相変わらずプロットが固まってなくて、遅れてすみません。
ゆっくり気味だけど頑張ります。
パーティーの出だしは今までの事を考えるとまるで鏡のように凪いだ海と形容できるだろう。
何しろ、あのナイル指揮官が寂しくなるほど人形達による絡みがないのだから。
「ふふっ、寂しそうだね。ナイル指揮官」
「美人二人を前にして寂しそうにするなんて失礼だと思わないか?」
呼ばれた方向をチラリと見ると、ペルシカがニヤけながら揶揄っているのが分かる。
『いやいや。貴方方は取引先の幹部と上司ですから』
そもそも迂闊に絡むと火傷しますからね。貴方達は。
ほんと少しは自覚して欲しい。自身のその凶悪さを。いや分かって言っているのだろうが。
そんな感じで困った顔をしていると、ウェルロッドが近づいてきた。
どうも彼女なりに嫌な予感がしたらしい。俺に対して「失礼はしていないか」しきりに聞いてくる。
するわけねーだろが!まったく、俺は子供かっつーの!
「しかし指揮官、まもなく余興の手料理大会ですよ。登壇の準備をしてくださいね」
制服の上着を改めて羽織り直すと、ウェルロッドが整えてくれる。
「しっかりして下さいね。R-15の・・・私の指揮官なんですから」
忙しなくナイルの身だしなみを整えるウェルロッドを見て、ペルシカがニヤける。
「ふふっ、キミは愛されてるね〜」
ペルシカの冷やかしの声に、ウェルロッドは顔を赤くして反応する。
「指揮官!別に愛してなんてないですからね。勘違いしないでくださいね!」
顔を赤くしながら怒って俺に説教するが、俺関係なくね?まったくもう。
ウェルロッドによる身だしなみの整えが終わると同時に指揮官達が呼び出される。
「はーい!これから余興の手料理大会を始めま〜す」サブリナの宣言に
「ローズマリー上級指揮官、ジャスティン指揮官、ナイル指揮官、登壇をお願いします」97式が続ける。
ナイルを除いて指揮官が普段見せることのない姿に会場は人形たちの熱気に包まれるのだった。
・・・・・・・
指揮官3人が登壇したあと、壇上に三つ設けられたテーブルにそれぞれが着席する。
会場側から向かって左からローズマリー、ジャスティン、ナイルの順番である。単純にR-13,14,15の順番であり特に意味はないようだ。
「はーい、指揮官達の準備が整いましたね。それではゲームを説明します」
「指揮官達にはそれぞれ人形の手作り料理を食べてもらいます。早食いで全部食べた指揮官から勝ち抜けで、トップの指揮官の基地は本日のパーティーの支払いは無しです。2位3位の基地で3基地分の料金を払います」
突然のサブリナの発表でナイルの目の色が変わる。
(なに!トップは無料だと!?やばっ。俄然やる気が出てきた)
これは激アツだよ。俺が一位を取れば借金が増えない!
・・・ん?あれ?そう言えば何で借金でパーティーやることになってるんだ?
ま、いっか。今更考えてもしょうがない。格言で「勝てば負けない」って言うもんな。
勝てばいいのよ勝てば。
「指揮官が食べる手料理は幹事が独断と偏見で決めました。他の方の料理は会場の皆さんに堪能してもらいます」
「3基地の料理好きの手作り料理ですよ〜。きっと美味しいですよ〜。楽しいですよ〜。観客の皆さんも楽しみですよね」97式が会場を煽る。
人形達も仲間の手料理を食べることは無いらしく。ワイガヤで盛り上がっている。
なるほどね。指揮官達が食べるものは独断と偏見ね。
・・・バカが。独断と偏見ではなく俺の策略なのだよ。うまくやったようだな、さすがサブリナだ。褒めて遣わそう。
今回は被害者になることはないので安心して待っていると、指揮官が食べる料理の作成者が97式により発表される。
「今度は逆から行きましょう。ナイル指揮官には、R-14のグリズリーです。ナイル指揮官のファンとの事で決定しました」
紹介するたびに人形達からパチパチと拍手が鳴る。
「ジャスティン指揮官にはR-15へ移籍したG36Cを選びました。元の指揮官への成長報告も兼ねて、です」
「ローズマリー上級指揮官には・・・なんとロールアウトしたばかりのCF-05です。ローズマリー上級指揮官のR-13への試験配属が決まり本日配属となりました」
"お〜"とR-13基地の皆から歓声が上がり、CF-05へ「よろしくねー」等の声も掛かる。まさかのタイミングでの配属報告で盛り上がっている様だ。
騒ぎなど俺にとっていい隠れ蓑だ。ローズマリーは置いといてジャスティンは完全に予定通り。
おっと、ここでニヤける訳にはいかない。ポーカーフェイス、ポーカーフェイスっと。
後は普通に食って、ローズマリーに勝てば俺は無料だ。笑いが止まらん状況だが実際に笑う訳にはいかないので心の中で盛大に笑っておく。
間もなく、作った人形達により手料理達が配膳される。
・・・・・・
「CF-05さんは火鍋、G36Cさんは特製グラタン、グリズリーさんは日本料理、とのことです」
97式の説明とともに製作者の簡単なコメントも紹介された。俺から端的に紹介しとく。
「配属先の指揮官のために得意の火鍋を作った。辛いものが苦手と聞いていたので甘口に仕上げた」との事、甘口の火鍋ってなんだよ。それ火鍋って言うの?
「ナイル指揮官の為の特製グラタンです。今日は特例中の特例です」すました顔で不機嫌そうに話すG36Cだが、あのグラタンを見るだけで吐き気と震えが起こり、思わず目を逸らす。俺の為と言うが絶対に俺の為になっていない。絶対にだ。
「ナイル指揮官のファンです。今日は一〇〇式に教えてもらった日本料理を作りました」だって。
ん?なんか盛り付けとか雑じゃね?何か嫌な予感がするのでグリズリーを見るが、ニッコリ笑顔だ。うん、あてにならんな。
ついでにチラリと一〇〇式を見ると一瞬目があった後に逸らされ、そして額に手を当ててうつむき加減で首を振っている。
(え?いや、そんなわけないよね・・・。まさかね。盛り付けが悪いだけだよね)
「では、早食い競争開始でーす♪」
嫌な予感がよぎった時にちょうど大会開始の合図がかかった。余計な思考を振り解き箸を持ち目の前の和食を口へと運ぶ。
隣のジャスティンもほぼ同時にスプーンを握り、グラタンを口へと運んでいた。
『うっ・・・』
「ぐっ・・・」
一口目を食べた瞬間に、仲の悪い二人が全く同じタイミングで苦悶の表情を浮かべ、スプーンと箸を落とす。
ば、馬鹿な。何で・・・何で俺の飯が不味いんだよ。
何かの手違いか?そうだよな?正しいものに交換してもらわないと、な。
そう思いアイコンタクトを送る為にサブリナを見た瞬間、俺は察した。
何故かって?それは悪い笑みを浮かべるサブリナがそこに居たからだ。
サ、サブリナァ。お前・・・
謀ったな!?
まあ、いつも通りですよね。
サブリナちゃんがナイルの言う事を聞くわけがない(笑)
例え超高級ビスケットを奢られても。だ(笑)
うん、社長、ヘリアン、サブリナ、みんな悪い人達だ。