二百九十一頁目
ついに極寒地方への進出を果たした俺は、一面の銀世界に久しぶりに少しだけ興奮してしまう。
寒さもモフモフな毛皮のおかげで完璧に……少しだけ肌寒いかなぐらいに抑えられていて問題はなさそうだ。
しかしそんなこと気にならないぐらい、目の前の壮大な光景に圧倒されそうになる。
綺麗に日の光を反射する白い雪の中を狼と思しき群れが走り抜けていく。
そしてあちこちではマンモスがのしのしと歩き、時に咆哮をあげながら襲い来る狼や猪のような肉食と争っている。
まさに図鑑か何かでしか見たことのない、太古の氷河期が再現されたかのような光景はまるで映画のようにも思えた。
いつまでも見ていたいような気がしたが、同時にここでペヤラちゃんのスタミナが尽きて着陸したらどうなるか考えて一気に現実へ引き戻される。
間違いなくあの肉食達に群がられて、一瞬で肉片に解体されてしまいそうだ……そもそも防具が破壊されるだけでも凍え死ぬのは確実だ。
恐ろしい場所だと改めて気づいた俺は先ほどまでの感動も忘れて、とにかく安全な場所を目指して飛んでいくことにした。
……果たしてそんな場所がこの試される大地に存在するのだろうか?
二百九十二頁目
見渡す限り雪だらけで、光の反射が目に眩しいぐらいだ。
そんな中で何か移動する目印をと探して、すぐに空に浮かぶ青いオベリスクが目に飛び込んでくる。
そう言えば全てのオベリスクを調べようとして、結局あれだけは断念したのを思い出す。
尤も今更調べても大した発見はないだろうけれど、他に向かう先があるわけでもない。
だから真っ先にそこへ向かい、道中であの虫殺しに特化したナマケモノや初めて見る毛深いサイ、それにあの角の生えている肉食を見つけた。
しかもあの角の生えた肉食は複数匹で群れていて、その中心には見たことも無い全身羽毛で包まれた鳥のような巨大な肉食が鎮座していた。
そいつの咆哮に合わせて角の生えた肉食はまるで手足のように動いている……どう見ても異なる種族なのに、それを従わせるなんてとんでもない奴だ。
そいつの指示に従っている肉食は他の場所で見た時よりかなり凶暴で力強く動いているように見えた……あれは近づかないほうが良さそうだ。
そんなことを思いながら移動と観察を続けていると、ここでも遺体に群がるアルケン君の同種を何匹も見かけてしまう。
どうにかして隙を見て一匹仲間にしたいものだ、などと思いながらこの豪雪地帯にある巨大な山の頂点に存在する青いオベリスクを目指し続けた。
【今回登場した動物】
ダイアウルフ(狼)
マンモス
ダエオドン(猪)
タペヤラ(ペヤラちゃん)
メガテリウム(ナマケモノ)
ケブカサイ(毛深いサイ)
カルノタウルス(角の生えた肉食)
ユウティラヌス(鳥のような巨大な肉食)
アルゲンタビス(アルケン君の同種)