琉球エージェントの死遊戯紀行   作:アヤ・ノア

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7巻の始まりの始まりです。
この回の主役の阿藍は、それなりにまともな「大人」を目指しました。


7章 さよならの地獄病院
67 休日出勤


 病気の母のお見舞い中、手術の成功が難しい事を知った章吾。

 それに対し、一人の少女はある悩みを抱えていた。

 

「……章吾……」

 その少女の名前は、金谷有栖。

 彼女は最近、双子の弟・章吾の様子がおかしい事に悩んでいた。

 いつもなら素直に乗るはずなのに、最近は有栖の言う事を無視している。

 超能力を使いたいところだが、弟の心を覗き見する事は、彼女にはできなかった。

 姉として、どう接すればいいのか、有栖は悩み続けていた。

 

「私、章吾の気持ち、もう少し理解したいのに……」

 有栖は章吾の気持ちを理解したいが、超能力を使うのはためらった。

 不思議な力で解決するのは、力ずくだと思ったからだ。

 しかしそれでも、子供だけでは解決ができない事も、有栖は知っていた。

 

「そうだわ、あの人なら……」

 有栖は意を決して、携帯電話を使った。

 

「おや?」

 その電話がかかって来たのは、数分後の事だった。

 阿藍が携帯電話を手に取ると少女の声が聞こえた。

 

―すみません、私の弟を助けてください。

 

 電話はそれだけ言うと、ぷつりと切れた。

 阿藍は不審な電話だと思っていたが、明らかに切羽詰まった声だった。

 今日は任務がないし、ずっとこの島にいようと思った。

 だが、少女の声が聞こえた以上、エージェントとして助けないわけにはいかなかった。

 

「……分かった。すぐに出撃する。……良いですか、司令官?」

「任務は無いが、行くのか?」

「誰かが困っていましたので……」

「鬼が関わるのであれば、許可しよう」

 エージェントの役目は、あくまで鬼を倒す事。

 それ以外は基本的に我関せずというスタンスだが、鬼が関わるなら糸村一は許可するという。

 IQ600の彼は、先の先を読んでエージェント達に指示を下す。

 今回もまた、鬼が関わるのだろうと読んだのだ。

「子供に鬼の手が及ばないように、我々が手を下すしかないのだ。単独では無力だからな……」

 大翔達は超能力などの特殊な力を持たない。

 だから、鬼に襲われたら、何らかの手を打たない限りすぐに食べられてしまう。

 エージェントはそんな鬼を倒すために、超能力を使って戦う戦士なのだ。

 

「……では、行ってきます」

 そう言って、阿藍はテレポートを使い、沖縄県から桜ヶ島に転移するのだった。

 

「本当に、彼一人でいいのですか?」

 阿藍を見送った麻麻は、一にそう言った。

 一はただ何も言わず、口を閉ざしたままだった。

 

 光の超能力者は、少女を助けるために奮闘する。

 だが、その“影”に鬼がいるという事は、まだ誰も知らなかった。

 

「鬼がいるなら……必ず、倒す」

 

 章吾は鬼に魂を売ろうとしていた。

 果たして、阿藍は彼の姉の力になれるのだろうか。




ハーメルンの最低文字数が1000文字なので、pixiv版とはちょっと異なります。
「短い文章での連続投稿はサーバーに負担がかかる」との事ですが。
〆る時はちゃんと〆るのですね。どこぞの誰かさんと違って。
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