中年指揮官と零細基地の日常   作:へなころ

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遅くなってしまいました。すみません。
実はここ数年釣りにハマっておりまして。主に海の船釣りですが。
日曜に予約してたんですが、土曜日に別口で行かないか誘われて、土日自動車泊ではしご釣り。
家族からは「勝手にすれば?」と快く許可を頂いて遊び倒してた訳です。
そんな訳で遅れてしまいました。今後は今まで通りやります。

さてさて、ナイルさんの入院の日常ですね。
大人しく終わる訳じゃないですよね。多分。(笑)


52.見知らぬ天井

(う、うん・・・ここはどこだ?)

 

真っ白な天井をしばらくボーっと見つめる。

身体中がだるいし重い。おまけに動かない。

俺は一体何をしていたんだっけ?

肩に違和感がある。そうか鉄血兵に撃たれたんだっけ。

サブリナを守ってたんだよな・・・・サブリナ・・・

 

ハッと気づき身体を起こそうとするが僅かに上半身が動いただけだった。

『ハイエンドはどうなった。サブリナは成功したのか?・・・あの謎の連中は?』

呟くがここは病院っぽいし、答えはなさそうだ。

 

「ルースさん?意識が戻ったんですね。先生たちを呼んできます」

と言ってナース人形がパタパタと走って出て行く。

 

程なくして女医さんと・・・何故かペルシカさんが現れる。

ベッドに横たわる俺を見下ろして、白衣姿でポケットに手を突っ込み「やあ」とペルシカが挨拶をする。

端から見たら医者にしか見えないが、俺は人形の専門家だと知っている。貴女なんでいるの?である。

 

女医さんはナイルを色々確認して、「大丈夫ですね。詳しい説明は明日にしましょう」

と言ってペルシカと一緒に出て行った。何やらまだ麻酔が効いているらしかった。

じゃあ眠いんでもう一丁寝ますわ。

 

・・・・・

翌朝は普通に目が覚めた。ダルさも概ね抜けておるが右腕は厳重に包帯で巻かれている。

 

また女医さんとペルシカが現れた。

『ペルシカさん、なんでいるんですか?』

 

「まあまあ、先ずは先生の話を聞きなよ」

とはぐらかす。

 

で、引き継いだ先生が話し出す。

「ルースさんおはようございます。ルースさんは一昨日の夕方に意識不明の重体で運び込まれました。幸い、応急処置もよく命の危険はありませんでした」

「それで検査と診察の結果、欠損と熱的なダメージが大きいことがわかり、すぐに手術となりました」

「術式は()()のハイブリッド法を採用しております。詳しくはペルシカリアさんより説明します」

 

と言ってペルシカに替わるが、なんでやねん。人形屋さんですよ。この人。嫌な予感がよぎる。

 

「うん。先生から相談を受けてね。後遺症が残る()()()()()()()からハイブリッド式を提案したんだよ」

 

可能性?ちと待てや。可能性で言えば完治の可能性だってあったろ?なんだよ、そのハイブリッドってよ。誤魔化しの臭いがぷんぷんなんだけど…

 

『で、何ですか?そのハイブリッドって』ジト目で見ているつもりだが、弱っていて迫力はまったく無い。

 

「ああ、人形製造の技術を用いている。ってところだね」

目を外して頬をかきながら話すペルシカリア。

 

『もっと素直に分かりやすくストレートに言って下さいよ』

 

「うーん、端的に言えば人形の骨格と生体部品を用いて再生させた。かな」

ニッコリ笑って吐きやがった。開き直ったとも言う。

 

『え?いやいや?え?』

『勝手に何してくれてるんですか?ダメでしょそれ。元に戻して下さいよ』

そんなの認められたら、俺はサイボーグされても文句言えねえじゃない。怖い話よ。マジで。

 

「勝手、ではないよ。ちゃんと許可は取っているさ。君の上司にね」

 

『上司?関係ないでしょう。俺の許可が必要でしょう』

ちょっと怒って伝えるが、ペルシカは困った様子。

 

「私に言われてもね。君と上司の問題だからね。上司と話してもらってから話しは聞くさ」

と言って、ペルシカは出て行ってしまった。

 

「まあまあルースさん。とりあえず後遺症なく元通りに動けるように協力しますから、今はまず休んで下さい」

「明日から一般病棟に移りますからね」

そう言って女医さんも行ってしまった。

うーん、モヤモヤが残るが、どうにもならん。どうにもならんから、寝るわ。

 

・・・・・・

翌朝に一般病棟へ移るが、俺が乗ったキャスターが付いたベッドを移動するだけのようで簡単なもんだ。

(よく考えられているし便利なもんだなぁ。うちの基地でも緊急搬送の参考にしようかな。普段見ないところこそ勉強になるね)

なんて考えながらベッドで寝転んでいたらあっという間に一般病棟に到着する。

そこは当たり前だが男性ばかりの6人部屋。落ち着いた時に話したら皆整形外科の患者のようで怪我以外は元気らしい。日中は友達や親親族色々きて賑やかだ。

 

(そうか、もう面会謝絶じゃないのか誰か呼ぶかな〜)

なんて考えていたら一人の客が来た。

 

「指揮官!大丈夫ですか!」

泣きそうな嬉しそうな普段見せない微妙な顔をしたサブリナだった。雰囲気からして面会可能になってすぐに駆け込んで来たようだった。戦術人形だから息も上がっていないが、多少の服や髪の乱れから察することができる。

おまけに顔も酷い。まともに寝ていないのかも。まあ人形は寝るわけではなくデータ整理なのだが。この感じだとキャッシュがたっぷり溜まっていて相当パフォーマンスが落ちているんだろうな。

 

『なんか疲れてるみたいだけど、大丈夫か?』

え?なになに?俺が撃たれていたから心配だった?そりゃどーも。

ご覧の通り、人形とのハイブリッドにされちゃいましたって、冗談冗談。(危ねえ、寝不足も相まって冗談通じる雰囲気じゃないわ)

人形の技術を応用した医療技術で良くなるみたいよ。

 

『サブリナの方はどうだったんだ?』

『変な連中に会わなかったか?』

俺は気絶して状況が分からないので唯一知るサブリナから聞く。

 

「変な連中?コーチ一人だけかな?会ったのは・・・」

首を傾げて考えるサブリナ。

 

『へ?コーチ?』

突然出てきた脈絡のない単語に、ポカーンとして聞き返す。

意味が分からないので詳しく聞くと、失敗寸前だったネットワーク内のポート破壊任務を助けてくれた人形がいたらしい。

『それはあの一味だな』サブリナが話した外見からあの灰暗い美少女。か。

 

その後は謎の一味は消えていたらしい。

後は流作業のように救出部隊が来てヘリアンさんの前に連れて行かれたらしい。俺はそのまま病院で今日まで離れ離れ。

サブリナはヘリアンさんに謎の部隊のことは黙っとけと言われたとな。

サブリナがよくよく聞くと何やらこの襲撃は研修の一環でヘリアンさんの演出だったと・・・・

 

『あ〜ん!どう言うこっちゃ。そりゃ!』

『こっちは大怪我まで負ってんだぞ!』キレて思わず大声を出してしまった。

と同時に他の入院患者がこっちをガン見してくるが怪しい中年オッさんのキレ散らかし振りに目を逸らす。

『なんだよ!見せ物じゃねーんだよ』と、とりあえず目があった隣人に八つ当たりをしとく。

くそ。シャレになってねーだろ。ヘリアンさんよ。

 

そんなこんなで騒いでいたらパタパタと足音を立てて一人の人間の女性が飛び込んできた。

歳の頃は俺より少し若いか。しかし迫力がある。この病棟の婦長さんだった。

 

「ルースさん!何やってんですか!静かにしなさい!今日この瞬間に退院しますか!?」

キレ散らかしたオッさん以上にキレている。有無を言わさぬ迫力に思わず頭を下げていた

 

『すみません。大人しくするので泊めさせてください』

やべえ。怖すぎるわ。ここではマジで大人しくしとこうと思った瞬間だった。

流石にこの怪我の状況でつまみ出されたらまずいからな。

 

サブリナからその後の話を聞いたけど、ヘリアンさんの演出と言えども行動してボロボロになりながら大元を潰してきたサブリナは他の人形達からも賞賛されたらしい。それだけは本当に良かったよ。

 

指揮官不在のR-15基地はいつも通りクリスティーナ指揮官が面倒を見てくれているらしい。

いつも迷惑をかけているからな。毎度ケツ拭きをしてもらっているお礼を何かしないとマズいよな

 

・・・・・・・

で、俺はどこにいるのか?

何しろ意識不明で運び込まれたからどこにいるのか聞いていなかったので分からないのよ。

サブリナに聞いたら、グリフィン本社のそばにある傘下の病院らしい。

何やら鉄血のエネルギー兵器による負傷者が少ないらしく、その治療の研究の一環でここに運び込んだとのことのようだ。

エネルギー兵器の負傷者が少ないのは、大概死亡しているからだ。被害者は多いが治療の研究に都合の良い人間は少ないという意味である。

 

しばらくサブリナが本社で寝泊まりして見舞いに来てくれるらしい。

ゆっくり静養するかな。

 

なんて思ってた時期もありました。

ゆっくり静養など出来るわけない事をナイルは気づいていなかった。

 

今はただ安心したサブリナが椅子に座ったままベッドに突っ伏して寝ている姿を見て生き残った幸せを噛み締めるナイルだった。




うむー。1話で終わらす予定が終わらなかった。もう1話予定。
さてさて、ナイルさんの入院を脅かすのは誰でしょうか。
まあ、いつも通りですよ。(笑)
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