※本作はマブラヴ トータル・イクリプス及び帝都燃ゆのオマージュを多々しております。また、短編+自己満足作品ということもあり面白みに欠ける部分もあるかと思いますが、暖かい目で見てもらえればと思います。尚、設定等は私が後々上げるであろう作品の伏線になってるかも……?

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宇宙戦艦ヤマト2202外伝 首都砲撃

──西暦2203年4月8日 世界標準時20:35 衛星軌道上

 

 

 ドレッドノート──“恐れを知らぬ者”という意味を持つ言葉を艦級に冠した250mの艦体を抱える戦艦が、艦の残骸と思われる(・・・・・・・)破片を押し除け航行していた。艦側部には地球連邦を象徴するマーキングが目立つ。その隣に大きく書かれた「でわ」という艦名も。

 

「──この宙域に配備されて72時間。敵は目と鼻の先にいるのに、何も出来ないとは…」

 

「………ガミラス軍の動向は?」

 

 先刻に出羽が押し退けた大きな残骸は“ガトランティス”という超軍事帝国が建造した大戦艦級(仮称)のものであった。

 現在、地球連邦はガミラス共和政、帝政派ガミラスとの三軍合同で太陽圏に侵入したガトランティスの防衛戦を行なっていた。しかし、第十一番惑星沖防衛線、冥王星沖防衛線、土星沖防衛線、火星沖最終防衛線が相次いで陥落。戦闘宙域は地球沖絶対防衛線に移行し、国境紛争の枠を超えた“戦争”へと発展してしまっていた。

 

「臥軍は現在も衛星軌道上から空母による敵陸戦隊への攻撃と、月沖にて共和派、帝政派の合同軍が我が軍と共に敵を退けています」

 

「そうか。──向こうさん(ガミラス航宙軍)もよく動いてくれている。オマケにこちらのメンツ(・・・)までも立ててくれているとはな」

 

 ガミラス共和政は“国難”とも称される経済打撃と再軍備に追われる中、本国より800隻の戦闘艦艇の派遣と数千億円規模の無償資金提供を決定し地球連邦を経済的にも軍事的にも支援していた。中でも月沖に配備された350隻もの精鋭はローレン・バレル旗下第一○一空間機甲師団に編入され、現在もガトランティス主力艦隊の攻勢を防いでいる。

 また、過ぐる日に電撃的に地球連邦首都“新広島”と大日本国首都“京都”へ上陸した軍団規模のガトランティス陸戦隊を攻撃するため、ガミラス機動艦隊が月面ヴァンデクラフト宇宙軍基地を発進。現在も衛星軌道上より空間艦上攻撃機“スヌーカ”と空間重爆撃機改“ガルントII”を出撃させ、各地で大規模爆撃を敢行していた。しかし、日本国内のみならず、各国各所に上陸したガトランティス陸戦隊は怯むことなく前進を続け、機動艦隊は消耗戦を強いられていた。

 

「だが……メンツを盾にし、全てを彼らにやらせるわけにはいかんのだ」

 

「はっ…………………」

 

「──提督。中央作戦司令部からの命令です。……! "第二十八戦隊ハ地球連邦総首都"新広島"、及ビ大日本国首都"京都"ニ展開シテイル敵陸戦部隊へ艦砲ニヨル統制射撃ヲ敢行セヨ"とのことです」

 

 "出羽"の艦橋に不穏な空気が流れる。刹那、その命令を良しとしなかった出羽副長兼第二十八戦隊参謀──安倍 十郎太大佐が口を開く。

 

「何を今更ッ…! あんなデカブツ(・・・・)、大気圏に突入される前に迎撃していればッ……!我らは、その為の部隊だろうて………」

 

 "出羽"率いる第二十八戦隊は、本土直掩の貴重な部隊として地上400Km地点に配備されていたは良いものの、ガトランティス陸戦隊を満載した大型空母3隻への迎撃命令は下されておらず、敵が徐々に本土を蝕んで行く様子を手を拱いて見ているしか無かった。(第二十八戦隊へ大型空母の迎撃命令が下らなかった理由として、本来侵攻してくるであろう(・・・・・・・・・・・)敵大艦隊が別個におり、陸戦部隊は陽動であると想定されていたからだ。尚、実際には大艦隊が来襲した記録は無く、中央作戦司令部の杞憂と日和見が齎した損害とされている)

 

「…提督………改めて中央に命令の──」

 

「──機関出力90%。総員、第一種戦闘配備ッ。全艦、主砲発射準備!目標、地球連邦総首都──新広島。並びに……大日本国首都──京都ッ!」

 

「……提督!……何卒…………何卒ッ、中央への再度問い合わせを!! 以前、奴らが首都を占拠した際も砲撃はなかったはずです!」

 

 安倍参謀は苦悶の表情と共に出羽艦長兼第二十八戦隊提督──小沢 昭三中将に提言した。無理もない、中央作戦司令部からの指示とはいえ小沢提督は愛すべき祖国へ銃口を向けよ、と命令したのだから。──しばしの時が流れ、小沢提督は

 

「……聞こえなかったのかね安倍参謀。総員、第一種戦闘配備。全艦、主砲発射準備、だ。目標は新広島、並びに………京都だ」

 

 ともう一度命令した。

 

「しかし提督ッ……帝国時代から続く我が軍の栄誉にかけて……そのような命令はッ………!」

 

 安倍参謀は、小沢提督が拳を握り悔やんでいる様子を発見した。

 約1400年もの間、日本の都として君臨した京都と地球連邦総首都の新広島。国軍軍人として、国土──しかも首都を艦砲にて射撃する事はこれ以上ない屈辱であることは明白だった。そんな小沢提督の無念を汲み取ったのか、安倍参謀は何かを察したような表情を浮かべ

 

「……全艦に通達……主砲発射準備ッ。三式融合弾改を装填、衛星データリンクによる照準……始めッ!」

 

 と命令を下した。戦術長、通信長が復唱し第二十八戦隊所属艦の"出羽"、"大仙"、"青葉"が単縦陣より主砲発射準備体制に移った。

 

「………通信士、ガミラス機動艦隊"ツゼ提督"に通達。"我、砲撃ノ準備アリ。至急、爆撃部隊ヲ待避サセヨ。差モナクバ、敵ト共ニ業火ニ焼カレヨウ"」

 

「はっ。"出羽よりガミラス機動艦隊提督へ。我、砲撃ノ準備アリ。至急、爆撃部隊ヲ待避サセヨ。差モ無クバ、敵ト共ニ業火ニ焼カレヨウ"。以上」

 

「以降、四日市を第一目標、新上桂を第二目標、新呉を第三目標、向日を第四目標、新尾道を第五目標、新城陽を第六目標と呼称する」

 

 41糎の口径を持つ三連装砲塔がゆっくりと腰を上げた。独特の旋回音と共に砲口が第一目標──地球連邦総首都"新広島"の西部に広がる四日市に向いた。ここには敵陸戦隊の仮説兵站が置かれていることが確認されており、ガミラス機動艦隊も爆撃により事態を解決しようと試みていたが、敷設された対空砲と誘導弾によって爆撃機は阻まれていた。

 

「大気圏突入時の砲弾入射誤差、修正完了。第一目標への照準よろし」

 

「主砲、装薬及び砲弾の装填を確認。射線クリア」

 

「ツゼ提督より通達。"我ガ方ノ艦載機、離脱ヲ確認。貴艦ト貴国ノ幸運ヲ祈ル」

 

「…提督ッ………砲撃………砲撃準備、完了致しました」

 

「………主砲、撃ちーー方ーーはじめぇっ!!」

 

「ってぇぇ!」

 

 小沢提督は閉じていた目を開け、ドンと一声、号令をかけた。各艦より発射された三式弾は落下による加速も相まって数秒で極超音速を超え大気圏に突入、高度1万フィートにて砲弾に仕掛けられた逆噴射装置が作動し減速するが、尚も速度はマッハ3.8を超えていた。そして、敵陸戦隊は轟音と共に襲来した三式弾の前に逃げることも出来ず爆音と熱風に飲み込まれた。──四日市は業火に包まれた。

 

「第一目標、命中を確認。主砲、次弾装填」

 

「照準、第二目標へ。砲弾入射誤差及び射角を修正中」

 

「各主砲塔制御室より入電。砲弾及び装薬の装填を完了」

 

「入射誤差、射角修正完了、射線クリア。──主砲、発射ッ!」

 

 続けざま、第二弾が京都市西部に位置する新上桂に命中した。この地域には敵主力部隊が確認されており、敵への大打撃は必須と考えられていた。

 

「第二目標、命中を確認。主砲、次弾装填──」

 

「……この手で1400年の都を──敬愛すべき祖国を撃つことになろうとは……ッ。無念です………」

 

 安倍参謀はそう零し、涙が頬を滑り落ちていった。その後ろでは、砲撃時の爆煙と閃光をただじっと見つめる小沢提督の姿があった。

 

「……提督の御無念、お察し致します……」

 

 そう言い、安倍参謀は艦帽を脱いだ。小沢提督は尚も爆煙と閃光を見つめたままこう呟いた。

 

「与えられた任務を全うしてこそ軍人だ。しかし……このような命令など、もう下らないで欲しいものだ………」

 

 と。安倍参謀は深く頷き、共感の意を示した。

 

「………安倍君、よく見ておきたまえ。私たちはこの屈辱を決して忘れてはならん。このような仕儀が、どのようにして導かれたのか。私たちは忘れてはならんのだ……」

 

「はっ……」

 

 1時間後、中央作戦司令部から第二十八戦隊へ統制射撃の終了が命令された。大日本国に上陸したガトランティス陸戦部隊は今回の砲撃で甚大な被害を蒙り、戦力の8割を喪失。辛うじて生き残った者たちも最終的には追い詰められて自決(・・)

 後に残ったのは新広島郊外、京都郊外の瓦解した姿と天高く上る爆煙のみであった。

 

 

 


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