しかし終わらん。あと1話でケリがつくかどうか・・・(泣)
とある街のとある日の早朝。
その日はその街のいつも通りの早朝。特に何も変わらないはずだった。
日の出前の闇に紛れて四体の戦術人形が駆けていく以外は。
戦術人形達は周囲を警戒しながら進んでいる。人目につかぬよう静かにそしてクリアリングも忘れない。
訓練された動きで明らかに散歩などではないことが見て取れる。明確な目的を持った行動である。
戦術人形が持つ目的など、きな臭いものでしかないのだが。
・・・・・
戦術人形達は、街の中のある施設の脇で止まる。
会社のような研究所の様な鉄筋コンクリートの高層の建物だった。
四体は周囲に人影がない事を確認して3mはあるコンクリの塀を上り、施設の敷地内に降り立つ。
敷地内は警備員によりそれなりに警戒されている。定期的に警備員が往復して周囲に異常が無いか確認しているそんなところだ。
その警備状況は一般から見れば厳重であり大切な施設であることが伺えた。
戦術人形達は警備員の警戒周期を観察して、ブッシュからブッシュへ移動を繰り返す。
四人とも訓練をされている様で、足音ひとつ立てない。
何回か移動を繰り返して、一つの勝手口のそばまでくる。
侵入口をこのドアに定めた様だ。
四人の戦術人形は互いに意思疎通を行い先頭の一人が解錠を行う。
警備員の隙をつきドアに取り付き解錠を試みるが、扉は電子ロックのため人形による電子戦能力にて瞬殺される。
ブッシュに隠れていた仲間を呼び寄せ、勝手口を静かに開けて侵入しすぐに閉じる。
後に残された警備員達は建物への侵入者がいた事をついに気づく事はなかった。
・・・・・
建物内に侵入した人形達は素早く解放厳禁の防火扉で隔離された階段室に入る。
階段は手薄なようで歩哨の足音などは聞こえなかった。ここで人形達は目的地を再確認する。
目的地は5階。階段で5階まで一気に階段を駆け上がり移動する。
人形達の目的地は、この建物に軟禁されているVIPを確保する事だ。
大きく「5」の文字が描かれたドアが5階である事を示している。
先程ドアを解錠した戦術人形がゆっくりとドアを開けて5階の廊下を覗き確認するが、特に誰もいないようだ。
キィ〜と扉を開ける小さい音が廊下にこだます。小さな音だが一切の活動のない廊下には異音として響くが巡回確認を行なっているもの達には異常とは認識されなかったようだ。
物音を立てずに5階の廊下に入り込むが、この廊下は遮蔽物が一切ないため歩哨をやり過ごす事が難しい。
VIPが軟禁されている部屋は5階の一番奥の雑居房、そこに到達するには歩哨の詰所の前を通過しなければならない。
四人の戦術人形は腰を落として詰所のカウンターより低い姿勢でやり過ごす。内部に詰めている歩哨達は交代時間が近いらしく、業務報告の準備をしているようで注意は散漫な様だ。
そんな時に詰所内で"ピーピーピー"と非常警報が発報される音が聞こえた。
戦術人形達は素早く横にあった男性トイレに滑り込み息を殺す。
歩哨達が確認のためにパタパタとせわしなく動き回る音が聞こえてくる。話し声の内容から自分たちが見つかったわけではない様子。
警報の内容も大事ではなかった様で直ぐに通常体制に戻った様だ。
戦術人形達は再度意思確認を行い、最奥のVIPの元への侵入を再開するのだった。
その後は特になんの邪魔もなくVIPの軟禁部屋の前につくが、廊下の窓の外の夜の帳は明けはじめていた。四人の任務に時間的余裕が無くなっている事を明確に示している。
VIPの部屋の横引きのドアに鍵はかけられておらずすぐに開ける事ができた。
音が立たぬ様に開けて素早く4名の戦術人形が滑り込む。すぐにドアは静かに閉じられて何事も無いいつもの廊下に戻っていた。やはりここでも両名の侵入に気づく者は居なかった。
・・・・・・・
VIPの部屋は数名の軟禁者が居るが、誰も彼もまだ寝ている様だ。一応布切れで寝床が仕切られているようで、最低限のプライバシーは確保できているようだ。布の向こうから複数の寝息が聞こえる。
VIPの寝床は一番奥の左手である。腰を落としたまま無音で近づく。VIPの寝床からも寝息が聞こえてくる。どうやら無事のようだ。
先頭を進んでいた戦術人形が脱出経路確保のためか、窓を開ける。音を立てないように細心の注意を払い、全開にする。早朝のため外は喧騒もなくしかも風もほぼ無い日だったため、開け放たれた窓から風が吹き込むこともない。爽やかで新鮮な空気が肌に感じる程度だった。
窓をあけた戦術人形が続いて布切れを音を立てぬようにゆっくりと開けていく。
全開にしたところで改めて就寝中の人物を確認するが、間違いなく目標のVIPであった。
よし!準備は全て整った。最終計画を実行する。
「じゃあ、予定通りいこう」先頭を進んでいた人形が声を掛ける。
「はい。分かりました」後方の3名の人形が荷物のバズーカをVIPへ向けて構える。
「じゃあいこう」との声に合わせてバズーカを構えた人形達が間を置きながら引き金を引く。
"ドカーン"
"ズガーン"
"ボカーン"
という3発の爆音とともに部屋全体が大きく震えた。
・・・
・・・・・
・・・・・・・
ベッドで寝ていたナイルは突然の爆音と衝撃を受けて目を覚ます。
『うお〜〜〜!』
『な、なんだ?鉄血の襲撃か!?』
『G36C、どこだ?大丈夫か?』
無意識にサイドアームのブローニングを探す。が右手が自由にならない。
『いっつ』肩に痛みが走る。くそ!M4もないのか?どこだ!
敵の状況は?、味方の戦術人形達は?、一体どうなっている!?
ベッドの上で混乱して右往左往したが、ふと天井を見て思い出す
(あれ?ここ病院じゃね?なんだ夢か?・・・いやでも確かに爆発が・・・あれ?)
・・・・・
上半身を起こして寝ぼけ眼で見渡すと、四体の戦術人形が目に入る。
一人は見知った戦術人形、62式だった。
桜のワンポイントが入ったセーラー服にジャケット。そして左目に眼帯をしている。
ちなみに太腿はモチモチだ(と思う)。
『あれ?・・・62式?なんで?え?』
声を掛けられた62式は笑顔で敬礼して元気に挨拶をする。
「指揮官!おはようございます!!」
そして、横でバズーカを構えていた人形達がバズーカを後ろに投げ捨て、ゴトンという音と共にゆか転がる。
バズーカを捨てた人形達は俺に向かって深くお辞儀をする。青い瞳に銀髪のボブカットの可愛い少女達だ。
真ん中の子は黒いミニスカートに黒いストッキング、紺色と白を基調としたカスタムされたセーラー服のような戦闘服を着ていた。他の2名も似た顔で同じデザインの制服を着ている。
「R-15前線基地の司令官様、おはようございます」
「私達は本社基地重装部隊所属のAT4小隊の三姉妹、隊長を仰せつかっている長女です。どうぞお見知りおきを」
礼儀正しくかつ可愛く挨拶をするが、やっている事は全く可愛くない。
『あ、ああ、どうも。よろしく・・・』
混乱している俺は挨拶に返すので精一杯。
「指揮官!元気付けにきたんだよ!早く良くなってね。基地で待ってる」
笑顔で声を掛けてくる62式だが、俺には全く理解できない。なんなんだ?なんなんだこれは?
対面のベッドのあんちゃんも震えながらこちらを見ている。
後方噴射の爆風を喰らったのか、カーテンや荷物が無茶苦茶になっているが大丈夫か!?
そんなこんな考えていると、廊下が騒がしくなってくる。
「ん?面倒事になる前に引き上げるね。指揮官。じゃあまたね」
そう言うとロープを使って窓から4名は帰っていった。着地したのかロープが回収される。
『お、おいちょっとまて』
馬鹿野郎
完全にこっちに面倒事がスライドしてくるじゃねーかよ!
どうするんだよ〜!
あまりに突然で、全く想定外で意味の分からない状況に混乱するナイルだった。
・・
・・・
・・・・
警備員が集まり確認作業が進むが、俺はとぼけて布団を被って狸寝入りを決め込む。
知らん!俺は知らん!とぼけ一択しかないだろ。
しかし、やってきた婦長に布団を剥ぎ取られる。
「ルースさん♪、侵入者は知り合いみたいですね♪」
顔は笑っているが、目は全く笑っていない。器用な人だな。
『いや〜なんですかね。よく分からないですね。はははっ』
とりあえずとぼける。知らぬ存ぜぬで通してみる。
「知り合い。ですよね!」
対面のあんちゃんに事情をきいているようだ。ヤバい。ばれてる。
鋭い怒気の籠った問い詰めであり逃げ切るのは難しそうだ。
『いやーははっ、一応知っていますかね。ははっ』
こうなりゃ、もうとことん笑って誤魔化すしかねえ。
「・・・
「ルースさん、強制退院です。ですが、言い分もありそうなので、一度だけ執行猶予を与えますわ」
「今後、少しでも関わるあらゆる騒ぎを起こさない。約束なさい」
冷徹に俺のことを見下ろすその目は優しさのかけらもない。もはや看護すべき患者とも思っていないのではないか。
いや、マジで怖え。冷静な分怒鳴り散らすより怖え。
俺は正座して頭を垂れるしかなかった。
これ以上はもう・・・・なにも無いよな?頼む、頼むぜ。
・・
・・・
・・・・
・・・・・
4体の戦術人形は朝のランニングの列に紛れて基地へ帰っているところだった。
「62式さん、指揮官様は喜んでいたのでしょうか?」
「もちろんだよ!」
「私の故郷、1990年位の日本で行われていた朝の挨拶だよ」
「当時の日本は世界一で、しかも礼儀正しさも思いやりも世界一だったんだ」
「そんな日本で行われていたこれは最高の挨拶なんだ。失礼なわけがないよ」
「そうなんですか。日本人はすごい人たちだったんですね」
「あったりまえじゃん。最高だよ」
和気藹々と帰る四人だが、帰ってから事情聴取と反省文が待っているとは毛ほどにも思っていなかった。
・・
・・・
・・・・
今回の件は社の枠を超えて病院を巻き込んだトラブルだった為大問題となった。
以下がのちに決まった後始末の処分である。
・R-15基地所属62式:始末書(反省文)
・本社重装部隊AT4小隊隊長以下3名:始末書(反省文)
・本社重装部隊指揮官ジョン・コナー:部下の管理不行き届きにつき譴責(懲戒)
・R-15前線基地指揮官ナイル・ルース:部下の管理不行き届きにつき減給十分の一を1ヶ月(懲戒)及び病院の諸々の被害額全ての弁償
・新規全社ルール追加:空砲模擬弾と雖も銃火器類を目覚ましの代用として用いてはならない
・本社行動規約追加:R-15基地からのあらゆる依頼は全て部門長の承認とってから受ける事
後ほどこの一方的な懲戒処分を聞いたナイルは、頭を垂れて本気で涙を流したと言う。
やっぱり、日本の朝といえば「早朝バズーカ」ですよね。
このネタだと歳がバレそうです(笑)
昭和の狂った時代のエンタメからでした(笑)
ところで、AT4ちゃんたち三姉妹?の名前とか関係分からないから困った。
どこかに設定無いですかね。(泣)
とりあえず、勝手に姉妹設定、真ん中の子が長女で隊長と言うことにしました。
設定が見つかったら書き換えるかな。