とりあえずデュエルしようぜ!   作:るくは

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第8話 良物件を探せ!

所変わって第七学区某所

 

俺と御坂ちゃんは、マンションめぐりを開始した。

 

 

 

1件目

 

 

「ふむ、2LDKで日当たり良好……それで家賃は月4万?なんだコレ、思いっきり曰く付き物件じゃねえの??」

 

 

何せここはどこぞの片田舎ではなく、あの学園都市なのだ。国の首都と比べても遜色ない…いや、寧ろ上回ってさえいるぐらいの都会っぷりだ。ならば、2LDKぐらいの部屋なら家賃も最低10万以上はするものだと思っていたのだが、ここに提示されている金額は、その半分にも満たない。

何か裏があるのではないかと勘ぐってしまうのも仕方あるまい。

そんな俺の純粋な質問に対して、御坂ちゃんは淡々と答えてきた。

 

 

「そう?大体この辺じゃ、それぐらいが相場なんじゃないの?」

 

「…どういうことさ?」

 

「ここエリア第七学区は比較的庶民的なエリアと、高級感が強いエリアの2つが同居してるのが特徴なんだから。ちなみに言わなくても分かると思うけど、こっちは庶民的なほうね」

 

「ふ~ん、庶民的…ねぇ?」

 

 

普通、1人暮らしで2LDKは庶民的よりちょいランク上な気がするけど。

ただ、学園都市の人口は学生だったはずだし、高校生がバイトして何とか工面出来るよう学園都市側からある程度の支援があるのかもしれないけどさ。

 

 

「ともあれ、2LDKってのは魅力的だな……もうここでいいんじゃない?」

 

 

そんな感じで御坂ちゃんに伺いを立ててみた俺だが、何やら御坂ちゃんの表情が曇っている。どうやら気に入らない様子だ。やはり幾らお嬢様とはいえ、月4万の出費は痛いのだろうか?

まぁこちらはお金を出してもらう側だし、文句は言えまい。最悪、1Kとかでも生きてはいけるしな。

そう思い、俺から御坂ちゃんに声を掛けようとした瞬間、俺の声は御坂ちゃんの声にかき消された。

 

 

「ここはあんまり良くないわね、まぁ候補はまだまだあるし次の候補を見に行きましょう。次のは、私としては中々オススメな物件だし」

 

 

やはりここは贅沢すぎるか。ともあれ御坂ちゃんのオススメかぁ……一体どんなところやら。

 

 

「了解、じゃあ1つ御坂ちゃんのオススメとやらを期待しようか」

 

 

そうして俺達は、次の候補の部屋へ向かった――――

 

 

 

 

2件目

 

 

「……………」

 

 

俺は、目の前の光景に唖然とした。

御坂ちゃんが2件目に紹介してきた部屋は、先ほどの庶民エリアではなく高級エリアの方のマンションだったのだがそこはもはや、高級とか言うレベルの話ではなかった。

いかにもって感じの高級感溢れる外観。正直、ここは本当に日本なのかと疑いたくなるね。

更に、部屋の方も外に劣らずの豪華っぷりだった。てか、部屋の中に当たり前のように置物やら絵画が飾ってある………コイツを売ったらいくらぐらいになるんだろ。

しかし、御坂ちゃんはそんな雰囲気にまったく飲まれる事無く部屋を粗方見て周り、そして一言。

 

 

「ふ~ん……まぁまぁね。ねえ、ここでいいんzy」

 

「ちょっと待てぇーーーーーー!!!!!!」

 

「っ!?……なによ、ここじゃ気に入らない訳?仕方ないわね…じゃあもう少し広い部屋を…」

 

「ちっっっげぇーーーよ!!!!!」

 

 

あれだわ…お嬢様マジ舐めてたわ………こんな豪勢な部屋をポンっと借りようと思えるなんて、一体どんだけ金持ちのお嬢様なんだよ!?

てかココより広い部屋ってどんな部屋だよ、ここでも6LDKだぞ!?

んでここの家賃は……月60万!?…嗚呼、頭痛くなってきた。

 

 

「うっ……じゃあ何が不満なのよ?」

 

「いや、不満とかそういうのじゃないんだけどさ…いくらなんでも俺には分不相応すぎるっつーか…」

 

「…?」

 

「それに何れ安定した収入が見込めるようになったら、家賃は自分で払うわけだからな。流石に月60万の家賃は払えるとは思えん」

 

「そう……まぁアンタの住むとこだしね、アンタが嫌なら仕方ないわね」

 

 

やれやれ、この子はちゃんと俺の言ってることを理解してくれているのだろうか?   してないだろうな、たぶん。

しっかし、それなら何で御坂ちゃんはさっきの部屋が気に入らなかったんだろう?こんな豪勢な部屋借りられるなら、家賃の話じゃないんだろうし………はて、よく分からん。

 

 

「とりあえず、家賃は最低10万以下。最良で4~5万ってとこら辺がいいな」

 

 

1件目の物件を見る限り、庶民エリアの方ならこの条件化でならそこそこいい部屋を探せそうだしな。

 

 

「10万以下ねぇ……う~ん……」

 

「やっぱ、1件目の部屋でいいんじゃないの?そこそこの広さで家賃も手ごろだし、良物件だと思うぜ」

 

「あそこは……駄目よ。遠すぎるし」

 

「……?」

 

「やっぱこっちで何とか探してみるしか………ホラ、次に行くわよ!」

 

「お……おう」

 

 

そして御坂ちゃんは、さっさと次の物件へと歩いていった。それに慌てて着いて行く俺。

 

 

 

そこから数箇所の物件を見て回った俺達だが、あまりいい物件を見つけることが出来なかった。正確には、「片方が良い物件だと思ってももう片方が不満」っといった感じで双方納得に至らなかったと言うのが正しいのだが。

俺としても借りてもらう側だし、そう文句を付けるのは気が引けるのだが…いくらなんでも御坂ちゃんの挙げる候補物件がむちゃくちゃ過ぎる。

今まで挙げた候補の中でも最低家賃30万……これはとても住めない。ちなみに、御坂ちゃんが挙げてくる候補は何故か高級エリアの物件ばかりである。

どうしてそこに拘るのかは分からないが、恐らく御坂ちゃんは俺のために色々考えてくれた上での判断なのだろう。

 

 

「むぅ……ここも駄目か。そろそろ候補が無くなって来たわね」

 

 

そう言って、項垂れる御坂ちゃん。その姿を見ていると、此方としても大変申し訳ない気分になってくる。

まさか、昨日ぽっとでで会った人間にここまで親切にしてくれるとは………いくら感謝してもしたりないねぇ。

 

 

「ゴメンな、御坂ちゃん。俺のために一日中歩き回らせちゃってさ」

 

 

そうして俺は、深く頭を下げ御坂ちゃんに謝った。今の俺が出来る、精一杯の感謝の伝え方だ。

それを見た、御坂ちゃんはバツが悪そうに顔を背け、俺にこう言った。

 

 

「っ……やめてよね、別にそんな事させたくて私もやってる訳じゃなないんだから。それよりそろそろ夕方近くなってきたし、さっさとアンタの住むとこを決めちゃいましょ」

 

「……ありがと。それじゃあ急ごうか!」

 

「ええ」

 

 

よし……それじゃあ物件探しを再開しようか!

俺がそう思った矢先に、ふと俺の目が近くの電柱に貼ってあった1つの貼り紙にとまった。こいつは………!

 

 

「?……どうかした??」

 

 

いきなり固まった俺を不思議に思い、御坂ちゃんが俺に声を掛けてくる。

その御坂ちゃんにも分かるように、俺は貼り紙を指差し御坂ちゃんにこう言った。

 

 

「見てみなよ……コレ、今までで一番の良物件じゃないの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数分後、俺達はとあるマンションの前に立っていた。

場所としては、庶民エリアとの境近くの高級エリア。しかし、ここも一応高級エリアの内だ。それを表わすように、このマンションの作りも比較的豪華なものと言える。

 

 

「ここ……だな、あの貼り紙の物件」

 

 

高さは恐らく7階建て。外から見た感じだと部屋自体の総数はそう多くなさそうだが、その分1つ1つの部屋はかなり広そうだ。

そう…先ほどの貼り紙に書いてあったのは、ここのマンションの入居者募集の案内だったのだ。どうやら高級エリアに拘っている御坂ちゃんも、ここなら文句あるまい。

 

 

「なるほどね……ここならまぁ確かに、妥協点ね」

 

 

よし、案の定御坂ちゃんも納得してくれたようだ。

これで、目標の第一段階はクリアー。後は、家賃の問題だが………そこはあの貼り紙に書いてあった特記事項が解決してくれた。

 

 

「いや~……もっと早くここを見つけれてれば良かったんだけどな。「特記事項 腕の立つデュエリストならば格安料金で部屋をお貸しいたします」……まさに俺のためにあるような条件だ!」

 

 

突然飛んできた幸運に舞い上がる俺。

しかし、御坂ちゃんは俺とは対照的に怪訝な顔をしていた。

 

 

「…けどおかしいわね。私が調べた時は、こんな物件の情報無かったはずだけど」

 

「急遽募集なんじゃねえの~?」

 

「…だとしたら、随分とタイミングのいい話ね」

 

「まぁ、美味い話には罠がつきものだし少しは警戒した方がいいとは思うけどさ。それにしたって、話を聞くだけでも行く価値はあるだろ」

 

 

それになりより、俺をピンポイントでだまそうと考えている人間なんてそう居るわけがない。なぜなら俺は、この世界の人間ではないのだから――

人に恨まれるようなことはまだしたこと無いと思うぜ…たぶん。

 

 

「…そうね仮に怪しい連中だとしても、適当に片付けて警備員(アンチスキル)か風紀委員《ジャッジメント》に突き出せばいいし」

 

「あはは……いやはや優秀なボディガードがいて助かるよ。それじゃあいっちょ行って見ますか」

 

 

 

そして俺達はマンションの中に入る。マンションの中も比較的豪華で、入って早々だだっ広いロビーが続いていた。ともかく入居希望を出すにしても、まずは大家さんと話をしなければ始まらない。そこで俺達は、適当な会話をかわしながら大家さんを探す事にした。

 

 

「それにしてもこの手のマンションってのはオートロックが基本だと思ってたけど、そうじゃないとこもあるもんなんだな」

 

「まぁ防犯面は確かに優秀だと思うけど、それも完璧じゃないし。なにより不便な事も少なからずあるからじゃないの?」

 

「ああ、防犯面の穴ってのは聞いたことあるな。確か「共連れ」って奴だろ?居住者や来訪者の後ろから何食わぬ顔で一緒に進入するって言う……」

 

 

オートロックだからって油断してたら元も子もないってね。俺としてはあってもめんどくさいだけだし、無いでもまったく困らない。

 

 

「それにロック解除の番号を忘れる人とかもいるんじゃない?」

 

 

まぁ私だったら絶対忘れないけどね。 っと補足しつつ御坂ちゃんがつぶやく。

俺のはどうだろう……大方、忘れないようにロック解除の番号を紙か何かにメモっておいて結局その紙を無くすってとこかな。

…自分で考えてて何だか落ち込んできた。

 

 

「あっ…ここじゃない?大家さんの部屋!」

 

 

どうやら大家さんの部屋は、俺が落ち込んでいる間に御坂ちゃんが見つけてくれたらしい。

周囲には他にドアは無く、たった一つのドアの横には「御用の方は呼び鈴でお知らせ下さい」と書いてある貼り紙と呼び鈴。多分間違いないだろう。

 

 

「流石御坂ちゃん。頼りになるねぇ~」

 

 

「別に…褒めたって何もでないわよ」

 

 

そう言って、そっぽを向く御坂ちゃん。本当に分かりやすい子だ。

ともあれ、部屋が見つかったのは行幸だな。さっさと大家さんを呼び出すとするか…しかし、ここの大家さんってどんな人なんだろう?とりあえず、あんな条件をだしてくるってことはある程度デュエルモンスターズについて知ってる人なんだろうけど。もしくは、本人もデュエリストとかな。

色々考えつつ、俺が呼び鈴を押そうとした瞬間、いきなり背後から声を掛けられた。

 

 

「お前等……ここに何か用?」

 

 

声に驚いて俺達が振り向くと、そこには口調とは裏腹にトテモキレイなお姉さんが立っていた。

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