中年指揮官と零細基地の日常   作:へなころ

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おかしいな。書いても書いても終わらねえ。

ストーリーに絡む人形は出さねえ。とかあらすじに書いたが、あれは嘘だ。
50話を超えてネタもなく出してしまった。許してくれ。
ごく稀に出てくる程度に抑えます。m(_ _)m

今回の話はSPEC様の作品から設定を参考に、と書きましたが多分にオマージュになってしまいましたね。
普通の人が戦術人形と一緒に行っても、ヒーローになれねえっす(笑)

そう、UA5000超えました。ありがとうございます。
徐々にお気に入り数とか増えているので励みになります。
感想書いてくれてもいいんだけどね(笑)




51.存在しない者たち

コントロールルームで倒れたところで鉄血兵に囲まれて銃を突きつけられるナイル。まさに万事休す。

肩の傷からの出血や痛みもありそのまま意識を手放すが、どこか遠くで射撃される音を聞いた気がした。

 

 

・・

・・・

・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ああ、これが死なのだろうか・・・・)

 

(死に別れた仲間に会えるとか・・・そんなものも無いのか)

 

(さっきから傷が痛えな。死んでも傷があるのかよ。バラバラになって死んだヤツはどうなるんだ?)

 

(痛えな。もう。グリグリやんなよ。マジでよ)

 

(ん?グリグリ??)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

 

痛みから目を開けると、見知らぬ人形が俺を除き込んでいた。

 

(誰だ??)

 

「目、覚めた?」

 

(いや、見りゃ分かるだろ?あれ死んだんじゃ無いの?ここは天国?)

 

シルバーのロングヘアで小柄、オリーブドラブの帽子にジャケット、短パン。着崩した白シャツにバッシュ。

すごく気怠そうで、一言で言うなら「だらしない」人形だった。

 

『傷をグリグリしてなかった?・・・・痛くてね』

膝をついて覗き込んでる人形にストレートに聞く。

 

「ん?生体用ジェルパックで止血しといた。とりあえず死なないよ」

いちいち面倒臭さが滲み出ている。大丈夫なのかこの人形。どっか壊れているとか?

 

「で、次はこれ」

眠そうにしながら赤いハンドガンのようなそれを見せるが、赤と黄色のそれなりの量のアンプルがセットされている。

人間に対する応急救護用の薬剤の様だ。色味の悪さから中身は聞きたく無い。

目の前の人形は俺の左腕を取り、赤いハンドガンを当てて引き金を引く。

 

『いつっ』

 

手に当てられて見えないが、ぶっといニードルが俺の腕に刺さっているのだろう。

アンプルの薬剤が徐々に減っているところから見て、体内へ注入されているようだ。

 

「鎮静剤も入ってるからすぐに寝ちゃうよ」

 

そう言って注入が完了したガンをしまう。

色々聞こうと思ったら、別の人形が歩いてくるのが見えた。

灰色に近い茶髪のロング、左サイドテールにまとめた髪型。黒を基調にしたパーカー状のジャケットにスカート、所々に黄色のアクセントが加えられている。

可愛い。非常に可愛いが、どこか灰暗い感じか見え隠れする。

あまり関わらない方がいいヤツなんだろう、何か色々とやばいものを感じる。

 

「処置は終わった?」

「ん〜〜?意識を取り戻したのかな?」

つかつか歩いてきて俺の顔を覗き込む。

 

『君は・・・君たちは誰だ?俺はなぜ生きている?』

倒れたまま動けない俺は疑問だらけなのをぶつけてみる。

 

灰暗い美少女は腰に手を当てて悪戯っぽく笑って言う

「ふふふっ。お姫様を迎えにきた白馬の王子様。かな?」

「生きていればまた会えるかもね。無鉄砲なしきかぁーん♪」

 

注入された薬剤の影響か、そのまま目が霞み再び俺は意識を手放していた。

 

・・

・・・

・・・・

 

ナイルが鉄血兵の射撃を受けて倒れ、意識を失ったところで射殺される、そんなタイミングで4体の人形がコントロールへ飛び込んできた。

突然の出来事に遅れながらも鉄血兵が振り向き対処しようとしたが、四体の人形逹から斉射をうけ振り返ることすら叶わず全員射殺される。

複数の人形が瞬時に破壊される素晴らしく息の合った小隊による射撃であった。

 

「フン。間に合ったようね」

水色掛かったロングヘアで性格のキツそうな人形が呟く。

ギリギリなのか分からないが、自分が出張ったんだから成功して当然だろ?と言った雰囲気を出している。

 

「416とナインは表の敵を排除、G11はVIPの応急処置を」

灰暗い美少女が的確に指示を出す。

それを受けてキビキビと動き出す三名。見るものが見れば相当な練度の小隊と理解できる。しかしそんな彼女達を知るものはごく一部に限られている。

 

「さてさて、あとはコントローラを始末してお終いね。ん?」

灰暗い美少女がコントローラに向かうと一体の戦術人形がネットワークに接続して対処をしているところだった。

横槍を入れて終わらすつもりだったが、何か気になり状況を覗き見する事にした。

 

ネットワークの中には一体の戦術人形が居たが、目標が見つからずただただ焦っている姿が見えた。

彼女はボロボロで見るからに重傷。外の指揮官の様子から考えて色々無理をしたのだろうと推測できた。

 

「・・・・・」

ネットワーク内で上手くできていない人形を観察して考える。

灰暗い少女は思い出していた。過去の自分を。

何度訓練しても上手くいかない。力が及ばない。そんな辛い気持ちはよく分かる。

 

「・・・・・」

少女は考える。

自分が手を出せばすぐに終わるだろう。だが・・・

 

「・・・・・」

「しょうがないわね。見てられないわ」

そう呟き、少女はネットワークの海に沈んで行った。

 

 

・・・・・・・

 

「指揮官・・・ごめん」

サブリナは上手くできなかった自分を責め泣いていた。

練習ならいい。けどこれは本番。タイムリミットがありその時間を既に大きくオーバーしていた。

結果、大切な指揮官の命は奪われてしまったのだろう。

ピンチみたいだったし、その後はもう声も聞こえない。

元から無謀な作戦ではあったので決してサブリナの責任では無いが、全て自分の責任だと感じていた。

 

 

「感心しないわね」

「泣いていても何も解決しないわよ」

 

後ろからそんな声が聞こえて振り向くと、いつからいたのかロングヘアをサイドテールでまとめた可愛らしい少女が立っていた。

誰か別の指揮官の人形?でもこんな人形居ただろうか?よく思い出せない。

 

「誰?」

敵かもしれない。そのような懸念を感じ言葉が強くなるサブリナ。

それが伝わったのか、相手の少女がにこやかに笑って答える。

 

「敵ではなく味方よ」

「誰?うーんそうね・・・電子戦のコーチ。ってところかしら」

「とりあえず、指揮官は無事よ。だから落ち着きなさい」

 

その言葉を聞きサブリナはびっくりする。そしてすぐに少女の胸に抱きつきまた「うえーん」と泣く。

 

「はいはい、泣かない泣かない。って鼻水が服についた!」

「コラ、私の服で鼻水拭くな!」

 

怒ったところでサブリナが離れて顔を上げる。

もう!と腰に手を当てて少女が怒るが、サブリナは「えへへへ」と笑っている。どうやら元気になったようだ。

 

「で、どうしたの?」と少女が聞く。

----(かくかくしかじか)で敵のアクセスポイントが見つからないんだよ」しょんぼりとしてサブリナが伝える。

 

なるほどなるほど。

「ネットワーク空間では実態が無いから、少し俯瞰して全体を観察する癖をつけた方がいいわ」

「ほら、手を繋いで・・・・貴女名前は?サブリナ?・・・サブリナ手を繋いで」

 

サブリナが少女と手を繋ぐと、浮くような感覚になる。

「慌てないで、体が浮く感覚を覚えて」

 

少女のアドバイス通り体が浮いていく感じに身を任せる。

来た道全体が見渡せるくらい浮いたところで止まる。

 

「これくらいでちょうどいいかな」

「全体をよく観察して。どこかに違和感は無い?」

 

サブリナが全体を見るが特に違和感は感じない。

 

「よく分からない・・・」

 

「落ち着いて。もっと素直に全体を見れば分かると思う」

 

そう言われてサブリナが再度確認すると、入り口の直近に何か違和感を感じる。

「なんだろう。あそこに違和感が・・・」

 

「じゃあ言ってみましょう」

少女がそういうと手を離したサブリナがゆっくりと入り口付近に降りて行った。浮く感覚もある程度コントロール出来たようだ。

 

降りたサブリナが違和感の元を調査すると・・・巧妙に隠された制御パネルを発見した。

「こんなところに・・・」

 

制御パネルを作動させると、横に新たな道が出来る。

「やった!出来た。・・・ありがとうコーチ!・・・あれ?コーチ??」

サブリナが振り向きお礼を言おうと思ったら、コーチは消えていた。

 

しかし、先は急がなければならない。

道を進むと非常に弱い攻性防壁があったが、重症でも難なく破壊して突破できた。

進むとその先にポートがあった。特に隠されているわけでもなく普通に置いてある。

 

「やっと見つけた・・・えいっ」

と、バールで叩くと音もなく割れて消える。

ネットワーク空間なので現象は現実とは異なるが、ポートを閉じる事に成功したのだった。

後は指揮官のもとに戻るだけだ。

 

 

・・・・・・

 

先に離脱したサイドテールの美少女は、意識を取り戻した指揮官と二、三言葉を交わした後、撤収を準備を始めていた。

 

「にひひひ。45姉、外は終わったよ〜」ナインと呼ばれた美少女そっくりな人形が笑う。

 

「鉄屑達は完璧に始末したわ」416と呼ばれた水色髪はさして興味もなさそうに仕事の完璧さをアピールしている。

 

「もう疲れたよ〜。早く帰って寝たいよ」G11と呼ばれた人形は今にも寝そうである。

 

「まったくG11はしょうがないんだから・・・」

「撤収よ」

サイドテールの美少女が宣言して手をパタパタ振ると、すぐに少女達は痕跡を残さず消えた。

コントロールルームには、ナイルとサブリナそして鉄血兵の残骸が残されていただけだった。

 

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

 

ヘリアントスは珍しく頭を抱えていた。

横の助教の女性上級指揮官も困った顔をしている。TAC-50は静かにお茶を汲んで二人の前に配膳していた。

 

何を隠そう、今回のハイエンド襲撃事件はヘリアントスが計画した緊急時の対応テストと訓練だった。

過去の研修で発生した襲撃事件。そこで活躍した指揮官達は頭角を現して出世している。

今回は意図的にその環境を作り出して発破をかける。そんな計画だった。

途中から悪ノリした認識はある。

イントゥルーダーに扮したAIを作成して、鹵獲した鉄血兵を用いて真実味を持たせていたり。

助教の上級指揮官にやり過ぎだと嗜められたが、何とかなると思っていた。失敗だ。

 

「上級代行官、やはりハイエンドはやり過ぎだったと思います」と上級指揮官が零す。

計画時にやはりAIとは言えハイエンドを出すと何か不足の事態が起こり得ると反対していた。

 

「分かっている」

研修会で重症者を出してしまい、会も途中中止となり解散となった。

他の参加者は被害もなかったのでこれが演出だったとは伝えたが、研修自体メチャクチャになってしまった。

はぁ〜社長になんて報告すれば良いか。

 

おまけに、念のための護衛と簡単な後始末の依頼だった404小隊には、VIPの緊急救出依頼が追加されてしまった。

それだけでこの研修会100回分の予算を超える額が発生する。

はぁ〜と再び、いやこの後何度も溜息を吐く羽目となるのだった。

 

・・・・・・

「上級代行官、狙いは悪くなかったと思いますよ」

「ハイエンドの登場と難易度設定。R-15の指揮官の性格と能力。そのあたりのバランスの問題でしょう」

「次回から上手く調整すれば良い研修に出来ると思います」

助教の女性上級指揮官は冷静に分析を加えていた。

 

曰く、

・ハイエンドは戦術が深いため受講者が無茶な対抗戦術を立てやすい環境だった

・難易度が簡単すぎて積極攻勢に出る判断が出てしまった。ネットワーク空間の難易度が低く意図が伝わらなかった。

これは、コントロールルームの奪取が可能と判定されたのと、ネットワーク内の制御パネルを探すミッションが伝わらず本来突破を想定していない攻性防壁の強行突破ができてしまった事。突破したその先には何も設定されていなかったのでサブリナが迷ってしまうこととなった。

・無茶をしやすい指揮官がいたが解決する実力が不足していた。

そう言って女性上級指揮官はS地区の親しくしている指揮官を思い浮かべる。彼なら難なく完封してしまっていただろう。いや、あの指揮官と比べるのは過酷な話か。

 

難易度は

Normal(ふつう)Hard(難しい)Suicidal(自殺級)Hell of Earth(この世の地獄)

 

いやもう、ヘリアントスの悪ノリが見て取れるが、女性上級指揮官は真面目にコメントする

「ノーマルとハードの間に難易度を一つ作るか、ノーマルの難易度を上げてはどうでしょうか」

 

ちなみにナイルは女性上級指揮官を荒事、想定外に弱いと評していたが、これは研修プログラムだったので矢面に立たなかっただけである。

この女性上級指揮官はリアルに難易度 Hell of Earth の鉄血の襲撃を退けた指揮官の一人であり、表に出たらあっさり瞬殺完封していたであろう。それだけの実力がある。もちろん副官のTAC-50も言わずもがな。である。

万が一研修生が誰も動かなかったら彼女が始末する手筈になっていた。

 

「それに、Hell of Earth は不要と思いますよ。こんなのやらせるなんて、ただのパワハラとしか思えませんよ」

 

「しかし、貴官達はリアルでクリアしたではないか」

 

「あれは・・・ブリッツ指揮官のおかげですよ」

「分かりました。難易度としては残しておきましょう」絶対誰もやらないだろうけど。と心の中で付け加える。

 

・・・・・

「参加者の講評を頼む」

ヘリアントスは指揮官の評価を女性上級指揮官に頼む。やはり指揮官としての評価は詳しくは代行官では分からないためである。

 

「分かりました」

では代表的な指揮官から、と前置きして。

 

「ジャスティン指揮官は守備隊のまとめ役としてよくやっていました。戦術指揮は申し分ないでしょう。ただ滲み出るエリート意識と態度が他との軋轢を生んでいますね」

 

「ルース指揮官は・・・・評価が分かれると思います」と言って苦い顔をする。

「自由気まま、勝手、ではありますが誠実ではあります。口が悪く敵を作りやすいですが、全体をよく見てリーダーシップをとっていました。勇敢に飛び出し任せたいと思いましたが実力が足りずに瀕死の重傷を負う、結果から見ればただの蛮勇でした」

「ただ、なんか憎めない、皆から期待される人物ですよね」と言って笑う。

 

「案外、二人がくっついたら面白いかもしれませんね。ジャスティン指揮官もルース指揮官の事を認めていたようですし」

「R-14基地、再建中でしたよね? R-13の上級指揮官も懐が広い方ですし・・・・悪くないかと思いますが」

人事への口出しは越権行為だが、ただ私見を述べるのは問題なしである。

 

「なるほど、貴官の意見を参考にさせてもらう」

「ところで、社長のところに報告と謝罪に行くのについてきてもらえないだろうか?」

本当に頼む。と言った気持ちが下げた頭の上から滲み出ているのを見て女性指揮官は笑う。

 

「分かりました。ヘリアントス上級代行官の頼みなら断れませんわ」

その言葉を聞いて心が安らぐヘリアントスであった。

 

 




うん。ヘリアンさんの難易度設定は、FPSゲームのKilling Floor から拝借しました。回復注射器もですね。
昔よくやってたんですけどね。最近また始めた感じです。
10年くらい前に流行っていたCOOP系ゲームですね。

あとSPECさんごめんなさい。ブリッツ指揮官の名前出しちゃった。m(_ _)m

次回は、ナイルさんの入院生活の日常かな(笑)
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