて会話を続ける。

 

「…だから貴女の意志が必要なの。

エヴァ、今から私達に付いて来て。

貴女の言葉で、意志で、ミランダを止めるのよ。

今菌根と意識が融合したミランダなら、貴女の言葉で止まる筈だから…!」

 

「無理よ、今までだって菌根の中からずっとママに話し掛けても言葉が届かなかったんだから…‼︎

今更私の言葉が届くなんてあり得ない…‼︎」

 

「やってみなきゃ分からないだろエヴァ!

もう一度言うがアイツは菌根と意識が融合した状態なんだ、つまり1番菌根に近い状態にあるって訳だ。

だったらダメ元でもう1度お前のママに、お前の意志を伝えるんだ、その口で!

そしてミランダを止められるのはもうエヴァ、お前だけなんだ!

頼む、俺達に付いて来てくれ‼︎」

 

イヴやイーサンはエヴァに今のミランダを止められるのは彼女だけと説得し何とか付いて来させようとする。

しかし彼女もまた百年もの間菌根内部よりアクセスして来るミランダにその所業を止める様に叫び続けたが無意味で、無力化に支配された状態にあった。

しかしイーサンは諦めず説得をし続け、ミランダを今止められる可能性があるのはエヴァだけだと力強くハッキリと告げ、俯くエヴァを奮い立たせようとしていた。

 

「…エヴァ、ミランダは百年もの間孤独を感じ、埋める事が出来なかったと言ってた。

つまり貴女に執着して心は狂い果てた、けれども貴女を求めるその姿は………相容れない敵だったけど、自分の子を救いたい母親だったよ。

だから、今なら貴女の言葉で止まる、絶対に………だから、一緒に来て」

 

「エヴァ、菌根の所為で何もかもがイカれちまったが、それでも最後に全てを正しい方向に変えるチャンスが巡って来たんだ。

だから頼む、一緒に来てくれ!

でなきゃ俺の娘がアイツの手に掛かっちまう!

自分本位で頼むのは申し訳ないと思ってる、だけど家族の為なんだ…頼む‼︎」

 

イーサンとイヴはエヴァの説得を更に続ける。

此処がエヴァに訪れた最後のチャンスなのだと、自分本位である事を語りつつもエヴァが立ち上がらねば全てを止めらぬ、エヴァこそが暴走したミランダを止める最後の希望なのだと小さな体の彼女の意識に刻み付ける。

それ等を聞いた上でエヴァは最初こそ俯いていたがイーサン達の話を聞いた事で頭を上げ、何かを決心したかの様にイーサン達に1つ問い掛けを行う。

 

「本当に、私がママを止められるの?」

 

「…うん、止められる。

そうでないとミランダは母親である事を放棄した生体兵器でしか無くなる」

 

「…その話をしたって事は、来てくれるんだな、エヴァ?」

 

「………うん、ママの所に行く」

 

エヴァがイーサン達にミランダを止められるかを尋ねるとイヴが確信めいた発言をし、イーサンも改めてエヴァに目線を合わせ、付いて来るかを尋ねるとエヴァは肯定すると同時にイーサンとイヴの手を握る。

そうして2人はミランダの意識体の居場所にまで行くのみとなり、2人はエヴァの歩幅に合わせて歩き始める。

イーサンは直感から、イヴはローズの精神感応により分かった居場所…この菌根の意識ネットワーク内の祭祀場に向かい出す。

そして門を開けると、ドス黒い水の様な菌根の記録の塊がイーサン達を襲う。

 

「…っ…‼︎」

 

「くっ、此れは…エレナ達の記憶…‼︎

それにミランダの意志が混ざった物…なのか⁉︎」

 

「…大丈夫、ローズが守ってくれてる。

さあ行こう、全てを終わらせに…」

 

エヴァをイーサン達が庇うと菌根の中に溶けたエレナやルイザ達、更に四貴族達の記憶とミランダの黒き意志が混ざり合い濁流の様にそれが襲い掛かるが、イヴがローズが3人を守っていると答え、歩き始める。

するとイーサンの左手には小さなローズの温もりが確かにあり、それがこの濁流を掻き分けているのを目にしつつ右手でエヴァを離さない様に歩き出す。

そして聖杯の祭壇から石橋を渡る頃には濁流の勢いも強まり、ミランダの激情が伝わり始めるがそれでも3人は止まらず、遂に此方側の祭祀場へ辿り着く。

 

「ウィンターズ、ウィンターズ‼︎

ローズを、エヴァの器を寄越せぇぇぇぇ‼︎」

 

「………イーサン」

 

「…ああ。

ミランダァ‼︎」

 

イーサンとイヴはエヴァを庇いながら暴走し、ドス黒い意識体となったミランダを目撃する。

それを見たイヴはイーサンに声を掛ける様に促すと、イーサンはミランダに対して叫び出す。

するとミランダは驚きながら振り返り、イーサンとイヴを目にする。

 

「ウィンターズ、失敗作…⁉︎

そうか、ローズの力でこの場まで来たか…‼︎

ならば話は早い、ローズを寄越せ、我が愛しきエヴァの器を‼︎」

 

「その執念だけは褒めてやるよミランダ!

だがな、お前は今菌根の中に居るんだ、なら会うべき人間が1人居る筈だろ!

それを忘れたのかお前は‼︎」

 

「何だと…?」

 

イーサン達を目撃したミランダはローズが此処まで運んだと即座に判断し、イーサンに対してローズを渡す様に要求する。

だがイーサンは食い下がりながらもこの菌根の中でミランダは1番に会うべき人物が居る事を指摘し、ミランダが眉を顰めた瞬間、2人は1歩左右に移動してエヴァの姿をミランダの目に映す。

するとミランダの激情とも言うべきドス黒い濁流の勢いが緩やかになり始め、更にミランダはエヴァに向かって走り2人を退けて抱きつく。

 

「ああエヴァ、私のエヴァ…‼︎

どんなに会いたかったか、どんなに求めたか…‼︎

あぁ、エヴァ………もう少し待ってておくれ、直ぐにでもローズを手にしてそれから」

 

「ママ………もうおしまいにしよう?」

 

「…えっ?」

 

ミランダはエヴァに抱きつきながらこの邂逅を待ち侘びた事を口にしながら、更にローズを手にしようと口にしてイーサンを警戒させたが、エヴァが一言…終わりにしようと口にした瞬間ミランダは呆けながらエヴァを見ていた。

それは百年もの妄執をたったひと突きで崩す残酷で、娘の切なる願いであった。

 

「エヴァ…けど、ママはお前の為に」

 

「私は…もう死んだの。

だからもうそれ以上は求めてなかったの。

でもママは私を蘇らせたいから菌根で実験を繰り返した…何度も、何度も。

私は、望まなかったの…確かにスペイン風邪で死んじゃったけど、それが運命だったの。

だから………もう終わらせよう?

私とママはもう菌根の中で会えた、それでもう終わろうよ…私の大好きなママ…」

 

「あ、あぁ、あぁ……エヴァ…そんな、私は、ぁぁ、あぁぁぁ………‼︎」

 

ミランダはエヴァの為と口にしたが、エヴァ自身がそれを否定しつつ自身の死が運命だった事を語り、そして菌根の中で巡り会えた事で全て終わらせようと口にした。

それらを聞きミランダは涙を流しながら地に膝を突き、自身が築いて来た物全てが崩れ去る音を聞きながらエヴァの大好きなママと言う、こんな化物になってなお大好きと言う娘の愛にミランダは遂に敗北を認めてしまいイーサン達への敵意が消え去り、ドス黒い意識体も普通の意識体に戻るのだった。

 

「………」

 

「イーサン、イヴ、ローズ、ありがとう…私とママは此処で終わるから、後はお願いね…」

 

「…ああ、菌根を爆破して全てを終わらせる。

だから…アンタ等はゆっくり眠れよ…」

 

イヴは黙りながらその妄執の終わりを目に焼き付ける。

するとエヴァがミランダに抱きつきながらローズを含むイーサン達にミランダと自身は『此処』で終わると告げる。

それを聞いたイーサンは菌根を爆破して終わらせる事をエヴァ達に告げ、更に眠れと告げた瞬間エヴァ達から光が差し、イーサンとイヴの意識はローズの手引きで菌根の中から消えて行く事を感じながら目の前が白一色となるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イーサン、大丈夫かイーサン⁉︎」

 

「はっ、クリス!

そうか、菌根の中から戻って来れたのか…ありがとう、ローズ…!」

 

「イヴ、イヴ‼︎」

 

「…大丈夫だよアオイ、マキ、アカネ、ヨナ………さあ此処から離れよう、もう全部終わるから」

 

そうしてイーサン、イヴの意識は現実世界に回帰し、イーサンは抱き抱えたローズを撫でてあやし、イヴは全て終わる事を葵達に告げて菌根を見つめる。

すると菌根の動きが止まり、まるで自制するかの如くぷるぷると揺れながら暴走が抑制され始める。

 

「此れは…イヴの算段は成功した訳ね、クリスさん、皆さん早く離脱を‼︎」

 

「ああ、全員離脱しろ‼︎

イーサン、行くぞ!」

 

「ああ……さよならだ、村の皆…」

 

葵は菌根の動きからイヴがやろうとした事が成功したと判断し、クリスに離脱を促すとクリスも離脱判断を即座に出しイーサンを伴い走り始めた。

そしてそのイーサンは村人達に別れを告げると駆け出し始め、ハウンドウルフのケイナイン達が確保したBSAAの輸送機まで全力で駆け抜ける。

すると輸送機が見え始め、其処には確かにミアの姿もあった。

 

「ローズ、イーサン‼︎」

 

「ミア、ローズと俺は無事だ‼︎

さあローズを!」

 

輸送機内のミアもイーサン達の姿に気が付き、イーサンとローズの無事を確認するとイーサンからローズをそっと渡され、抱き抱えるとイーサンもミアに抱きつき家族の再会を喜ぶ。

そんな中クリス達7人も走りながら輸送機に入り込み、パイロット席の隊員に指示を出し始める。

 

「出せ、離陸しろ!」

 

『此方きりたん、後は皆さんの離脱で作戦は完了です、早くして下さい』

 

「ふう、ウチ等に被害は多少あれど全員生存で離脱か…何とかなるもんやな」

 

きりたんからの通信も入り、この村にはもうクリスやイーサン、葵達しか残っていない事を告げる。

そしてケイナインが後部シャッターを閉じて機体が離陸し、イーサンとミアが座ってベルトを締めるとクリスは手に持った起爆装置を敢えてイーサンに渡し、全ての終わりを彼の手に付けさせようと考えていた。

 

「…此れでお仕舞いだ、本当にな」

 

『カチッ!

ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ‼︎

 

「……悪夢の1日は此れで幕引き、ですね」

 

イーサンはクリスの意図を理解し、爆破しても問題無い距離になった所で起爆装置のスイッチを押し、N2爆弾が爆発して村毎菌根が吹き飛ぶ。

葵は窓から村を見ながら全てが終わった事を口にし、溜め息を吐きながらマキ達と親指を立ててグッドサインを出し、天井を見ていた。

 

「隊長、デルタ1、オメガ小隊、これを見てくれ!

BSAAが寄越したのは兵士じゃない、B.O.W.だ」

 

「っ、奴等何を考えてる…」

 

「…コネクションへの機密情報漏洩、ミランダをわざと刺激する様なウィンターズ家のこの国への移住措置、そしてB.O.W.使用…もう間違い無い、BSAAは俺達の知る組織では無くなった…‼︎」

 

そんな中ケイナインがある座席に座らせたBSAA兵士をクリス達に見せると、それは人間では無くタイラントに近いタイプのB.O.W.であり、B.Y.は、否、クリス達全員は今までの事とこの生体兵器使用が決定打となりBSAAの闇をその目で目撃する事になった。

此れには葵達も憤り、特にクリスとマキとB.Y.は腑が煮え繰り返り、その目に怒りの色を宿していた。

 

「隊長、指示を」

 

「チーム全員を集めろ、BSAA欧州本部へ向かう!

…ツケを払わせてやる」

 

「デルタチーム全員へ、ハウンドウルフに同行しお礼参りへ行くぞ‼︎」

 

クリスとB.Y.は即座にBSAA欧州本部へ向かい全てのツケを払わせようと指示を出し、ケイナインや通信機越しのデルタチーム全員は同意し連絡を取り合い次の行動を決めていた。

その中で仁王立ちする茜に葵達の視線が集まって行き、そして茜も決心が付いた目をしながら通信機を取る。

 

「きりたん、此方オメガ1。

BSAAの決定的な国連法違反事項を見つけたし。

動けるチーム全員をBSAA欧州本部へ向かわせるんや………A.B.F.を舐め腐った事を後悔させたるわ」

 

『了解です、全戦闘班をBSAA欧州本部へと向かわせます。

…私達もクリスさん達と一緒にお礼参りをしてやりましょう』

 

「…決まりだね、じゃあイーサン達は途中で安全な場所に降ろしてそれから殴り込みを」

 

茜も腹を括り、BSAAがB.O.W.使用を看過出来ないと現場判断をしA.B.F.総出でこれを糾弾しに行く事を取り決める。

きりたんもそれに怒りに満ちた声色で同意し、葵はイーサン達ウィンターズ家を途中で降ろしてから行こう…そう口にしようとした瞬間イーサンはシートベルトを外すとクリスの前に行き、真剣な表情で葵達も予想は出来た、しかしそうして欲しく無い一言が口に出される。

 

「待ってくれ皆、俺も行く」

 

「イーサン⁉︎」

 

「ミア、BSAAが俺達をこんな目に遭わせる様にしたならローズの父親として、ミアの夫としてしっかりとツケを払わせてやらなきゃいけないんだ。

だから分かってくれ、もうBSAAにこんな事をさせない様に一度殴り込みに行かないとまた同じ事が繰り返される。

そんなの俺には許せない。

だからクリス、B.Y.、アオイ、マキ、イヴ、アカネ、ヨナ、頼む…俺も行かせてくれ!」

 

イーサンはミアの夫、ローズの父としてBSAAへ殴り込みに行きツケを払わせてやらねばならないとミアに告げ、ローズを見た後にクリス達を見据え自身を同行させる様に頼み込む。

クリスはそれを聞き、見て断ろうと勝手に付いて来る気でもあり、それでも義理堅く頼み込んで同行許可を得ようとしていると感じ葵達を見るが、肝心の葵達も同じ事を思ってたらしくお手上げポーズを取り、クリスは溜め息を吐きながらイーサンの肩に手を置く。

 

「…なら無茶はするなよ、折角拾った命なんだからな。

こんな事で失ったら俺はミアにもローズにも顔向け出来なくなる」

 

「ああ、無茶はしないさ…ローズが元気に大きく育ってくれるまで見守る為にもな」

 

クリスはイーサンの父親としての態度に折れ、無茶をしない代わりに同行許可を下ろし、イーサンはローズが元気に育ち自分達から羽ばたくその時まで見守る為にそれを飲む。

 

「じゃあイーサンはまた私達とフォーマンセルを組んで無茶せず必ず生きて帰りましょうね、ミアさんとローズちゃんの下に」

 

「ああ、勿論だアオイ」

 

そして葵、マキ、イヴがイーサンに近付き、村でのフォーマンセルを組む事を取り決めイーサンも同行する事が決定事項となった。

それ等を見ていたミアはイーサンが無茶をしないと言う言葉を出した為それを信じ、再び自分達の下に帰って来る事を祈りながらローズをあやしていた。

こうしてイーサン達の乗った輸送機は朝日に照らされながらBSAA欧州本部へと向かい始め、この先にまた戦いがあるがその朝日は彼等の正義感を祝福するかの様に照らしながら空へと昇り始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから幾許か時が経ち、1人の10代半ばのミリタリージャケットを着た少女が黒い絵本をベンチに座りながら読んでいた。

その本のタイトルは『Village of Shadows』、内容は母親と共にベリーを摘みに来た少女が母親から離れ森で迷子になり、4体の怪物達に誘われ森の奥へと進んで行き最後は魔女の手により呪いで鏡に閉じ込められ、しかし少女の両親が助けに来て父親は戦い、母親は愛の力で鏡から少女を救い出し、父親は魔女との戦いで犠牲となり母親は父親の叫びにより少女を抱き抱え森から離れて行き、そして焼け落ちた森は父親の犠牲を思い起こさせ少女は今でもベリーを摘みに行く悪夢を見ると言う物であった。

 

「………でも、絵本通りにはならなかったね…父さんは帰って来た、絵本の怪物も魔女も倒して…」

 

しかし少女は現実では絵本通りの内容にはならなかった。

自身の父…イーサン・ウィンターズは魔女=ミランダや怪物=四貴族達を倒した上で生きて帰り、自分が成長するまで見守ってくれた。

そして現在はクリスの所属する組織とA.B.F.の監視下に入り、日々回って来る任務を熟していた。

そして絵本を閉じた後、指に填めた指輪を見つめた後、黒い車が来たのを察知し立ち上がり運転手のエージェントが降りた車まで歩いて行く。

 

「君の出番だ。

頼むぞ、『エヴリン』」

 

「っ、2度とその名前で呼ばないで‼︎」

 

するとエージェントはジョークなのか、それとも何か意図があるか分からないがローズをエヴリンと呼び彼女の神経を逆撫させ、ネクタイ毎首根っこを引っ掴まれてしまう。

それには流石にエージェントも巫山戯過ぎたと感じたのか直ぐに弁明を口にし始める。

 

「おいおいただの冗談だろ、ローズ?」

 

「クリスも知らない『力』をアンタで試してやっても良いんだよ?」

 

『ウィィィィン』

 

「はいローズストップ、この人には後で言っておくから此処は私の顔を立てて抑えて、ね?」

 

「……ふぅ…」

 

『ドン!』

 

ローズはクリスが把握していない自身の力を此処で試しても良いと口走り完全に一悶着が起きようとしたその時、後部座席の窓ガラスが開き中に居た『青髪の女性』がサングラスをズラしながらウィンクをし、その場を収めようとする。

その女性………ローズを常にサポートし、ウィルスに完全適応の力でB.O.W.を屠り、老化が20代で止まってる琴葉葵の義理立てに免じてエージェントの首根っこを離し車に向かって押しながら助手席へと向かい始める。

 

『何時でも撃てるぞ?』

 

「待機してろ、問題無い。

只のガキだ」

 

「オメガ16からも待機で。

別に良くある喧嘩程度ですから。

それに乙女心が分からないブラックジョークの所為ですから」

 

其処に不意に通信が入りローズを撃てると話してるとエージェントは彼女を只のガキと言いながらネクタイを直し、葵はローズ側の味方に回ってる為かエージェントのブラックジョークの所為と言いエージェントの肩を竦めさせ、葵は笑みを浮かべながらツーンとエージェントの視線を流していた。

 

「未だコントロール出来ない…」

 

「…ゆっくり、焦らず感情を静めれば良いよ。

貴女の味方は少なくとも此処に2人居るから」

 

助手席に座ったローズは未だ自分の感情面のコントロールに難があると愚痴る。

それを後部座席に座っていたもう1人の女性…E型被験体第2号であり、保全薬の量を減らし普通の人間と同じスピードで老化する様にルナ達に頼み込んだ20代前半の姿になったイヴが座って居り、その直ぐに昂る感情を抑えるのは焦らなくとも良いと言い、横で葵が手を振り味方は2人は此処に居る事を示しローズに彼女達には勝てないと思わせる大人の女性らしい冷静さを見せていた。

 

「やれやれ、男の俺は肩身が狭いよ。

…そう言えばローズ、彼に似て来たな」

 

「…ふっ、知ってる」

 

そうして味方してくれる人が居ないエージェントは肩身が狭いと軽口を叩きつつ、ローズに彼、イーサンに似て来たと話す。

するとローズは笑顔を見せてただ知ってると答え、自分を命懸けで救った最高の父親を誇りに思う素振りを見せていた。

そしてそれは、後部座席に座る2人や今は此処には居ない弦巻マキや琴葉茜達にも同じ感情を向けており、葵達はそれを知ってる為こそばゆく感じてはいるが悪くは無く、今もローズの身を案じる両親の為に彼女の力になろうとより一層葵達はこれから向かう任務に向けた算段をエージェントが走らす車の中で頭に組み立てて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わりウィンターズ邸のソファにて、イーサンはローズの身を窓を見ながら思案していた。

其処にミアがコーヒーを注ぎイーサンの前に置き話し掛け始める。

 

「イーサン、ローズは大丈夫かしら?」

 

「…大丈夫さミア、ローズにはクリスやアオイ達が付いている。

それに…」

 

ミアはローズが心配でイーサンに大丈夫かと案じる言葉を掛けるが、当のイーサンは自身の命を救い、更にローズを救うのに尽力した葵達にクリスが側に居るから平気だと口にしながらコーヒーを飲み始める。

…その身体はミランダ達との戦いでのダメージで既に緩やかな崩壊が始まっており、イヴの力でも延命不可能な、保って残り数年の命であるが、そんな身体でもローズの事を心配するよりも信じる方に感情をシフトさせていた。

何故なら葵達が側に居るだけで無く…。

 

「なんたってローズは俺と、ミアの自慢の娘なんだからな。

ミランダ以上の怪物が現れたって元気で帰って来るさ」

 

「…ふふ、そうね」

 

それはローズが自慢に思う最高の父親として、ローズを信じているからこそであり、そして何より親バカとも取れる娘への全幅の信頼があるからこそ発せられた言葉であるからだ。

それを聞きミアも同じ感情を抱き、イーサンの隣に座り手を重ね合わせながら窓からの日差しを受けつつ自分達の自慢の娘の帰りをゆっくり待つのであった。

残りの命をローズの帰りを待つ父親として使い尽くすと決めながらその友人達の訪問も、何時来ても良い様にしながら空を見上げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BIOHAZARD【V+α】

 

EPISODE OF VILLAGE【The story of a great father】

 

ーーENDーー




此処までの閲覧ありがとうございました。
イーサンはあの戦いでのダメージによりローズが原作エピローグの姿になるまで見守った後余命は数年となりました(イヴの力でも延命措置が出来ない)。
しかし今作のイーサンはそれでも満足しながらローズの帰りをこれからもミアと共に待つ事になるでしょう、娘の意思を尊重しその上で葵達が来るのも拒まない最高の父親として。
さて、BSAA殴り込みやローズがあの姿になったのは何年経過したかについてですが敢えて暈しました。
理由はVILLAGEのDLC次第で話が変わる為です。
しかし今作のBSAAは多分無事では済まないでしょう、同じ国連組織に認定されたA.B.F.がB.O.W.運用を目撃し、葵や茜達含む動ける全戦闘班やマキ達が動いたのですから…。

では長々となりましたが此処までのお付き合い、誠にありがとうございました。
DLC次第でそのシナリオも書いてみようと思いますが今作は取り敢えず此れにて完結と致します。
最後に感想、指摘をお願い致します。
それでは皆様、重ね重ね閲覧ありがとうございました!
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