反省会前と反省会開始あたりまてです。
反省会の会場の施設に到着し、サブリナと共にヘリポートから建物に移動する。
サブリナはナイルの腕を取り引っ付いたまま施設まで歩いていく。
もう!べったりくっ付いているから歩きづらいなぁ。
『サブリナ。流石にべったりくっ付き過ぎだ!ちょっと離れて歩かないか?』
ナイルが歩きづらいと苦情を言うが、サブリナは離れるつもりは無いようだ。
「だ〜め!指揮官。一緒に仲良しで歩くんだもん」
ニッコリ笑顔で拒否するサブリナ。
相変わらず俺の言うことなんて聞きゃしない。
おかしいな・・・。お前本当に人形か?
ナイルは諦めて金魚のうんちのようにくっ付いたサブリナを連れて歩くしかなかった。
・・・・・
『なんじゃこりゃ・・・マジかよ・・・』
施設に入ってナイルが思わず零した言葉がこれだった。
施設には大勢の指揮官と人形が集まっていたが特筆すべきはその人形達のレアリティだ。
全員LEGENDARY、いわゆる★5の人形達だった。
『まるでI.O.P.の戦術人形の見本市だな』
反省会の参加が決まってから、本社のクリスティーナ指揮官にそれとなく聞いたがその通りだった。
曰く、見栄っ張りが多いので基本最高級の人形を連れてくる。つまり★5だらけになると。
ほえ〜。皆さん金持ちね〜。俺に恵んでくれよ。その時は人形じゃなくて現金ね。
そんな感じでビックリしていると、決して低いレアリティでは無いサブリナを連れたナイルが目立ったようで注目が集まる。
「おい、アイツどこかで見たことないか・・・どこだったか?」
「ん?確かに・・・どこだ?」
ナイルを見て、皆でヒソヒソ話を始める。
そして誰かがついに気づく。
「ん?R-15基地・・・・?テレビだ!あの狂ったパーティーをやっているヤツだ」
「ああ、アイツか!」
「あんだけ派手にやってんのに結果も出せてねーのかよ。ダセえやつだ」
「ウワサによると借金まみれらしいからな、半年もしたら前線に送られて消えるだろ?」
聞こえてるぞバカ野郎。勝手なことばかり言いやがって。何がダセえだ!この会に呼ばれているお前らも人のこと言えんだろうが!
と、怒りが沸くが口に出してもしょうもないので無視を決め込む。
まったく、元はと言えば全部サブリナが原因だからな、ゲンコツくらいくれてやろうか?
なんて考えていたら、奇声と共にサブリナが揉みくちゃにされていた。
え?なんなの??
・・・・
ナイル達に注目していたのは指揮官達だけではなかった。
参加している戦術人形たちも指揮官達のヒソヒソ話を聞いていた。そこで飛び出した「R-15基地」の単語を聞き注目する。何たって「
しかも、これまたTVで見たそこの指揮官が連れている人形が、あのパーティーの主催者のSPAS-12型の戦術人形なんだから。
「きゃ〜サブリナちゃーん。握手して〜」とか「サインちょうだ〜い」とか声を上げながら揉みくちゃにされる。
あのTVの中でメチャクチャやって指揮官をイジリ倒した姿を会社内にばら撒いたサブリナは、各地の戦術人形達のヒーローとなっていたようだ。
人形達は興奮した様子でパーティーのやり方とか、指揮官のイジリ方とか、色々聞き出している。とにかく話題は尽きないようでもの凄い人気の様子。
初めはビックリしていたサブリナも途中から気を良くしたようで得意げになって色々話している。
「お金とかはS10基地のPx4さんがすごく詳しいし頼りになるから相談するといいよ〜!」とか言っている
ば、馬鹿やろう!お前どこの基地の名前出してやがるよ。S10基地の迷惑になるだろうが!あそこの基地はマジでヤバイんだから本当にやめてくれ。
恨み買ったらまた借金上積みされるか消されるか。何にしろ致命的な報復を受けるだろう。
サブリナはみんなから連絡先を聞かれてアドレス交換しているようだが、まあ他基地のエリート人形と友達になれてよかったんだろうな。
ただ、「次のパーティーにはみんな招待するねー」とか簡単に約束するのやめてくれ。
本当に死ぬ。主に俺の精神と財布が。だから頼むからやめてくれ・・・
・・・・・・
なんて色々考えながらサブリナを見ていたら、二人ほど指揮官が寄ってきた。
「ちょっとあんた。あんたのせいでえらい目に遭ってるんだよ」
怒り気味で話してきたのは小太りのオッサンだ。まあ俺もオッサンだけど俺より年上くさい。
『えっと・・・よく分からんのですが
少しイラッとしたが、一応丁寧に聞いてみる。
「何がじゃないよ。お宅のパーティーのTV放送のせいで、うちの中国銃の人形の乾杯が酷くなったんだよ」
「うちもですよ」と言って冴えない兄ちゃんも尻馬に乗ってくる。
ああ、それ系ね。
話を聞くと一気飲みの強要が酷いらしい。5人位からの一気強要で一発ダウンしてしまうとか。
『すんません。けど俺も好きでやってるんじゃ無いんですよ。もう止まらんのですよ・・・』
話してて俺も悲しくなる。
『天災だと思ってお互い頑張りましょうよ・・・・』
残念ながら諦めるしか無いと諭すことしかできない。
「ああ、そうだったんですね。キツイけど頑張るしか無いんですかね・・・」
「そうですね、頑張りましょう・・・」
三人でしんみりである。サブリナ達の盛り上がりとは対照的な雰囲気を一角に作り出す。
なんか初めて指揮官同士で人形からの被害感情を共有できたな。ヘリアンさんやペルシカさんは全く共感してくれねえからな。
あまりに嬉しくて連絡先交換しちゃったよ。愚痴を吐ける相手が出来た。たまには指揮官同士集まって飲んでもいいかもしれない。
互いに傷を舐め合うダメ指揮官達であった。
・・
・・・
・・・・
「久しいな、ルーキーのオッサン」
もう少しで開始なので会場へ入ろうとしたタイミングでナメたセリフで声を掛けられた。
人違いかと思うも振り返ればヤツが居ましたよ。ジャスティンのヤツが!
『お?おー。入社ぶりだなぁ。なんだよ、まだ生きてたのかよ』
『こんなとこに呼ばれてるなら、あんたも大した事ねえな』
とりあえず喧嘩は買っとく。
「あ?・・・まあいいや。借金こさえて馬鹿騒ぎしてるみたいだな。オッサン」
「あの中古のポンコツ人形、まだ使ってるみたいだな。
あまりなセリフに流石のナイルもブチ切れ、下卑た笑いを浮かべる目の前の男の胸ぐらを掴み引き寄せる。
『うちの
「くっ!離せ貴様」
怒ったナイルに気圧されたらしい。
だが逃さねえよ。一発殴ったろか?あん?
「貴様ら、何をしているか!」
間もなく開始という事で現れたヘリアンさんに見られて注意を受ける。
これ以上は不毛なのでお互いに離れて悪態を吐きながら会場へと入っていく。
チッ!命拾いしたな。お前、いつかぶっ殺すリストのNo.2だからな。
ちなみに、No.1は誰かと言うと、うちの代表取締役社長だ。(もちろん口には出せない)
研修前に気分が悪いったらありゃしない。
・・・
・・・・
・・・・・
会場は広い会議室だったが、研修は大きな円卓に全員が座る形で実施される。
人形は別室で待機となる。
皆が席に着いたところでヘリアントスの会式の挨拶が始まる
「皆、遠いところ参加ご苦労。本日はキャリア開発の研修会だが、口さがない者は反省会などと言うがそうではない」
「少しでも結果が出せるように互いに勉強して行こうとの趣旨だ。本研修に参加して上級指揮官やに登用された者、特殊部隊の指揮官に登用された者などがいる。決してネガティブな会ではないと宣言しておく」
「我がグリフィンは全指揮官の活躍を期待している。以上だ」
司会進行はヘリアントス上級代行官だが、助教として上級指揮官が一人つくとの事で教官は2名である
助教の上級指揮官はR地区の女性だった。上級指揮官は議事録などの雑用係として人形を一人連れていた。
(ふ〜ん。女性上級指揮官が流行っているのかねえ?R地区って言ってたよな・・・近くかな?)
(連れてる人形はTAC-50か・・・。みんな金持ちやね・・・)
ヘリアントスの横に座る指揮官から、自己紹介と最近の業務内容と成果の報告が始まっていた。
一生懸命背伸びした話である事に俺でも分かるくらいである。
痛々しくて聞いてられんよな。
などと思い物想いに耽る。
(はぁ〜金がねえな。どうにかして稼がないと破産すんぞ。うちの基地)
(どうせここの指揮官みたく人形の製造依頼なんて掛けられないから、製造契約書とか余った資材を売って返済に回すか?)
(名案じゃね?これ!?)
(いやいやいや。あかん。借金は俺個人のだから横領になるか・・・・)
・・ル・・・ス・・官
(どうすっかな。どうにかならんかな?)
・イル・・ース・揮官
(うーん、うーん)
と腕を組んで目を瞑り苦しい顔で悩んでいると、隣の指揮官の兄ちゃんに足を蹴飛ばされる。
なんぞ、と視線を向けると、(順番ですよ)と小声で伝えてくる。
『ん?』とヘリアンさんを見ると怒った顔でこちらを睨んでいるではないか!
(こりゃあかん)
「ナイル・ルース指揮官!貴様は何をしていのだ!?」
わなわなと怒鳴る事を堪えて、冷静に伝えているつもりなのだろうが全く怒りを隠せていない。
ヤバイヤバイ。
『はっ!失礼しました。他の指揮官を参考に何が出来るか考えておりました!」
あぶねー。ナイス言い訳。さすが俺、咄嗟の言い訳言うのには慣れたよ。
しかし、貧すれば鈍するとはまさにこの事だよな。
借金返済のことが頭から離れねえ。
とりあえず説教が始まる前に最近やった事を説明して、失点は無かったことにするしかねえ。
なんて思って説明しようとしたところで、突然電気が消えてすぐに非常灯えと変わる。
「なんだ・・・・急にどうした??」と会場が騒つくが・・・
前方のスクリーンに突然映像が投影される。
黒髪、ボブカット、上半身は黒いドレス風の戦闘服・・・
「グリフィンの指揮官の皆さん。はじめまして」
「私は鉄血工造のハイエンドモデルのイントゥルーダー。本日はゴミ掃除に来ました。」
「一人残らず皆殺しよ。精々楽しませてね」
と伝えて一方的に映像が途絶えると同時に建物外から銃声が鳴り始める。
「クソッ。鉄血の襲撃だ」
ヘリアントスが叫ぶと共に会議室が混乱に陥る。
『マジかよ・・・』
ハイエンドの襲撃とか洒落にならんだろ?
だから来たくなかったんだよ!
小隊も居ない状態でどうするか・・・
絶望に襲われるナイルであった。
戦力が無い状況でハイエンドの襲撃を受けるナイルさん。
はてさてどうなることやら。