SPEC様、引っ張ってすみません。orz
ナイル指揮官がPx4さんに美味しく料理されちゃう回です。(笑)
なんか、人形があまり出ない回になってしまった。
これ、本当にドルフロ 作品か?って感じであります。
すんまそん。
サブリナとPx4が出会う少し前のことだった。
ここはS地区の大きな街だ。上級指揮官が治める地区であり要所である。
ある昼下がりの出来事だ。
その日は休日でミッドタウンの繁華街には多くの人が溢れていた。
「天誅〜〜!」
「人形に自由を!」
「グリフィンは出てけぇ!」
場違いな叫び声と共に、工事メット、マスク、ゲバ棒を持った男たちが現れ、建築中の店舗のガラスを破り火のついた火炎瓶を放り込む。
店舗はあっという間に炎に包まれる。
突然の出来事に、通行人は悲鳴と共に蜘蛛の子を散らす様に逃げ惑う。対テロ部隊の戦術人形が到着する頃には、犯人の男たちも人混みに紛れ逃げていた。
この日は同様のテロ行為が同時多発的に発生していた。
人権団体等の過激なテロリストに狙われたのは主に人形を従業員として雇っている企業だった。
向こう三軒両隣を半焼としながら完全に焼け落ちたこの店舗は、大手ピザチェーンの開業近い新店舗だったものだ。
翌日には、店舗所有者であった大手ピザチェーンの社長が上級指揮官へ混乱の謝罪に訪れたが、事の重大さから無期限の出店見送りの処分が言い渡された。
しかしこの出店見送り処分は、ピザ業界では無理な出店を続けて業績が悪化していたピザチェーンの芝居と噂されていた。それなりの金額がチェーンから上級指揮官に支払われ
その根拠として、後にチェーンの出店が大きく絞られたからだ。
ピザチェーンは保険会社に多額の損害金を請求した。機会損失、基地からの無期限出店見送り処分と言った社会的地位の毀損による損失など、ここぞとばかりに請求した。多額の補償金の支払いを受けたチェーンの業績は後々急回復する。
しかし人間も人形も会社も、弱い者が踏み躙られるのが世の常だ。
その数多の会社の一つがピザ窯製造会社だった。
・・
・・・
・・・・
『部長、お願いします。キャンセルだけは勘弁してください。お願いします。』
店舗の焼失により、納入間近だったピザ窯の突然のキャンセルが言い渡されていた。
当然弱い者を守る法律はある。しかしそれを使えるかは別の話である。使えば今回は助かるがその後二度と大手チェーンとの取引は無くなるだろう。結局待っているのは死だ。だから、とにかく頭を擦り付けてでも頼むしか無い。
「ダメだ。今回は飲んでくれ。次の機会は優遇するから。な。」
口約束の空手形を切って部長と呼ばれた男は通信を切る。部長も飼い主から厳命されており命に代えても代金を支払うことは出来ない。
ここもまたまさに生き死にの戦場なのだ。
消えたモニタを見つめる三ちゃん企業の社長は頭を抱えていた。このままではピザ窯の材料費も支払えないからだ。
ピザチェーンの購入価格は定価の1/3にまで叩かれていたが、それでもキャンセルよりはるかにマシだった。
『ああ・・・うちももう終わりだ・・・』と社長はつぶやく。
もう、どうにでもなれ。と思いはじめた辺りで、映像通信の着信が入った。
(材料の販売会社にしては情報が早いな)なんて思っていたら知らぬ番号からだった。
出てみると、モニタの向こうにはスーツを着たビジネスウーマンが映し出される。
肩で揃えたブロンドのショートヘアの美人な女性であった。
「初めまして、急なお話で申し訳ありませんが、急ぎで業務用ピザ窯を探しております」
「お得意様のクライアントが急遽イベントで使うことになりまして、何としても探さなくてはいけなくて・・・」
ビジネスウーマンは伏目がちにつぶやく。少しやつれた雰囲気から苦労が見て取れた。
『へ?ピ、ピザ窯ですか??いや・・・・』
要らないとか欲しいとか、目まぐるしい変化に思考が追いつかず、気の抜けた返事が出る。
「そうですか・・・やはり在庫はありませんか・・・失礼しました」
気の抜けた返事をネガティブに捉えたビジネスウーマンは通信を切ろうとする。
『待ってください!あります!あります!即納可能です!!!』
降りてきた
「本当ですか。よかったです!!」
ぱあっと明るい笑顔を見せるビジネスウーマンの瞳の奥が、獲物を捉えた肉食動物のような鋭さに変わったことに社長は気づかない。
「ただ、クライアントはお金に厳しくて・・・定価の半額でなんとか頂けないでしょうか。」
とてもじゃ無いが一般人へは販売出来ない激安金額を提示する相手。しかし、予定していたピザチェーンへの販売価格の約1.5倍の金額である。
しかも、会社が潰れるかどうかの瀬戸際。まさに渡に船。ここは折れるしか無かった。
『今回限りの金額であれば、お売り出来ます」
「今回限りで構いませんわ。社長、ありがとうございます!」
可搬化のOP追加、納入条件や支払い条件についての調整をして、通信は終了した。
(フフッ。まさに三方良しってやつね。)
保険会社の損害は彼女の勘定には入っていないらしかった。
・
・・
・・・
・・・・
Px4は続いて、低温冷凍庫の調達も済ませた。もちろんうまい交渉からの大幅割引にて購入している。
大物物資の調達を完了させて、Px4は焦らずにサブリナからの連絡を待った。
二日ほど経ってサブリナから、映像通信が入った。
「Px4さん・・・稟議書通っちゃった・・・どうしよう」
モニタの向こうのサブリナは明らかに挙動不審である。
大きな金額を執行できる状況に不安になっているのだろう。
Px4は決済された稟議書を読み。目一杯驚いたように演じる。
『えっ!通ったの!?あなたのところの指揮官はすごいわね』
「え?指揮官??どう言う意味ですか??」
『ほら。稟議書に財務管理課の記述があるでしょ。「指揮官の強い願いがあったので」と書いてある』
『指揮官の心情を確認されたんだと思うわ。じゃなければサブリナのこの稟議書は普通に考えたら通らないわよ』
まるで役者のように不信感なく演じる。
「そっか。じゃあ指揮官は理解して。なんですね」
「でも、何で一言声をかけてくれないんだろう」
『多分、サブリナに自由にやってもらいたいからじゃないかな。指揮官が声を掛けたらそれに影響されちゃうと思ってるんだと思うよ』
『サプライズでびっくりさせるパーティーになるよう、一緒に頑張りましょ』と微笑みかける
「はいっ!!」と応じるサブリナ。
(サブリナちゃんは素直でいい子ね。けど将来
現在進行形で行われているこれは、彼女の中ではそれには該当しないらしい。
『サブリナちゃん、業務用ピザ窯もピザ保管用低温冷凍庫も手に入れる算段がついているわ』
『ただ、金にモノを言わせて買うから、
定価の半額近くで仕入れた大物を定価の倍で売りつける。通常ありえない超短納期調達を考えれば高過ぎるとも言えない絶妙な金額設定。流石の商魂逞しさである。
『もちろん、ピザも食べ物も私が見つけた安くて美味しいところから仕入れるからね』
Px4はサムズアップしてウインクしてみせる。
「Px4さん、ありがとうございます」
(エル隊長の知り合いだけあってすごい出来る人だなぁ)
(こんなに良い人なのになんで隊長は渋ってたんだろう・・・)
サブリナは完全にPx4の事を信頼しきっていた。
新造されたばかりの素直なサブリナに海千山千のS10のPx4を正しく評価する事など、土台不可能な事であった。
そしてそのまま、契約が何事もなく締結される。
『とてもよい取引が出来ましたわ。何かあったらいつでも御用命くださいね』
にっこり笑顔でPx4は慣例的な挨拶を交わし締める。
そして最後にPx4は保険を打つ。(念のためリスクは減らさないとね)
『そうそうサブリナさん、パーティーを大々的にやるなら、
『賑やかになるし、基地の盛り上がりを社内にアピールできるからね。良い宣伝になるよ』
「そうですね。助言ありがとうございました」
サブリナは最後に本当に良い笑顔を見せて通信を終了した。
・・・
Px4にとってこの取引の一番のリスクは、R-15基地からの無理やりな返品や自身のマスターへ苦情が入ること。
調べればS10の人形から商品を買ったのはすぐに分かる。
もちろんあらゆる面で私の胡散臭さは脱臭済みではある。
しかしそれでも苦情を入れられれば、マスターの経歴に傷がつく。
例えそれがどんなに言いがかりだったとしても、それは自分がマスターに迷惑をかけた事と同じである。
(それに、マスターはこういうとこ真っ直ぐだから、一連のことがバレたら本気で叱られちゃうだろうし)
(まあ、バレるようなヘマはしないんだけどね)と付け加える。
パーティーの途中中止を防ぎ、つつがなく終了させれば世は事もなし。である。
そこにはR-15地区の指揮官の心情など微塵も考慮されていなかった。
机の上の開かれたファイルのナイルの写真を一瞥する。
(フフッ。ご馳走様でした。
『
呟き片手で半身のPx4を遊ぶように弄る人形のその目は、仲間を守るS10基地の戦術人形そのものだった。
(ああ、これ以上仕事サボってたらまずいな。)
ひと山終えたPx4はファイルを閉じ静かに地下の事務所を出て業務に向かうのだった。
・・・・
こうしてサブリナプロデュースのパーティーは、誰もの想像を遥かに超えた
次回は、後始末の間話かな。
ナイル指揮官はブチ切れるのか??
何ちって半沢直樹の締めをやります。
そのあとパーティーの続きか。
あと、何度も書きますがSPECさん、Px4さんの出演許可ありがとうございました。m(_ _)m