二百八十七頁目
普通のステゴと同じ様に振る舞いながら動くメカステゴは、絶滅動物ばかりが徘徊するこの滅茶苦茶な生態系の島でさえなお目立って見えた。
色々と困惑しながらも草を噛み締めている様子から一応草食として振る舞っていると判断した俺は、ペヤラちゃんに乗ったままいつでも逃げれる体勢で傍へと近づいてみた。
すると予想通りというか、普通の草食と同じ様にこちらに反応することなく草を食べ続けている……だから邪魔をしないように近づいて観察し、更にはそっと触ったりしてみる。
そして分かったことは本当にこいつは機械であり、それでありながら一切の違和感を感じさせない生き物同然の動きをしているということだけだった。
改めてこの島を作り上げた存在の文明力の高さを目の当たりにしたような気がして……そしてもう一つ、恐ろしい仮説が湧き上がり目の前がクラクラしてくる。
ひょっとしてこの島にいる生き物は全て表面上だけ繕われただけの機械なのではと……しかしこれはすぐに否定できた。
何せ今まで幾多の動物が死ぬところを見てきているが、身体の中身も俺たちが食用にしていたぐらいちゃんとした肉体だったのだから。
しかしだとしたらこいつは何なのだろうか……この島にいる生き物が人工的に作られた存在だというのは何となく察していたが、まさかここまで率直な見た目の存在までいるとは思わなかった。
少し考えて、後ろを振り返り火山の頂上に至る途中のあちこちで狩られているステゴの姿が目に入る。
肉食だらけの場所に沸く数少ない草食だから襲われまくっているのだろうけれど……そこで一つの仮説が思い浮かぶ。
ひょっとしてこの島に住む生き物にはそれぞれに……或いは場所ごとに最低限の存在数が設定されているのではないだろうか?
そうでなければ草食はともかく、これほど沢山湧いている肉食の食料を配給するのは難しいだろうから。
しかしこの場所でステゴは余りにも勢いよく狩られ過ぎていて、普通に産み落とすだけでは間に合わなくて仕方なく、最低限数を満たすために機械のステゴを作り代用したのではないだろうか?
尤もこの仮説だと、結局機械のステゴなど肉食は食べれないのだから意味がないような……或いは植物が繁栄しすぎないように草食の存在個体数が決まっているのかも……まあすべて俺の勝手な想像に過ぎないが。
……まさか俺みたいなこの島で生活している人間が、本当にここをただの無人島だと思いこまないためにわざと混ぜている可能性も……しかし、だとするとこの島はただの動物園ではなくて、管理人は俺たちに何かを目指させようと……妄想は尽きないが、いい加減に止めておこう。
今の俺に大事なのはそんな訳の分からない考察や、この島の主の思惑ではなくて……俺とフローラがどうやって生き抜いて行けるかなのだから。
【今回名前が出た動物】
ステゴサウルス
TEKステゴサウルス(メカステゴ)
タペヤラ(ペヤラちゃん)