中年指揮官と零細基地の日常   作:へなころ

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せっかく出張で人形が出ていくので、その裏での基地の日常を書いてみました。
ナイルさんは自由な男なんやで!


コラボの裏で:フリーダム

S10基地へ教練に向かう隊員達を見送り、司令室へと92式とエルと共に帰ってきて一息ついたタイミングだった。

 

『イヤッッホォォォオオォオウ』

突然、椅子に座ったまま満面の笑みで両腕を突き上げナイルが声を上げるが、それがなんの脈絡もなくあまりに突然の事で92式とエルがギョッとした顔をしてナイルを見る。

 

「指揮官・・・どこかお加減が悪いのですか?」

「一緒に医務室にいきましょうか?」

怪訝そうな顔をして、何か異常でもあるのでは無いかと確認するようにナイルに問いかける92式であるが、そう思うこと自体わからないでもない。あまりに突然で想定外の動きだから。

 

一方のエルはジト目でナイルを見つめている。大方ナイルが何を考えこのような行動に至ったのか理解が及んだのだろう。

「指揮官?真面目に仕事しないとダメだよ!?」と釘を刺すが・・・・

 

 

『ん?どこも悪くは無いぞ』

『くくくっ、お目付役のウェルロッドが出張に行ったからな』

『これで二週間は自由だぜ』

『やりたいようにやらせてもらうぜ!』

伸び伸びとした表情で言い放つナイル。

 

 

私の指揮官は今置かれている現状を端的に述べた様だ。監視役のウェルロッドが居ないので好き勝手出来ると。

そのように92式は認識したが、「やりたいようにやる」と言う部分が理解できない。今までだって散々やりたいようにやってたじゃ無いか。まさか、今以上に好き勝手やると言うのか!?

92式の電脳はその様な結論に至り驚愕の表情を浮かべて指揮官に聞いた。

「指揮官・・・一体何を・・考えているのですか?」

 

『へ?いや別に特に。お目付役のウェルロッドが不在だから開放的だなってだけだよ』

ナイルは教練へと送り出した時を思い浮かべて考える。

ウェルロッドのバカめ。まんまと騙されおったわ。

いや正確には騙したわけでは無い。調査とかPx4への釘刺しとかは本当にお願いしたい事で人選も間違ってはいないが、それを理由にのこのこ出て行ったウェルロッドがマヌケってことよ。

社長からの指示の俺への監視は、ウェルロッドが社長から直に言われているだろう事で、俺は全く関与していない。

はっきり言ってその成否については俺の知った事では無い。俺の指示で出張に出て失敗しようが知らんと言うことよ。

残念だったな、ウェルロッドよ。これが世の中というものだ。

 

あとG36Cやサブリナも出張というのも大きい。

いい意味でも悪い意味でも何かと問題を起こす二人が居ないからな。

こんなチャンスは2度と無いのではないか?

基地に残っている幹部人形が、大人な92式とエルであるので特に問題も起こらないだろう。

 

「はぁ〜。ほどほどに自重して下さいよ・・・」

ガックリ肩を落として呆れの言葉とため息しか出ない92式であった。

 

・・・・・

『なあエル。三日後に「闇市」に偵察に行こう』

事務仕事の休憩中に突然ナイルが話を切り出してきた。

どうやら、仕事中によからぬ事を思い立ったらしい。

 

「闇市、ですか。何か目的でも?」と92式が先に聞く。

 

『ああ、アクセル指揮官とはうちで対処して管轄に置いていいと約束していたからな。R-14基地に新しい指揮官が来る前に唾つけときたいんだよね』

『あと、鉄血兵の部品転売以外の副業のネタも仕入れたい』

やってもやっても借金が増え続けるんだよ。とショボンとしながらナイルが零す。

その様子を見て92式もエルも同情を禁じ得ないが、その明後日の方向へ力を入れるのが事態の悪化を招いているのでは?とも思う。

 

「準備が大変だけど私は大丈夫よ。()()()

エルが笑みを浮かべて答えるが

 

「ナイル?」

ファーストネームで呼ぶエルに92式が疑問の言葉と目を向ける。

 

「そっか、説明してなかったよね」

「前回潜入する時に、指揮官からの指示で"ナイル所有のオンナ"を演じろと言われたのよ。しかも痴女キャラでってね」

「大変だったんだよ〜。人前で胸を揉まれるわ、汚いおやじと関係しろと言われるわ」

あれもこれも面白おかしく92式へ説明するエル。

 

『ちょっとまてって、それは言い過ぎだろ』

 

「あら〜?私は"嘘"はついていないわよ。ね〜()()()♪」

小悪魔的な笑みで、多少の盛りはあるが大筋は間違っていないと言うエル。

まあ、間違っちゃいないが・・・嫌な冷や汗が出てくる。

 

「ふ〜〜ん・・・ずいぶん楽しいデートだったみたいね。()()()()()()()()()()!」

ジト目で強く言ってくる92式。

これは・・・結構怒っているのかな?かな?

 

『あ〜・・・ああそうだ、今度の出張は92式に護衛を頼もうかな?ははっ』

こんな苦し紛れの代案が余計女子の心の火に油を注ぐ結果になる事はナイルも理解していたであろうが、急転直下の状況に対応できず思わず口から零してしまっていた。

 

「結構です!パートナーの()()()()に頼めばいいんじゃないですか?」

怒って頬を膨らませてプイっと横を向く92式。

(怒った顔も可愛いじゃん)

(いや、そうじゃねえそうじゃねえ。機嫌をとらないと)

 

この日一日、92式のご機嫌を取るのにナイルは苦労するのだった。

 

・・・

・・・・

・・・・・

 

3日前に戻る。

 

ナイルから教練の話が出た晩、ウェルロッドは92式と会っていた。

「夜にすみません。92式に相談があるんだけど」申し訳無さそうにウェルロッドが切り出す。

 

「何かしら?何か困りごとかしら?」

92式が応答するが、パーティーと大食い大会を通じて二人の間の、指揮官連行時のわだかまりは解けていた。

一度解ければ真面目な性格の二人であり、気も合う間柄であることから親密な関係になっていた。

 

「実は出張中の指揮官のお目付役の代理をお願いしたくて」そう言って頭を下げるウェルロッド。

「社長の承認は取得済みなんです」

頭を上げ、数度のまばたきと共に無線通信で社長承認の電子データを送付する。

 

「確かに・・・協力は可能ですが私は立場上、指揮官を裏切れません」

「指揮官の毎日の行動をレポートにまとめてウェルロッドへ送付する事は可能です」

「判断はそちらでお願いしたいです」

92式も困っているウェルロッドを助けてあげたいので最低限のできる協力はするつもりだった。

 

「それで大丈夫。恩に着ます」

助かったと、笑顔を見せるウェルロッドだった。

 

 

そんな事情もありナイルの態度と行動はウェルロッドに筒抜けであった。

しかしナイルはその事を知らなかったため、二週間羽目を外しまくるのだった。

二週間後にために溜めた悪行の数々をウェルロッドに追求され、キツイお仕置きを受けたとかなんとか・・・

それはまた別のお話しですね。




ウェルロッドの方が一枚上手でしたね。
いつものオチがつくナイルさんでした。
この話はこれでお仕舞い予定です。
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