中年指揮官と零細基地の日常   作:へなころ

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難産でした。
結局、通称半沢直樹回になってしまった。
人形と人間の関係にメリハリつけたいけど難しいっす。
あまり上手くかけていないような気がしますが・・・

アップに時間がかかっていたら、大型イベントが始まってもうた。
15と16のピックアップ回しましたが、15で弾薬5万、16で10万溶かしましたよ。
キッツーと思いましたが30万近く溶かしても出ない人もいるようで、地獄ですね。これ。


47.ローズマリー上級指揮官

こんにちは、R-15基地の指揮官のナイルです。

 

ただ今R-13基地の、我々の地区を管轄する上級指揮官のところに呼び出され来ているわけ。

呼び出しといえども、悪いことしていたわけでもないので、挨拶をするつもりで軽い気持ちで来たのが失敗でした。

相手のエリート人形のシノのウソにやられて大ピンチです。

おかげさまでローズマリー上級指揮官にウッカリ色々と失礼してしまいまして・・・。

うん、運が悪いね。なんて考えていたら。

「準備もしないで失礼にも程がある」と92式とウェルロッド(鞄持ちたち)に公開説教されましたよ。

そんなに俺悪いかな?

まあ、説教のお陰でローズマリー上級指揮官の怒りも多少収まったから助かったとも言える。

なんで、もう何も言うまい。

 

・・・・・

基地内を案内されというより、罪人の市中引き回しのごとく連行され、目的地に着く。

会議室とか期待したがそんな温い訳もなくオープンなスペース、パーティーでもやる様な広場だった。R-13基地の戦術人形だけでなく働く人間や市民?なども集まっており完全な見世物の様相である。

 

(なんだってんだ。やけに芝居じみてやがるな。ん?なんだ?)

よく見ると先約がいる様だ。一人の男が正座させられている。

近づくと、ドールハウスの若い営業だった。

(え?・・・と言いますと・・・)

 

ここまで案内してきたローズマリー上級指揮官が歩みを止めて振り返る。

「ナイル指揮官。わかっているな」

「言っておくが、嘘も誤魔化しも通用するとは思わないことね」

「いつまでぼさっと立っているのかしら。自分の置かれている立場くらい分かっているのだろう?」

 

ローズマリーの冷徹な瞳がナイルを射抜く。

(これはアカンかもしれない)

 

黙って営業の横に正座するナイルだった・・・・

 

横にはガックリ項垂れた営業の兄ちゃんがいるが、前に立つ上司から仕切りに罵られている。

話の内容から前の男は会社の役員らしい。俺を連れてきたローズマリーにしきりにおべっかを使ってやがるからな。

 

(営業の兄ちゃんには悪い事をしたな)

(じゃあ、せいぜい悪足掻きの言い訳やらしてもらいましょうかね)

部の悪い勝負を乗り切るべく気合を入れるナイルだった。

 

・・・・・

多くの人形と人間が注目する中、ローズマリーとの問答は続く。

淡々としたやりとを観客が黙って聞く。まるで裁判のようだ。

心なしか周囲の視線が冷たい気がするが、すぐに理由はわかることとなる。

 

「貴様が鉄血兵の部品を売り始めた経緯は分かった。進め方の問題で本社より懲戒処分を受けたこともね」

「その過程で我が街のドールハウスと取引が始まったのも理解した」

「問題は安全に対する配慮だわ」

いよいよ核心の話へと入っていく。

 

『それでしたら、ドールハウス社からは反社会勢力への転売しない旨の念書を頂いていますよ』

キチンとやっていますよ。と回答するナイル。

これなら乗り切れる。と思う一方で横で営業が正座させられている事実。嫌な予感がする。

 

「ほう。念書とね。では、約束が守られているか確認の会社への査察は?」

それだけか?と言わんが如く突っ込む。

 

『・・・いえ、特には』

やっちゃいないが問題ないだろ。との態度のナイル。

 

「具体的にモノがどこに売られたか把握しているのか?」

 

『いえ・・・・』

(しつこいな)

 

「反社にモノが流れて事件に使われた場合の責任は?」

 

『それは・・・ドールハウス社が・・・』

 

そこまで言ったところでローズマリーが鋭い視線と共に追い討ちをかける。

鋭く怒気を孕んだ声でハッキリと告げる。

「テロで親を失った者、子を失った者にお前は売ったのは私だが結果は知らん。そう答えるのか?」

 

『・・・・・・』

(クソッ。なんも言えねえ。確かに・・・それは言い訳できない)

ローズマリーを見ていた視線を床に下ろして頭を垂れる。

ド正論により正面から論破され、乗り切るプランが頓挫した瞬間だった。

 

人殺し!鬼悪魔!と言ったヤジが観客から飛ぶ。

どうやら、市民はテロの被害者遺族のようだった。

ナイルの事を共犯者の如く見ているというわけだ。

(・・・・)言いたいことはあるが、この場面で述べるのは悪手だろう。何も言えずに黙るナイルだった。

 

 

「・・・・・」

無言でしばらくナイルの反応と様子を観察してローズマリーは次の言葉を続ける。

 

「私の指示でドールハウスの扱った中古部品の販売先を全て確認したが、全てシロだったよ」

言葉と同時にナイルへ歩み寄り、髪を掴み顔を上げさせ、視線を合わせる

 

「良かったな、ナイル指揮官。貴様の売却品がテロに使われて死者が出ていたら・・・・生きては帰れなかったよ」

「ドールハウスの営業君に感謝するんだね」

全てを見透かす様な冷徹な瞳に見つめられ、冷や汗が流れる。

横の営業の兄ちゃんを見ると、正座の苦痛の中笑みを向けてくる。

(営業の兄ちゃんには助けられたな。後で何かしないとな)

(しかし、まだ20そこそこの女が・・・どんな経験をしたらこんな目になるんだよ)

 

「以降の中古品は刻印の追加と追跡を指示した。販売先には反社へ流した場合はグリフィンが潰しに行く旨の注意文書も出すようにした」

「これで最低限。全部貴様個人に対する尻拭いだ」

「尻拭いとR-13基地への迷惑は払ってもらおうか」

 

そう述べると、副官のスプリングフィールドが書面を持って前に出てきて、ナイルに渡す。

ナイルの横にウェルロッドと92式も現れて二人して内容を確認する。

 

 

R-13基地での特別対応料:1000万円

テロ被害支援金の請求:1000万円

合計金額:2000万円也

 

 

「なっ!」92式があまりの金額に声を漏らす

「ローズマリー上級指揮官、いくらなんでも」と92式が声を上げたところでナイルが静止する。

『了解しました。謹んでお支払いします』

 

「ふふっ。ナイル指揮官。折り合いがついて良かったよ。これで今回の件は不問に付そう」

ナイルに対して冷徹から興味の視線へと変わる。

 

「鉄血の中古品の取引は継続して構わない。上納金は不要だ。だだし責任は全て貴様が持つことだ」

「以上だ。全員帰ってよい」

 

・・

・・・

・・・・

ローズマリーの解散宣言で今回の呼び出しはお開きとなった。

横の営業君には後日改めて対応の打ち合わせをお願いした。色々やり方も含めて再打ち合わせをしないといけない。これ以上ローズマリーに迷惑をかけると命に関わる。

 

そんな事を考えながら正座から立とうとしたところで、ウェルロッドと92式に止められる。

「これ以上ローズマリー指揮官へ粗相があったら堪りません」

ナイルの正座後のスケベ行動発生率が高い事はR-15の人形達には知られている。そこをチャンスに皆で色々仕掛けるのは構わないが、流石に上役のローズマリー上級指揮官へは洒落にならない。

 

そう言って二人はナイルを左右から挟むようにして肩を貸す形で起き上がる。

『いたたた。ちょっ・・待って・・・足が痺れて・・・・』

 

「泣き言はやめて下さい」

ウェルロッドに言われ足が痺れたまま引きづられていくのだった。まるで逮捕された犯罪者の如く。である。

 

・・・・・

ヘリの前に着く頃には痺れは治っていた。

なので自身の両足で立ちキチンと挨拶する。

 

『ローズマリー上級指揮官、本日はお世話になりました。失礼します』

 

「ご苦労だった。しかし、本日の無礼については始末がついていないぞ」

「改めて謝罪に出直すようにね」

そう言って笑みをこぼすローズマリー。まあ、それ程怒っているわけでは無さそうだが・・・俺は勉強した。油断は出来ない。

 

『改めて、謝罪に伺います』そう言って深くお辞儀をして、R-15へそそくさと帰るナイル一行だった。

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

「ナイル指揮官、請求額を交渉無しに受けたのは何故ですか」

ヘリの中で92式は疑問を口にする。

 

『ああ、額だけ見たら異常だよな』

『だがしかし、あの場には人形や住民もいた。やはり俺の、R-15の印象は最悪だっただろう。あそこで駄々こねてみろ。R-13基地との関係は全て御破算だよ』

『ローズマリー上級指揮官が金が欲しいからではない。あれは誰にでも見える形の手打ちの金だ』

『彼女はその意味がわかるか俺らを試していた。一片たりとも油断できない人物だよ』

 

「なるほど・・・勉強になりますわ」92式が納得する。

「正直、私もどう対応すべきか判断できませんでした。指揮官の判断が良かったと思います」ウェルロッドも褒めてくる。

 

(なんかこの二人に褒められると調子狂うな・・・・)

 

「「何か?」」二人の声とジト目がハモる。

『いえ。なんでもありません!』

 

しんどい面会も終わり和気藹々と基地に帰る一行。

しかし、借金がまた2000万円追加となり、ますます平穏からは遠のいていくナイルさんであった。

 

・・

・・・

・・・・

 

一連のイベントを終えたローズマリーは、スプリングフィールドと共に司令室に詰めていた。

「指揮官、ナイル指揮官はどうでしたか?」

 

お茶飲み休憩中の話でふと話題に上がった。

スプリングフィールドはローズマリーがナイル指揮官を気にかけていたのを知っていた。なので聞いてみたのだ。

 

『どうもこうも無いわね。テレビ中継ほどふざけた人間では無い。雑ではあるが根は真面目』そんな感じかしら、とまとめる。

 

「ふふふ。期待を裏切られなくて良かったですね」

 

『・・・・』

肯定も否定もせずにクイっとお茶を煽る。

その顔色は否定的では無かった事を示していた。

 

『しかし、社長も無茶を言うわ・・・』

そう言って、テーブル上の社長からの指示書を手に取り一瞥してヤレヤレといった感じで放り投げる。

社長からの特命の指示書には要約すると「ナイル指揮官を上級指揮官へすべく教育せよ」との命が書いてある。

 

自分を捨てた両親と同年代。彼がR-15基地へ配属された時に何かを期待していたのは事実。

幼い時に親に捨てられた境遇から、深層心理では親を、親の代わりを求める精神的特徴を持っている。いわゆる心の傷(トラウマ)がある事は認識しているから。

しかし、テレビで彼を見て「クズ人間」と知った時は酷くがっかりさせられたものだ。

だがどうだろう、会ってみるとまた違った認識を持つに至った。少なくともクズ人間ではない。

確かに何か光るものを感じた。社長の気持ちは分からなくもない。

 

『はぁ〜〜〜〜』と大きくため息をつくが、

 

「ふふふ。そのため息はポジティブなため息ですね」

とスプリングフィールドに笑顔で揶揄われる。

 

『全く、両親と同じ年代の人間に教育せよなどと、ね。参っちゃうわよ』

ヤレヤレお手上げだと大袈裟な身振りで伝える

 

しかし今日の面会で社長の指示とは関係なく面倒を見てやる気になっていた。

『ただし、やる以上甘くは無いわよ』と呟く。

 

「ふふふ、いいと思いますよ。貴女のやりたいようにやって」

ローズマリーの横に移ったスプリングフィールドは、その母性をもって彼女を抱擁する。

ローズマリーはそれを受け入れてスプリングフィールドに甘える。

『ん・・・ママ』

 

スプリングフィールドの母性に包まれて心を落ち着ける。ローズマリーの日課なのであった。




ナイルさんの借金がまた2000万円上乗せされました。
今いくらだ?計算しないとね(笑)

R-13の副官のスプリングフィールドはママキャラです。
ローズマリーが隠れて甘えていますが、皆にはバレております。
まあ幼少期のトラウマだからしょうがないですね。皆暖かく見守っています。

ナイルさんはまたおりを見て無礼に対する謝罪に来る予定のようです。
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