すみませぬ〜(土下座)
遅くなってしまいましたが、2人の紹介をしとかないとですね。
■グリズリー
R-14基地のジャスティンのところに所属する人形。
戦術人形としての戦闘力は★5なりに素晴らしいが、おバカキャラ。
自動車やバイクの運転が好きで自称"レーサー"を名乗る。何か言い訳を言う時も「私、レーサーだから」でゴリ押す。全く理由にならないのだがゴリ押す。
料理のセンスは壊滅的。レシピ通りに作ればいいのにそのセンスを多分に加える為、必ず壊滅する。
今回のパーティーでその被害の程度が明るみに出たので、今後の手料理作成はジャスティンに禁じられたとの事。本人はレーサーなのであまり気にしていないらしい。
■一〇〇式
R-14基地のジャスティンのところに所属する人形。
ある意味スペック通り。お淑やかで控えめで家庭的。その通りの人形。
目立つ人形ではないが、無茶苦茶な連中が居るので、普通にしているだけで評価がどんどん上がっていっている模様。
ジャスティンによる殺伐とした雰囲気の基地を明るくする大切な人形。
副官の95式と妹の97式とはすごく仲良し。97式の友達であり良き理解者。
ちなみに、戦場に出ると人が変わるらしい。その戦闘力は★5を超えているのでは?とか。
箸を持つナイルの手がプルプルと震え、顔からは脂汗が吹き出る。
気がついたら上着のシャツも汗でジットリしている。
御膳の上の料理は7割以上食べられており、残り少しとなっているがどうもさっきから体に異常が出ている。
おかしい。メシを食うだけでこんなになるなんてどう考えてもおかしい。
味付けが濃いとか薄いとか好みの問題とかでは断じて無い。もはやこれは料理?としか言えない物体を食べ続けているわけで。それが原因としか思えない。
食べたことはないから分からんのだが、恐らくいや必ず和食は正しく作れば美味しいのだろう。
あまりの不味さに箸が止まりボーッとしたナイルが前方を寝ぼけたように見ながらふと思う。
(ああ、本当の和食が食べたいなぁ。美味しいんだろうなぁ)
半分おかしくなりかけた頭がこんな思いを弾き出す。
ふと、和食の達人であるらしい一〇〇式を見る。
(一〇〇式の美味しい和食が食べたいなぁ)
ヘラヘラと焦点の定まらないナイルから見つめられた一〇〇式は、涙目で静かに首を振っているだけだった。
一〇〇式はナイルからの何かのクレームの視線と勘違いしていただけなのだが、結果全力拒否されるナイルは少し可哀想ではあった。
この手料理早食い大会は進むも地獄引くも地獄。いや正確に述べれば引くのはそんなに地獄ではないはずであるが、金とプライドを守るためにやめられない。貧すれば鈍するとはまさにこの事なのだろう。
鉄血連中との戦闘や作戦においてこんな事では困るのだが、ことパーティーとなるとサブリナ達にいいようにされてしまう。
女性戦術人形達がやり手なのかナイルの弱点なのか。そこはよくわからない。
・・・・・・・
「ナイル指揮官!ギブアップ?ギブアップ?」
真顔で97式がナイルの顔を覗き込み両肩を揺すりながら「大丈夫か?」と聞いてくるが、その姿はさながらプロレスの試合で関節技をかけられて苦しむ選手に問いかけるレフェリーの様だ。
白目を剥きかけているジャスティンに同様に問いかけているサブリナもどこか焦りの表情が滲み出ている。
二人ともこのクソ不味い料理達をそんなに気合を入れて食べ進めるとは想定していなかった様で、あまりの悲惨な状況にちょっと焦っているらしかった。
ナイルが97式の問いかけにハッと目を覚まして、ギブアップを拒否する。
『まだまだ、だ・・・ウプッ』
「ああ・・・グフっ・・・・死に急ぎのオッサンには負けられねえな・・・・」ジャスティンも瀕死ならまだまだやる気の様子。
二人して料理を嫌々食べ進めるが全く捗っていない。
側から見ている人形達はそんなに食べたくないなら止めればいいのにと思うが、勝負事である以上皆自分の指揮官を応援している。流石に自分の指揮官が負ける姿を見るのは戦術人形として許せるものではない。思い思いに声を張り上げたり打楽器の様に物を叩いたりしている。料理を食べる早食い大会なのにまるでプロレスやボクシングの試合会場のような白熱ぶりである。
そんな制御不能な状況に「もう!二人して意地張っちゃって!サブリナは知らないからね!」と頬を膨らませてプイッと横を向くサブリナ。
壇上の解説兼レフェリーのサブリナは食べ進める二人に匙を投げた様だが、そもそも自分達の作戦の読み違えが原因の事故であることに対しては知らぬ存ぜぬを決め込むつもりらしい。
(まったく!誰のせいだよ誰の!)
ナイルがジト目でサブリナを見るが、知らないもーん、を貫き責任は取るつもりはないらしい。
(これ、絶対俺に責任がまわってくるパターンじゃん)食事に追加して苦労が増える現状にウンザリなナイル。
舞台下に目を向けると、早食い大会を早々にギブアップしたローズマリーがナイルへと疑いの目を向けている。
ありゃあ、"終わったら分かっているな?"との合図だな。もう分かってんだよ。
(完全にサブリナのとばっちりだよ。また叱られるよ。はぁ〜。)
・・・・・・・
ナイルはどんよりした気分で茶碗蒸しなる黄色い何かが固まったカップを手に取り食を進める。カップへスプーンを入れるが黄色い何かはとても硬くてなかなか刺さらない。スプーンで削ったり砕いたりしながら食べ進めるが、案の定食事とは思えないほど不味い。
ひとつくらい美味い料理があってもいいのだが、これはこれで才能なのかもしれない。
なんて思っていたら、隣からドサッというかガチャンというかそんな音が聞こえる。
目を向けると、ジャスティンが完全に白目を剥いてテーブルに突っ伏していた。おまけにカニの様に口から泡を吹いている。
食事をみるとあのG36Cのグラタンを半分以上食べていた。
(お前・・・自分の手であのグラタンを半分以上食べるなんてすごいな。尊敬するよ)
心の中で賛辞を送るがグラタンを極力目に入れない様にする。悪いけど視界に入るだけで吐き気を催す。完全にトラウマですよ。
サブリナと97式がジャスティンを確認するが、即ドクターストップが告げられる。
R-14の人形達が壇上に駆け上がりジャスティンを介抱するが、状況はかなりヤバそうとの事で担架に載せられて医務室送りとなっていた。
(よっしゃー。最後まで残った俺の勝ちだろ)
スプーンを置いてニコニコしていると、
「ナイル指揮官もギブアップですか?」と97式がニッコリ笑顔で聞いてくる。
『え?最後に残ったから勝ちでしょ?』
「何言ってるの指揮官?最後まで食べ切らないと棄権だよ?それとももう棄権かな?かな?」悪い顔のサブリナが上目遣いで聞いてくる。
『ま、まじで?』もう終わりだと思ってたのに継続?
「まじだよ〜」97式が相変わらずニッコリ伝えてくる。おいおいサブリナに影響されてねーか?これ。
『うそ〜ん。(泣)』
思わず半ベソとなったナイルの口から心の声が盛大に漏れていた。
・・・・・・・
そこからたっぷり1時間を掛けて食事を食べ切った。
「はい。ナイル指揮官の勝ちでーす。お仕舞いでーす」何故か面白くなさそうにサブリナが投げやりに宣言する。
俺の勝ちがそこまで嫌かよ。全くお前は・・・露骨すぎだろ。
「ナイル指揮官、おめでとうございます!」
座ったままの俺の手を97式が高く上げて勝利を讃えるが、拷問が終わった事が嬉しいよ。
とりあえずグリズリーにはこれからの被害者を減らすためにも一言言っとく。
『グリズリー、お前この料理酷いぞ。一〇〇式からきちんと教わってレシピ通りつくれよな』
「ナイル指揮官、ごめんね。今度は正しく作るよ」シュンとした態度で反省している様だが、俺はもうお前の料理は食わんぞ。
そう心に決めて席を立とうとしたところで、視界がグニャりと歪み記憶がそこで途切れた。
ダメージが蓄積していた様で多少の遅れをもって限界をこえた様だった。
そのままガシャンと机に突っ伏し気絶するナイルだったが、ギリギリ作戦が成功となったサブリナがそれはそれはニッコニコの笑顔でお姫様抱っこして医務室へと運んだのだった。
そんなこんなで、ナイル指揮官の勝利で終わりR-15基地の支払はゼロ。そしてサブリナの指揮官ラブラブチュッチュ作成も成功裏に終了したのだった。
この後結局、ナイルとジャスティンは医務室で胃洗浄を受けて、パーティーへ強制復帰させられる羽目になる。
パーティーの途中危棄権は許されないのは伝統となっている様であった。
まだまだパーティーは続くのだった。
パーティーはあと一、二回ですかね。
その後は何をしようか・・・・
ノープランはキツいっす(泣)