琉球エージェントの死遊戯紀行   作:アヤ・ノア

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章吾、有栖、和也、孝司のターン。
ウチのオリキャラがホラーらしからぬ変わった名前なのは、私の趣味です。


23 女の子には弱い?

 四人はともかく、他に出口がないか探す事にした。

 着替えを終えると、章吾達は店を出た。

 結局、和也はカウボーイハット、孝司は鉢巻きをつけたままだ。

(どうやら、気に入ったみたいね)

 移動には、スポーツショップで調達しておいた、インラインスケートを使う事にした。

 靴底に縦一列に車輪がついている。

 ちなみに有栖は浮遊していたが、歩くより遅かったため、すぐに歩きにした。

 がらんと静まり返ったショッピングモールに、車輪の音が響く。

 鬼に見つからないよう、注意して走る。

「他の買い物客達は、どうしたの?

 たくさんの買い物客達が、みんないなくなったのはどうして?」

「……いや、多分逆なんだ。誰かが俺達を閉じ込めたんだ。

 あの日、小学校から逃げ出した俺達を狙って、誰かが……」

 章吾は無意識に、胸元に手をやっていた。

 

 ランニングシャツの上から着けたゼッケンを握り締める。

 走っていくと――調子っぱずれな歌声が響いてきて、章吾達は顔を見合わせた。

屋根よぉりい たぁかぁい 鬼のぉぼぉりいい!

 大きいぃまごいぃはぁ 鬼いさぁんん!

 滅茶苦茶な音程と酷い歌声は、聞き覚えがある。

 

「――いやっ。来ないでっ」

 小さな女の子が、走って逃げている。

 その後ろを、蜘蛛のような脚と牛の頭を持った鬼……牛鬼が、歌いながら追いかけている。

「あの音痴鬼っ! ここにもいたのかよっ」

「どうしよう!」

「任せろ」

「行くわよ、章吾!」

 章吾はデイパックからゴルフクラブを取り出し、構えた。

 有栖は、精神を集中し、章吾の身体能力を一時的に上げる。

 あっという間に女の子と牛鬼の間に滑り込む。

 牛鬼が爪を伸ばしてくるのをかわして跳び上がり、グルッと半回転して着地する。

「はぁっ!」

 背後を取ると、超能力も合わさり、力いっぱいゴルフクラブをフルスイング。

ギエエエエエエェェッ

 悲鳴を上げて、牛鬼は倒れ込んだ。

 章吾はキュッ、とブレーキをかけた。

 和也と孝司が追いついてきた。

 ぜぇぜぇ息を切らしている。

「……金谷君、以前インラインスケート、やってたの? 凄い速さだね」

「ジャンプできるとかすげーな。オレも以前練習した事あるけど、難しくてできなかったぜ」

「……いや? 見るのも初めてだ。やれるかなと思ってやったら、できただけだ」

「流石は私の弟ね」

「それより、女の子は?」

 辺りを見回しながら、章吾は答えた。

 和也と孝司が顔を見合わせた。

「へええ」

「ほぉぉ」

「そうですかぁぁ」

「初めてですかぁぁ」

 章吾の頭をぐりぐりし始め、有栖はケラケラと笑った。

 女の子は少し行ったところにある鉢植えの陰に、膝を抱えて隠れていた。

 恐らくは、まだ小学校にも上がっていない年齢だ。

 アニメキャラクターのシャツにスカート姿。

「ここで何をしてるの?」

 有栖が声をかけても、顔をあげない。

「保護者は? 今、このショッピングモールは危険なのよ。

 さっきみたいな鬼がたくさんうろついてるわ。あなたはすぐに捕まって食べられるわよ」

「……おにーちゃん……」

 女の子は呟いて、ようやく顔を上げた。

 ぽろぽろと、涙を流している。

「まあまあ、泣いちゃダメ! お姉さんが助けるからね」

 女の子は有栖の服の裾を、ぎゅっと握った。

 泣きながら、おにーちゃん、おにーちゃん……と繰り返している。

 有栖はテレパシー能力を使い、女の子の気持ちを覗いた。

 その後、説得を繰り返し、女の子を泣き止ませた。

 

「まったく、テレパシーだけでも疲れちゃうわ」

「……お疲れ様、有栖」




この世界の章吾は、姉がいるという設定です。
だから、こういう子には弱いんじゃないかな、と描写しました。
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