中年指揮官と零細基地の日常   作:へなころ

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とりあえず、第一小隊帰任しての簡単な後始末回ですね。
R-14基地の復旧が優先されるので、R-15基地は後回しになりました。
パーティーも合わせて延期ですね。

読んでくださる皆様のアクセスが励みになっております。
頑張ります。



33.商売のセンス

R-14基地の襲撃の探索を終えた第一小隊とアストラ、スカウト、ウェルロッドはR-15基地へ帰任していた。

本社部隊への引き継ぎ、会社の幹部への説明、I.O.P.技術者への未知の感染症の経過説明。それに伴う書類の提出などなど、とにかく後始末が多く帰って来たのは結局深夜だ。R-14基地の探索以上に時間を取られた。

 

(PPS-43の一時診断結果など色々聞きたいことがあったのに)

帰ったら指揮官にも報告かと思ったら、

「ご苦労様。大変だったろう。今日はもう寝て明日の朝全員で司令室に来てくれ」ですって。

スケベなところはいただけないが、こんな風に人形の気持ちを汲んでくれるところは好感が持てる。

人形を道具にしか思はない指揮官は案外多い。というかそれが普通の感覚らしいが、やはりきちんと部下として見てくれるだけで何もかも違う。私たちは使い捨ての道具じゃないのだから。

 

・・

・・・

・・・・

『おはよう。朝一から呼び出してすまんな』

 

「おはようございます。指揮官」「まずは昨日の報告からさせて頂きます」92式が昨日報告予定だった内容説明を始めようとするが・・・

 

『あー、ウエイトウエイト。今回の件は内容が内容なんでお偉方にも聞いてもらうわ』

ナイルはそう言って映像通信をG36Cに頼み接続する。

相手は本社のヘリアントスとI.O.P.の研究部門のペルシカリアが三者通話に現れる。三者三様に適当に挨拶を済ます。

『とりあえず両名は話を聞いているだけだから、あまり気にせず普通にいつも通りやってくれ』

 

・・・・

92式が自身の視覚(記録映像)を交えながら説明を進めていく。

R15基地の探索、メンテナンスルームでの出来事、司令室内外の惨状。特にM1911とのやりとりなどを分かりやすく説明していく。

 

『なるほど・・・しかし説明がまるで敗北の反省じゃないか。緊急任務成功なんだからもっと胸を張って成果を説明しないと。部下が可哀想だぞ』

ナイルがこめかみを掻きながら言う。どちらかと言うとヘリアントスへ伝わるように言っているのだろう。

 

「指揮官・・・R-14基地の惨状を考えたら、とても任務成功なんて言えません!」鬼気迫る顔で涙を浮かべて92式は訴える。

「「・・・・」」ヘリアントスもペルシカリアも特にコメントはない。ナイルの対応を見ているようだ。

 

『R-14基地の陥落はお前のせいではないだろう。だから今回の仕事には胸を張っていい』

『逆に胸を張ってもらわないと周りが困る』(ヘリアントス(上司)の前だし特に俺がね。)

 

「指揮官、私は納得がいきません。あんな酷い所業をした敵を許せません。私たちの手で破壊(敵討)してみせます」

R-14基地で散っていった指揮官と人形の無念を晴らすのは自分達なんだと気を込める。

 

『・・・・・』92式の言葉を受けてナイルが真顔に変わる。

『92式、その感情は今すぐ捨てろ。敵討、復讐といった思いは百害あって一利無しだ』

『その敵と相対したときに撤退や時間稼ぎが最適な選択だったとしても、復讐の感情により撃破に拘ってしまったりする。つまり判断を誤る可能性があるからだ』

『そして最も厄介なのが上司や部下に最良の判断が下せているのか?と疑念が生じる点。任せて大丈夫か、信じて大丈夫か、その様な疑念が作戦やチームワークのレベルを下げてしまう』

 

「分かりました。以後気をつけます」顔も緩み多少の笑顔も出てきた。

説明に納得がいった様だ。気持ちにも多少余裕ができたようだ。

 

・・・・

『ヘリアントスさん、ペルシカリアさん、なにかありますか?』お偉方にも会話をふっておく。

ヘリアントスは特に何もないとのこと

ペルシカリアはM1911確保の状況を事細かに再確認している。まあ報告についての詳細確認程度であるが。

 

「ペルシカリアさん、PPS-43の診断結果はどうでしょうか」92式がずっと聞きたかったらしい。

 

「昨日の今日だから一次診断となるけど、まあ問題はないだろうね」

喰いちぎられた腕の症状から即効性のウイルスと推定しているが現状変化無しであること、簡易診断で異常無しなことからであると。

「念のため擬似体液の全交換を行い詳細分析を行う。これで問題無しなら晴れて退院ね」

2,3日中には復帰できるだろうとの事。

それを聞き92式は安心したのか、やっとこさ本当に笑顔が溢れる。

 

・・・・

『ところでペルシカリアさん、今回のM1911の生捕りの件ですがね、謝礼をいただけないものかと』

 

「ルース指揮官、言葉が過ぎるぞ」とヘリアントスがたしなめるがペルシカリアがいいよいいよと制する。

「成程、確かに現場で破壊処理(殺処分)してもいい場面で生捕にしてくれたからね。()()()()()()()()払わないとね」

「で、いくら欲しいんだい?」

素直に払うと言われると思わず、一瞬動きを止める。顎に手を当てて金額を検討する。

(いくら?いくらが妥当なんだろうか)

(ハイエンドの極上素体で100万円だろ?それよりは低いよな?)

(うーん、10万円くらいかな?多分そうだろう?)

 

『そうですねぇ。10万円は貰えないと割に合わないですねぇ』ニヤリと笑いながら伝える。

それを聞いたペルシカリアに驚きの顔が浮かぶ。

 

「そうか・・・分かった10万円・・・払おう」ペルシカリアは残念そうな顔をしている。

(ふっ。勝ったな)

 

・・・・

「今回M1911に使われたウイルスは未知ではあるが、新種では無さそうなんだ。いや、正確には類似の点が見られる程度だが」

何やらグリフィンの特殊部隊、AR小隊?が関わっている重要なウイルスに近いとかなんとか。

M1911の素体回収のお陰で、研究や検証が大きく進みそうだ。との事。

(ん?会社の最高機密に関係する有益な結果だと??)

 

『ペルシカリアさん、あの・・・謝礼10万円はやっぱり低すぎませんかね??』おずおずと言葉を溢すナイル

 

「低すぎる?キミが指定した金額だろう?疑問形で聞く意味が分からないな」

 

『いや、その、もう少し増額・・・』と先を続けようとした所でペルシカリアに被せられる。

 

「男に二言はない。だろ?」「請求され、支払い、受け取った。もう終わった話さ」ペルシカリアが戯けて返す。

「はっきり言えば、最低1000万円は請求されると思っていたし用意もしていた」

「まさか百分の一で良いと言われるとは思わず酷く驚いたさ」

 

『・・・・・』(え?まじで??)

 

「M1911の調査と検査は継続するが、現時点の大方針としては廃棄ではなく治療だ。これは治療後の予後を確認したい為だ」

「ヘリアントス、先の話だがM1911はR-15基地で面倒を見てもらいたいが構わないか?」

問題ありません。と一言だけ返すヘリアントス。

 

(待てや。指揮官無視して決めるなや。それにそんな爆弾抱えた人形を送り込むのやめてよね)

『ちょっと・・・指揮官の意見を聞いて欲しいのですがね』

 

「ん?キミにはもう支払ってあるだろう。()()()()を」と一言だけ述べるペルシカリア

 

(うえ・・・。危険手当って、当日のやつでしょ)

『いやいや、そんな話聞いていませんでしたよ』

 

「聞かなかったのはキミだろ?一連の迷惑に対する危険手当さ。と言ってもそれでは納得出来ないだろう。手当の上乗せをしよう。」

「倍の20万円に増額しよう。太っ腹だろう?」ニッコリ笑って伝えるペルシカリア

 

『・・・・・・はい、ありがとうございます・・・・』酷くげっそりとするナイルだった

 

・・・・

「ナイル指揮官、キミの商売センスの無さは驚異的だね」

「借金が増えていく理由が分かったよ」

げっそりしたまま、はいそうですねーと相槌をうつナイル。

 

「まあそうやさぐれなさんな。これは助言だが私の作った人形の方がよっぽどセンスがあると思う」

「例えばキミの後ろにいるウェルロッドとか見事な手腕だぞ」

「キミももう少し人形に頼る事を覚えた方がいいと思うよ」これも助言だけどね。と告げるペルシカリア。

 

「そうだルース指揮官、申し訳ないが基地の修復は一時中止だ」と伝えるヘリアントス。

「R-14基地の修復を優先する。その後貴様の基地の修復を行う」

まあ、妥当な判断だろう。了解ですと伝える。

 

『そうそう、基地の修復完了しましたらハイエンド撃退記念のパーティーやるので参加をお願いします』と伝える。

笑いながら両名が了解と返し、今日の通話は終了となった。

 

・・

・・・

・・・・

 

『は~・・・・』部下の前もはばからずガックリくるナイル。

 

「まあ、これからは相談に乗りますよ」と残念そうな目をしながら答えるウェルロッド。自身の指揮官だから手助けをしなければなるまい。

 

情けねー。本当に情けねー。

あ~あ、大金のチャンスに何してんだか…

まあ、済んだことはしょうがないか…

気を取り直して行こう!

 

・・・・

『92式、R-14基地を見てどう思ったか?』急に問われた意味がわからず即答できないが、考えながら話す。

 

「敗北の結末を改めて見せられた衝撃と、自身の基地も紙一重だった現実に恐怖しました」正直に話す。

 

『そうだな。その恐怖とウェルロッドとの嫌悪感を比較するとどうか?』

ウェルロッドも引き合いに出されて目を見開く。

 

「比べるべきものでは無いですが、好き嫌いと敗北の衝撃とではレベルが違います」

 

『そうだな。なら最悪の結末を避けるためにも、仕事中は好き嫌いを飲み込んでやってくれ』『これはG36Cもウェルロッドもだ』

頼むぞ。と付け加えられてミーティングは終了となった。

 

(いやあ、雨降って地固まるだな。というか降った雨のあと無理くり固めたが正解か。なんでもいいが俺の職場環境もなんとかなりそうだ。)

 

大金を逃したナイルだったが、これだけは唯一の成果であった。




そろそろネタが切れてきた。
日常回回すチャンスだけど、日常のネタがなかなか出ないと言うポンコツ作者。
なぜ題名に日常を入れたのか(笑)

あと、2日に1話はキツいかも。3日に1話にまもなくなると思います。すみません。
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