中年指揮官と零細基地の日常   作:へなころ

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アップに長期間掛かってしまいました。遅れて大変すみません。
仕事でやられ気味で生活が荒れ荒れ中です。現在進行形ですね。早く楽になりたい・・・
おまけに、ドルフロの大型イベント始まるし。今回のイベントは楽しめていたのですっかり時間を取られてしまいました。ランキングマップも珍しく楽しくて、やりこんでしまいました。瞬間最大風速では75位くらい行きましたが、キープは無理っすね。10%以内狙いでマッタリ楽しみますわ。

今回は長めになりました。
よろしくお願いします。


77.モノトーンの罠

 工場攻略作戦当日の早朝、日が出る前に空が明るくなってきた頃に作戦に参加する戦術人形達が整列していた。

 簡単なブリーフィングが行われる時に、部隊が追加される事が周知された。

 

「本社基地所属の重装部隊指揮官のコナーだ。今回の作戦にはAT4小隊が参加する事となった。よろしく」

 

 映像通信でコナー指揮官の挨拶が送られてくるが、それを見てR-15基地の62式はバツの悪そうな顔をしていた。

 以前、本社基地側の病院にナイル指揮官が入院していた時にAT4小隊の3姉妹を勘違いとはいえ結果誑かして早朝バズーカを仕掛けに行ったからだった。あの後はドエライ事になり彼方此方でみっちり絞られた。

 もちろんこのミーティングの後にAT4達に挨拶に行ったんだけど、冷たい対応でまともに話すら出来なかった。まあ、自業自得と言えばそれまでだけどさ。

 と、考えていたがうちの指揮官にも未だに迷惑を掛けてしまっている。は〜全く悪気は参ったなぁ。なんとか埋め合わせを考えないと。

 そんなふうに62式が考えているが、ナイルがこれを聞いたら全力で止めるだろう。頼むからこれ以上事態を悪化させないでくれ。と。

 

 62式の思いはいざ知らず、ナイルがコナー指揮官に挨拶をする。こんな時じゃないと顔も合わせられないのが指揮官業の辛いところなのかもしれない。

 

『コナー指揮官・・・その節はどうも』

 

「・・・・ルース指揮官、すんだ話はもうけっこうですよ・・・。は〜〜〜」

 

 どんよりした雰囲気で思いっきりため息をついてそう言うと、申し訳ないけど関わりたくないんです、と言った雰囲気で早々に通話を終了していった。62式の独断で始まった早朝バズーカのせいで懲戒処分を受けた訳で、これまた当然の反応と言えばそうだろう。

 

『・・・・・』

(うーわ。思いの外嫌われとるな。マジかよ・・・)

(いくらなんでも酷いだろ・・・)

(全く、うちの人形のアイツらやりすぎなんだよ。もう〜)

(他の基地はこんなんじゃないのか? うちに来る人形が特別なのか? さっぱり分からん)

 

 相手が既に立ち去った通信装置を顔を引き攣らせて暫し見つめるナイル。62式の暴走に巻き込まれて懲戒を受けたナイルもまた完全に被害者であるのだが。被害者同士で気持ちを共有できないところは辛いところである。

 

 

 かくして、工場攻略大作戦は開始された。

 

 

 

 ──

 ────

 ────────

 ──────────────

 

 

 

「おかしいですね・・・・敵が全くいない?」

 

 作戦が開始され、本体が都市へ潜入した後にそのまま工場近くの補給ポイントで補給を受け取り工場に侵入してハイエンドを倒す。

 端的に言えばそんな計画であるが、敵の大きな抵抗が予想されいかに消耗が少なく済ませられるかがポイントだった。なのでHGと護衛のSMGからなる斥候部隊を準備して索敵を密にしながら進めているのだが全く敵が見えない。まさにもぬけの殻の様相を呈していた。

 

「指揮官、前回の調査時とはことなる状況ですので・・・・・作戦継続の確認です」

 

 現場の97式がジャスティン指揮官に連絡を入れる。

 

『・・・・必勝の準備は進めてきた。今回は本社やR-15の協力も得られている。多少の想定外は跳ね返すことが可能だ』

『作戦は継続だ!』

 

「了解しました!」

 

 作戦本部との最終確認を終えて、作戦継続の判断を人形同時の無線通信で共有する。

 確かに不安がゼロでは無いが指揮官の判断を信じて気持ちを切り替える。

 

「工場は目の前です。一気に行くよ!」

 

 戦闘らしい戦闘もなく本隊は工場手前に差し迫っていた。

 

 

 ──────────ー

 

「・・・・・・・・」

 

 97式とジャスティンのやり取りを見ていたナイルは腕を組んで黙って聞いていた。

 97式の不安は当然だが、拠点攻略は基本待ち伏せされる。なので攻略はそれを崩す戦力を用意する。当然だ。

 だからジャスティンの回答もその通りである。なんら異論はない。

 しかしだ、あまりに状況がおかしい。

 軍隊のとき何度か死にかけた、敵に嵌められる罠がこんな感じだった事を思い出す。

 

「どうかしましたか? 指揮官様?」

 

 ナイルの横で作戦記録をつけていた副官のG36Cが近距離からナイルの顔を覗き込んでくる。

 いつもナイルにちょっかい出す事を考えている彼女だが、流石に作戦中は自重するらしい。いや、いつもと態度の違うナイルを訝っているのだろう。

 

「いや、嫌な予感がしてね。何か嵌められている気がするんだよね。確信はないが」

 

 その反応を聞いてG36Cは驚きの表情を見せる

 

「罠、ですか? ・・・でもだとしたらどこから作戦が?」

 

「いや、そうなんだよ。こんなローカルな作戦、どこから漏れるというのか・・・・」

 

 それこそ作戦を全部知ってなければやらないような待ち伏せだ。守備隊を全て消すのはまだまだ待ち伏せ作戦としては甘いけどな。

 少し残して嘘臭さを脱臭するくらいじゃないと・・・ってそんなこと考えてる場合では無いな。

 

「全部知っているようなやり方なんだよな」

 

 全部知っているか・・・。自分で言ってふと思う。まさか、ハックされて全部見られているとか?? 

 そんな訳ないか・・・・無いか? 本当に?? 

 

「G36C、基地のシステムとか通信とか、異常ないよね? ウイルスとかハッキングとか、ね」

 

 ちょっと心配になって聞いてみる

 

「え? ・・・大丈夫だと思います。ウイルス検知にかかりませんし、何重ものファイアウォールがありますから・・・・」

 

 だよなぁ。普通に考えたらそうなんだけどさ・・・・

 

「・・・・・」

 

 徐にナイルは立ち上がり、PDA(携帯端末)を取り出して、通話を始める。

 

「あら。電話で連絡なんて珍しいですね。ナイル指揮官」

 

 電話の相手は多目的支援隊のクリスティーナ指揮官だった。

 

 

 ────────────

 

「なるほど。そう言う事情の念のためですか」

「でも頼まれるのは大丈夫ですが、戦闘指揮経験は研修でやったレベルですけど・・・」

 

 ナイルはもし自身の通信が切れたら代わりに指揮をとってほしいとクリスティーナ指揮官に頼んだのだった。

 ちょっと不安そうなクリスティーナ指揮官だが、うちの基地のエルなら大丈夫。

 

「ああ、エルの方から作戦提案はさせる。あとは選択してもえばいいと思う。それに万が一だよ」

 

「・・・・分かりしたわ」

「エルさん、よろしくお願いしますね」

 

 三者通話に呼ばれていたエルと挨拶を交わして、作戦指揮用の臨時指揮コードの取り交わしするクリスティーナ。

 これで何かあっても最悪は回避できるだろう。

 

「あー、一応念のためR-14のジャスティン指揮官の分も教えておきますよ」

 

「いいんですか? バレたらまたヘリアントス上級代行官に怒られますよ・・・」

 

 何かあった時のためにジャスティン指揮官と取り交わしたR-14部隊の臨時指揮コードをクリスティーナ指揮官に渡す。

 本当は黙って渡しちゃうのは不味いんだが念のためだ、まあいいだろう。

 クリスティーナ指揮官からはサラッとコンプラ違反してるのを指摘され、懲りないな的な呆れ顔を向けられているが無視無視。勝てばオッケー。

 

 そんな感じで保険を打ったところで、電話を終わらせて攻略の指揮に戻る。

 心配事も杞憂に終わればいいのだけど。

 

 ──────────ー

 

 さあいよいよ鉄血の工場に乗り込み叩き潰す。工場の前でそんな準備が整った時だった。

 

「!!!! ・・・・っ」

「周囲に敵性反応、接敵まで30秒っ!」

 

 斥候のHG部隊の隊長のMk23が大声で怒鳴る。何も無かったところに突然敵がワラワラと湧き出した訳だ。索敵担当としては大慌てである。

 工場に突入するため部隊が集まった瞬間のいやらしい襲撃だった。

 

「なにっ。バカな。敵は観測されなかったぞ! しかもこんな大部隊だと!?」

 

 ジャスティン指揮官も思わず立ち上がるが、指揮マップのモニタには工場の入口に集まったグリフィンの部隊を取り囲むような多数の敵兵を示す赤い点が映っていた。さすかに間違いでは無いだろう。

 

「指揮官! 指示を」

 

 97式が指揮を求める。と言うのも、部隊の外周では戦闘が開始されひっきりなしの銃声が響いていたからだ。

 このままではなし崩しの防衛戦に突入して殲滅されるのを待つだけになる。

 

「くっ! 急いで・・・・・かに・・・・だ」

 

 しかし、ジャスティンが返答しようとした時に、画像と音声が乱れ突如ジャスティン指揮官がログアウト状態となってしまう。

 

「指揮官! ジャスティン指揮官! 聞こえますか? 応答してください!」

 

 97式は焦りの顔を浮かべて必死にジャスティン指揮官に呼びかけるが、通信には『NO SIGNAL』が表示されるだけだった。

 

「97式、指揮官の指示はまだなの? そんなに持たないよ!」

 

 前線で敵の矢面に立って敵の攻撃を引き受けているスペクトラM4たちSMG人形から催促が来るが、指揮官と繋がる気配は無かった。

 いくらベテランのスペクトラ達と雖も多数の敵からの集中攻撃を全て捌くことは出来ない。このままではダミー諸共本機が破壊されるのも時間の問題だった。彼女達がやられたら部隊の全滅もあっという間だ。時間的余裕は全くない。

 

 

「97式。指揮を代行する」

「AT4小隊を護衛しつつ工場に入れ。籠城が可能なポイントで耐えてチャンスを待つぞ」

 

「ナイル指揮官、了解です」

 

 指示を受けた97式は素早く部隊をまとめて移動を開始する。

 その隙に俺はコナー指揮官に一言伝える。

 

「コナー指揮官、俺になにかあったら指揮は頼みます」

 

「あ、ああ。・・・・いや、なにかとは?」

 

「・・・・・・」

 

 俺は答えに窮し黙ることしか出来ない。誘い込まれてからの待ち伏せにジャスティン指揮官のログアウト。完全に嵌められているとしか思えなかった。

 

「ふ〜。これはダメかも分かんね。素晴らしい作戦だよ。・・・なあ? イントゥルーダーさんよ?」

 

俺は居るはずのない敵のボスに語りかける。はたから見たら意味の分からない行動だろう。しかし・・・

 

 

「・・・・・」

「あら? クズな人間にしてはよく分かりましたわね」

「今更ながら初めまして。R-15基地のナイル指揮官様」

 

 その声と共に指揮コンソールの画面が強制的に変えられ、美しい女性が映し出される。しかしその異様なまでにモノトーンの姿と手に持つ凶悪な武器は明らかにマトモでない雰囲気を醸し出していた。

 

「え? マジか?」

 

 驚いた声を上げる俺。本当にグリフィンの指揮システムに侵入していたとはね。うちの誰もが気づかなかったからな。正直その電子戦能力は欲しいよな。

 

「ふふっ。マジですわ」

 

 そんな事を考えていたら、何やらドヤ顔でマジだと言ってきやがった。なにドヤ顔で言ってんだコイツ。

 

「ぷっ。なに偉そうに言ってんのよ。マジか? はマジで顔出ししてくるとはバカか? って意味だよ。ポンコツ」

 

「なっ!」

 

 余裕の上から目線でバカにしていた態度から一変、顔を真っ赤にして怒り始める。口汚く罵ること罵ること。

 コイツ、煽られ耐性無さすぎじゃね? 

 

「作戦も、守備をゼロにして胡散臭いったらありゃしないし。ドヤ顔で正体バラすとか、バカだろ?」

「あ。小馬鹿にしてた人間にバカとか言われちゃプライドが傷つくか?」

 

「くっ! ・・・・・・ふふっ、口ではいくらでも言えますわ」

「いくら吠えたところでこの窮地はどうにもならないでしょう。死になさい。下等生物!」

「バイバ〜イ♪ 」

 

 そう言って余裕を取り戻したイントゥルーダーが手を振ると同時に、基地の建物が激しく揺れると共に指揮コンソールの画面が消えた。

 

────────────

 

 激しい揺れに合わせて電気が消えて非常灯に変わる。揺れで吹き飛ばされそうになった俺をG36Cが素早く抱いて支えてくれていた。

 うん、背中が柔らかいエアバックのような二つの球体に包まれたのが気になるが、今は非常時なので流す。

 

「G36C、すまない。状況を教えてくれるか」

 

「はい指揮官様。基地が攻撃を受けたようです。・・・通信施設が被害を受け作戦指揮と他基地への通信が不能となっております」

 

「攻撃? バカな。簡易レーダー基地から索敵情報は無かったはずだ」

 

「はい。索敵記録はありませんわ。となると故障でなければ遠距離攻撃かと・・・」

 

 G36Cにも状況がわからないようだ。となると、ジャスティン指揮官の基地もか? 不味いな。

 

「R-13基地のローズマリー上級指揮官には通信可能か?」

 

「試してみます・・・・いいえ、不可能です」

 

 残念な顔で答えるG36C。いや、待てPDAはどうか? 生きているな。よかった。

 すぐにローズマリー指揮官と通話を行う

 

「ナイル指揮官! どうした急用か?」

 

 通話に出たローズマリー上級指揮官は忙しいようで出るなり急用かと聞いてくる。嫌な予感がする。

 

「こちらのR-15基地が攻撃を受けて通信と指揮が不能となっております。恐らくR-14もです」

 

「工場攻略作戦と同時にか? 出来過ぎているな」

「こちらも遠距離攻撃を受け街の外壁に損傷が発生している。貴官の方に増援は送れない」

「だが、すぐに始末してR-14と15に送る。あと本社へは報告しておく」

 

「ありがとうございます。ローズマリー上級指揮官、御武運を」

 

「ふっ。遊び人の貴様に心配されるまでもない」

 

 そんな会話と同時に再度基地が揺れて、PDAの通信が途切れる。

 くそっ。容赦ねーなおい。

 

「ウェルロッド、屋上から敵の位置は分かるか?」

 

「指揮官、攻撃の威力が大きく屋上には出れません。敵の砲撃と推定します」

 

「すまないが強行しての目視は可能か。頼む」

 

「了解しました。死んだときは復旧をお願いしますよ」

 

 冗談の軽口を叩きながら屋上から様子をみる。見るが特に周辺に敵は見えなかった。

 てっきり、自走迫撃砲のジャガーの集団でもいると思っていたが、どこにもいない。

 

「???」

「砲撃なのにジャガーがいない? ・・・おかしい・・・・」

 

 想定外の状況に一瞬考えて呟くが、やはり居ないものはいない。

 しかし考えていたそんな時に、アイカメラの端に捉えていた大分遠方の丘の上が光ったのが見えた。

 

「ん? 何かしら・・・・って、砲撃!」

 

 慌てて基地の入り口に飛び込んだ数瞬後に凄まじい威力の弾着があった。屋上を外れたと言うのに凄まじい爆風が吹き荒れる。

 

「何よ・・・・この威力・・・」

 

 あまりの激しさにウェルロッドは思わず恐れ慄くがすぐに我にかえり、冷静にナイルに報告をするために指令室へと駆け出した。

 

 ────────────

 

「何だと? 遠方の丘の上? だと?」

 

 ウェルロッドの一報を受けて、基地の外壁に設置されている望遠カメラを起動する。運良く壊れていなかったのとちょうど主電源が復旧したタイミングだったのは偶然だった。

 望遠カメラをウェルロッドからの報告のあった方向に回して最大望遠で拡大する。すると何か見たこともないものが薄らと映っていた。

 

「何だ? こりゃ?」

 

「分かりませんわ・・・・」

 

 思わず呟く俺に同じように合いの手を入れるG36C。G36Cにも映っているものが分からないようであった。

 二人で顔を見合わせて首を傾げるしか無かった。

 そんなタイミングで司令室の自動ドアが開き、ウェルロッドが飛び込んできた。

 

「指揮官、ただいま帰りました」

 

 普段身だしなみのしっかりしている彼女だが、今は髪は乱れ埃まみれのドブネズミの様であり思わず吹き出しそうになるが、それだけ砲撃の破壊力を示していた。恐らく屋上に弾着していたら彼女は瞬時に消滅していたのだろう。博打のような危険な任務をさせた罪悪感が一瞬よぎるがそれどころでないので直ぐに気持ちを切り替える。

 

「ウェルロッド、これなんだか分かるか?」

 

 そう言って望遠カメラから抽出した静止画を映す。

 

「・・・・これは・・・」

 

 そう呟くと共にウェルロッドは顔を顰めていた。

 

 

 ────────────

 

「なに? 木星砲(ジュピター)? ・・・・噂に聞いていた鉄血工造の新兵器、か」

 

「ええ、S09地区指揮官が特殊作戦で遭遇した敵ですね」

「正規軍のサーバーをハッキングして盗んだ要塞砲のデータを元に作った、AIによる完全オリジナル兵器です」

「小型化したために威力は落ちていますが、対人・対人形用としては十分過剰な破壊力です。対空や対車両、攻城などにも使えることから、鉄血のドクトリンに叶った兵器となっていますね・・・・」

 

 まあ、そのドクトリンに則った攻城戦に現在進行形で使用されているんだけどね。

 

「破壊は可能か?」

 

「可能。ですが、潜入した後に周囲を囲みジャミングを掛け射撃管制を無効化して、と手順が必要です」

「敵防衛戦力がいる事を考えると、今の基地戦力では・・・不可能と考えます」

 

 せめて単独潜入経験のあるスカウトとアストラが居れば何とかなったかもしれないが、今は工場攻略作戦に参加中で留守だ。と言っても、指揮不能となったあちらもどうなっているか・・・。くそっ、後手後手じゃないか。

 

「打つ手なし。か・・・・」

 

「「・・・・・」」

 

 出ても勝てない。かと言って籠城してもジュピターに全て瓦礫に変えられて全滅。通信はPDAも含めて壊滅中・・・

 どうする? チャンスを待つか、あるいは自力で作るか。どちらも勝てる可能性は低いが・・・・

 ローズマリー上級指揮官の言葉を思い出す。増援を必ず送ると。

 また、待つしかないのか・・・・

 

「籠城するぞ。増援が来るまで耐える。以上だ」

 

 ナイルの運命を決定づけた選択となった。

 

 ──

 ────

 ──────

 ────────────

 

 R-15基地が遠くに見える小高い丘の上。()()()美女がいた。

 ちょっとピクニックに来た。人間であればそうとも思えるが、モノトーンの彼女達は明らかに人間では無かった。

 

 

「全く! 何でジュピターが一門なんだ!」

「エージェントに五門は持っていけと言われただろう!」

 

 ジュピターの脇にいる一人、銀髪のロングヘアーでクールな雰囲気の美女がプンスカと怒っている。どうも相方に不満がある様だ。

 

「え〜。簡単じゃつまんないじゃん!」

 

 隣の美女は黒髪の長髪を左サイドテールにまとめている。雰囲気はイケイケの若い子? のような雰囲気である。言動を見る限り結構適当な性格な様子。

 

「何言ってるんだ! エージェントにバレたら・・・分かってるのか?」

 

 銀髪の女がバレたらの発言の辺りで顔を顰めて身震いする。どうやら彼女達の上司は相当恐ろしいらしい。そしてどうもパワハラ体質の様である。

 

「はいはい分かりましたー! 勝てばいいんでしょ? 余裕だっつーの!」

 

 そう言うと凶悪な笑みを浮かべる黒髪サイドテール。

 

「どうせあの人間達にはジュピターを壊せないんだしさぁ」

「スケアクロウを殺ったあの人形達はイントゥルーダーの所に行ってるみたいだしさぁ」

「それにグリフィンのゴミが近づいてきたら、貴女が切り刻んでくれるんでしょ? ねえ? ゲーガー?」

 

「・・・ああ、それは任せろ。アーキテクトの事は私が守ってやるさ」

 

 笑顔のアーキテクトに真顔で答えるゲーガー。何だかんだ言ってもこの二人は仲がいい様だ。

 

「じゃあさ、的当てゲームを楽しもうよ。命乞いするにしも特攻して散るにしても踏み躙って楽しめるじゃん」

「それに、()()()()()()()()()()()()。丁度よかったと思うよ」

 

 勝手な奴が多すぎる、と呟き頭を抱えるゲーガー。

 明るい声でえげつない事を言って楽しむアーキテクト。

 しかし、何だかんだ言っても確実にR-15基地をおいつめる彼女達は、間違いなく鉄血工造のエリート人形であった。

 

 





工場攻略の筈が、一転ピンチのナイルさん。
頑張ってしまって行きますぞ!
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