ARK とある青年の日誌   作:車馬超

1041 / 1041
第1041話

三百三十四頁目

 

 望遠鏡を使って観察したところ、どうもあの青く光る壁の近くにもロック君の同種の巣があるようだ。

 その親個体と思わしき野生のロック君の同種が餌をさがして近くをうろついている。

 しかしあの巨大な触手とその主が装置に近づくと一斉に離れて行く。

 

 これまでのARKにいた野生動物も基本的に自分より強い生き物とは敵対しないよう避けていたことを思うと、ロック君の同種もあの触手の危険性を十分理解して避けているようだ。

 ……だけどもしかしたら、上手く誘導できれば或いはぶつけ合わせる事が出来るかもしれない。

 机上の空論だけれど、あの触手共の親玉がルゥちゃんを操ってた時のように粗暴であればロック君の同種達の性質を考えればできなくはなさそうだ。

 

 尤も非情な作戦だ……あのロック君の同種もまたARKのために設計された生き物とはいえ野生の中で必死に生きているだけなのだ。

 こうして観察していると営巣しながら卵の世話をしているのを見ていると余計に感じる。

 だけどこれまでだって俺は罪悪感こそ感じながらも自分が生き残るために幾らでも利用し続けてきたのだから今更だ。

 

 ……でもやっぱり罪悪感だけは消えてくれないし涙も出そうになる。

 島から始まり砂漠でもそしてこの害悪でストレスを多く感じる異常なARKの環境に居ながらも俺は変われない。

 人として正しいと思うべきなのか、それとも本当はサバイバーとして向いていないと思うべきなのか。

 

 多分、オウ・ホウさんやモーリツさんならこんな細かいことで何度も悩んだりしないだろうなぁ。

 

『でもここまでこれたのは貴方だからだよ? 自信を持っていいんだよ!』

 

三百三十五頁目

 

 エレメントでの交渉は最後の手段にするつもりだ。

 その上でそろそろあそこへ近づいてみる事にした。

 もちろん総力戦も覚悟の上だ。

 

 メガちゃん軍団を前面に出しその後ろをカニ達に進ませて、移動拠点のパララ君の傍にカニ達とリーパーを護衛として引き連れて向かう。

 まずはあいつらが紫の液体に沈みこんでいるうちに近づいてあの青い壁の周囲を調べられるか試みるつもりだ。

 それで上手く行けばその情報を元に新しい行動を考えるつもりだが、流石にそこまで近づいてもなお気づかれないとは思い辛い。

 

 気づかれた場合は一応フローラも言っていたようにエレメントやアーティファクトを始めとした品を交渉に利用して対話をしてみるつもりだ。

 だけどそれでどうなるかは分からない。

 最悪はロック君の機動力を使えば逃げ出すことはできなくもないと思うけれど、あの触手達に認識された上でここまで進出した装備をすべて失ったら流石に巻き返すのは難しいだろう。

 

 だからこれが最後になる可能性も考えて、この日記はおいていくことにした。

 もしも取りに戻ることが出来れば続きを書くつもりだ。

 戻れなかったときは……後から来た誰かが何かの間違いで見つけて読んで何かの足しにしてくれたら嬉しいかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……フローラも何か書いておくことないかな?」

『遺書じゃないんだからいいよ! 絶対にここも乗り越えて、私も生き返った上でちゃんとした形で再開するんだから!』

「そうだね、よし! 気合い入れて行こう!」




今回名前が出た動物

ロックドレイク(ロック君の同種)
メガロサウルス変種(メガちゃん)
カルキノス(カニ)
リーパーキング(リーパー)
パラケラテリウム変種(パララ君)
触手(〇〇〇〇〇〇テンタクル)
〇〇〇〇〇〇(触手共の親玉)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

オーバーロード 傾国狐の異世界日記(作者:破戒僧)(原作:オーバーロード)

ユグドラシル最終日。『傾国の悪女』(ロールプレイ)として知られる1人のプレイヤーが、ギルドホームと共に異世界に転移した。ナザリックが転移して来るよりも、400年も前の時間に。▼これは、わけのわからん状況にパニック寸前になりつつも、頼れるNPC達に手伝ってもらいつつ、なんだかんだで割と欲望のままに異世界生活を楽しんでいく、一人の『狐』がしたためた、なんてことは…


総合評価:5205/評価:8.26/完結:122話/更新日時:2026年06月28日(日) 10:18 小説情報

ディストピア世界の悪徳企業CEO(自認)(作者:ねうしとら)(オリジナルSF/戦記)

世界を巻き込む大災害が発生し、ほぼすべての人類が死滅した世界にて。人類最後の楽園である超巨大都市国家『エデン』は、その名とは裏腹に階級制度が完全に定着したディストピアな社会であった。▼未知の物質によって汚染された外界、限られた資源。超能力に目覚めるごく一部の人類と外界に蔓延るモンスターたち。▼そんな人類詰みかけディストピア世界で有数の大企業のトップとなった主…


総合評価:10960/評価:8.55/連載:12話/更新日時:2026年05月15日(金) 21:34 小説情報

万象、紙に綴れば(作者:Mebius217)(原作:呪術廻戦)

▼「目立たず、平穏に」がモットーの少女、綴眞白(つづり ましろ) 。 彼女には、生まれつき呪霊が見えること、そして自分にしか見えない「力」で精巧な折り紙を動かす秘密があった 。 自身の能力を『折紙呪法』と名付け、孤独に研鑽を積んでいた彼女だったが 、中学卒業間近、現代最強の呪術師・五条悟にその才能を見出される 。▼「君、化け物級だよ」▼強引に呪術高専へとスカ…


総合評価:6575/評価:8.52/連載:19話/更新日時:2026年05月04日(月) 00:00 小説情報

すべてを失って身売りした少女にすべてを与えてみた結果(作者:ヤンデレすこすこ侍)(オリジナルファンタジー/コメディ)

転生したら全てを持っていた。▼転生先は大国アズヴォルデ帝国の第三皇子だった。▼ふ~ははははっ! これで好き放題出来る!▼あんなことや、こんなことを、好き勝手にやらせていただく!▼そう息巻いて過ごすこと十五年。▼俺は早速飢え始めていた。▼つまらない。▼つまらないのだ!▼何もかもを手に入れてしまって、何にも充足感を得られない!▼金も名誉も地位も力も、全てを持って…


総合評価:25003/評価:8.87/連載:31話/更新日時:2026年06月12日(金) 12:00 小説情報

女尊男卑な異世界で成り上がるためにはわからせとハクスラが必要らしい(作者:ベリーナイスメル/靴下香)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

マゾ向けゲーで逆転したい、したくない?


総合評価:13416/評価:8.65/完結:39話/更新日時:2026年05月10日(日) 10:53 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>