とりあえずデュエルしようぜ!   作:るくは

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第9話 意外ッ!!それは―――

「…えっと、俺達は……」

 

「張り紙を見てきたんです!強いデュエリストに格安で部屋を貸してくれるって。それで、ここの大家さんに詳しい話を聞こうと思って…」

 

 

突然の事に少々フリーズしてた俺の代わりに、御坂ちゃんが声の主に事情を伝えてくれた。

それを聞いて声の主は、俺と御坂ちゃんを交互に見比べ、少し考え込むような表情をした後

 

 

「…OK、とりあえず続きは中で聞こう。ついておいで」

 

 

そう言って、目の前のドアを開け中に入っていく。言われるがまま、俺達もその後に付いて行きながら、部屋の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

部屋に入った俺達は、そのままリビングのソファまで通され、そこで詳しい話をする事にした。

 

 

「さて……まずは自己紹介から始めようか、私の名前は秋山早苗。ここの大家をやってるよ」

 

「俺は関口達也と言います、そしてこちらが……」

 

「御坂美琴です」

 

「関口君に御坂ちゃんね、分かった。では次に君達がここに来た詳しい話を聞こうか」

 

 

そして俺はここに来るまでの経緯を話し、秋山さんの返事を待った。ついでに、ここいらで俺にも大分余裕が戻ってきたので、秋山の姿を改めて見てみる。

歳は、20代後半といった所だろうか?とりあえず、俺よりは確実に年上なのは間違いない。容姿は腰まで届く長い黒髪に整った顔立ち、背も俺より高く見た目はまるでモデルか何かのようである。

ちなみに最初会った時、少しドキっとしてしまったのは内緒である。佐天ちゃんといい、俺は黒髪美人に弱いのだろうか??

そんな事を俺が考えていると、秋山さんが話しだした。

 

 

 

「ふむ……なるほどね。しかし、募集をかけてこんなにすぐ………まぁいい、では詳しい説明をしよう。まず部屋についてだが、それはここの最上階にある4つの部屋の内の1つ…部屋の規模は、4LDKほどかな」

 

 

4LDK……1人で住むには十分すぎるほどのデカさだな。しかしそれだと幾ら格安とはいえ、家賃は………。

 

 

「次に家賃についてだが……君が本当に強いデュエリストならば、タダでいいよ」

 

「へっ………タダ!?」

 

 

思わず聞き返してしまった。隣の御坂ちゃんも、流石に驚いた様子である。

 

 

「ああ。ちょっとした理由で、強いデュエリストを探していてね…それに協力してくれるというのなら、家賃についてはタダで何時まで居てもらっても構わない」

 

「その理由とやらを、聞いてみてもいいですか?」

 

「いや……その前に、君が本当に強いデュエリストか確かめさせてもらいたい」

 

「……分かりました」

 

 

俺はデッキを取り出し、デュエルの準備を始める。しかしこの後秋山さんの口から発せられた言葉に、俺は驚く事になる。

 

 

「まぁ待ちたまえ、何も確かめる方法はデュエルとは言ってないだろう?確かめる方法は……これだよ」

 

 

そう言って秋山さんが取り出したのは……プリントと筆記用具?まさかコレって……

 

 

「君のデュエリストとしての資質を見極める方法……それは筆記テストだよ」

 

 

 

 

 

「ちょ……ちょっと、筆記テストって…そんな物でほんとにデュエリストの強さが測れるの?普通にデュエルした方が早いじゃないっ!」

 

 

その意外な方法に今まで黙って話を聞いていた御坂ちゃんが動いた。俺もまったく同意権だ。デュエリストの実力を見るなら、デュエルをするのが最も手っ取り早いはず。なのに何でこんな方法を?

 

 

「残念ながら相手がいないのさ。私はこのカードゲームに関しては、素人に毛が生えた程度の知識しか持ってないのでね。まぁだからこそ、強いデュエリストを探してたのだが……」

 

 

そういって肩を竦めて見せる秋山さん、更に言葉は続く。

 

 

「しかし、それでは希望者が出てきたとしてもそいつが強いデュエリストか調べる術が無い…そこで知り合いに相談した所、この問題をある程度解けるデュエリストならそこそこの実力があるだろうとのことでね、だからこの方法を取ったとそういうわけさ」

 

「な…なるほど」

 

 

理由は何とか理解した。けど筆記試験って………俺はテストとかそう得意じゃないぞ?本当に大丈夫だろうか…

そんな俺の苦悩はいざ知らず、話はどんどん進んでいく。

 

 

「さて、ではさっそく始めようか関口君。制限時間は40分、問題は全部で10問、1問正解で10点、まあ合格点は80点以上…つまり、2問以上間違えたら失格だ。何か質問はあるかい?」

 

「いえ……大丈夫です」

 

「分かった……では早速始めるとしよう」

 

 

そして俺のデュエリストの器を図るため、筆記試験がスタートした。

 

 

 

 

 

 

第1問

 

永続罠カードのスペルスピードは?

 

 

1.スペルスピード1     2.スペルスピード2

3.スペルスピード3     4.スペルスピード4

 

 

 

なんだよ…大分身構えてたけど、この程度の問題ならそう悩むことなくいけそうだな。

答えは2番のスペルスピード2っと♪

さて次は………

 

 

第2問

 

次のカードの内、ダメージステップに発動できないカードはどれか?

 

 

1.オネスト        2.コアキメイル・ガーディアン

3.月の書         4.神の警告

 

 

 

これも簡単な問題…答えは3番の月の書だ。

基本、ダメージステップで発動可能なカードはモンスターの攻撃力・守備力を増減させる効果を持つカードと、カウンター罠だけだからな。まぁ多少の例外もあるけど。

さっさと次の問題に行こう。

 

 

 

その後似たような問題が続き、俺は難なく問題を解いていった。しかし、問題が起こったのは7問目の問題だった。

 

 

 

第7問

 

現在存在するモンスターの種族の種類はいくつか?

 

 

1.20種類         2.21種類

3.22種類         4.23種類

 

 

 

そんなの覚えてるわけねーよ!!

参ったな、当てずっぽうに書くしか……けどこのテストは合計2問までしか間違えられねえし……

迷っても仕方ないか、ここは2番の21種類にしておこう。時間制限もあるし、ここで時間を食ってる訳にはいかない。

 

 

 

第8問

 

相手プレイヤーが「魔宮の賄賂」を発動し、自分が「神の宣告」をチェーンして発動しました。それに対し、相手プレイヤーがチェーンして「盗賊の七つ道具」を発動した場合、状況はどうなる?

 

 

1.相手プレイヤーはLPを1000払う                 2.相手プレイヤーはLPを1000払い、自分はLPを半分払う

3.相手プレイヤーはLPを1000払い、自分はカードを1枚ドローする   4.相手プレイヤーはLPを1000払い、自分はLPを半分払い、カードを1枚ドローする

 

 

随分ややこしい話だな。だがさっきのような問題に比べれば、解くことが出来る分嬉しいけど。

まずはこの場合、無効化されずに効果が発動する「魔宮の賄賂」の効果である「相手プレイヤーはカード1枚ドローする」効果は発動するため自分はカードを1枚ドローすることが出来る。

更に無効化されたが、「神の宣告」のLPの支払いがコストであるためこのコストも払う事になり、結果相手プレイヤーはLPを1000払い、自分はLPを半分払い、カードを1枚ドローする事になるはず…!

答えは4番だな。

 

 

 

第9問

 

自分が「氷帝メビウス」を召喚し、効果が発動。それに対し相手はチェーンして「スキルドレイン」を発動し、更に自分がチェーンして「激流葬」を発動した場合、「氷帝メビウス」の効果はどうなるか?

 

 

1.適用する        2.適用されない

 

 

よしっ!この手の問題なら得意分野だ。スキドレは良く使うカードだからな!

スキドレの効果は、効果解決時にフィールド上に存在しないモンスターの効果は無効化することが出来ない。つまり、「激流葬」の効果でスキドレの効果解決時にフィールド上に存在しない「氷帝メビウス」の効果は問題なく発動できる。

よって答えは1番の発動するだ!

さて…次がいよいよ最後の問題だな。一体どんな問題が出てくるやら………

 

 

 

第10問

 

 

ダメージ計算時に発動出来ないカードは次のうちどれか?

 

 

1.お注射天使リリー    2.トラップ処理班 Aチーム

3.禁じられた聖杯     4.窮鼠の進撃

 

 

なるほど、コイツは面倒だ。ダメージ計算時の処理は、色々曖昧な所があったりするし……

とりあえず効果の中に思いっきりダメージ計算時って明記がされてた「お注射天使リリー」は確実に発動できるはず。残るは3つだけど……どうだったかな。

すでに制限時間は35分経過、残り5分。

……!そういえば、「窮鼠の進撃」に似た効果を持ってる「プライドの咆哮」はダメージ計算時の明記があった気がするな。だとすれば、「窮鼠の進撃」も発動できる可能性がある。これで候補はあと2つ!

だがもう時間が無い。こうなったら…………勘だっ!!答えは2ッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

「…よし、40分経った。これでテストは終了だ」

 

「…よろしくお願いします」

 

 

俺は、プリントを秋山さんに手渡した。

 

 

「では、私は向こうの部屋で採点してくるから、君達はここで待っていてくれ」

 

 

そう言って秋山さんはリビングを出て行った。はぁ……何とか終わった。

秋山さんが居なくなったタイミングを見計らって、御坂ちゃんが声を掛けてくる。

 

 

「それで手ごたえはあったの?」

 

「まぁまぁかな……幾つか危うい所もあったけど、たぶん大丈夫だと思う」

 

 

最初の方にケアレスミスが無ければの話だけど。

 

 

「ふ~ん……そっか。とりあえずお疲れ様!」

 

「…ありがとさん」

 

「でも秋山さんが言ってた強いデュエリストを探してる理由ってなんなのかしら?」

 

「ん~……デュエリストが必要って事は、誰かとデュエルさせるためじゃねえの?」

 

 

て言うか、それ以外の理由が思い浮かばん。

 

 

「それはそうだろうけど…でもあれだけの部屋をタダで貸す条件で代役のデュエリストを立てるつもりだって事は、相当重要なデュエルって事よね。そんな事をする理由って……」

 

「ふむ、重要なデュエルか…ここの土地を狙った地上げ屋相手の土地権利を掛けた勝負…とか?」

 

「そんな訳無いでしょ!一体何時の時代の話よ!?」

 

「でっすよね~」

 

 

そもそもそう言った金を掛けた勝負は、麻雀でケリを付けるって相場が決まってるしな…勝手な偏見かもしれないけど。

しっかしだとしたら一体なんだ?御坂ちゃんの言うとおり、これだけデカい餌をぶら下げてるんだから、それなりに重要な話である事は間違いない。その理由は一体……

そこまで考えて俺は考えるのを止めた。そもそもまだ合格かどうかも決まってないのだ、ここで色々考えても仕方ない。

すると丁度部屋のドアが開いて、秋山さんが戻ってきた。どうやら採点が終わったらしい。はたして合否の結果は…!?

 

 

「お待たせしたね…さて、テストの結果だが……」

 

「け…結果は!?」

 

「………100点満点中80点」

 

 

80点…ボーダーラインは80点以上だから、それはつまり…!!

 

 

「…と言う事は」

 

「ああ、筆記試験は合格だよ。」

 

「よしっ!!」

 

 

俺は思わず、その場でガッツポーズを取った。これで、この世界の懸念だった衣食住の住は悩まなくて住みそうだ。

 

 

「…まぁ良かったじゃない。けど、合格点ギリギリってアンタどれだけ……」

 

「突破したんだから言いっこ無しだぜ御坂ちゃん。世の中勝てば官軍って言うだろ?」

 

 

しかしこうなって来ると気になるのは、秋山さんの頼みごとだ。一体どんな事を頼まれるのか、非常に気なる。

俺がその事を聞こうとした瞬間、秋山さんの声に俺の質問はかき消された。

 

 

「おめでとう関口君、これからよろしく頼むよ。さて、とりあえずこれが君の部屋の鍵だ。これから先、好きに使ってくれて構わないよ」

 

 

そう言って、鍵を投げよこしてくる秋山さん。俺はそれを何とかキャッチしつつ、ふとした疑問を口にする。

 

 

「…どうも、こちらこそよろしくお願いします。けどいいんですか?いきなり鍵なんか渡しちゃって」

 

 

普通なら、幾らタダとはいえ賃貸契約等を結んでから渡すものなのではないだろうか?

住民票等を持ってない俺としては、ありがたい話ではあるのだけど。

 

 

「構わないさ、これでも人を見る目はあるつもりだからね……」

 

 

しかし俺の質問は、この一言でバッサリと切り捨てられた。まぁいいか、俺としても助かる事には違いないし。

そうして俺は、この世界の「家」を手に入れることが出来た。とりあえずは落ち着く場所を手に入れることが出来たという安心感も束の間、それと同時に、俺の心の中の不安も少しだけ大きくなった気がする。

最初は夢だと思っていたこの世界。夢じゃないと分かった後でも、何だかんだで現実感は希薄だった。けど、自分の居場所が出来てしまったら…もう認めるしかあるまい。

これは紛れも無い現実で…元の世界に戻る方法なんて見当も付かなくて…俺は何時か、ちゃんと元の世界に帰れるのだろうか?

秋山さんや御坂ちゃんと笑顔で話しながら、俺の心の中ではそんな不安が、確実に大きくなっていった。

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