中年指揮官と零細基地の日常   作:へなころ

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大食い大会後半です。
会場の雰囲気を伝えるのが難しい。
難しいばっかりですみません。
力を振り絞って書いてみましたが・・・どうだろうか。

ナイルさん、差しウマに勝てそうですね。
指揮官の実力を見せてやって下さい。


42.大食い大会終了

全体的に見れば本当に大食い大会なのか?と言った状況の中で大会は進んでいっていた。

参加者が思い思いに楽しめればこそだが、それぞれの思惑が交差しており邪悪な催しと化している。

 

「ライフル三人組のM21とPSG-1は大食い大会ではなくただの会食よね。女子会?」

イングラムが呟くが本当にその通り。二人でおしゃべりしながらワインを嗜み、前回と同じ大判のピザ1,2枚程度をちょぼちょぼ消費している程度である。

 

「PSG-1ちゃん、このピザ美味しいね」とM21が呟けば

「このワインもすごく美味しいですね」とのんびりしたPSG-1が返す。

 

S10基地のPx4が手配した飲食物は値段以上のクオリティを出している。やはりしっかりとした良いものを選択しているようだ。ピザも飲み物も誰もが美味しいと評価している。

 

「まあ、どうでもいいけどさ。サブリナ、あんたはちょっと人選については反省しなよ」とイングラムは雑な幹事のサブリナに苦言を言っとく。

 

「ちょっと大食い大会は無茶だったかな〜」と、頭に手を当ててウインクするお茶目な反省のポーズをとるが、本心としては何ら反省はしていないのだろう。

 

横のOBRを見ると、苦しそうな様子で食が止まっていた。

「OBRは本気で食べてるけど訓練が足りないね。手が止まっちゃてるよ。ほら頑張って下さいな」

イングラムが雑に煽るが、OBRの手は動かない。

 

一方で手の止まったOBRは鋭い目つきで横のナイルを見据えてブツブツと呟いている。

「負けない。絶対に負けない。50万円・・・50万円・・・」

 

そのあまりに異様な様子に流石のイングラムも引き攣りながらコメントを絞り出す。

「・・・・・」

「OBR、あんたホントに病気じゃん?」あまりなコメントであるが、豹変度合いに皆がうなづいている。

「感染されたくないので次行きましょう」

 

OBRの横ではナイルが黙々と食べておりOBRとの差は一枚以上に及んでいる。後半の終了間近でこの差は大きい。

「ちょっと指揮官、空気読めてないんじゃなくて?」

 

うん?とコメントしているイングラムへ視線を向ける。

『適当なこと言うなよ。50万円の差しウマで負けるわけにはいかんでしょ』

『このままぶっちぎるぜ?』

ナイルは食べながらも返事をするくらい余裕があるらしい。OBRとは天と地の差である。

 

「でも、アストラには勝てないんじゃない?」

横のPPS-43とスカウトはちょぼちょぼ食べるだけで全く戦力になっていない。

 

『あ〜、アストラは諦めた。何をどうやっても勝てねえわ』

『三人がかりで完敗だ』

『お前らももう少しやる気出せよ』と呆れながらナイルがボヤく。

 

「指揮官、何見てんの!」とジト目で返してくるPPS-43だが、俺は悪くないだろ。やる気出してよ。頼むからさ。

「トレフォイルももうやめとけと言っているわ」とペット?保護者?のせいにしているスカウトだが、知るかってーの。頼むからお前も頑張ってくれや。

二人はもうご馳走様らしく、デザートのアイスを摘んでいる。大食い大会なんだからアイス食う余裕あるならピザ食ってよ。頼むから。

 

ナイルはやれやれと言った顔でイングラムを見るが、「まあ頑張って下さいな」とけんもほろろに返されるだけだった。

 

・・・

最後の幹部人形達の勝負だが、相変わらず会話もなく食べ進められている。

 

「相変わらずですね。仲良くして欲しいですけどね」呆れ顔のイングラムだが、

「枚数は・・・ウェルロッドさんが遅れていますね。これは勝負あったかな?」とコメントすると、ウェルロッドから鋭く睨まれる。

 

どこか冷徹さのある氷のような視線にイングラムも気圧されるが、遅れているのは事実である。

G36Cをトップに92式が続き、少し離れてウェルロッドが追い縋る順位である。

 

「何か逆転の秘策はあるんですかねぇ」なんて適当なコメントを話すが、ウェルロッドに特に策は無さそうである。

 

そう思った時、突然ウェルロッドがおもむろに立ち上がった。

イングラムは突然の出来事に殴られでもするのかとビビッたが、どうもそうでは無いらしい。ウェルロッドは腕を背中に回してカチャカチャ何かしている。

次の瞬間、「ゴトリ」という音と共にウェルロッドが装置していたコルセットが床に落とされる。

シャツは胸から上に着用するトップスタイプだったようで鳩尾から臍下まで肌があらわとなる。ピザの大食いのためお腹がぽっこり膨らんでいる。コルセットで苦しかったようだ。

 

「わお。服を脱いで本気モードになるなんて、格闘アニメの主人公みたいねえ」

「ここから期待していいのかしら」珍しくイングラムの解説にもテンションが入る。

 

観客達も芝居じみた演出にテンションが上がり、ウェルロッドの変化に期待を寄せているようすである。

再び席についたウェルロッドは先ほどとは違った速度で追い上げる。

 

「くっ・・・」と92式の口から声が漏れる。ウェルロッドの追い上げを正しく脅威と認識したようだ。

92式とG36Cの顔に焦りの色が浮かぶが、両名もスパートをかける。

 

「すごいですね・・・プライドを掛けた血を血で洗う勝負といったとこですかね」

本社広報部=GKTV-4のクルーもこの様子を逃すまいとピッタリマークして撮影をしている。やはり大食い勝負を期待しているのだろう。

三者三様の苦しい顔をしながら己のプライドを掛けて食べ続けるのだった。

 

・・

・・・

・・・・

「さ〜残り3分ですよ」「最後まで頑張って下さいな」

ラストスパートを煽るイングラム。その声を聞いてナイルも勝利を盤石にすべく最後のピザにトドメを刺すために残された力を振り絞る。

 

『ふっ。OBR、気合と根性だけじゃ勝てねえんだよ。それで勝てるならグリフィンに指揮官など不要よ』

『戦略、戦術に実力、全てが噛み合って初めて勝利が舞い込むのさ』

『これで俺の勝利確定だ!』と言ってピザを口に放り込み、水で流し込む。

 

「くそ、くそ、くそ〜!私の50万円〜!返せぇぇぇ!」

OBRが普段見せないような鬼気迫る表情で叫ぶ。あまりに普段の可愛らしい様子と異なり醜い顔で汚い言葉を吐くOBRを皆ドン引きで見ているが、本人は全く気付いていない。

恐らくこの口汚く叫ぶ姿が素のOBRで普段は猫を被っているのだと基地の皆、TV中継を見る向こうの人たちも理解したに違いない。

OBRは目先の50万円に気を取られプライスレスな大切な何かを捨ててしまったことに気づいていなかった。

 

しかし。そんな一連の様子を見て誰にも気付かれずに1人悪く笑う者が居た。観客席のサブリナだった。

(ふふっ♪ 指揮官、残念でした〜♪)

 

 

 

・・・・・

『うっ・・・』と声をあげて口を押さえるナイル。

(バ、バカな。俺が飲んだのはなんだ?これは水じゃねえ??)

 

「ちょっと!指揮官!私のウォッカ飲んだでしょ!」隣のPPS-43がジト目で抗議する。

(え?ウォッカ??どう言う事??なんでそんな物が俺の前に??)

 

「私の飲んでた、65度のウォッカのストレートよ。もう・・・」困ります的な顔をするが、困るのは俺だよ!!

 

『なんでそんな物が・・・俺の前に・・・・』

 

「知らないわよ。まったく」つんとするPPS-43だがそんなのに構っている余裕は無い。

白酒を上回るアルコールが胃の中で暴れているのが分かる。

白酒の乾杯、ピザの暴食、それに合わせてグラス一杯の高濃度のウォッカの一気飲み。

胃への集中攻撃の結果、何が起こるかは・・・・明白だった・・・・

 

口を押さえた俺は真っ青な顔をして立ち上がる。

席の後ろに置かれたバケツまでヨタヨタと歩いていき・・・・

「おろおろおろ〜」とリバースする他無かった。試合終了まで我慢しようと思ったが、生理的に俺の体が一瞬たりとも受け付けなかったのだ。

 

「あ〜っと、指揮官ここでリバースです。終了1分前で失格です。ざ〜んね〜ん!!」普段やる気のないイングラムが見せたこともないテンションで指揮官の失格を告げる。大逆転の敗北で心から嬉しそうなイングラム。

 

指揮官の口から出るものをリアルタイムで即時キラキラ処理してTVで流される。広報部も指揮官の大逆転失格を楽しそうに映している。何故ならこの後の指揮官イジリに繋がる事が確定したからだ。

テレビをみている人形達(お客様)の希望通りの結末となったことでテレビ的には最高の結果だった。

 

こうして、指揮官の大逆転敗北で大食い大会は幕を下ろしたのだった。




あちゃー。指揮官最後の最後でやられてもうた。

サブリナちゃん、悪く笑っていたが何か知っていたのか?
そりゃもちろんでしょう。ウォッカをさりげなく間違いを誘発する位置に置いたトラップ設置の犯人ですからね。(笑)
まあ、完璧に上手くいくとは思っていなかったようですがね。
サブリナちゃんがどんどん悪い子になっていく・・・おかしいな。
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