三百三十四頁目
望遠鏡を使って観察したところ、どうもあの青く光る壁の近くにもロック君の同種の巣があるようだ。
その親個体と思わしき野生のロック君の同種が餌をさがして近くをうろついている。
しかしあの巨大な触手とその主が装置に近づくと一斉に離れて行く。
これまでのARKにいた野生動物も基本的に自分より強い生き物とは敵対しないよう避けていたことを思うと、ロック君の同種もあの触手の危険性を十分理解して避けているようだ。
……だけどもしかしたら、上手く誘導できれば或いはぶつけ合わせる事が出来るかもしれない。
机上の空論だけれど、あの触手共の親玉がルゥちゃんを操ってた時のように粗暴であればロック君の同種達の性質を考えればできなくはなさそうだ。
尤も非情な作戦だ……あのロック君の同種もまたARKのために設計された生き物とはいえ野生の中で必死に生きているだけなのだ。
こうして観察していると営巣しながら卵の世話をしているのを見ていると余計に感じる。
だけどこれまでだって俺は罪悪感こそ感じながらも自分が生き残るために幾らでも利用し続けてきたのだから今更だ。
……でもやっぱり罪悪感だけは消えてくれないし涙も出そうになる。
島から始まり砂漠でもそしてこの害悪でストレスを多く感じる異常なARKの環境に居ながらも俺は変われない。
人として正しいと思うべきなのか、それとも本当はサバイバーとして向いていないと思うべきなのか。
多分、オウ・ホウさんやモーリツさんならこんな細かいことで何度も悩んだりしないだろうなぁ。
『でもここまでこれたのは貴方だからだよ? 自信を持っていいんだよ!』
三百三十五頁目
エレメントでの交渉は最後の手段にするつもりだ。
その上でそろそろあそこへ近づいてみる事にした。
もちろん総力戦も覚悟の上だ。
メガちゃん軍団を前面に出しその後ろをカニ達に進ませて、移動拠点のパララ君の傍にカニ達とリーパーを護衛として引き連れて向かう。
まずはあいつらが紫の液体に沈みこんでいるうちに近づいてあの青い壁の周囲を調べられるか試みるつもりだ。
それで上手く行けばその情報を元に新しい行動を考えるつもりだが、流石にそこまで近づいてもなお気づかれないとは思い辛い。
気づかれた場合は一応フローラも言っていたようにエレメントやアーティファクトを始めとした品を交渉に利用して対話をしてみるつもりだ。
だけどそれでどうなるかは分からない。
最悪はロック君の機動力を使えば逃げ出すことはできなくもないと思うけれど、あの触手達に認識された上でここまで進出した装備をすべて失ったら流石に巻き返すのは難しいだろう。
だからこれが最後になる可能性も考えて、この日記はおいていくことにした。
もしも取りに戻ることが出来れば続きを書くつもりだ。
戻れなかったときは……後から来た誰かが何かの間違いで見つけて読んで何かの足しにしてくれたら嬉しいかな?
「……フローラも何か書いておくことないかな?」
『遺書じゃないんだからいいよ! 絶対にここも乗り越えて、私も生き返った上でちゃんとした形で再開するんだから!』
「そうだね、よし! 気合い入れて行こう!」
今回名前が出た動物
ロックドレイク(ロック君の同種)
メガロサウルス変種(メガちゃん)
カルキノス(カニ)
リーパーキング(リーパー)
パラケラテリウム変種(パララ君)
触手(〇〇〇〇〇〇テンタクル)
〇〇〇〇〇〇(触手共の親玉)