琉球エージェントの死遊戯紀行   作:アヤ・ノア

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9巻編スタートです。
真実を知ったエージェントは、それでも任務を続行します。


9章 狙われた地獄狩り
75 狙われた狩人


 射的ゲームのルール

 ①射手は、鬼一匹と人一人。

 ②それぞれ二射して、マトを撃ち抜いた数の多い方が勝ち。

 ③マトとの距離は、鬼と人の話し合いで決める。

 ④「マトとなるもの」と「マトの置き場所」は、鬼と人が片方ずつ決める。

 ⑤不正を行った場合は、即負けとする。

 ⑥この「不正」に、能力は含まれない。

 

 桃鬼と和解した四人は、沖縄県の島に戻ってきた。

 織美亜は司令官の一に、今回の出来事を報告した。

「……まさか我らの力の源が、鬼だったとは」

 司令官は淡々とした様子で言った。

 鬼が由来であっても動じないのが司令官である。

「そうです。桃鬼は私達を拉致し、力を与えました」

「しかも、鬼でありながら、子供は守る対象だ」

 子供の肉を嫌い、それどころか守ろうとしており、

 しかも同族を倒すために織美亜達に力を与えた。

 鬼の特徴に「当てはまらない」彼女は、まさしくイレギュラーそのものだ。

 そして、エージェントがルールを破れるのも、桃鬼がイレギュラーだからなのだ。

 少し難しい顔をする一だったが、しばらくして、うむと頷いた。

 どんな真実も受け止めろと言ったのは彼だからだ。

 

「たとえ、力が鬼に由来しても、我ら琉球エージェントは鬼を倒すのが使命じゃ」

 毒を以て毒を制す。

 琉球エージェントの使命は、ただそれだけなのだ。

 

「では、次の任務だ」

 車椅子に乗りながら、一は四人のエージェントに任務を言い渡す。

「叉鬼を止めろ」

「その鬼は、どこにいるのですか?」

「ここにおる」

 そう言って、一は四人に地図を見せる。

 どうやら、叉鬼は桜ヶ島の森の中にいるようで、そこには四人の子供も向かっているらしい。

「子供がいるならば、直ちに救援に向かえ。鬼がいるならば、直ちに討伐せよ。

 よいか、時に情を捨てる事も必要じゃ」

「優しさを捨てる事……」

 子供にはそれができないかもしれないが、自分達はとっくに子供を卒業している。

 だから、敵への情は捨てなければならない、と司令官は忠告しているのだ。

「我らは子供を蔑む事はせぬが、敵には一瞬だけでも情を捨てよ。

 それこそが……強さというものじゃからな」

「……はい」

 エージェントの代表、織美亜は小さく頷いた。

 果たして、子供は一の考えを理解できるだろうか。

 

「では、ゆけ。叉鬼を必ず止めるのじゃ」

「かしこまりました」

 そうして、エージェントはテレポートで、目的地の森に向かっていった。

 エージェントを見送った車椅子の少年は一人呟く。

 

「儂の考えは正しかったと信じておる。

 何故なら、あの子供は、情を捨てられるほど成長していないからな……」

 桜ヶ島の子供より年下の少年は、能力により知能指数が常人を遥かに上回る。

 だが、冷徹になる事は、果たして成長したと言えるだろうか。

 冷徹な少年は、まだ、そこに気づいていなかった。




これを読んだ時、子供特有の甘さを見て少し複雑な気分になりました。
そうでなければ今の世の中は生きられない、と思いましたから。
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